桜庭愛理迷います
翌朝
小屋を出ると県警の捜査員が乗っているバスが一台停車していた
大友さんは炭焼き小屋の前で雪掻きをしている
由衣「蘭さん、元太君、光彦君はこちらの車に乗ってください」
大和警部と高にぃがなにやら話し合う傍から、由衣さんが一歩踏み出し、蘭ちゃんたちに声を掛ける。大和警部も顔を上げ「ああ」と首を縦に降る
大和「犯人の目撃者だ。県警で保護する、俺たちは別ルートで下山する」
松田「姫もな」
「わかりました」
松田「(寒そうにしてやがる。)」
蘭「あの、コナン君 歩美ちゃん 哀ちゃん。子供たちは一緒にしてあげたいんですが...」
由衣「それもそうね。じゃあみんな一緒に乗って」
「「「はーい!」」」
元気に返事をしてバスにわいわいと乗り込む子供たち
小五郎さんも一人顔を背けた…けど
コナン「結局犯人見つからなかったの?」
コナン君の言葉にピタリと止まった
由衣「ええ。県警が山道へ続く道は封鎖したはずなのに」
高明「犯人はどうやって姿を消したんでしょう」
毛利「バスのほうこれ以上は満席だ、俺はいい。阿笠博士あんたが変わりに乗ってくれ」
博士「しかし毛利君...」
毛利「俺は彼らと下山しますから。」
後ろにいた美和子さんと高木刑事を示す
高木「少し下れば、我々の車があります」
コナン「じゃあボクもそれで帰る!」
小五郎さんは身を屈めて「コラ!」とコナン君を怒った
車に乗っている哀ちゃんもため息を吐いていた
小五郎「ガキ共は一緒の車乗っていけ!」
コナン「なら愛理姉ちゃんはいいの〜?」
「大丈夫よ。陣平にぃや伊達さんが守ってくれるから」
コナン「そっか。でもさ?博士が乗るなら二人分必要だからボクも乗らない方がいいと思って」
博士「サラッとひどいこと言うのう」
バスに乗り込みながら凹んだ博士
蘭「もう。行きましょう博士、お父さんコナン君よろしくね」
毛利「.....わァったよ。たくっ!」
コナン「ヘヘッ」
蘭「愛理姉も気を付けてね?松田刑事と伊達刑事。愛理姉のことよろしくお願いします」
「ええ」
伊達「おう」
バスに乗った蘭ちゃんに向けて手を振り、下山の準備をする
佐藤「越智さんも我々の車で送りましょうか?」
越智「いえ、天文台の車停めっぱなしなんでそれで帰らないと」
佐藤「ではお気を付けて」
「コナン君?」
コナン「ちょっと大友さんに聞きたいことあるから、待ってて!」
毛利「あぁ?」
少し離れた所で雪掻きをしている大友さんの元へ向かったコナン君
距離的に会話内容は聞こえないけど、読唇術で読み取れそう
───ブッパ、ってどういう意味?
と聞いていた
だが、大友さんはたいした意味は無いと答える
コナン「ごめんごめん!おまたせ」
戻ったコナン君。大友さんも挨拶にとやって来た
大友「皆さんお気を付けて」
由衣「お世話になりました。」
大友「では」
頭を下げた由衣さんを横目にコナン君は大和警部に尋ねた
大和「ブッパ...マタギの古い言葉で“鉄砲を持った狩人”っていう意味だ」
コナン君は相槌を打ち、小屋に掛けられている名前を見た
山の中は濃い霧が立ち込めていて、風も少しありとても寒い
伊達「大丈夫か?姫さん」
「はい」
コナン「(愛理姉震えてる。相当寒いんだろうな)」
下る道の最中...大きな段差があったのでジャンプをした
小五郎さんも下り、コナン君が降りるのを見る
コナン「.....あっ。」
軽くジャンプしたコナン君が声を漏らす
前を向くと構林の向こうに見える断崖の麓で、石で作られた墓に向かって手を合わせている真希さんの父親である...舟久保英三さんがいた
美和子さん達がお墓に近づき舟久保さんに声を掛けた
佐藤「舟久保さん。一晩中捜索お疲れ様でした」
こちらに振り返ってきた所に高木刑事が尋ねる
高木「それは真希さんのお墓ですか?」
舟久保「ああ」
毛利「確か...今日が命日だと。」
少し目を細め、話し込む小五郎さんたちの横を通ってお墓の前に来て膝を曲げる。炎が灯される蝋燭が一本置かれていて...お供え花ともう一つ花が添えられている
(これは...ザゼンソウ....?)
眉を寄せながら枯れかけているのを見つめる
こんな雪山の中で見つけるには相当山に詳しくないと
舟久保「.....俺せいだ。」
顔を上げ、舟久保さんの方を見上げる。
舟久保「あの日...8年前に俺が猟に使う弾薬の在庫を訊いたら、確認してくるってわざわざあんな夜中に」
───「あ、お父さん。帰ったら話があるの!」
当時、真希さんは照れくさそうにそう告げたそう。。
舟久保「真希が誰かと付き合ってることには気付いていた。もしかしたら、結婚の話だったのかもしれない...」
伊達さんの表情が真剣になる。そして私の方へと目線を向けてきた
舟久保「嬉しそうに恥ずかしそうに言ったその言葉が今でも耳から離れない。俺はその話を...永遠に聞けなくなってしまった。あれから、命日にはここに花を供えに来るんだ.....」
コナン「でも、この手前の花だけ枯れかけてる?」
いつの間にか私の横にしゃがんでいたコナン君
舟久保「ああ、この白いザゼンソウは毎年命日より早くに供えられてる」
佐藤「誰がそれを?」
舟久保「ん...。」
舟久保さんは俯き気味に首を横に振る
毛利「ザゼンソウ、変わった名ですな」
舟久保「花の形が座禅する僧侶に見えることから、そう呼ばれる。雪の中に咲く花だ...この山もある」
コナン「じゃあ、この花はこの山で摘んだのかな?」
墓の周囲にある暖かい土に触れながら問いかけたコナン君
舟久保「だとしたらよほど山に慣れた人だ。この雪の中で白いザゼンソウを見つけるのは、到難の業だからな...」
背に背負うガンケースに手をやり立ち去って行く...
コナン達とは別の坂道を下る大和と由衣
大和「ついてくるな。」
由衣「...!」
大和「お前は1人で県警に戻れ」
前を歩く大和の言葉に由衣は言い返す
由衣「1人になって犯人を誘き出そうとしてるんでしょ?そんな自 殺志願者は放っておけない」
大和は足を止め、懐から拳銃を取り出す
大和「俺は死ぬ気はねぇよ」
由衣も立ち止まり拳銃を両手で取った
由衣「なら、1人より2人のほう__」
ダ ン ──────────── !
大和の足元に咲く赤みのザゼンソウが弾け散る
「!?…行こう陣平にぃ。伊達さん」
墓から元の道に戻ろうとした時、未来が見えた...
松田/伊達「「嗚呼!!」」
佐藤「え!ちょっと、愛理ちゃん!? 2人も!」
続けざまに大和の足元の雪を撃ち抜く
由衣は大和警部を支えながら2人とも、咄嗟に離れて近くの木陰に身を隠す。大和はポケットからPⅢ端末を取り出して叫ぶ
大和「高明!今の見えたか!?」
崖上の木陰に身を潜めていた諸伏に問う
高明『えぇ。発砲したときの光、マズルフラッシュが君の進行方向から見て八時の方角でした。挟み撃ちといきましょう』
大和は木陰の間から八時方向を覗く
キ ラ ___と斜面先の茂みで光った
ド ン ──────────!
走って着いてくる陣平にぃと伊達さんはハッとした、後ろから困惑しながらやって来ていたコナン君達もようやく銃声が耳に届いたそうで目を見開く
佐藤「今の銃声は...!?」
毛利「こっちだ!」
二手に別れた由衣に向けて、大和は拳銃を振って合図を出す。由衣は木陰から身を出して茂みの方へ発砲した
ド ン ─── !
フードを被る犯人の姿が見えた
茂みから飛び出し、カバーを掛けた銃を撃ってきた
ザ ザー ッ ! !
更に勢いを付けて斜面を駆け下りて行く。大和と由衣は木陰から拳銃を数発放つ、由衣はしゃがみ込み様子を伺う...その隙に大和は弾が尽きた拳銃の中身を素早く入れ替える
大和「くっ...」
シリンダーを降ってしまい、親指でハンマーを下ろす
ド ン ──! ドン ─────! ド ン ──────── !
どんどん撃ち込まれてくる弾に、2人は撃ち返していっていたが追い込まれ後退して行く一方。。木の幹が着々と削られ、逃げたくてもその先は崖の縁がある....
小屋を出ると県警の捜査員が乗っているバスが一台停車していた
大友さんは炭焼き小屋の前で雪掻きをしている
由衣「蘭さん、元太君、光彦君はこちらの車に乗ってください」
大和警部と高にぃがなにやら話し合う傍から、由衣さんが一歩踏み出し、蘭ちゃんたちに声を掛ける。大和警部も顔を上げ「ああ」と首を縦に降る
大和「犯人の目撃者だ。県警で保護する、俺たちは別ルートで下山する」
松田「姫もな」
「わかりました」
松田「(寒そうにしてやがる。)」
蘭「あの、コナン君 歩美ちゃん 哀ちゃん。子供たちは一緒にしてあげたいんですが...」
由衣「それもそうね。じゃあみんな一緒に乗って」
「「「はーい!」」」
元気に返事をしてバスにわいわいと乗り込む子供たち
小五郎さんも一人顔を背けた…けど
コナン「結局犯人見つからなかったの?」
コナン君の言葉にピタリと止まった
由衣「ええ。県警が山道へ続く道は封鎖したはずなのに」
高明「犯人はどうやって姿を消したんでしょう」
毛利「バスのほうこれ以上は満席だ、俺はいい。阿笠博士あんたが変わりに乗ってくれ」
博士「しかし毛利君...」
毛利「俺は彼らと下山しますから。」
後ろにいた美和子さんと高木刑事を示す
高木「少し下れば、我々の車があります」
コナン「じゃあボクもそれで帰る!」
小五郎さんは身を屈めて「コラ!」とコナン君を怒った
車に乗っている哀ちゃんもため息を吐いていた
小五郎「ガキ共は一緒の車乗っていけ!」
コナン「なら愛理姉ちゃんはいいの〜?」
「大丈夫よ。陣平にぃや伊達さんが守ってくれるから」
コナン「そっか。でもさ?博士が乗るなら二人分必要だからボクも乗らない方がいいと思って」
博士「サラッとひどいこと言うのう」
バスに乗り込みながら凹んだ博士
蘭「もう。行きましょう博士、お父さんコナン君よろしくね」
毛利「.....わァったよ。たくっ!」
コナン「ヘヘッ」
蘭「愛理姉も気を付けてね?松田刑事と伊達刑事。愛理姉のことよろしくお願いします」
「ええ」
伊達「おう」
バスに乗った蘭ちゃんに向けて手を振り、下山の準備をする
佐藤「越智さんも我々の車で送りましょうか?」
越智「いえ、天文台の車停めっぱなしなんでそれで帰らないと」
佐藤「ではお気を付けて」
「コナン君?」
コナン「ちょっと大友さんに聞きたいことあるから、待ってて!」
毛利「あぁ?」
少し離れた所で雪掻きをしている大友さんの元へ向かったコナン君
距離的に会話内容は聞こえないけど、読唇術で読み取れそう
───ブッパ、ってどういう意味?
と聞いていた
だが、大友さんはたいした意味は無いと答える
コナン「ごめんごめん!おまたせ」
戻ったコナン君。大友さんも挨拶にとやって来た
大友「皆さんお気を付けて」
由衣「お世話になりました。」
大友「では」
頭を下げた由衣さんを横目にコナン君は大和警部に尋ねた
大和「ブッパ...マタギの古い言葉で“鉄砲を持った狩人”っていう意味だ」
コナン君は相槌を打ち、小屋に掛けられている名前を見た
山の中は濃い霧が立ち込めていて、風も少しありとても寒い
伊達「大丈夫か?姫さん」
「はい」
コナン「(愛理姉震えてる。相当寒いんだろうな)」
下る道の最中...大きな段差があったのでジャンプをした
小五郎さんも下り、コナン君が降りるのを見る
コナン「.....あっ。」
軽くジャンプしたコナン君が声を漏らす
前を向くと構林の向こうに見える断崖の麓で、石で作られた墓に向かって手を合わせている真希さんの父親である...舟久保英三さんがいた
美和子さん達がお墓に近づき舟久保さんに声を掛けた
佐藤「舟久保さん。一晩中捜索お疲れ様でした」
こちらに振り返ってきた所に高木刑事が尋ねる
高木「それは真希さんのお墓ですか?」
舟久保「ああ」
毛利「確か...今日が命日だと。」
少し目を細め、話し込む小五郎さんたちの横を通ってお墓の前に来て膝を曲げる。炎が灯される蝋燭が一本置かれていて...お供え花ともう一つ花が添えられている
(これは...ザゼンソウ....?)
眉を寄せながら枯れかけているのを見つめる
こんな雪山の中で見つけるには相当山に詳しくないと
舟久保「.....俺せいだ。」
顔を上げ、舟久保さんの方を見上げる。
舟久保「あの日...8年前に俺が猟に使う弾薬の在庫を訊いたら、確認してくるってわざわざあんな夜中に」
───「あ、お父さん。帰ったら話があるの!」
当時、真希さんは照れくさそうにそう告げたそう。。
舟久保「真希が誰かと付き合ってることには気付いていた。もしかしたら、結婚の話だったのかもしれない...」
伊達さんの表情が真剣になる。そして私の方へと目線を向けてきた
舟久保「嬉しそうに恥ずかしそうに言ったその言葉が今でも耳から離れない。俺はその話を...永遠に聞けなくなってしまった。あれから、命日にはここに花を供えに来るんだ.....」
コナン「でも、この手前の花だけ枯れかけてる?」
いつの間にか私の横にしゃがんでいたコナン君
舟久保「ああ、この白いザゼンソウは毎年命日より早くに供えられてる」
佐藤「誰がそれを?」
舟久保「ん...。」
舟久保さんは俯き気味に首を横に振る
毛利「ザゼンソウ、変わった名ですな」
舟久保「花の形が座禅する僧侶に見えることから、そう呼ばれる。雪の中に咲く花だ...この山もある」
コナン「じゃあ、この花はこの山で摘んだのかな?」
墓の周囲にある暖かい土に触れながら問いかけたコナン君
舟久保「だとしたらよほど山に慣れた人だ。この雪の中で白いザゼンソウを見つけるのは、到難の業だからな...」
背に背負うガンケースに手をやり立ち去って行く...
コナン達とは別の坂道を下る大和と由衣
大和「ついてくるな。」
由衣「...!」
大和「お前は1人で県警に戻れ」
前を歩く大和の言葉に由衣は言い返す
由衣「1人になって犯人を誘き出そうとしてるんでしょ?そんな自 殺志願者は放っておけない」
大和は足を止め、懐から拳銃を取り出す
大和「俺は死ぬ気はねぇよ」
由衣も立ち止まり拳銃を両手で取った
由衣「なら、1人より2人のほう__」
ダ ン ──────────── !
大和の足元に咲く赤みのザゼンソウが弾け散る
「!?…行こう陣平にぃ。伊達さん」
墓から元の道に戻ろうとした時、未来が見えた...
松田/伊達「「嗚呼!!」」
佐藤「え!ちょっと、愛理ちゃん!? 2人も!」
続けざまに大和の足元の雪を撃ち抜く
由衣は大和警部を支えながら2人とも、咄嗟に離れて近くの木陰に身を隠す。大和はポケットからPⅢ端末を取り出して叫ぶ
大和「高明!今の見えたか!?」
崖上の木陰に身を潜めていた諸伏に問う
高明『えぇ。発砲したときの光、マズルフラッシュが君の進行方向から見て八時の方角でした。挟み撃ちといきましょう』
大和は木陰の間から八時方向を覗く
キ ラ ___と斜面先の茂みで光った
ド ン ──────────!
走って着いてくる陣平にぃと伊達さんはハッとした、後ろから困惑しながらやって来ていたコナン君達もようやく銃声が耳に届いたそうで目を見開く
佐藤「今の銃声は...!?」
毛利「こっちだ!」
二手に別れた由衣に向けて、大和は拳銃を振って合図を出す。由衣は木陰から身を出して茂みの方へ発砲した
ド ン ─── !
フードを被る犯人の姿が見えた
茂みから飛び出し、カバーを掛けた銃を撃ってきた
ザ ザー ッ ! !
更に勢いを付けて斜面を駆け下りて行く。大和と由衣は木陰から拳銃を数発放つ、由衣はしゃがみ込み様子を伺う...その隙に大和は弾が尽きた拳銃の中身を素早く入れ替える
大和「くっ...」
シリンダーを降ってしまい、親指でハンマーを下ろす
ド ン ──! ドン ─────! ド ン ──────── !
どんどん撃ち込まれてくる弾に、2人は撃ち返していっていたが追い込まれ後退して行く一方。。木の幹が着々と削られ、逃げたくてもその先は崖の縁がある....