喧嘩するけど衣更の空振り(ギャグ)総じて甘い
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『衣更くん、今日空いてる?』
「おう、空いてるぞ〜」
『駅前のパフェ食べに行かない?』
「お、いいな!甘い物ちょうど食べたかったんだよ!行こうぜ!」
『!うんっ』
.☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:*
どうしてこうなったのか分からない
『衣更くん、今日は放課後…』
「悪い!凛月を迎えに行かねえと…」
ある日を境に、私のお誘いを
衣更くんは断るようになった
『衣更くん、今日良かったら…』
「あ〜…スバル達と予定が…」
初めこそ、たまたまだと思ってたけれど
日が経つにつれその回数は増え
今では放課後、以前のように沢山
出掛けることは一切無くなった
『衣更くん、今から生徒会の仕事?』
「?そうだけど、どうしたんだ?」
『!良ければ、手伝おうか?』
「い、いや。あんずが手伝って
くれそうだから大丈夫だぞ!」
だから誘うのではなく、お手伝いや
彼の力になれそうな事を提案した
なのにそれも断られ、挙句の果てには
あんずちゃんに負けてしまう始末
『い、衣更くん!』
「悪い!用事思い出したからまた後でな!
おーい、あんず〜!」
私が話しかけると、時によっては
あんずちゃんを呼んでどこかに行ったり
反応してくれても、放課後のお誘いを
受けてくれることは無い
私が重かったのだろうか
もう私のことは嫌なのだろうか
そう思った矢先
『衣更くん』
「お、結羅!」
『前アニメ放送してた作品のカフェが
今日からなの!予約制の席が取れたから、
良ければ行か』
「あ…き、今日はちょっと…あんずの
手伝いがあってさ」
…突然、本当に何の前触れもなく
私の中で我慢の緒が切れた
『…何よ』
「えっ?」
『そんなに私が嫌なの!?誘ってもいつも
言い訳つけるしデートも断られる!』
「え、えっと…結羅…」
『知らない!もう誘わないから!』
.☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:*
『知らない!もう誘わないから!』
突然、本当に何の前触れもなく
彼女は俺にそう言い放った
前触れもなく、というのは嘘だ
原因は間違いなく俺にある
「え!?、ちょっ待っ…」
『知らないって言ってるでしょ!
そんなに嫌なら、手っ取り早く
私と別れてあんずちゃんや凛月くんと
仲良くしてたらいいじゃん!』
「待っ…結羅!!!」
そう言い放ち、彼女は俺の前から
去ってしまった
…これは………まずい……
.☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:*
「ま〜くんが悪い」
「衣更君が悪いです」
「はい、分かっています……でも
あいつを前にすると緊張しちまって
…見る度可愛くなってるし…」
放課後、早速このことを凛月とあんずに
相談すると、2人は口を揃えて言った
「「だから?」」
「いや!だから?って何だよ!!
…見たか今日の髪型…めちゃくちゃ可愛くて
心臓バックバク言ってたよ…」
「はーい惚気はやめてね〜。だいたい
ま〜くんが言い訳つけて逃げなければ
結羅にそんなこと言われたり
喧嘩になったりしなかった訳でしょ?」
凛月の言うことはご最もで
思わずうっ、と声を漏らした
「衣更君、起きてしまったことはもうどうしようも出来ません。明日から
とにかく毎日、結羅ちゃんを
放課後デートに誘ってください」
「で、でも……」
「「いいから」」
「…………あんな可愛い彼女を誘うのか?
俺が?誘うのか?」
そう言うと今度は凛月がため息を漏らす
「ま〜くん?ま〜くんは結羅の
彼氏なんだよ。デートに誘えるのは
彼氏の特権。それともなに、誘わず
このまま喧嘩して別れるの?」
「それは嫌だ!」
「なら誘ってください。
私や凛月君をこうして呼んだみたいに、
結羅ちゃんもデートに誘ってください」
「で、でも」
「いいですか!?」
「………………分かりました」
この時の俺は甘かったと時期に痛感する
事態が深刻であることにまだ
気づいていなかったんだ
「なっ、なぁ結羅!
今日の放課後って…」
『プロデュースがあるから』
「そ、そっか…じ、じゃあさ昼は?
良かったら昼飯一緒に…」
『嵐お姉ちゃんと約束してるから』
翌日から俺が何度誘っても
「結羅、それ手伝うぞ」
『瀬名先輩が手伝ってくれるから』
「な、ならこっちの荷物…」
『そっちは朱桜くんが持ってくれる
…あ、朱桜く〜ん!』
手伝うことさえも断られ続けて
「結羅!明日のレッスンの後…」
『レッスンの後?』
「そ、そう!ご飯行かないか?」
『翌朝も早いでしょ。早く帰りなよ』
「だ、大丈夫だから」
『顔が疲労してる状態で言わないでよ』
気付けば1週間がすぎていた
.☆.。.:.+*:
「…辛い」
「はいはい。これはま〜くんの自業自得、
って奴だからね〜頑張れ〜」
机に伏せる俺を凛月が突っつきながら
応援してくるが正直心が折れそうだ
誘っては断られを繰り返し1週間
話こそしてくれるものの、デートという
名の出掛けることは一切していない
ましてや触れることさえも、だ
「…結羅も、俺から誘いをずっと
断られて…こんな気持ちだったんだよな」
「そりゃあそうでしょ。誘うのだって
結構勇気要るんだし」
「……はぁ…」
馬鹿みてえだな、俺…
ただ自分が恥ずかしいとかそんな理由で
頑張って誘ってくれてた彼女をずっと
傷付けてたなんて
-『い、衣更くん!』
-『手伝おうか?』
挙句の果て彼女に対して他の女の名前
出して逃げるか、俺?
今彼女が俺にしている行動は、ただ
怒ってる行動じゃない。
俺が、彼女にした言動をそのまま
俺にしているに過ぎない
「…ま〜くん、ほら、あそこに
結羅がいるよ」
「ほんとだ…今日も可愛いなあ」
「ま〜くん重症。…?普通科の男の子も
居るみたいだねぇ」
「っは?!」
凛月のその言葉に思わず立ち上がる
「告白、されてたりするのかな〜?
だとしたら結羅はどうするんだろ
こんな女々しいま〜くんの事は放って」
「俺行ってくる!!!!」
凛月の言葉をきき、俺は弾かれるように
教室を飛び出した
あいつは、結羅は…!!
☆*。
「…ま〜くん、話聞きなよ…」
「あら、でもいいんじゃない?」
「ナッちゃん」
「勘違いが生む仲直りだってあるものよ
…ふふっ、2人とも可愛いわねェ♪」
ことの重さを知るのは、翌朝
「あの…」
『ああそれね』
「っちょっとまった!!」
『…衣更くん?』
知らない男が、結羅に話を
しているのが見えて反射で声をあげる
…譲れない。この子だけは…俺の…!
「こいつは!俺の!大切な!彼女だから!
悪いけど諦めてくれ!」
衝動で叫ぶように言う。
すると
「『…はい?』」
「…え?」
あれ、思ってたのと反応が違う
.☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:*
『急に来たと思ったら何よ』
「ほんと早とちりだった」
そう、相手は普通科から書類を持ってきた
所謂遣いの生徒だったのだ
話しかけていたのもただ書類に不備が
無いか確認しただけみたいで
……声を張り上げた俺が恥ずかしい
『でも嬉しかったよ…大切な彼女って
言ってくれて』
そう言って少し笑う結羅に
俺は勇気をだしてまた声をかける
「…っ、あのさ」
『…』
「ごめん、本当に」
そうだ。俺はそもそも謝ってない
いちばん肝心なことをしていなかった
そう思いきちんと謝ってから想いを伝える
「嫌いになったかもしれねえけど、
俺はお前の事が」
『知ってます』
「えっ?」
突然、優しい声でそう言われ
俯きがちだった顔を上げる
『私も、衣更くんが大好きだから!
少しは私の気持ちわかった?』
「もう十分しっかりと」
『ふふっ、ならよろしい』
目が合えば、彼女は笑っていて
ドキリと胸が音を立てると同時に
また1つ勇気を振り絞った
「…あの、さ」
『ん?』
「今日、前行った喫茶店の新作が
出るらしいんだ…食べに行かないか?」
探り探りな問いかけに
『!うん、行く!!』
嬉しそうに彼女は笑って頷いた
―『衣更くん、今日空いてる?』
―「おう、空いてるぞ〜」
―『駅前のパフェ食べに行かない?』
―「お、いいな!甘い物ちょうど食べたかったんだよ!行こうぜ!」
―『!うんっ』
誘いを受ける度すごく幸せそうな顔で
笑ってた、その意味が…今ならわかる
好きな人をデートに誘う、その緊張のあと
上手くいった時って
こんなに嬉しいものなんだ、と
『ふふふ、楽しみだなぁ』
「…」
その笑顔がずっと見たかった
『衣更くん、ポップコーンは何派?』
その笑顔をこれからも、
隣で見ていたい
「俺か?俺は」
END