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「もう大丈夫です」
耳元で聞こえた落ち着いた声が、今でも忘れられない。
誘拐──人をだましたりして、連れ去ること。私の場合はだまされたのではなく、冬の通勤時、駅までの道のりで自転車を蹴飛ばされてそのまま車に引きずり込まれた。しかも、人違いで。本当は近くの資産家の娘を誘拐するつもりだったらしい。資産家の娘も自転車に乗るんだという驚きはさておき、犯人の男はミニバンの後部座席に私を詰め込み、ガムテープでグルグルと両手を縛り上げて口も塞いだあと、身代金要求の電話をかけていた。「娘を返してほしかったら1時間後までに現金で300万用意しろ」そんなことを言っていた。私の両親は既に他界しているので、この時点で何かがおかしいと思っていた。一体、この人は誰にお金を要求しているのだろうと。そして、永遠にも感じた1時間後。また電話を掛けたと思ったら「いたずら電話じゃない!」だとかなんだとか急に焦りだし、電話が終わった瞬間にガムテープを唇の皮と一緒に無理矢理剥がされた。
「お前は誰だ?」
それはこっちの台詞だ。でも、そんな言葉を軽々しく口にできるほど私は冷静ではなかった。脂ぎって白く浮いた髪に、ギョロッと血走った目。黄ばんで歪んだ歯の間から覗く真っ暗闇から漂ってくる澱んだ匂い。何をされるのか分からない恐怖で頭が真っ白だった。
「お前の家族の連絡先を教えろ、そこから金を貰う」
「……か、家族は、いません」
「いないってことはないだろ、その歳で」
「両親は事故で亡くなりました。結婚もしてません……すみません……」
私の返事を聞いた男はポカンとしていた。しかし次の瞬間にはクソクソッとヘッドレストを思いっきり殴り始めて車体が揺れた。何度か殴ったら落ち着いたのか、はぁーっと大きな溜息と嫌な臭いが車内に充満した。
「なあ、警察から身代金って取れるのか?」
「警察から?分かりません……」
「あんた名前は?」
誘拐犯に名前を教える勇気がなくて舌が動かずにいると、まあいいと男が私の鞄を漁って財布を取り出した。大して入っていなかったお札と小銭を全部ポケットに入れたあと、私の免許証を見ながら電話を掛け始めた。黒ずんだ指先が年季の入ったガラケーのキーパッドを叩いたのは三回。どうやら本当に警察に連絡するつもりらしい。
「ミョウジナマエという女を誘拐した。1時間後までに3……500万用意しろ。現金だ!」
それだけ一方的に伝えてすぐに電話が切られた。普通、こういう時は「警察には連絡するな」が常套句のはずだ。少なくとも私が観たことのある刑事ドラマではそれが鉄板だった。それでも結局、警察には知られてしまうのだけど。
「……大人しくしてくれれば何もしない。俺はただ金が欲しいんだ」
そこから男と私の無言のドライブが始まった。こんなはずじゃなかったとか、なんでこんなことにだとか、ブツブツと一人で呟いてたまに癇癪を起したようにドアを殴ったり足元を蹴ったりしていた。いつその暴力がこちらに飛んで来るのか分からなくて、後部座席で横になったままぎゅっと体を縮こまらせていた。
自転車と一緒に地面に叩きつけられた痛みもそれなりに引いてきてはいたけれど、打ち付けた左半身、特に肩と手が未だにズキズキと痛んだ。肩周りのコートの生地がアスファルトで削れて下のニットが薄っすらと覗いている。これがもし夏の日だったらと考えて肝が縮んだ。手首にガムテープを巻かれる際に、追い剥ぎのように手袋を取り上げられたせいで晒された左人差し指は真っ赤に腫れ上がっていた。全く身に覚えがないけど、咄嗟に地面に手をついた時に突き指でもしてしまったのだろう。もしかしたら折れてしまっているかも。本当に、なんでこんなことに。車内から見上げる青空が遠くて、悲しくて、憎らしかった。
「降りるぞ」
どれくらい走っていたのか、少ししたら人気のない廃工場のような場所で車が止まった。手は縛られたまま、首根っこを掴まれて建物内に入っていく。しっかりとした足取りで、男が錆と埃塗れの機械の合間を通り抜けていき、外廊下を通って広い部屋へと連れて行かれた。食堂のようだった。長テーブルには埃が積もり、どんよりとカビ臭くて、天井もあちこち剥がれてしまっている。ガタガタと音を立てる不安定な椅子に向い合せに座らされて、しばし無言の時間が流れた。男が指定した1時間まであとどれくらいあるのだろう。壁に掛かったままの時計は3時過ぎで止まっていた。
「……悪いとは思ってるんだ」
急に口を開いたと思ったらそんなことを言われて、なんて返事をすれば良いのか分からなかった。
「ここ、俺の職場だったんだ。でも倒産して、借金もあって、仕事もない。この間もう家賃が払えないなら出ていけって言われた」
だから誘拐してお金を取ろうとした。そしてそれも、上手くいかなかった。昔からいつもこうだと男が一人でしゃべり続ける。相槌を打つのも違う気がして、熱を持って赤紫に変色し始めた人差し指を見つめながら黙っていると、ふいに男の言葉が途切れた。不思議に思って顔を上げたら「こんなに誰かに話を聞いてもらったのは初めてだ」と歯並びの悪い口元が歪に弧を描いた。
「あんた、良く見たら可愛いな」
立ち上がった男が近づいてくる。今までとは明らかに質の違う視線を向けられて、ゾッと鳥肌と寒気に体が包まれた。気持ち悪い。本能的に後ずさりをしようとしたら椅子が大きく揺れて、ドンッと床に投げ出された。二度目の痛みで目の前がチカチカする。腕が使えなくて起き上がれない。ドッドッドッと心臓の音が耳元でしていたのに、そのうち耳鳴りでかき消されていく。怖い。嫌だ。近づいてくるクタクタのスニーカーがぐにゃりと歪んで、強く瞑った目蓋で涙が押し出された。誰か、助けて、誰か──
コンッと小気味の良い音がした。目蓋越しに強い光が差し込んで、一瞬目の前が赤く染まった。側で聞こえたうめき声に弾けるように目を開けた。食堂が、猛吹雪の中のような灰色の世界になっていた。「え?」と無意識に発していた言葉はドタドタドタと何人も食堂内に入ってくる足音と「動くな!警察だ!」という刑事ドラマさながらの怒号によってかき消された。
「もう大丈夫です」
気づいた時には誰かの腕の中にいて、次の瞬間には横抱きにされて屋外に運び出されていた。降り注ぐ柔らかい午前の日差しが眩しくて、嬉しくて、涙が延々と溢れて来た。かくして、私が巻き込まれた2時間とちょっとの誘拐事件は、あっけなく幕を閉じた。
あとで知ったことだけど、私が車に押し込まれた現場はバッチリ近隣住民の皆さんに目撃されていたらしい。この誘拐のために、なけなしの金をはたいてわざわざ借りてきたという車のナンバーもしっかりと記憶されていた。すぐに通報されて、既に警察が動いていたからあの男の110番への電話もいたずらとして処理されず、迅速な犯人逮捕まで繋がったらしい。テレビとネットではおバカな事件として取り上げられたが、すぐに飽きられ忘れられた。
私も、忘れたかった。あの時感じた不安と恐怖と痛みは体に染みついたままで、私の日常を侵食していた。会社は休職し、歯抜けの歪な笑顔も何度も夢に見た。自転車にはあの日以来乗れていない。押し込められたシルバーのミニバンに似た車を見ると心拍数が上がる。玄関から出る時はいつも一歩を踏み出すのが怖かった。
──もう大丈夫です。
その度に耳元で聞こえた声を思い出していた。半身に当たるゴツゴツとした装備も、フェイスシールドの奥、目出し帽の僅かな隙間から覗いていた色素の薄い瞳も、安心感で体からふっと力が抜けていく感覚も、鮮やかに思い出せる。
私を連れ出してくれた人は、月島基さんと言った。
捜査一課特殊犯捜査係。貰った名刺の物々しい肩書きを調べたら所謂SITと呼ばれる人だった。立てこもりや誘拐事件を主に担当するらしい。きっと本当は私を救急隊に引き渡してそこで業務が終わるはずだったのに、私が子供のように腕にしがみついて離れなかったから、あの日はずっと月島さんが側にいた。代わる代わる話を聞きに来る警察や救急の人達に上手く話せないでいると「今無理に話さなくても良いです」と、そっと手を重ねてくれた。その後何度かあった警察署での聞き取りでも、時間が合えばたまに顔を出してくれていた。
「ミョウジさん、お疲れ様です。調子はどうですか」
「お疲れ様です月島さん。あまり良くはないんですけど、4本指生活には慣れてきました」
残念ながら人差し指は折れていたが、お医者さん曰くとても綺麗な骨折だったので、暫く患部を安静にしていれば問題なく治るということだった。笑いながら人差し指と中指が一緒に固定された左手を見せたら、月島さんの眉と瞳の距離が近づいた。眉間にも、皺が薄っすらと増えている。言葉数は少ないけど、何度か話しているうちに月島さんは案外感情表現豊かな人なのだと気が付いた。それを拾うのが楽しくて、今日はどんな話をして、どんな一面が見られるのだろうと、外出して警察署に赴くのが少しだけ憂鬱ではなくなっていた。
そしていよいよ犯人の起訴が決まった時、最後にお世話になった警察の皆さんへお礼の手紙を渡すことにした。月島さんへの手紙には、思い切って連絡先を追記した。警察署へ伺った日は月島さんはお休みで直接会えなかったから、同僚の方にお願いして渡してもらった。迷惑だろうか。気持ち悪いだろうか。でも、これで関係が途切れても後悔はない。また他人に戻るだけだ。そう思いながら渡したから、数日後に知らない番号からメッセージが届いた時には、驚いてスマホを落としそうになった。
『月島です。お元気ですか』
月島さんらしい簡潔な文章だ。それでもこんなにも心が躍って、何度も読み直してしまう。
『元気です。月島さんはお元気ですか?』
必死に色々な気持ちを抑え込んでありきたりな定型文を返したら、少し時間を置いて『私は謹慎処分になりました』という文章が届いて、またスマホを落としそうになった。
『どうしてですか?』
『色々ありまして』
色々?あんなに真面目そうな人が謹慎になるの?信じられなかったけど、業務の性質上詳しくは教えてはくれないだろう。ひとまず月島さんが怪我をしていないかなどを聞いてから、近況報告へと話題を切り替えた。向こうも暇だからかそれからもラリーは続き、月島さんの謹慎が解かれた後、私の指の固定が外れてからもやりとりは変わらず続いていた。
『帰り道で猫を見つけましたが、目があった途端に逃げられました』『今日の夕飯は久々にパスタにしたんです』一日に数通、なんてことないことをポツポツとお互いに報告し合っているだけなのに、いつしか私にとって新しい心の支えになっていた。梅が咲き始めたようだから今日は少し足を伸ばして公園まで行ってみようかなとか、撮った写真を月島さんに送りたいなとか、そうやって少しずつ少しずつ、元の生活を取り戻していた。
それでも、遠出をするのは苦手なままで。徒歩圏内の限られた生活圏から出るのが怖くて。
『この間、隣町のカフェがテレビでやっていたんです。行ってみたいんですけど、まだちょっと勇気が出なくて』
徒歩で行こうとすると40分はかかってしまうから、バスに乗らないと行けない距離だった。車ほど狭くはないけど、まだ密室に閉じ込められることには少しの抵抗感があった。「きっと大丈夫ですよ」なんて、ほんのちょっぴり月島さんに背中を押してもらえたら頑張れるのに。そんな淡い下心と一緒にメッセージを送ったあとに洗濯物を干しに行って、戻ったら返信が来ていた。
『俺で良ければ一緒に行きますか』
何度も目を擦っても瞬きをしても、スマホの画面に表示された文章は消えなかった。バクバク動く心臓の音を聞きながら、二つ返事で了承した。いつこの都合の良い夢から覚めてしまうのか不安だったのに、数日後、私は月島さんと一緒にそのカフェの名物のガレットを食べていた。
家の前で待ち合わせて、一緒にバスに乗ってここまで来たはずだけどあまり記憶がない。初めて出会った時の濃紺のアサルトスーツでもなく、警察署内で見かけていたシャツ姿でもなく、Tシャツにジャケット姿のラフな格好の月島さんが見慣れなくて、しばらく直視できなかった。ただ、色んな意味で車内で緊張していたら「不安なら掴まっていてください」と言われて、月島さんのジャケットの肘の辺りを掴んでいたのは覚えている。もう大丈夫です、と何度も思い出した声が聞こえたような気がしてとても安心した。
ガレットは何を頼んだんだっけ。確か……そうだ、私は季節のグリル野菜のガレット、月島さんは定番だというチーズとハムと卵のガレットだ。テレビで見たままの、おしゃれで美味しそうなガレットだ。なのに、折角楽しみにしていたのに、全く味がしなかった。蕎麦粉で出来ているらしいが蕎麦の風味も分からない。
お口に合っているだろうか。ちらりと月島さんを見れば、もう半分ほど食べ終わっていた。わざわざ一緒に来てくれたのにこのまま無言で食べ続けるのも失礼なので何か話題がないかと、味のしないガレットを咀嚼し続けた。
「月島さんは蕎麦とうどん、どっちが好きですか?」
やっと捻り出せたのに、なんだかお見合いのような質問になってしまった。一抹の後悔と共に手汗がじわりと滲み出て、フォークとナイフを握り直した。散々画面上でやりとりをしていたくせに、本人を前にしたら何を話したら良いのか分からなかった。
「強いて言えば蕎麦ですね」
「確かに、蕎麦派っぽいです」
「そうですか?」
「はい、なんとなくですけど……お蕎麦は良く食べるんですか?」
「いえ、いつもはカップ麺か、コンビニ弁当ですね。急な出動などもあるので手軽に済ませることが多いです」
「カツ丼は?」
カツ丼?と月島さんのフォークが止まって、不思議そうな瞳がこちらを見てきた。屋内だからかあの日見た時よりも色が濃くて、外から差し込む光の粒がチラチラと光っている。まるで万華鏡のような瞳だと思った。
「カツ丼は……取り調べされる方では?」
「あっ、確かに。実際に取り調べ中にカツ丼って食べられるんですか?」
「任意の事情聴取で希望すれば食べられなくもないですが、全部自腹ですね」
「月島さんはカツ丼を食べてる人に会ったことありますか?」
「俺はないですが、いるみたいですね。記念にと頼む人が」
「記念って」
ふふっと笑いが溢れた。取り調べを受けた記念にカツ丼を食べるなんてすごい図太い人だ。
「ミョウジさんは蕎麦とうどん、どっちが好きですか」
「私はうどんですかね……でも麺よりもご飯の方が好きです」
「俺もです」
目を見て言われ、サッと頬に熱が集まったのを誤魔化すために、手元のガレットへと視線を落とした。まだ上手く動かせない左人差し指を庇うようにぎこちなくナイフを動かし、ガレットを一口大に切っていると、店内の落ち着いたBGMに隠れるような声が聞こえてきた。
「……今度は、白米が美味い所にでも行きましょうか」
言い終わった月島さんは大きな口でガレットを頬張った。私も、「今度があるの?」という疑問を切りたてのガレットと一緒に飲み込んだ。どうせ社交辞令だろう。こういうことは、あまり真に受けてはいけない。そう思っていたのに、翌週、私たちはお米とお酒が美味しいと評判のお店を訪れていた。新潟の郷土料理と地酒のお店だった。そこで月島さんが新潟出身だと知った。
「いいなぁ、きっと海も綺麗でご飯も美味しいんでしょうね。いつか行ってみたいです」
「その時は俺が案内します」
大きな口に白米が吸い込まれて行くのを見て、私も数センチだけ残っていた日本酒を煽った。これも社交辞令だ。真に受けてはいけない。実際、私が月島さんの案内で新潟に行くことはなかった。でも、月島さんとのやりとりも、たまにご飯に行くことは変わらず続いていて、気づいたらすっかりと季節が変わっていた。
「どうなるかと思いましたが、晴れて良かったですね」
薄い雲が浮かぶ淡い青空を見上げた。春の天気は気まぐれだ。この数日間しとしとと不規則に続いていた雨が嘘のように、私たちの頭上では太陽が輝いている。大型連休を控えてどこかそわつく雰囲気の中、私たちは厄除けで有名な神社に来ていた。
電車とバスに乗って街の喧騒から少し離れた場所、小高い丘の上に位置する神社は空気も良くて、どこか神聖な感じもする。ネットの口コミ通りきっとご利益もすごいのだろう。もう金輪際事件に巻き込まれませんようにとお賽銭多めでお願いして、厄除けのお守りを買った。緑色を基調とした生地に「厄除御守」の金色の文字がキラキラと煌めいて綺麗だ。ジャガード織だから光の加減で模様が浮きあがったりして表情を変えるのが月島さんの瞳みたいだなと思った。
来週には裁判が終わり、様子を見ながら職場復帰もすることになった。まだ痛むこともあるけれど、指の骨も無事にくっつき、リハビリのおかげで十分動かせるようにもなった。起訴されてから2ヵ月と少し。あっという間だったような、長かったような。これからは、こうして月島さんとおでかけをするのも難しくなるのだろう。
「月島さんもお守り買っておいた方が良いんじゃないですか、お仕事で怪我しないように」
「そうですね」
迷いなく、私と同じ緑の厄除けのお守りが巫女さんに渡されたのを目で追っていた。一つでも多く思い出が欲しくて、あわよくば色違いのお揃いになることを期待して言ったけど、同じ色の物を選ぶとは思わなかった。黄色とか、水色とか、黒とか、色々あるのに。緑が好きなのかな?そういえばこの間着ていたシャツは深緑でとても似合っていた。瞳も少し緑がかっているし、私の中での月島さんのイメージカラーも緑だし……一人でぐるぐると考えていても答えは出ない。こういうちょっとしたことに一喜一憂してしまうのを辞めたいのに、どうにもならないのが恥ずかしい。
月島さんと会うごとに、ふわふわとした気持ちが膨らんでいくのは自覚していた。何故月島さんは私と会ってくれるのだろう。”デート”と呼ぶのは憚れる今までの”おでかけ”は私から誘うこともあれば、月島さんから誘われることもあった。今日の神社は月島さんからのお誘いだった。これから再スタートを切る人生が順風満帆になるように、と調べてくれたらしい。どうしてそこまでしてくれるのだろう。知るのが怖くて、結局いつも疑問を飲み込んでは消化不良を起こしていた。
「あと10分ほどでバスが来ます。駅前に戻って昼にしますか」
会計を終えた月島さんが腕時計を見ながら言った。
「そうですね。何か食べたいものってありますか?」
「俺は特に……ミョウジさんは?」
「私はさっき駅前で見かけた喫茶店が気になります。期間限定のいちごのパフェが美味しそうで。カレーとかパスタとかもあるみたいでした」
「じゃあそこにしましょうか」
月島さんについて境内の階段を下りていく。ぽつぽつと会話を交わしながらバス停へとたどり着いたら、まだ私たち以外誰も居なかった。平日だからか神社にもあまり人が居なかったので、もしかしたら他に乗る人はいないのかもしれない。
「体調はどうですか」
並んでベンチに座って、喫茶店のメニューを調べようとしたと同時に月島さんが話し始めたので、スマホはまた鞄の中へと戻っていった。
「最近はだいぶ良いです。指もこの通りですし、外出も以前よりは抵抗なくなってきました」
「良かったですね」
「はい、月島さんのおかげです」
お世辞でもなんでもなく、本当に月島さんのおかげだ。自転車はまだ乗る気になれなかったけど、前のように玄関で足踏みしてしまうようなことはなくなった。もうきっと大丈夫。月島さんがずっと寄り添ってくれたから、私はここまで来られた。
「来週判決も出るし、やっとこれで全部終わるって思うとすっきりします」
「……無理をしていませんか」
月島さんの心配そうな瞳がこちらを見てきて、上がっていたはずの口角がぎこちなく震えた。
本当は全然終わっていない。犯人が逮捕されても、裁判が始まっても、来週どんな判決が言い渡されても、すべて元通りとはいかない。私は以前と同じように生きることはできないだろう。でも、これで一段落するのだと思うと、いくらか気分が良くなったのは事実だった。
「まあ……一つだけ思うところがあるとすれば、あの人のことを一発くらい殴ってやりたかったです」
「ああ、それなら──」
月島さんがハッとしたように固まって口を閉ざした。唇を噛んでどこか遠くを見つめている。何か失言をしてしまったのだろうというのが丸分かりだった。
「なんですか?」
「いえ……何でもないです」
「何でもないことはないでしょう。あの人のことですよね、気になりますってば」
なんて言おうとしたんですか?事件のことなら私にだって知る権利がありますよね、とその後も何度か催促したら、ぎゅうっと眉間に皺を寄せた月島さんがやっと口を開いた。
「……俺が、殴っておきました」
「なぐ……?月島さんが!?なんで?」
「……色々ありまして」
色々ありまして。どこかで聞いたフレーズが、2ヶ月前に受け取ったメッセージの記憶を呼び起こした。
「ちょっと待ってください、まさか謹慎になったのって──」
「あの男を殴ったからです」
「ええ!?なんでそんなこと……!」
月島さんがはぁー……と深い深いため息をついて背中を丸めた。私を身代金目的で誘拐した罪と、自転車から転倒させた傷害の罪と、ついでに財布からお金を盗んだ罪が加算され、暫く刑務所暮らしになるだろうという話をした時、あの男は笑ったらしい。
「もう家賃払わなくていいのか」
どこまでも短絡的で、身勝手な男だ。その姿を見てカッとなって手が出た、というのが月島さんの話だった。
「ついさっき殴ってやりたいとは言いましたけど、あんな男殴る価値なんてないのに」
「同感です。でも、どうしても許せなかったので」
「そんなに?」
「ええ」
月島さんが左肘の辺りに触れた。そこは、私がずっとしがみついていた場所だ。
「あなたはずっと苦しんでいるのに」
おバカな事件として世間からは笑い物になったが、あの時感じた恐怖は、未だに私の前に立ち塞がる。月島さんにしがみついていた私が、ずっとどこかにいる。それに気づいてくれているのは嬉しかったけれど、同時に、可哀想な被害者として扱われているような気がしてきゅうっと胸が締め付けられた。
「でも、嫌なことばかりじゃないんですよ。月島さんともこうして会えましたし」
「でも、あんなことは起きない方が良かった」
なんでだろう。どうしてこんなに心がざわつくのだろう。月島さんが言っていることは間違っていないのに、目頭が熱くなった。憐れまないでほしい。被害者というフィルターを通して私を見ないでほしい。そんなの私の我儘でしかないのに。途端に今までのメッセージも、おでかけも、全部私個人に向けてのものではなかったのかと、悲しみとも怒りとも言いようのない強い感情が湧き上がってきた。
「月島さんにとって、私はただの被害者ですか?」
言わなきゃ良いのに、気づいた時には思ったことがそのまま口をついていた。
「こうやって会ってくれたのも、関わってしまったことへの義務感か、被害者がどういう人生を歩んでいくのか興味があったからですか?」
思い返せば色々な所に行った。ガレットが名物のお洒落なカフェも、新潟のご飯とお酒が美味しいお店も、老舗のうどん屋さんも、この神社も。行動範囲が広がる時に、いつも月島さんがいた。
今が潮時かもしれない。
「カフェも、あれから何度か行って、次は自転車で行こうと思ってるんです。だから……」
膝の上で硬く拳を握りしめて、澄んだ空気を大きく肺に取り込んだ。
「もう大丈夫です」
貰ったお守りを返すような気分だった。ずっと大事にしていたお守りだ。もう大丈夫。もう私に構わなくても大丈夫。今日買った新しいお守りもある。「そうですか」とでも言って引いてくれると思ったのに、月島さんが苛立ったように私に体を向けてきた。
「さっき、駅前でミニバンが近くに止まった時に顔が強ばりましたね。まだ怖いんでしょう」
「それは……」
「カフェも行ったのはあの一度きりで、一人ではまだ行けていないことは知っています」
「えっ、なんで……」
「やっぱり。カマをかけただけです。で、自転車は?いつ買ったんですか?」
いくらしたんですか?と追い打ちを掛けられてまごついてしまう。こうもあっさりと嘘を見抜かれたのは、月島さんが現職の警察官だからか、私が分かりやすすぎるからか。月島さんの呆れたような視線が突き刺さって来る。
「その状態で良く大丈夫だなんて言えますね」
「だって、私、迷惑じゃないですか」
「迷惑だなんて思ってない。俺を頼ってください」
膝の上で握りしめていた手に、月島さんの手が重なった。ゴツゴツとしていて、あたたかい。じわりと滲んだ涙を、瞬きで目尻の方へと追いやった。
「それに、ただの被害者だとも思っていない」
「そう、なんですか?」
「じゃなきゃこんなに何回も会うわけがないでしょう」
「てっきり気を遣っているのかと思ってました」
「俺はそこまで優しい人間ではないですよ」
恐る恐る月島さんの方を見たら、視線が私の膝の上に落ちていた。
「ミョウジさんこそ、あの時助けたのがたまたま俺だっただけで、本当は誰でも良かったんじゃないですか」
そんなことない、と言い返せなかった。あれが月島さんじゃなかったら……?でも月島さんじゃなかったら、私の手なんて解いてさっさとどこかに行ってしまっただろう。
「始まりは確かにそうだったのかもしれないです。でも、今は違います」
きっと月島さんだったから私は惹かれたのだと思う。真っ直ぐで強い、正義の象徴みたいな人。優しくてたまに天然なところが可愛くて、一緒にいてとても落ち着く、瞳が綺麗な人。月島さんは、どうなのだろう。
「なんで私に付き合ってくれたんですか?」
月島さんの視線が少し考えるように彷徨った。少しの沈黙の後に、ゆっくりと口が開かれた。
「俺は、今まで仕事をしていて怖いと思ったことなんてなかったんです」
「あんな大変なお仕事なのに?」
「人間死ぬ時は死ぬでしょう。俺一人いなくなったところで別に、世界は回ると思っていた。でも、あなたと出会って急に怖くなった。俺を頼ってくれている人がいる。何でもない日常を共有する人がいる。返事を待っている人がいる」
重なった手に僅かに力が込められた。
「死ねないと思ったんです」
茶色に緑が散りばめられた綺麗な瞳が真っすぐに私を射抜いてきて、どきりと大きく心臓が跳ね上がった。
「……それともミョウジさんは俺が死んで連絡がつかなくなったら違う人間に乗り換えるんですか」
「しませんよ、きっと死ぬまでずっと月島さんの返事を待っていたと思います」
そうですか、と月島さんからはそっけない言葉が返ってきたけど、その横顔はどこか嬉しそうだ。重なった手からどんどん月島さんの体温が流れ込んできて、私の体温が上昇していく。
「あっ」
視界の端に動く物が見えたと思ったら、バスが近づいてきていた。もう10分経ったのか。ベンチから立ち上がったことで自然と別れてしまった手を寂しく思っていると、離れたはずの体温を手のひらに感じた。
「えっ」
「嫌ですか」
握られた左手に驚いてしまって言葉が上手く出てこない。
「い、嫌、ではないですが、恥ずかしいです……」
「では問題ないですね。まだバスも緊張するんでしょう」
こうしている方がもっと緊張してしまうんですけど、とやんわりと手を振りほどこうとしていたら、月島さんの指が私の指の間に入り込んできて、ドッと汗が吹き出した。恋人繋ぎのはずなのに、甘さよりも逃がさないという圧を感じる。
「つ、月島さん、もう大丈夫です……!恥ずかしいです……!」
「あなたの大丈夫は信用できないので」
プシューっという音と共にドアが開き、月島さんに連れられるがままに乗車した。繋がれた手は、バスから降りても離されることはなかった。
あとがき
2026.04.13
耳元で聞こえた落ち着いた声が、今でも忘れられない。
誘拐──人をだましたりして、連れ去ること。私の場合はだまされたのではなく、冬の通勤時、駅までの道のりで自転車を蹴飛ばされてそのまま車に引きずり込まれた。しかも、人違いで。本当は近くの資産家の娘を誘拐するつもりだったらしい。資産家の娘も自転車に乗るんだという驚きはさておき、犯人の男はミニバンの後部座席に私を詰め込み、ガムテープでグルグルと両手を縛り上げて口も塞いだあと、身代金要求の電話をかけていた。「娘を返してほしかったら1時間後までに現金で300万用意しろ」そんなことを言っていた。私の両親は既に他界しているので、この時点で何かがおかしいと思っていた。一体、この人は誰にお金を要求しているのだろうと。そして、永遠にも感じた1時間後。また電話を掛けたと思ったら「いたずら電話じゃない!」だとかなんだとか急に焦りだし、電話が終わった瞬間にガムテープを唇の皮と一緒に無理矢理剥がされた。
「お前は誰だ?」
それはこっちの台詞だ。でも、そんな言葉を軽々しく口にできるほど私は冷静ではなかった。脂ぎって白く浮いた髪に、ギョロッと血走った目。黄ばんで歪んだ歯の間から覗く真っ暗闇から漂ってくる澱んだ匂い。何をされるのか分からない恐怖で頭が真っ白だった。
「お前の家族の連絡先を教えろ、そこから金を貰う」
「……か、家族は、いません」
「いないってことはないだろ、その歳で」
「両親は事故で亡くなりました。結婚もしてません……すみません……」
私の返事を聞いた男はポカンとしていた。しかし次の瞬間にはクソクソッとヘッドレストを思いっきり殴り始めて車体が揺れた。何度か殴ったら落ち着いたのか、はぁーっと大きな溜息と嫌な臭いが車内に充満した。
「なあ、警察から身代金って取れるのか?」
「警察から?分かりません……」
「あんた名前は?」
誘拐犯に名前を教える勇気がなくて舌が動かずにいると、まあいいと男が私の鞄を漁って財布を取り出した。大して入っていなかったお札と小銭を全部ポケットに入れたあと、私の免許証を見ながら電話を掛け始めた。黒ずんだ指先が年季の入ったガラケーのキーパッドを叩いたのは三回。どうやら本当に警察に連絡するつもりらしい。
「ミョウジナマエという女を誘拐した。1時間後までに3……500万用意しろ。現金だ!」
それだけ一方的に伝えてすぐに電話が切られた。普通、こういう時は「警察には連絡するな」が常套句のはずだ。少なくとも私が観たことのある刑事ドラマではそれが鉄板だった。それでも結局、警察には知られてしまうのだけど。
「……大人しくしてくれれば何もしない。俺はただ金が欲しいんだ」
そこから男と私の無言のドライブが始まった。こんなはずじゃなかったとか、なんでこんなことにだとか、ブツブツと一人で呟いてたまに癇癪を起したようにドアを殴ったり足元を蹴ったりしていた。いつその暴力がこちらに飛んで来るのか分からなくて、後部座席で横になったままぎゅっと体を縮こまらせていた。
自転車と一緒に地面に叩きつけられた痛みもそれなりに引いてきてはいたけれど、打ち付けた左半身、特に肩と手が未だにズキズキと痛んだ。肩周りのコートの生地がアスファルトで削れて下のニットが薄っすらと覗いている。これがもし夏の日だったらと考えて肝が縮んだ。手首にガムテープを巻かれる際に、追い剥ぎのように手袋を取り上げられたせいで晒された左人差し指は真っ赤に腫れ上がっていた。全く身に覚えがないけど、咄嗟に地面に手をついた時に突き指でもしてしまったのだろう。もしかしたら折れてしまっているかも。本当に、なんでこんなことに。車内から見上げる青空が遠くて、悲しくて、憎らしかった。
「降りるぞ」
どれくらい走っていたのか、少ししたら人気のない廃工場のような場所で車が止まった。手は縛られたまま、首根っこを掴まれて建物内に入っていく。しっかりとした足取りで、男が錆と埃塗れの機械の合間を通り抜けていき、外廊下を通って広い部屋へと連れて行かれた。食堂のようだった。長テーブルには埃が積もり、どんよりとカビ臭くて、天井もあちこち剥がれてしまっている。ガタガタと音を立てる不安定な椅子に向い合せに座らされて、しばし無言の時間が流れた。男が指定した1時間まであとどれくらいあるのだろう。壁に掛かったままの時計は3時過ぎで止まっていた。
「……悪いとは思ってるんだ」
急に口を開いたと思ったらそんなことを言われて、なんて返事をすれば良いのか分からなかった。
「ここ、俺の職場だったんだ。でも倒産して、借金もあって、仕事もない。この間もう家賃が払えないなら出ていけって言われた」
だから誘拐してお金を取ろうとした。そしてそれも、上手くいかなかった。昔からいつもこうだと男が一人でしゃべり続ける。相槌を打つのも違う気がして、熱を持って赤紫に変色し始めた人差し指を見つめながら黙っていると、ふいに男の言葉が途切れた。不思議に思って顔を上げたら「こんなに誰かに話を聞いてもらったのは初めてだ」と歯並びの悪い口元が歪に弧を描いた。
「あんた、良く見たら可愛いな」
立ち上がった男が近づいてくる。今までとは明らかに質の違う視線を向けられて、ゾッと鳥肌と寒気に体が包まれた。気持ち悪い。本能的に後ずさりをしようとしたら椅子が大きく揺れて、ドンッと床に投げ出された。二度目の痛みで目の前がチカチカする。腕が使えなくて起き上がれない。ドッドッドッと心臓の音が耳元でしていたのに、そのうち耳鳴りでかき消されていく。怖い。嫌だ。近づいてくるクタクタのスニーカーがぐにゃりと歪んで、強く瞑った目蓋で涙が押し出された。誰か、助けて、誰か──
コンッと小気味の良い音がした。目蓋越しに強い光が差し込んで、一瞬目の前が赤く染まった。側で聞こえたうめき声に弾けるように目を開けた。食堂が、猛吹雪の中のような灰色の世界になっていた。「え?」と無意識に発していた言葉はドタドタドタと何人も食堂内に入ってくる足音と「動くな!警察だ!」という刑事ドラマさながらの怒号によってかき消された。
「もう大丈夫です」
気づいた時には誰かの腕の中にいて、次の瞬間には横抱きにされて屋外に運び出されていた。降り注ぐ柔らかい午前の日差しが眩しくて、嬉しくて、涙が延々と溢れて来た。かくして、私が巻き込まれた2時間とちょっとの誘拐事件は、あっけなく幕を閉じた。
あとで知ったことだけど、私が車に押し込まれた現場はバッチリ近隣住民の皆さんに目撃されていたらしい。この誘拐のために、なけなしの金をはたいてわざわざ借りてきたという車のナンバーもしっかりと記憶されていた。すぐに通報されて、既に警察が動いていたからあの男の110番への電話もいたずらとして処理されず、迅速な犯人逮捕まで繋がったらしい。テレビとネットではおバカな事件として取り上げられたが、すぐに飽きられ忘れられた。
私も、忘れたかった。あの時感じた不安と恐怖と痛みは体に染みついたままで、私の日常を侵食していた。会社は休職し、歯抜けの歪な笑顔も何度も夢に見た。自転車にはあの日以来乗れていない。押し込められたシルバーのミニバンに似た車を見ると心拍数が上がる。玄関から出る時はいつも一歩を踏み出すのが怖かった。
──もう大丈夫です。
その度に耳元で聞こえた声を思い出していた。半身に当たるゴツゴツとした装備も、フェイスシールドの奥、目出し帽の僅かな隙間から覗いていた色素の薄い瞳も、安心感で体からふっと力が抜けていく感覚も、鮮やかに思い出せる。
私を連れ出してくれた人は、月島基さんと言った。
捜査一課特殊犯捜査係。貰った名刺の物々しい肩書きを調べたら所謂SITと呼ばれる人だった。立てこもりや誘拐事件を主に担当するらしい。きっと本当は私を救急隊に引き渡してそこで業務が終わるはずだったのに、私が子供のように腕にしがみついて離れなかったから、あの日はずっと月島さんが側にいた。代わる代わる話を聞きに来る警察や救急の人達に上手く話せないでいると「今無理に話さなくても良いです」と、そっと手を重ねてくれた。その後何度かあった警察署での聞き取りでも、時間が合えばたまに顔を出してくれていた。
「ミョウジさん、お疲れ様です。調子はどうですか」
「お疲れ様です月島さん。あまり良くはないんですけど、4本指生活には慣れてきました」
残念ながら人差し指は折れていたが、お医者さん曰くとても綺麗な骨折だったので、暫く患部を安静にしていれば問題なく治るということだった。笑いながら人差し指と中指が一緒に固定された左手を見せたら、月島さんの眉と瞳の距離が近づいた。眉間にも、皺が薄っすらと増えている。言葉数は少ないけど、何度か話しているうちに月島さんは案外感情表現豊かな人なのだと気が付いた。それを拾うのが楽しくて、今日はどんな話をして、どんな一面が見られるのだろうと、外出して警察署に赴くのが少しだけ憂鬱ではなくなっていた。
そしていよいよ犯人の起訴が決まった時、最後にお世話になった警察の皆さんへお礼の手紙を渡すことにした。月島さんへの手紙には、思い切って連絡先を追記した。警察署へ伺った日は月島さんはお休みで直接会えなかったから、同僚の方にお願いして渡してもらった。迷惑だろうか。気持ち悪いだろうか。でも、これで関係が途切れても後悔はない。また他人に戻るだけだ。そう思いながら渡したから、数日後に知らない番号からメッセージが届いた時には、驚いてスマホを落としそうになった。
『月島です。お元気ですか』
月島さんらしい簡潔な文章だ。それでもこんなにも心が躍って、何度も読み直してしまう。
『元気です。月島さんはお元気ですか?』
必死に色々な気持ちを抑え込んでありきたりな定型文を返したら、少し時間を置いて『私は謹慎処分になりました』という文章が届いて、またスマホを落としそうになった。
『どうしてですか?』
『色々ありまして』
色々?あんなに真面目そうな人が謹慎になるの?信じられなかったけど、業務の性質上詳しくは教えてはくれないだろう。ひとまず月島さんが怪我をしていないかなどを聞いてから、近況報告へと話題を切り替えた。向こうも暇だからかそれからもラリーは続き、月島さんの謹慎が解かれた後、私の指の固定が外れてからもやりとりは変わらず続いていた。
『帰り道で猫を見つけましたが、目があった途端に逃げられました』『今日の夕飯は久々にパスタにしたんです』一日に数通、なんてことないことをポツポツとお互いに報告し合っているだけなのに、いつしか私にとって新しい心の支えになっていた。梅が咲き始めたようだから今日は少し足を伸ばして公園まで行ってみようかなとか、撮った写真を月島さんに送りたいなとか、そうやって少しずつ少しずつ、元の生活を取り戻していた。
それでも、遠出をするのは苦手なままで。徒歩圏内の限られた生活圏から出るのが怖くて。
『この間、隣町のカフェがテレビでやっていたんです。行ってみたいんですけど、まだちょっと勇気が出なくて』
徒歩で行こうとすると40分はかかってしまうから、バスに乗らないと行けない距離だった。車ほど狭くはないけど、まだ密室に閉じ込められることには少しの抵抗感があった。「きっと大丈夫ですよ」なんて、ほんのちょっぴり月島さんに背中を押してもらえたら頑張れるのに。そんな淡い下心と一緒にメッセージを送ったあとに洗濯物を干しに行って、戻ったら返信が来ていた。
『俺で良ければ一緒に行きますか』
何度も目を擦っても瞬きをしても、スマホの画面に表示された文章は消えなかった。バクバク動く心臓の音を聞きながら、二つ返事で了承した。いつこの都合の良い夢から覚めてしまうのか不安だったのに、数日後、私は月島さんと一緒にそのカフェの名物のガレットを食べていた。
家の前で待ち合わせて、一緒にバスに乗ってここまで来たはずだけどあまり記憶がない。初めて出会った時の濃紺のアサルトスーツでもなく、警察署内で見かけていたシャツ姿でもなく、Tシャツにジャケット姿のラフな格好の月島さんが見慣れなくて、しばらく直視できなかった。ただ、色んな意味で車内で緊張していたら「不安なら掴まっていてください」と言われて、月島さんのジャケットの肘の辺りを掴んでいたのは覚えている。もう大丈夫です、と何度も思い出した声が聞こえたような気がしてとても安心した。
ガレットは何を頼んだんだっけ。確か……そうだ、私は季節のグリル野菜のガレット、月島さんは定番だというチーズとハムと卵のガレットだ。テレビで見たままの、おしゃれで美味しそうなガレットだ。なのに、折角楽しみにしていたのに、全く味がしなかった。蕎麦粉で出来ているらしいが蕎麦の風味も分からない。
お口に合っているだろうか。ちらりと月島さんを見れば、もう半分ほど食べ終わっていた。わざわざ一緒に来てくれたのにこのまま無言で食べ続けるのも失礼なので何か話題がないかと、味のしないガレットを咀嚼し続けた。
「月島さんは蕎麦とうどん、どっちが好きですか?」
やっと捻り出せたのに、なんだかお見合いのような質問になってしまった。一抹の後悔と共に手汗がじわりと滲み出て、フォークとナイフを握り直した。散々画面上でやりとりをしていたくせに、本人を前にしたら何を話したら良いのか分からなかった。
「強いて言えば蕎麦ですね」
「確かに、蕎麦派っぽいです」
「そうですか?」
「はい、なんとなくですけど……お蕎麦は良く食べるんですか?」
「いえ、いつもはカップ麺か、コンビニ弁当ですね。急な出動などもあるので手軽に済ませることが多いです」
「カツ丼は?」
カツ丼?と月島さんのフォークが止まって、不思議そうな瞳がこちらを見てきた。屋内だからかあの日見た時よりも色が濃くて、外から差し込む光の粒がチラチラと光っている。まるで万華鏡のような瞳だと思った。
「カツ丼は……取り調べされる方では?」
「あっ、確かに。実際に取り調べ中にカツ丼って食べられるんですか?」
「任意の事情聴取で希望すれば食べられなくもないですが、全部自腹ですね」
「月島さんはカツ丼を食べてる人に会ったことありますか?」
「俺はないですが、いるみたいですね。記念にと頼む人が」
「記念って」
ふふっと笑いが溢れた。取り調べを受けた記念にカツ丼を食べるなんてすごい図太い人だ。
「ミョウジさんは蕎麦とうどん、どっちが好きですか」
「私はうどんですかね……でも麺よりもご飯の方が好きです」
「俺もです」
目を見て言われ、サッと頬に熱が集まったのを誤魔化すために、手元のガレットへと視線を落とした。まだ上手く動かせない左人差し指を庇うようにぎこちなくナイフを動かし、ガレットを一口大に切っていると、店内の落ち着いたBGMに隠れるような声が聞こえてきた。
「……今度は、白米が美味い所にでも行きましょうか」
言い終わった月島さんは大きな口でガレットを頬張った。私も、「今度があるの?」という疑問を切りたてのガレットと一緒に飲み込んだ。どうせ社交辞令だろう。こういうことは、あまり真に受けてはいけない。そう思っていたのに、翌週、私たちはお米とお酒が美味しいと評判のお店を訪れていた。新潟の郷土料理と地酒のお店だった。そこで月島さんが新潟出身だと知った。
「いいなぁ、きっと海も綺麗でご飯も美味しいんでしょうね。いつか行ってみたいです」
「その時は俺が案内します」
大きな口に白米が吸い込まれて行くのを見て、私も数センチだけ残っていた日本酒を煽った。これも社交辞令だ。真に受けてはいけない。実際、私が月島さんの案内で新潟に行くことはなかった。でも、月島さんとのやりとりも、たまにご飯に行くことは変わらず続いていて、気づいたらすっかりと季節が変わっていた。
「どうなるかと思いましたが、晴れて良かったですね」
薄い雲が浮かぶ淡い青空を見上げた。春の天気は気まぐれだ。この数日間しとしとと不規則に続いていた雨が嘘のように、私たちの頭上では太陽が輝いている。大型連休を控えてどこかそわつく雰囲気の中、私たちは厄除けで有名な神社に来ていた。
電車とバスに乗って街の喧騒から少し離れた場所、小高い丘の上に位置する神社は空気も良くて、どこか神聖な感じもする。ネットの口コミ通りきっとご利益もすごいのだろう。もう金輪際事件に巻き込まれませんようにとお賽銭多めでお願いして、厄除けのお守りを買った。緑色を基調とした生地に「厄除御守」の金色の文字がキラキラと煌めいて綺麗だ。ジャガード織だから光の加減で模様が浮きあがったりして表情を変えるのが月島さんの瞳みたいだなと思った。
来週には裁判が終わり、様子を見ながら職場復帰もすることになった。まだ痛むこともあるけれど、指の骨も無事にくっつき、リハビリのおかげで十分動かせるようにもなった。起訴されてから2ヵ月と少し。あっという間だったような、長かったような。これからは、こうして月島さんとおでかけをするのも難しくなるのだろう。
「月島さんもお守り買っておいた方が良いんじゃないですか、お仕事で怪我しないように」
「そうですね」
迷いなく、私と同じ緑の厄除けのお守りが巫女さんに渡されたのを目で追っていた。一つでも多く思い出が欲しくて、あわよくば色違いのお揃いになることを期待して言ったけど、同じ色の物を選ぶとは思わなかった。黄色とか、水色とか、黒とか、色々あるのに。緑が好きなのかな?そういえばこの間着ていたシャツは深緑でとても似合っていた。瞳も少し緑がかっているし、私の中での月島さんのイメージカラーも緑だし……一人でぐるぐると考えていても答えは出ない。こういうちょっとしたことに一喜一憂してしまうのを辞めたいのに、どうにもならないのが恥ずかしい。
月島さんと会うごとに、ふわふわとした気持ちが膨らんでいくのは自覚していた。何故月島さんは私と会ってくれるのだろう。”デート”と呼ぶのは憚れる今までの”おでかけ”は私から誘うこともあれば、月島さんから誘われることもあった。今日の神社は月島さんからのお誘いだった。これから再スタートを切る人生が順風満帆になるように、と調べてくれたらしい。どうしてそこまでしてくれるのだろう。知るのが怖くて、結局いつも疑問を飲み込んでは消化不良を起こしていた。
「あと10分ほどでバスが来ます。駅前に戻って昼にしますか」
会計を終えた月島さんが腕時計を見ながら言った。
「そうですね。何か食べたいものってありますか?」
「俺は特に……ミョウジさんは?」
「私はさっき駅前で見かけた喫茶店が気になります。期間限定のいちごのパフェが美味しそうで。カレーとかパスタとかもあるみたいでした」
「じゃあそこにしましょうか」
月島さんについて境内の階段を下りていく。ぽつぽつと会話を交わしながらバス停へとたどり着いたら、まだ私たち以外誰も居なかった。平日だからか神社にもあまり人が居なかったので、もしかしたら他に乗る人はいないのかもしれない。
「体調はどうですか」
並んでベンチに座って、喫茶店のメニューを調べようとしたと同時に月島さんが話し始めたので、スマホはまた鞄の中へと戻っていった。
「最近はだいぶ良いです。指もこの通りですし、外出も以前よりは抵抗なくなってきました」
「良かったですね」
「はい、月島さんのおかげです」
お世辞でもなんでもなく、本当に月島さんのおかげだ。自転車はまだ乗る気になれなかったけど、前のように玄関で足踏みしてしまうようなことはなくなった。もうきっと大丈夫。月島さんがずっと寄り添ってくれたから、私はここまで来られた。
「来週判決も出るし、やっとこれで全部終わるって思うとすっきりします」
「……無理をしていませんか」
月島さんの心配そうな瞳がこちらを見てきて、上がっていたはずの口角がぎこちなく震えた。
本当は全然終わっていない。犯人が逮捕されても、裁判が始まっても、来週どんな判決が言い渡されても、すべて元通りとはいかない。私は以前と同じように生きることはできないだろう。でも、これで一段落するのだと思うと、いくらか気分が良くなったのは事実だった。
「まあ……一つだけ思うところがあるとすれば、あの人のことを一発くらい殴ってやりたかったです」
「ああ、それなら──」
月島さんがハッとしたように固まって口を閉ざした。唇を噛んでどこか遠くを見つめている。何か失言をしてしまったのだろうというのが丸分かりだった。
「なんですか?」
「いえ……何でもないです」
「何でもないことはないでしょう。あの人のことですよね、気になりますってば」
なんて言おうとしたんですか?事件のことなら私にだって知る権利がありますよね、とその後も何度か催促したら、ぎゅうっと眉間に皺を寄せた月島さんがやっと口を開いた。
「……俺が、殴っておきました」
「なぐ……?月島さんが!?なんで?」
「……色々ありまして」
色々ありまして。どこかで聞いたフレーズが、2ヶ月前に受け取ったメッセージの記憶を呼び起こした。
「ちょっと待ってください、まさか謹慎になったのって──」
「あの男を殴ったからです」
「ええ!?なんでそんなこと……!」
月島さんがはぁー……と深い深いため息をついて背中を丸めた。私を身代金目的で誘拐した罪と、自転車から転倒させた傷害の罪と、ついでに財布からお金を盗んだ罪が加算され、暫く刑務所暮らしになるだろうという話をした時、あの男は笑ったらしい。
「もう家賃払わなくていいのか」
どこまでも短絡的で、身勝手な男だ。その姿を見てカッとなって手が出た、というのが月島さんの話だった。
「ついさっき殴ってやりたいとは言いましたけど、あんな男殴る価値なんてないのに」
「同感です。でも、どうしても許せなかったので」
「そんなに?」
「ええ」
月島さんが左肘の辺りに触れた。そこは、私がずっとしがみついていた場所だ。
「あなたはずっと苦しんでいるのに」
おバカな事件として世間からは笑い物になったが、あの時感じた恐怖は、未だに私の前に立ち塞がる。月島さんにしがみついていた私が、ずっとどこかにいる。それに気づいてくれているのは嬉しかったけれど、同時に、可哀想な被害者として扱われているような気がしてきゅうっと胸が締め付けられた。
「でも、嫌なことばかりじゃないんですよ。月島さんともこうして会えましたし」
「でも、あんなことは起きない方が良かった」
なんでだろう。どうしてこんなに心がざわつくのだろう。月島さんが言っていることは間違っていないのに、目頭が熱くなった。憐れまないでほしい。被害者というフィルターを通して私を見ないでほしい。そんなの私の我儘でしかないのに。途端に今までのメッセージも、おでかけも、全部私個人に向けてのものではなかったのかと、悲しみとも怒りとも言いようのない強い感情が湧き上がってきた。
「月島さんにとって、私はただの被害者ですか?」
言わなきゃ良いのに、気づいた時には思ったことがそのまま口をついていた。
「こうやって会ってくれたのも、関わってしまったことへの義務感か、被害者がどういう人生を歩んでいくのか興味があったからですか?」
思い返せば色々な所に行った。ガレットが名物のお洒落なカフェも、新潟のご飯とお酒が美味しいお店も、老舗のうどん屋さんも、この神社も。行動範囲が広がる時に、いつも月島さんがいた。
今が潮時かもしれない。
「カフェも、あれから何度か行って、次は自転車で行こうと思ってるんです。だから……」
膝の上で硬く拳を握りしめて、澄んだ空気を大きく肺に取り込んだ。
「もう大丈夫です」
貰ったお守りを返すような気分だった。ずっと大事にしていたお守りだ。もう大丈夫。もう私に構わなくても大丈夫。今日買った新しいお守りもある。「そうですか」とでも言って引いてくれると思ったのに、月島さんが苛立ったように私に体を向けてきた。
「さっき、駅前でミニバンが近くに止まった時に顔が強ばりましたね。まだ怖いんでしょう」
「それは……」
「カフェも行ったのはあの一度きりで、一人ではまだ行けていないことは知っています」
「えっ、なんで……」
「やっぱり。カマをかけただけです。で、自転車は?いつ買ったんですか?」
いくらしたんですか?と追い打ちを掛けられてまごついてしまう。こうもあっさりと嘘を見抜かれたのは、月島さんが現職の警察官だからか、私が分かりやすすぎるからか。月島さんの呆れたような視線が突き刺さって来る。
「その状態で良く大丈夫だなんて言えますね」
「だって、私、迷惑じゃないですか」
「迷惑だなんて思ってない。俺を頼ってください」
膝の上で握りしめていた手に、月島さんの手が重なった。ゴツゴツとしていて、あたたかい。じわりと滲んだ涙を、瞬きで目尻の方へと追いやった。
「それに、ただの被害者だとも思っていない」
「そう、なんですか?」
「じゃなきゃこんなに何回も会うわけがないでしょう」
「てっきり気を遣っているのかと思ってました」
「俺はそこまで優しい人間ではないですよ」
恐る恐る月島さんの方を見たら、視線が私の膝の上に落ちていた。
「ミョウジさんこそ、あの時助けたのがたまたま俺だっただけで、本当は誰でも良かったんじゃないですか」
そんなことない、と言い返せなかった。あれが月島さんじゃなかったら……?でも月島さんじゃなかったら、私の手なんて解いてさっさとどこかに行ってしまっただろう。
「始まりは確かにそうだったのかもしれないです。でも、今は違います」
きっと月島さんだったから私は惹かれたのだと思う。真っ直ぐで強い、正義の象徴みたいな人。優しくてたまに天然なところが可愛くて、一緒にいてとても落ち着く、瞳が綺麗な人。月島さんは、どうなのだろう。
「なんで私に付き合ってくれたんですか?」
月島さんの視線が少し考えるように彷徨った。少しの沈黙の後に、ゆっくりと口が開かれた。
「俺は、今まで仕事をしていて怖いと思ったことなんてなかったんです」
「あんな大変なお仕事なのに?」
「人間死ぬ時は死ぬでしょう。俺一人いなくなったところで別に、世界は回ると思っていた。でも、あなたと出会って急に怖くなった。俺を頼ってくれている人がいる。何でもない日常を共有する人がいる。返事を待っている人がいる」
重なった手に僅かに力が込められた。
「死ねないと思ったんです」
茶色に緑が散りばめられた綺麗な瞳が真っすぐに私を射抜いてきて、どきりと大きく心臓が跳ね上がった。
「……それともミョウジさんは俺が死んで連絡がつかなくなったら違う人間に乗り換えるんですか」
「しませんよ、きっと死ぬまでずっと月島さんの返事を待っていたと思います」
そうですか、と月島さんからはそっけない言葉が返ってきたけど、その横顔はどこか嬉しそうだ。重なった手からどんどん月島さんの体温が流れ込んできて、私の体温が上昇していく。
「あっ」
視界の端に動く物が見えたと思ったら、バスが近づいてきていた。もう10分経ったのか。ベンチから立ち上がったことで自然と別れてしまった手を寂しく思っていると、離れたはずの体温を手のひらに感じた。
「えっ」
「嫌ですか」
握られた左手に驚いてしまって言葉が上手く出てこない。
「い、嫌、ではないですが、恥ずかしいです……」
「では問題ないですね。まだバスも緊張するんでしょう」
こうしている方がもっと緊張してしまうんですけど、とやんわりと手を振りほどこうとしていたら、月島さんの指が私の指の間に入り込んできて、ドッと汗が吹き出した。恋人繋ぎのはずなのに、甘さよりも逃がさないという圧を感じる。
「つ、月島さん、もう大丈夫です……!恥ずかしいです……!」
「あなたの大丈夫は信用できないので」
プシューっという音と共にドアが開き、月島さんに連れられるがままに乗車した。繋がれた手は、バスから降りても離されることはなかった。
あとがき
大変お待たせしました!誘拐されて月島さんに助けられるというリクエストでした。
時間がかかった上に現パロの特殊設定でお口に合うか心配ですが、どうしてもアサルトスーツを着ている月島さんに助けられたくて…月島さんはごっつい装備が似合いそうですね。
実は最初は明治軸で夢主が誘拐されて自分の過去の罪と向き合う月島軍曹を書いていたのですが、後ろ向きで消極的な月島軍曹ばかり書いていることに気づき、こちらのお話が出来ました。折角なので明治軸の方もいつか公開できたらと思います。
はらまき様、素敵なリクエストをありがとうございました!!
時間がかかった上に現パロの特殊設定でお口に合うか心配ですが、どうしてもアサルトスーツを着ている月島さんに助けられたくて…月島さんはごっつい装備が似合いそうですね。
実は最初は明治軸で夢主が誘拐されて自分の過去の罪と向き合う月島軍曹を書いていたのですが、後ろ向きで消極的な月島軍曹ばかり書いていることに気づき、こちらのお話が出来ました。折角なので明治軸の方もいつか公開できたらと思います。
はらまき様、素敵なリクエストをありがとうございました!!
2026.04.13
