切→死別
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ねぇ、わたしここにいるよ
わたし、ちゃんと存在してるの
『気付いて、ねえ』
「なんか言ったか??」
「なにも言ってないけどぉ?」
「そうか?」
ほら、やっぱり【君達】には届かない
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
『おはよう』
「おはよう、結羅ちゃん」
「やっほ〜☆あれ?結羅
元気ない?どしたの??」
あんずちゃん、スバルが
私に話しかけてくる
荷が重い私は話す気にもなれず
言葉を濁すだけ
『Knightsのプロデュースって
いつだっけ?』
「ッ……結羅ちゃん、
明日私と一緒だよね?Knightsの
プロデュース」
『あれ、そうだっけ??
……あ!そうだ!ほんとだ!!』
よかった
私ひとりだったら困ってた……
『レオ先輩も瀬名先輩も
私のこと無視するんだもん……
ていうかKnightsの皆私を放置!
ほんと酷い!!』
「そうなんだ……なにか
理由があるのかも……!」
理由……か。聞いたことなかったな
きいたら、分かるよね
「明日一緒に聞こう?」
『うん!』
ここ2ヶ月
私を無視した理由、絶対聞いてやる!
私があんずちゃんと
Knightsのメンバーの元へ行くと
『おっはうっちゅ〜☆』
「……おはうっちゅ〜です」
あんずちゃんも私の真似をして
そう言うと
「!!」
月永先輩はこっちへ走ってきて
ぎゅっ……
『えっ……』
あんずちゃんを、抱きしめた
そしてこう言ったのだ
「結羅!!!!!!!!
結羅ッッッ!!」
なんで、私の名を呼ぶの?
わたし、ここに居るよ?
「月永先輩、私、あんずです」
「!!!!……あ、んずか…??
そ、そっか…ごめん」
泣きそうな顔で謝る月永先輩
すると横から瀬名先輩が言った
「王さま、いい加減にしなよ。
いつもいつも結羅結羅って。
だいたい結羅はもう」
ー2か月前に、死んだじゃん
『……はっ?』
私が、死んだ??
ここにいるのに?しんだの、わたし
ワタシガ、シンダ??
「せっ、瀬名先輩ッッ」
『あんずちゃん、知ってたの…?』
「ち、違うの結羅ちゃん!!
これは、その…」
「結羅??
そこに、居るのか……??」
月永先輩が、ふと顔を上げた
「あんず、結羅は?
結羅はどこなんだ??!」
『……っ、わ、たし…』
スバルとあんずちゃんに
見えてたのは偶然で
本当は誰にも……
あれ、じゃあこの2ヶ月の食事は?
生活は?あれ、あれ??
ー思い出せない…
『違う、わたしは
私は死んでない……ッッッ』
私がそう叫んだ時
窓のガラスが割れた
「!!!!」
全員が割れた音に驚き動きを止める
その拍子にこの場から逃げ出すと
あんずちゃんの声が聞こえた
「待って!!結羅ちゃん!!」
アテもなく私は走る。だってもう
ー私の居場所はない。
本当は……
『月永先輩……っ』
貴方に気づいて欲しかった
ー月永レオside
「あんず、どういうことだ?」
窓ガラスの破片をセナがホウキで
掃くのを眺めながら、おれは訊いた
「……確かに、結羅ちゃんは
2ヶ月前に居なくなりました。
けど次の日、ケロッと現れたんです」
ー『お?あんずちゃん!おはよう!』
「すぐにみんながおかしいことに
気づきました。
自分のことを無視する。
まるで【居ないかのように】話しかけても
答えてくれない、と。
それはプロデュースでも同じ」
ー『うーん、司、ここはね』
ー「leader!!!!!しっかり
して下さい!」
ー「……ああ」
ー『ねえ、なるちゃん……』
ー「まぁまぁ、2人とも。
今は感傷に浸る暇は無いわよォ?」
……
「誰も私に気づかない
その度に結羅ちゃん
言ってたんです」
【ここに居るよ】
……君はずっと
「そ、んなの……」
そばに居てくれたんだ
「もっと、おれを呼んでくれよッ……」
誰も気づかない
誰も知らない
誰も見ない
誰も聞こえない
誰も見えない
誰も分からない
誰も……
そんな2ヶ月を
結羅はどう過ごしたのだろう
―言わなきゃ…
「……ッッッ…
結羅を探さなきゃ……
あんず!手伝ってくれ!」
「はい!!」
君に伝えなきゃ
おれの、この気持ちを
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・
「あんず!!見つけたら言ってくれ!!」
「はい!!……!!
月永先輩、居ました!!屋上です!!」
「了解!!」
おれは廊下を走り屋上へ駆け上がる
けれど、屋上には生憎鍵がかかってる
鍵がかかってるのに中にいるのは
きっともう彼女がこの世の人ではないから
そんなの、知るものか
無理にでも開けてやる
「あんず!離れてろよ〜☆」
どぉぉぉん!!!!
無理やり扉を蹴り飛ばすと
容易く扉は前に倒れ
「……っ…………」
『……月永、先輩』
おれは、ようやく
太陽の日に照らされる、君を見れた
「……結羅」
『えへへ、月永先輩おはうっちゅ〜☆』
そう言って笑う彼女は
2ヶ月前と全く変わらなくて
2ヶ月前と全く変わらない綺麗さで
おれは、言葉が出なかった
ようやく出た言葉は
「……ごめん、な」
その四文字だった
『……いいえ、大丈夫です』
「……ずっと、居てくれたんだな」
『……だって私、自分がまさか死んだ
なんて、知らなかったんだもの。
プロデュースの時は勿論居ますよ
…誰も、気づいてくれなかったけれども』
「でも、毎回ちゃんと来てくれた
……ありがとう」
もっと言いたいことがあるのに
『どういたしまして
……やっと私が、見えたんだ………』
「…ああ、やっと……」
『大丈夫です、気にしてないので!!』
緊張で、何も出なくて
「なぁ、結羅
これからも居てくれるか???」
ようやく出たその言葉
目の前の彼女は微笑んだ
『私に残された時間は
あと1週間みたいなんです』
「それ、どういうこと……っ?
1週間経ったら、結羅ちゃんは
消えちゃうってこと!?」
どうやら神様は、おれに
『1週間、7日もあるよ』
チャンスをくれたみたいだ
「だな!大丈夫、おれがもう
寂しい思いはさせないから!」
『頼もしいです、王さまっ☆』
「わはははは……☆
さあ結羅、行こう!」
左手を彼女に差し出す
『……どこにですか?』
「今日はKnightsの活動日。
プロデュース、してくれるんだろ??」
そう言えば彼女は涙目でまた笑う
『はい、喜んで!』
触れれないはずの手なのに
俺の左手に右手を重ねる
ぎゅっと繋いだ手。
あんずも右手で、空いてる結羅の
左手と手を繋ぐ。
「よし!行くぞ〜!」
「『はい!』」
まだ1週間ある。1週間しかない。
どう捉えるかは、おれ次第
大丈夫。
【まだ】1週間ある
それから、おれと結羅の
奇妙な1週間は過ぎて行った
『おはうっちゅ〜☆レオ先輩♪』
「うっちゅ〜☆結羅!!!」
あんずも一緒に放課後を過ごしたり、
出掛けたり(傍から見たら
あんずと、おれの2人だけど)
楽しい時間はすぐに過ぎて行った
まるで、穴の空いた2ヶ月を埋めるように
そして―
『…あんずちゃん、レオ先輩、ありがとう
私この1週間……ほんっとに楽しかった!
ありがとう……ほんとに、ありがとうっ』
噴水広場の真ん中で
徐々に透け始める彼女を見て
おれは記憶を掘り起こした
「……はあぁぁぁ
インスピレーションが湧かない!!」
―「インスピレーションが!
このままだと、おれは噴水と同じように
なってしまう!
同じことの繰り返しだ!!!」
初めて結羅に会った時の会話
それを思い出した。そしてその時の返事は
―『……月永先輩』
『……レオ先輩』
―『絶望した目をしないで下さい
だってまだ、これからじゃない!
大丈夫、いつだって私が居ます!』
そばにいると約束する言葉だったのに
『……泣かないで?』
なんで
「えっ……」
「月永先輩……」
違う、おれは泣いてない……
これは……これはッ……
『大丈夫、いつだって私が居ます』
「……でも、おれには
見えなくなってしまう…
オーケストラが終演(おわ)る!!
空っぽの時間が来てしまう……」
『あんずちゃん、先輩のこと
よろしくね?』
「っ……うん」
『ねえ、先輩』
嫌だ、何も聞きたくない
何も知りたくない
理不尽なんて当然。
だっておれは、どうすればいいか
分からない
何をすればいい??
どうすれば……
『………話をしましょう』
「……話…………??」
『そう、話。……私達、ここで出会って
毎日の様に私が先輩を引っ張って
あの日も確か、そうでしたよね』
あの日…………
「!!!!」
思い出した
【何故、彼女が亡くなったのか】
―おれと、喧嘩したんだ
―『レオ先輩のバカ!
あんずちゃんと、ずっとイチャイチャ
しとけばいいんだ!
もう知りません!』
―「おれは、あんずのことも
大好きだぞ〜??愛してる!」
喧嘩して飛び出した彼女はそのまま…
『……大丈夫。恨んでませんよ
レオ先輩は悪くない。飛び出した
私の不注意です』
「……ごめんごめん。本当に…」
『謝る代わりに、1つ約束してください』
「??」
もう消えそうな結羅は
『……私、レオ先輩のこと
ずっとずーっと好きでした!だから』
「!!!!!!」
伸ばした手は
光の粒子を切り裂くだけだった
「……」
「……月永先輩…………」
「……教えてくれ」
結羅は最後に
何を言おうとしたんだ???
「答えてくれよ…っ」
言わせてくれ…おれ、ずっと
「ずっと、結羅の事がっ…」
初めてだった。あんなに守りたいと
大切だと思えたのは
恋愛感情なんて無縁だと思ってた
なのに、お前が教えてくれたんだ
「ずっと……ずっと…………」
好 き
その二文字が言えない。だってもう
伝えたい相手は、居ないから
おれの、初恋だった
けどなにも……何も出来なくて
思いを告げぬまま逝ってしまった
だから言わせてくれ
「……うっちゅ〜☆
お前のおかげで、インスピレーションが
湧いてきたよ……っ!」
この胸に秘めた言葉を。五線譜に詰めて
〜♪
今日もおれは騎士と共に舞台に立つ
たとえその場に愛しい人がいなくても
それが、Knightsの王であるおれの
役目だから。
だから彼女の気持ちを抱えて
『いつか貴方に』
「!!!」
『幸せが訪れるその時』
ああ、こんな幻覚を見るなんて
おれは相当ヤバいみたいだけどそれでも
『ずっと抱えていよう』
そうだな。それが、おれの償いだ
いや、償いじゃない。
「結羅、大好きだ!
世界で1番!お前のことを愛してるよ!」
これが、おれの思いだ
月永レオは、生涯
真瀬結羅を愛するよ。
たとえもう会えなくても
『……私、【レオ】のこと大好きだよ
私のこと……忘れないで下さいね』
空想で聞こえた声が本当だとしても
嘘だとしても、おれは絶対忘れない。
なあ、結羅
おれが、そっちに行くまで
まだまだ掛かりそうだ。
「待っててくれよな。
インスピレーション湧かせて
おじいちゃんになってから……」
愛しい君に、名曲を持って会いに行くよ