カフェ店長シリーズ
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胃が痛い。
手元にある資料を握りしめながら、もう何度も来たことのある部屋の前で一呼吸してからノックをした。
「失礼します」
パソコン画面を見ていた瞳がこちらを向き、少しだけ眉間の皺が和らいだ。
「どうした?」
「実は、ちょっと面倒なことになりました」
「面倒なこと?」
「……今朝送られてきたゲラです」
ゲラ。印刷物の校正刷り。大手週刊誌のもので、明後日には出るらしい。その見出しには「結婚してくれ!手繋ぎ水族館デート」「お相手はカフェ店長」「意外と庶民派」などと好き勝手書かれている文字と、鯉登さんと黒い目線で隠されているが明らかにミョウジさんと分かる人物が手を繋いでいる写真が何枚か配置されていた。
ゲラを渡されてポカンとしていたのも一瞬で、バッとそれを奪い取り、内容を把握するために鯉登さんの瞳が忙しなく動き始めた。
「明後日発売だそうです」
「……なんだこれは」
一通り目を通し終わったのか、ぐしゃっと用紙が握りつぶされ、鯉登さんの唇がわなわなと震えた。それはそうだろう、芸能人でもないたかが一企業の社員とカフェ店長のプライベートについてあれこれ書かれていたら、いくら鯉登さんでも腹が立つ。これは出る所に出て厳重に対処──
「ナマエの可愛さが……ッ、全く伝わってこないではないか!!」
「は?」
ダンッと親の仇のようにゲラを机に叩きつけ、あの日どれだけミョウジさんが可愛かったか熱弁する鯉登さんの言葉を右から左へと流していく。いつも可愛いがいつも以上にあの日は可愛かったとか、ニットのワンピースとふわふわとした髪がとても似合っていたとか、それを全く写真に収められていないくせに何故この編集はOKを出したのかとか、一体いつ息継ぎをしているのか、次から次へと澱みなく言葉が流れ出てくる。今怒るべき所はそこではない、絶対に。
大体、こんな週刊誌の隠し撮りで写真写りが良い人なんているのだろうかと思ったが、鯉登さんは割と良く写っている。背中しか写っていない物だって、すらっとした脚にロングコート越しでも分かるほどにピシッと伸ばされた背筋が、憎たらしいほどに写真映えしている。顔が写っているものに関しては、普段の目つきの悪さはどこに行ったのか、まるでドラマのワンシーンのように全てミョウジさんを愛おしそうに見つめている。見ているこっちが恥ずかしくなるほどに。
こんな顔を向けられていると言うのに、結局ミョウジさんはこの日に告白することはできなかったのだろう。デート終わりに仕事に来た鯉登さんから「ハンカチを貰った!」という報告は受けたが告白されたとは聞かなかった。あれから何度かミョウジさんとも会ったがいつも鯉登さんと一緒だったので何があったのかは聞けていない。でも俺と目が合うと唇をきゅっと結んで目を逸らすので、ミョウジさんのことだからきっと、あんなにお膳立てしてもらったのに告白できなくて申し訳ないとか思っていそうだ。
しかし写真を見る限り二人はどう見てもカップルにしか見えない。本当になんなんだこの二人は?もういっそどこかの部屋に閉じ込めて、告白するまで出さないようにしてやった方が良いのではないか。それがいい。きっとそれくらいの荒療治がちょうど良い。近くにどこか良い密室はなかったかと考えていたら、ずっと一方的にミョウジさんについて語っていた鯉登さんがやっと一息ついた。
「このことはナマエも知っているのか?」
「分かりません。ミョウジさんから何か連絡は来ていませんか?」
サッと私用のスマホを取り出した鯉登さんが「来ていない」と少し安心したように返してきた。
「記者が来ていないか一応後で確認した方が良いと思いますが、ミョウジさんとは暫く会わない方が良いんじゃないですか」
「何故だ」
「この記事がどれほどの反響をもたらすのか分かりませんが、あまり目立つことはしない方が良いかと」
たかが一般人の恋愛事情にどれほどの人間が食いつくのだろう。俺だったら気にも留めないが、一度テレビでやらかしてSNSでトレンド一位になった人たちだ。「私がナマエです」「私もナマエです」とネタではあるがなりすましアカウントもできていたし、「○○結婚してくれ!」はネットミームと化した。また変なことになる可能性は大いにある。念には念を。ここから炎上だのなんだのして会社に損害が出るのは避けたいのに、鯉登さんは納得いかないと俺を睨み上げてくる。
「言わせたい奴らには言わせておけば良い。何故私たちが我慢する必要がある?」
「あなたは良いかもしれませんが、ミョウジさんはどうするんですか」
「どう言う意味だ」
「追いかけまわされて大変な目に遭うかもしれませんよ。店だってどんなことになるか」
注目されればそれだけ変な人間も嫌な人間も寄ってくる。記事にミョウジさんのフルネームや具体的な勤務先など、個人を特定する情報は記載されていないが、どこから漏れるかなんて分からない。それにもう下の名前は割れている、というか鯉登さんが自ら発信してしまっている。このオフィス周辺のカフェを巡っていけばミョウジさんに辿り着くことだってそう難しくないはずだから、記者以外にも野次馬気分でやってくる迷惑客もいるかもしれない。むしろそういった奴らの方が厄介だ。せっかく心機一転して楽しくカフェを経営しているミョウジさんの邪魔をしかねない。俺だって、いつもの一杯が暫く飲めなくなるのは残念だが、それよりもつつがなく日常を過ごしてほしいというのは、きっと彼女を知る誰しもが願っていることだと思う。
ミョウジさんへの影響を具体的に想像し始めたのか、反抗的だった鯉登さんの表情が段々と不安そうになっていく。椅子の背もたれに体重をかけ、はぁっと肺を空っぽにするような大きなため息が吐き出された。
「……あとで、ナマエに会いに行く」
「そうしてください」
最後に一度、机の上のゲラを睨みつけ、鯉登さんがぐしゃぐしゃに丸めてゴミ箱へと投げ捨てた。
*
情けない。
水族館リベンジデートをしてから1週間が経った。もっと頑張りたい。もっと頑張ろう。そう思っていたはずなのに、私はまた以前と同じような日常を送っていた。好きだと伝えたいという気持ちが一度ピークに達してしまえばあとは落ちるだけで、もうこのままなあなあ にしても良いんじゃないかとさえ思うようになってきた。いやいや、なあなあにして良いわけがあるか!と思っても、じゃあどうやって切り出せば良いんだと頭を抱える日々だ。来店した時?オーダーを取った時?帰り際に呼び止めて?ダメだ全部変だ。いらっしゃいませの代わりに「好きです」なんて頭がおかしくなったと思われる。やっぱり店の外でないと。そのための水族館リベンジデートだったのに、私は折角のチャンスをふいにしてしまった。本当に情けなくて、手伝ってくれた月島さんに会わせる顔がない。鯉登さんと一緒に店に来るのでもう何度も顔を合わせているのだけども。
デートのあとも変わらず鯉登さんと会えているのは嬉しいが、同時に自分の不甲斐なさとも向き合わないといけなくて、最近は午後になるといつ来るのだろうかと色々な意味でソワソワしてしまう。今日も落ち着かなくて、カウンター下にしまっているコップなどの在庫確認などをしていたら、カランカランとドアが開いたので勢い良く立ち上がった。
「いらっしゃ……あ、杉元さん」
「今ちょっと残念そうな顔したよね?」
「そんな、してませんよ」
「鯉登だと思ったんでしょ~?」
うるさい。ニヤニヤしながら近づいて来る杉元さんを心の中で小突いた。図星だ。
「何にしますか?」
「今日はバニラクリームフラッペ、チョコチップ追加で!」
「はい、ちょっと待ってくださいね」
ポチポチとレジに打ち込んでいると、またカランカランと聞きなれた音と、複数の足音がした。さすがにもうここでの業務にも慣れてきたけど、一人でやっているので何人かお客さんが重なると今でも緊張してしまう。順番に注文を伺うことを伝えるために顔を上げたら、そこには鯉登さんと月島さんがいた。
「あっ、い、いらっしゃいませ。えっと、少し待っても、らっても良いですか?」
鯉登さんと目が合って、ドキドキと跳ねる心臓と一緒に滑舌も悪くなる。変な所で抑揚をつけてしまって恥ずかしい。
「構わないが……丁度良かった。杉元にも見てもらいたいものがある」
「俺に?」
なんだかいつもと雰囲気が違う。鯉登さんも月島さんも、どこか重い空気を纏っている。「これです」と月島さんがスマホを出してカウンターの上に置いた。
「……えっ、何ですかこれ」
「明後日発売予定の週刊誌の記事です」
「週刊誌!?」
スマホの画面には「結婚してくれ!手繋ぎ水族館デート」という心臓に悪い文字がでかでかと書かれていて、その下には「これでまだ付き合っていないんだからびっくり」「早く玉の輿になればいいのに」なんて鯉登郵船社員のらしいコメントまで載っている。大きなお世話だ。そして記事に散りばめられているのは紛れもなく一週間前の私と鯉登さんの写真だった。全くカメラを意識していない状態で撮られたから、私は散々な状態で載っている。しかし鯉登さんはどの写真でもモデルのような風貌だ。公開処刑すぎる。殺してくれ。少しでも隣に立った時に釣り合うように頑張った結果がこれか。自分の姿を客観視して泣きそうになった。
「……くだらねぇな」
杉元さんが静かに零した。その声はいつもよりもだいぶ低かった。てっきり「芸能人じゃん!」なんて茶化してくると思っていたのに、真剣な眼差しでじっと記事を見ている。
「何なのコイツら?とりあえず今から殴りに行けば良い?」
「いや、殴るのはやめてくれ。社を通して抗議する予定だ」
「だとしてもムカつくな。記事もつまんねぇし写真も下手だし……」
「同感だ。ナマエの可愛さが全く伝わってこない」
「本当にな。こんな写真コソコソ撮るなら俺がついて行って代わりに1000年に一度のちゃんとしたの撮ったのに」
えっ、と私たち三人が杉元さんを見た。「昔忘年会のくじで良いカメラ当たったんだよね」なんて言っているけどそういうことじゃない。
「何故貴様は毎回ついてこようとするんだ……」
「推しのイベントには全部行きたいだろうが。っていうかお前写真撮ったの?」
「……いや」
「何やってんだよ、もったいねぇな!俺も見たかったのに!!最初のデートのやつも見せてもらってないんですけど!?」
「仕方がないだろう!ナマエと一緒にいるのが楽しすぎてそれどころではなかった!可愛い姿をカメラ越しよりも肉眼で見たいと思うのが普通ではないのか!?」
ボッと体が発火した、音がした。全身が熱い。ありとあらゆる血管が拡張している。多分サーモグラフィーでこの部屋を見たら私だけ紫色だ。やだぁと顔を赤くした杉元さんが頬を両手で挟み、私をきゅるきゅるとした瞳で見てきたけれど、何も言えないままずっと体温だけが上がっていく。このままだと沸騰して蒸発してしまう。
「そんなことよりも、今後どうするかです」
落ち着いた月島さんの声に、私の体温の上昇は食い止められた。誰かを探すように一度店の外を振り返ってから、月島さんがまた話し始めた。
「身の回りで何か変なことは起きていませんか?例えば知らない人につけられているとか、見張られているとか」
「いや、そんなことは……あっ」
ない、と言おうと思っていたのに、一つ思い浮かんでしまった。
「水族館で、そういえばこちらを見ていた男の人がいたんです。イルカショーの時に私たちの後ろに居た人、今思えばその人って週刊誌の人だったんですかね」
あの時はいちゃつくのも大概にしろ!と思われていたのかと思ったけど、もしかしてあれはずっと私たちを尾行していた人だったのかも。実際掲載されている写真の中には、手を繋ぎながらイルカショーを見ている私たちの背中が写っているものもある。角度も一致する。
「でも今はそういう人は多分、居ない気がします……?」
「周りに変な奴がいないか杉元も少し警戒してくれないか」
「俺は別に良いけど、お前が守ってやれば良いだろ」
「まっ、守るって、そんな、大丈夫ですって」
まるで騎士か何かみたいな大袈裟な言い方に、落ち着いていた体温がまた少し上がってしまった。いや絶対似合うけど。鯉登さんの騎士姿。片膝をついて姫の手を取って──そこまで考えて、慌てて脳内からイメージを掻き消した。
「家からここまでの送迎を手配することはできます」
「手配って……お前が送るんじゃないの?」
杉元さんに話を振られた鯉登さんが何かを言いかけて、また口を噤んでしまった。
「ミョウジさん、暫く……どれくらいになるか分かりませんけど、今日を最後にこちらに伺うのは控えようと思います」
「えっ」
今日を最後に、こちらに伺うのは控える。月島さんの言葉がゆっくりと脳に染みこんできてやっと理解が追いついた。それは、月島さんだけ?恐る恐る隣に視線を向けたら、ぎゅっと唇を噛んでいた鯉登さんがやっと口を開いた。
「迷惑になるだろうから、もうここには来ない」
なんで、急にそんなこと。今まで人の迷惑なんて全く考えずに気持ちをぶつけてきたくせに。ずっと続いて行くと思っていた日常が、急にぶつっと途切れてガラガラと崩れていくような衝撃に何も言葉が出てこなかった。
まだ、言えていないことがあるのに。
「……今日はそれを言いに来た」
「あまり長居してまた撮られでもしたら大変なので、この辺で失礼します」
この人たちは、なんでいつもこう一方的なのだろう。また連絡すると言い残して、あっさりと去って行く二人をただ茫然と見つめていた。待って、待って。引き止めたいのに声が出ない。じわじわと視界が滲んでいって、大好きな背中が見えなくなっていく。
「……追いかけた方が良いと思うよ」
杉元さんの言葉を聞き終える前に、体が動いていた。ガンッと腰をカウンターの角に打ち付けた痛みに顔が歪んだが、なりふり構わず鯉登さんを追いかけた。
「鯉登さん!」
まだ店から数メートル先に居た鯉登さんが、驚いたように勢いよく振り返った。吸い込んだ空気が冷たくて、ぶわっと体中に鳥肌が立っていく。
「好きです」
吐息のような私の弱々しい呟きは聞こえていなかったようで、鯉登さんが不思議そうな顔をして、一歩近づいてきた。あんなにも言うことを躊躇っていたのに、一度口にしてしまったらもう止まらなかった。
「好きです!!」
まっすぐに鯉登さんを見つめて、今度こそはっきりと大声で言葉に気持ちを乗せた。
「端から端までオーダーするような規格外にボンボンな所も、顔が良い所も、恥ずかしいくらい周りの目なんて気にしないで真っ直ぐにぶつかってきてくれる所も、でもたまに不安そうにする所も、鯉登さんの全てが……っ、好きです!!」
本当はもっともっと好きな所がたくさんある。可愛いものに目がない所とか、フードコートではしゃいじゃう所とか、しっかりと繋いでくる温かい手とか。伝えきれないくらい、私は鯉登さんのことが好きになってしまった。
「もう来ないって、なんでっ……!私のこと死ぬまで好きでいてくれるって言ったのは嘘なんですかぁっ……」
ボロボロと泣きながら、とてつもなく面倒くさい台詞を吐いている自覚があった。今まで散々のらりくらりと躱していたくせに、今になって離れないで、ずっと好きでいて欲しい、などと我儘なことを喚いている。自分勝手で傲慢すぎる。でもこんな風にしたのは鯉登さんだ。鯉登さんが私のことを好きだ好きだと言うから、こんなにも愛に貪欲な怪物が生まれてしまった。さすがに鯉登さんもこんな怪物にドン引きしているのではないか。ゴシゴシと涙を拭いて確認しようとしたら、腕を掴まれた。
「そんなに強く擦るな」
アイロンがしっかりとかけられた良い匂いのする紺色のハンカチで涙が拭われていく。見覚えがあった。アザラシの刺繍がしてある。私があげたものだ。その手つきがあんまりにも優しくて、また目頭が熱くなってボロボロと新しく涙が溢れていく。
「う、ぅっ……ずっとお返事できなくてっ、ごめんなさい……す、素直になれなくてっ、ごめんなさいっ……」
「気にするな。答えが出るまで死ぬまで付き合うつもりだと言っただろう」
そんなこと言われたっけ。でももうどうでも良かった。今まで抑えていた分、溢れる気持ちが止まらなかった。
「好きですっ、大好きなんです……っ、どこにもいかないで、迷惑じゃないです、私以外見ないで、ずっとそばに居て」
「どこにも行かない。ナマエを好きだという気持ちは死ぬまで変わらない」
涙で揺れる視界の中で、鯉登さんがアスファルトに片膝をついて私の左手を掬い取った。
「ナマエ、結婚しよう」
「えっ、あっ、いやっ、結婚はちょっと……まだいいです」
パッと手を離したのに、おぼろげな視界でも分かるほどに鯉登さんがみるみるうちに笑顔になり、バネでも仕込まれているように物凄い勢いで立ち上がって私の肩をガシッと掴んできた。
「そうか!指輪はどれが良い!?ドレスは?和装かッ!?なんでも良い……いや、言い方が悪いな、ナマエの要望なら何だって叶えたいし、気に入る物が見つかるまで、作れるまで、私はとことん付き合うぞ!」
「いや、今断られましたよね」
「『まだいい』という事はいつかするということだ月島ァア!今から備えて何が悪いッ!!」
大声で嬉しそうに騒ぐ鯉登さんに力任せに抱きしめられて涙も引っ込んだ。「まだいい」ってそうか、そういうことになるのかと、自分でも気づいていなかったことを指摘されて、とても動揺していた。
「分かりましたから静かにしてください。往来の邪魔です。あっ、そこの人、撮らないで」
月島さんの言葉に、ここがカフェの前の道のど真ん中であることに気がついて血の気が引いた。私は公衆の面前でなんてことをしてしまったのだろう。告白するなら店の外でとは思っていたけど、断じてこういう意味ではない。我に返れば、「おめでとう」「良かったね」「お幸せに!」という声や拍手もたくさん聞こえてくる。周りがどんな状態になっているのか確認するのが怖くて、高そうなスーツに顔を埋 めて、鯉登さんに強くしがみつくように抱きついた。
「そ、そんなに、おいのことが……!?」
良く分からないことを言いながら、鯉登さんが私をぎゅうぎゅうに抱きしめ返してきた。恥ずかしい。嬉しい。幸せ。色々な気持ちがごちゃ混ぜだ。真冬だというのに、私は上着要らずだった。
その後、今回の件の一部始終がSNSで拡散されたことで記事は飛び、私のカフェは恋愛成就のパワースポットとして暫くとんでもない行列を作ることになった。来店する見ず知らずの大勢の人々に祝福され、何故か鯉登郵船が私達のことを見守るよう声明を出し、会社の株価は上がり、カフェの客足は更に増え、爆伸びした売り上げにオーナーは歓喜し、杉元さんはインタビューを受け、月島さんはまた少しの間寝込んだ。
そんなこんなで、私たちの恋は色んな人を巻きに巻き込んで、ハッピーエンドを迎えたのだった。
ちなみに──杉元さんがこの日こっそりと撮っていた動画が後に結婚式で流され私が死ぬほど恥ずかしい思いをするのは、まだ少し先の話である。
あとがき
2025.08.10
手元にある資料を握りしめながら、もう何度も来たことのある部屋の前で一呼吸してからノックをした。
「失礼します」
パソコン画面を見ていた瞳がこちらを向き、少しだけ眉間の皺が和らいだ。
「どうした?」
「実は、ちょっと面倒なことになりました」
「面倒なこと?」
「……今朝送られてきたゲラです」
ゲラ。印刷物の校正刷り。大手週刊誌のもので、明後日には出るらしい。その見出しには「結婚してくれ!手繋ぎ水族館デート」「お相手はカフェ店長」「意外と庶民派」などと好き勝手書かれている文字と、鯉登さんと黒い目線で隠されているが明らかにミョウジさんと分かる人物が手を繋いでいる写真が何枚か配置されていた。
ゲラを渡されてポカンとしていたのも一瞬で、バッとそれを奪い取り、内容を把握するために鯉登さんの瞳が忙しなく動き始めた。
「明後日発売だそうです」
「……なんだこれは」
一通り目を通し終わったのか、ぐしゃっと用紙が握りつぶされ、鯉登さんの唇がわなわなと震えた。それはそうだろう、芸能人でもないたかが一企業の社員とカフェ店長のプライベートについてあれこれ書かれていたら、いくら鯉登さんでも腹が立つ。これは出る所に出て厳重に対処──
「ナマエの可愛さが……ッ、全く伝わってこないではないか!!」
「は?」
ダンッと親の仇のようにゲラを机に叩きつけ、あの日どれだけミョウジさんが可愛かったか熱弁する鯉登さんの言葉を右から左へと流していく。いつも可愛いがいつも以上にあの日は可愛かったとか、ニットのワンピースとふわふわとした髪がとても似合っていたとか、それを全く写真に収められていないくせに何故この編集はOKを出したのかとか、一体いつ息継ぎをしているのか、次から次へと澱みなく言葉が流れ出てくる。今怒るべき所はそこではない、絶対に。
大体、こんな週刊誌の隠し撮りで写真写りが良い人なんているのだろうかと思ったが、鯉登さんは割と良く写っている。背中しか写っていない物だって、すらっとした脚にロングコート越しでも分かるほどにピシッと伸ばされた背筋が、憎たらしいほどに写真映えしている。顔が写っているものに関しては、普段の目つきの悪さはどこに行ったのか、まるでドラマのワンシーンのように全てミョウジさんを愛おしそうに見つめている。見ているこっちが恥ずかしくなるほどに。
こんな顔を向けられていると言うのに、結局ミョウジさんはこの日に告白することはできなかったのだろう。デート終わりに仕事に来た鯉登さんから「ハンカチを貰った!」という報告は受けたが告白されたとは聞かなかった。あれから何度かミョウジさんとも会ったがいつも鯉登さんと一緒だったので何があったのかは聞けていない。でも俺と目が合うと唇をきゅっと結んで目を逸らすので、ミョウジさんのことだからきっと、あんなにお膳立てしてもらったのに告白できなくて申し訳ないとか思っていそうだ。
しかし写真を見る限り二人はどう見てもカップルにしか見えない。本当になんなんだこの二人は?もういっそどこかの部屋に閉じ込めて、告白するまで出さないようにしてやった方が良いのではないか。それがいい。きっとそれくらいの荒療治がちょうど良い。近くにどこか良い密室はなかったかと考えていたら、ずっと一方的にミョウジさんについて語っていた鯉登さんがやっと一息ついた。
「このことはナマエも知っているのか?」
「分かりません。ミョウジさんから何か連絡は来ていませんか?」
サッと私用のスマホを取り出した鯉登さんが「来ていない」と少し安心したように返してきた。
「記者が来ていないか一応後で確認した方が良いと思いますが、ミョウジさんとは暫く会わない方が良いんじゃないですか」
「何故だ」
「この記事がどれほどの反響をもたらすのか分かりませんが、あまり目立つことはしない方が良いかと」
たかが一般人の恋愛事情にどれほどの人間が食いつくのだろう。俺だったら気にも留めないが、一度テレビでやらかしてSNSでトレンド一位になった人たちだ。「私がナマエです」「私もナマエです」とネタではあるがなりすましアカウントもできていたし、「○○結婚してくれ!」はネットミームと化した。また変なことになる可能性は大いにある。念には念を。ここから炎上だのなんだのして会社に損害が出るのは避けたいのに、鯉登さんは納得いかないと俺を睨み上げてくる。
「言わせたい奴らには言わせておけば良い。何故私たちが我慢する必要がある?」
「あなたは良いかもしれませんが、ミョウジさんはどうするんですか」
「どう言う意味だ」
「追いかけまわされて大変な目に遭うかもしれませんよ。店だってどんなことになるか」
注目されればそれだけ変な人間も嫌な人間も寄ってくる。記事にミョウジさんのフルネームや具体的な勤務先など、個人を特定する情報は記載されていないが、どこから漏れるかなんて分からない。それにもう下の名前は割れている、というか鯉登さんが自ら発信してしまっている。このオフィス周辺のカフェを巡っていけばミョウジさんに辿り着くことだってそう難しくないはずだから、記者以外にも野次馬気分でやってくる迷惑客もいるかもしれない。むしろそういった奴らの方が厄介だ。せっかく心機一転して楽しくカフェを経営しているミョウジさんの邪魔をしかねない。俺だって、いつもの一杯が暫く飲めなくなるのは残念だが、それよりもつつがなく日常を過ごしてほしいというのは、きっと彼女を知る誰しもが願っていることだと思う。
ミョウジさんへの影響を具体的に想像し始めたのか、反抗的だった鯉登さんの表情が段々と不安そうになっていく。椅子の背もたれに体重をかけ、はぁっと肺を空っぽにするような大きなため息が吐き出された。
「……あとで、ナマエに会いに行く」
「そうしてください」
最後に一度、机の上のゲラを睨みつけ、鯉登さんがぐしゃぐしゃに丸めてゴミ箱へと投げ捨てた。
*
情けない。
水族館リベンジデートをしてから1週間が経った。もっと頑張りたい。もっと頑張ろう。そう思っていたはずなのに、私はまた以前と同じような日常を送っていた。好きだと伝えたいという気持ちが一度ピークに達してしまえばあとは落ちるだけで、もうこのまま
デートのあとも変わらず鯉登さんと会えているのは嬉しいが、同時に自分の不甲斐なさとも向き合わないといけなくて、最近は午後になるといつ来るのだろうかと色々な意味でソワソワしてしまう。今日も落ち着かなくて、カウンター下にしまっているコップなどの在庫確認などをしていたら、カランカランとドアが開いたので勢い良く立ち上がった。
「いらっしゃ……あ、杉元さん」
「今ちょっと残念そうな顔したよね?」
「そんな、してませんよ」
「鯉登だと思ったんでしょ~?」
うるさい。ニヤニヤしながら近づいて来る杉元さんを心の中で小突いた。図星だ。
「何にしますか?」
「今日はバニラクリームフラッペ、チョコチップ追加で!」
「はい、ちょっと待ってくださいね」
ポチポチとレジに打ち込んでいると、またカランカランと聞きなれた音と、複数の足音がした。さすがにもうここでの業務にも慣れてきたけど、一人でやっているので何人かお客さんが重なると今でも緊張してしまう。順番に注文を伺うことを伝えるために顔を上げたら、そこには鯉登さんと月島さんがいた。
「あっ、い、いらっしゃいませ。えっと、少し待っても、らっても良いですか?」
鯉登さんと目が合って、ドキドキと跳ねる心臓と一緒に滑舌も悪くなる。変な所で抑揚をつけてしまって恥ずかしい。
「構わないが……丁度良かった。杉元にも見てもらいたいものがある」
「俺に?」
なんだかいつもと雰囲気が違う。鯉登さんも月島さんも、どこか重い空気を纏っている。「これです」と月島さんがスマホを出してカウンターの上に置いた。
「……えっ、何ですかこれ」
「明後日発売予定の週刊誌の記事です」
「週刊誌!?」
スマホの画面には「結婚してくれ!手繋ぎ水族館デート」という心臓に悪い文字がでかでかと書かれていて、その下には「これでまだ付き合っていないんだからびっくり」「早く玉の輿になればいいのに」なんて鯉登郵船社員のらしいコメントまで載っている。大きなお世話だ。そして記事に散りばめられているのは紛れもなく一週間前の私と鯉登さんの写真だった。全くカメラを意識していない状態で撮られたから、私は散々な状態で載っている。しかし鯉登さんはどの写真でもモデルのような風貌だ。公開処刑すぎる。殺してくれ。少しでも隣に立った時に釣り合うように頑張った結果がこれか。自分の姿を客観視して泣きそうになった。
「……くだらねぇな」
杉元さんが静かに零した。その声はいつもよりもだいぶ低かった。てっきり「芸能人じゃん!」なんて茶化してくると思っていたのに、真剣な眼差しでじっと記事を見ている。
「何なのコイツら?とりあえず今から殴りに行けば良い?」
「いや、殴るのはやめてくれ。社を通して抗議する予定だ」
「だとしてもムカつくな。記事もつまんねぇし写真も下手だし……」
「同感だ。ナマエの可愛さが全く伝わってこない」
「本当にな。こんな写真コソコソ撮るなら俺がついて行って代わりに1000年に一度のちゃんとしたの撮ったのに」
えっ、と私たち三人が杉元さんを見た。「昔忘年会のくじで良いカメラ当たったんだよね」なんて言っているけどそういうことじゃない。
「何故貴様は毎回ついてこようとするんだ……」
「推しのイベントには全部行きたいだろうが。っていうかお前写真撮ったの?」
「……いや」
「何やってんだよ、もったいねぇな!俺も見たかったのに!!最初のデートのやつも見せてもらってないんですけど!?」
「仕方がないだろう!ナマエと一緒にいるのが楽しすぎてそれどころではなかった!可愛い姿をカメラ越しよりも肉眼で見たいと思うのが普通ではないのか!?」
ボッと体が発火した、音がした。全身が熱い。ありとあらゆる血管が拡張している。多分サーモグラフィーでこの部屋を見たら私だけ紫色だ。やだぁと顔を赤くした杉元さんが頬を両手で挟み、私をきゅるきゅるとした瞳で見てきたけれど、何も言えないままずっと体温だけが上がっていく。このままだと沸騰して蒸発してしまう。
「そんなことよりも、今後どうするかです」
落ち着いた月島さんの声に、私の体温の上昇は食い止められた。誰かを探すように一度店の外を振り返ってから、月島さんがまた話し始めた。
「身の回りで何か変なことは起きていませんか?例えば知らない人につけられているとか、見張られているとか」
「いや、そんなことは……あっ」
ない、と言おうと思っていたのに、一つ思い浮かんでしまった。
「水族館で、そういえばこちらを見ていた男の人がいたんです。イルカショーの時に私たちの後ろに居た人、今思えばその人って週刊誌の人だったんですかね」
あの時はいちゃつくのも大概にしろ!と思われていたのかと思ったけど、もしかしてあれはずっと私たちを尾行していた人だったのかも。実際掲載されている写真の中には、手を繋ぎながらイルカショーを見ている私たちの背中が写っているものもある。角度も一致する。
「でも今はそういう人は多分、居ない気がします……?」
「周りに変な奴がいないか杉元も少し警戒してくれないか」
「俺は別に良いけど、お前が守ってやれば良いだろ」
「まっ、守るって、そんな、大丈夫ですって」
まるで騎士か何かみたいな大袈裟な言い方に、落ち着いていた体温がまた少し上がってしまった。いや絶対似合うけど。鯉登さんの騎士姿。片膝をついて姫の手を取って──そこまで考えて、慌てて脳内からイメージを掻き消した。
「家からここまでの送迎を手配することはできます」
「手配って……お前が送るんじゃないの?」
杉元さんに話を振られた鯉登さんが何かを言いかけて、また口を噤んでしまった。
「ミョウジさん、暫く……どれくらいになるか分かりませんけど、今日を最後にこちらに伺うのは控えようと思います」
「えっ」
今日を最後に、こちらに伺うのは控える。月島さんの言葉がゆっくりと脳に染みこんできてやっと理解が追いついた。それは、月島さんだけ?恐る恐る隣に視線を向けたら、ぎゅっと唇を噛んでいた鯉登さんがやっと口を開いた。
「迷惑になるだろうから、もうここには来ない」
なんで、急にそんなこと。今まで人の迷惑なんて全く考えずに気持ちをぶつけてきたくせに。ずっと続いて行くと思っていた日常が、急にぶつっと途切れてガラガラと崩れていくような衝撃に何も言葉が出てこなかった。
まだ、言えていないことがあるのに。
「……今日はそれを言いに来た」
「あまり長居してまた撮られでもしたら大変なので、この辺で失礼します」
この人たちは、なんでいつもこう一方的なのだろう。また連絡すると言い残して、あっさりと去って行く二人をただ茫然と見つめていた。待って、待って。引き止めたいのに声が出ない。じわじわと視界が滲んでいって、大好きな背中が見えなくなっていく。
「……追いかけた方が良いと思うよ」
杉元さんの言葉を聞き終える前に、体が動いていた。ガンッと腰をカウンターの角に打ち付けた痛みに顔が歪んだが、なりふり構わず鯉登さんを追いかけた。
「鯉登さん!」
まだ店から数メートル先に居た鯉登さんが、驚いたように勢いよく振り返った。吸い込んだ空気が冷たくて、ぶわっと体中に鳥肌が立っていく。
「好きです」
吐息のような私の弱々しい呟きは聞こえていなかったようで、鯉登さんが不思議そうな顔をして、一歩近づいてきた。あんなにも言うことを躊躇っていたのに、一度口にしてしまったらもう止まらなかった。
「好きです!!」
まっすぐに鯉登さんを見つめて、今度こそはっきりと大声で言葉に気持ちを乗せた。
「端から端までオーダーするような規格外にボンボンな所も、顔が良い所も、恥ずかしいくらい周りの目なんて気にしないで真っ直ぐにぶつかってきてくれる所も、でもたまに不安そうにする所も、鯉登さんの全てが……っ、好きです!!」
本当はもっともっと好きな所がたくさんある。可愛いものに目がない所とか、フードコートではしゃいじゃう所とか、しっかりと繋いでくる温かい手とか。伝えきれないくらい、私は鯉登さんのことが好きになってしまった。
「もう来ないって、なんでっ……!私のこと死ぬまで好きでいてくれるって言ったのは嘘なんですかぁっ……」
ボロボロと泣きながら、とてつもなく面倒くさい台詞を吐いている自覚があった。今まで散々のらりくらりと躱していたくせに、今になって離れないで、ずっと好きでいて欲しい、などと我儘なことを喚いている。自分勝手で傲慢すぎる。でもこんな風にしたのは鯉登さんだ。鯉登さんが私のことを好きだ好きだと言うから、こんなにも愛に貪欲な怪物が生まれてしまった。さすがに鯉登さんもこんな怪物にドン引きしているのではないか。ゴシゴシと涙を拭いて確認しようとしたら、腕を掴まれた。
「そんなに強く擦るな」
アイロンがしっかりとかけられた良い匂いのする紺色のハンカチで涙が拭われていく。見覚えがあった。アザラシの刺繍がしてある。私があげたものだ。その手つきがあんまりにも優しくて、また目頭が熱くなってボロボロと新しく涙が溢れていく。
「う、ぅっ……ずっとお返事できなくてっ、ごめんなさい……す、素直になれなくてっ、ごめんなさいっ……」
「気にするな。答えが出るまで死ぬまで付き合うつもりだと言っただろう」
そんなこと言われたっけ。でももうどうでも良かった。今まで抑えていた分、溢れる気持ちが止まらなかった。
「好きですっ、大好きなんです……っ、どこにもいかないで、迷惑じゃないです、私以外見ないで、ずっとそばに居て」
「どこにも行かない。ナマエを好きだという気持ちは死ぬまで変わらない」
涙で揺れる視界の中で、鯉登さんがアスファルトに片膝をついて私の左手を掬い取った。
「ナマエ、結婚しよう」
「えっ、あっ、いやっ、結婚はちょっと……まだいいです」
パッと手を離したのに、おぼろげな視界でも分かるほどに鯉登さんがみるみるうちに笑顔になり、バネでも仕込まれているように物凄い勢いで立ち上がって私の肩をガシッと掴んできた。
「そうか!指輪はどれが良い!?ドレスは?和装かッ!?なんでも良い……いや、言い方が悪いな、ナマエの要望なら何だって叶えたいし、気に入る物が見つかるまで、作れるまで、私はとことん付き合うぞ!」
「いや、今断られましたよね」
「『まだいい』という事はいつかするということだ月島ァア!今から備えて何が悪いッ!!」
大声で嬉しそうに騒ぐ鯉登さんに力任せに抱きしめられて涙も引っ込んだ。「まだいい」ってそうか、そういうことになるのかと、自分でも気づいていなかったことを指摘されて、とても動揺していた。
「分かりましたから静かにしてください。往来の邪魔です。あっ、そこの人、撮らないで」
月島さんの言葉に、ここがカフェの前の道のど真ん中であることに気がついて血の気が引いた。私は公衆の面前でなんてことをしてしまったのだろう。告白するなら店の外でとは思っていたけど、断じてこういう意味ではない。我に返れば、「おめでとう」「良かったね」「お幸せに!」という声や拍手もたくさん聞こえてくる。周りがどんな状態になっているのか確認するのが怖くて、高そうなスーツに顔を
「そ、そんなに、おいのことが……!?」
良く分からないことを言いながら、鯉登さんが私をぎゅうぎゅうに抱きしめ返してきた。恥ずかしい。嬉しい。幸せ。色々な気持ちがごちゃ混ぜだ。真冬だというのに、私は上着要らずだった。
その後、今回の件の一部始終がSNSで拡散されたことで記事は飛び、私のカフェは恋愛成就のパワースポットとして暫くとんでもない行列を作ることになった。来店する見ず知らずの大勢の人々に祝福され、何故か鯉登郵船が私達のことを見守るよう声明を出し、会社の株価は上がり、カフェの客足は更に増え、爆伸びした売り上げにオーナーは歓喜し、杉元さんはインタビューを受け、月島さんはまた少しの間寝込んだ。
そんなこんなで、私たちの恋は色んな人を巻きに巻き込んで、ハッピーエンドを迎えたのだった。
ちなみに──杉元さんがこの日こっそりと撮っていた動画が後に結婚式で流され私が死ぬほど恥ずかしい思いをするのは、まだ少し先の話である。
あとがき
カフェ店長シリーズ、これにて一旦完結です!
「端から端まで~というボンボンな頼み方をしている鯉登少尉が見たい」その一心で書き上げた短編がまさかここまで続くとは思っていませんでした。短編を公開した後に続きが見たいと拍手を送ってくださった方の後押しもあり始めたシリーズでしたが、終わり方以外ほぼノープランで始めたので、毎回手探り状態でした。くそっ…じれってーな。俺ちょっとやらしい雰囲気にしてきます!!と出られない部屋にでも閉じ込めたくなったこと数知れず。でもこうやって両片思いのすれ違いしてるのが楽しいんですよね~!!!ここまで二人の恋路を辛抱強く見守ってくださった皆様、本当にありがとうございました。メッセージでもカフェ店長シリーズが好きだと頂くことが多く、リクエストでも鯉登さんが多めだったので「いつの間にこんなに愛されて…」と涙を流して感激しておりました。終わってしまって寂しさもあるのですが、オリジナルのシリーズを一つちゃんと終わらせられた達成感もあり、今はただただ胸がいっぱいです。
付き合ってからのお話も番外編として少し書いていきたいなと思っているので、またよろしくお願いいたします!ここまで読んでくださって本当にありがとうございました!
「端から端まで~というボンボンな頼み方をしている鯉登少尉が見たい」その一心で書き上げた短編がまさかここまで続くとは思っていませんでした。短編を公開した後に続きが見たいと拍手を送ってくださった方の後押しもあり始めたシリーズでしたが、終わり方以外ほぼノープランで始めたので、毎回手探り状態でした。くそっ…じれってーな。俺ちょっとやらしい雰囲気にしてきます!!と出られない部屋にでも閉じ込めたくなったこと数知れず。でもこうやって両片思いのすれ違いしてるのが楽しいんですよね~!!!ここまで二人の恋路を辛抱強く見守ってくださった皆様、本当にありがとうございました。メッセージでもカフェ店長シリーズが好きだと頂くことが多く、リクエストでも鯉登さんが多めだったので「いつの間にこんなに愛されて…」と涙を流して感激しておりました。終わってしまって寂しさもあるのですが、オリジナルのシリーズを一つちゃんと終わらせられた達成感もあり、今はただただ胸がいっぱいです。
付き合ってからのお話も番外編として少し書いていきたいなと思っているので、またよろしくお願いいたします!ここまで読んでくださって本当にありがとうございました!
2025.08.10
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