短編
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「いっ……!」
足場の悪い道を渡ろうと木に手をついた瞬間、焼けるような痛みを手首に感じた。蛇だ。蛇に噛まれた。認識した時にはアシリパさんのぎぃいいいいいッ!というこの世のものとは思えない絶叫が森に響いた。蛇よりもそちらに驚いて今度は足を滑らせてしまう。
「どうしたアシリパさんっ!」
先頭を歩いていた杉元さんが焦ったように駆けてくる。私が足を滑らせ、よろけたせいで噛みついたままの蛇がビッタンビッタンと振り回される。牙がさらに深く肉に食い込み痛みに呻く。暴れる蛇にアシリパさんが泡を吹く。まさに阿鼻叫喚である。
「わっ!ナマエさん!手!!」
私を噛んだままの蛇に気づくと、杉元さんが慌てて銃剣で切り落としてくれた。いつもは頼りになるアシリパさんも錯乱状態で、この後の処置などについても教えてくれそうにない。
「ゔぅっ……」
恐る恐る手首についたままの蛇の頭を外す。気持ち悪い。落とされた首から、ボタボタと血が滴る。真っ黒な瞳孔が大きく開いている。手首にぽっかりと空いた二つの穴からは、血が流れ出ていた。
「これ毒あるのかな、あったらヤバいよねッ?!」
言い終わるや否や、焦ったように杉元さんが傷口に吸い付いた。皮膚をぢゅううと強く吸われる。
「ひぃっ……」
痛い。痛いけど、それだけじゃない。ぞわぞわっとした感覚が手首から脳天に突き抜ける。痛みに紛れて杉元さんの唇の感触が伝わってくる。患部の近くで蠢く舌を感じてしまって、ぶるりと身震いした。掴まれた腕の感覚がどんどん敏感になる。手首に他人の粘膜が押し当てられている感触に、大きな羞恥心と少しの邪な感情が育っていく。もうやめて欲しくて手を引くが、真剣に毒を吸い出そうとしている杉元さんががっちりと掴んでいて離してくれない。白熊 無断転載禁止
「す、すぎもっ……」
ぺっ、と血を吐き捨てる杉元さんと目が合った。ブワッと毛が逆立つ。
「あっ、ごめ……」
杉元さんがバッと手を離して一気に後ずさった。ゴン、と痛そうな音とともに木の幹にぶつかって止まる。
「……よそでやってくれねぇか」
尾形さんが迷惑そうに言い放つ。いつもなら喧嘩になりそうなのに、真っ赤な顔でパクパクと口を開けたり閉じたりするだけで杉元さんは何も言い返さない。杉元さんの口の端に少し血が付いているのに気づき、先ほどの行為をまた思い出して羞恥心で膝から崩れ落ちた。
「もうお嫁に行けないっ……!」
「可哀想になぁ、傷物にされちまって」
言葉とは裏腹に随分と楽しそうな声が降ってくる。顔を上げなくても尾形さんがニヤニヤしているのが手に取るように分かった。「ちゃんと責任取ってやれよ杉元」と話を振られた杉元さんが言葉にならない言葉で叫び返す。まるで鯉登少尉だ。追い打ちをかけるように、落ち着きを取り戻したアシリパさんの声が聞こえてきた。
「杉元、ナマエ、この蛇に毒はないぞ」
アシリパさんそれ早く言って!!私達二人分の絶叫が森にこだました。
足場の悪い道を渡ろうと木に手をついた瞬間、焼けるような痛みを手首に感じた。蛇だ。蛇に噛まれた。認識した時にはアシリパさんのぎぃいいいいいッ!というこの世のものとは思えない絶叫が森に響いた。蛇よりもそちらに驚いて今度は足を滑らせてしまう。
「どうしたアシリパさんっ!」
先頭を歩いていた杉元さんが焦ったように駆けてくる。私が足を滑らせ、よろけたせいで噛みついたままの蛇がビッタンビッタンと振り回される。牙がさらに深く肉に食い込み痛みに呻く。暴れる蛇にアシリパさんが泡を吹く。まさに阿鼻叫喚である。
「わっ!ナマエさん!手!!」
私を噛んだままの蛇に気づくと、杉元さんが慌てて銃剣で切り落としてくれた。いつもは頼りになるアシリパさんも錯乱状態で、この後の処置などについても教えてくれそうにない。
「ゔぅっ……」
恐る恐る手首についたままの蛇の頭を外す。気持ち悪い。落とされた首から、ボタボタと血が滴る。真っ黒な瞳孔が大きく開いている。手首にぽっかりと空いた二つの穴からは、血が流れ出ていた。
「これ毒あるのかな、あったらヤバいよねッ?!」
言い終わるや否や、焦ったように杉元さんが傷口に吸い付いた。皮膚をぢゅううと強く吸われる。
「ひぃっ……」
痛い。痛いけど、それだけじゃない。ぞわぞわっとした感覚が手首から脳天に突き抜ける。痛みに紛れて杉元さんの唇の感触が伝わってくる。患部の近くで蠢く舌を感じてしまって、ぶるりと身震いした。掴まれた腕の感覚がどんどん敏感になる。手首に他人の粘膜が押し当てられている感触に、大きな羞恥心と少しの邪な感情が育っていく。もうやめて欲しくて手を引くが、真剣に毒を吸い出そうとしている杉元さんががっちりと掴んでいて離してくれない。白熊 無断転載禁止
「す、すぎもっ……」
ぺっ、と血を吐き捨てる杉元さんと目が合った。ブワッと毛が逆立つ。
「あっ、ごめ……」
杉元さんがバッと手を離して一気に後ずさった。ゴン、と痛そうな音とともに木の幹にぶつかって止まる。
「……よそでやってくれねぇか」
尾形さんが迷惑そうに言い放つ。いつもなら喧嘩になりそうなのに、真っ赤な顔でパクパクと口を開けたり閉じたりするだけで杉元さんは何も言い返さない。杉元さんの口の端に少し血が付いているのに気づき、先ほどの行為をまた思い出して羞恥心で膝から崩れ落ちた。
「もうお嫁に行けないっ……!」
「可哀想になぁ、傷物にされちまって」
言葉とは裏腹に随分と楽しそうな声が降ってくる。顔を上げなくても尾形さんがニヤニヤしているのが手に取るように分かった。「ちゃんと責任取ってやれよ杉元」と話を振られた杉元さんが言葉にならない言葉で叫び返す。まるで鯉登少尉だ。追い打ちをかけるように、落ち着きを取り戻したアシリパさんの声が聞こえてきた。
「杉元、ナマエ、この蛇に毒はないぞ」
アシリパさんそれ早く言って!!私達二人分の絶叫が森にこだました。
