桜庭愛理迷います
残ったのは読み通り風見さんだ
梓さんが去ったのをチラッと確認した後、展示ケースに向き直る
そしてケースの側面に手をかけた
コナン《やめときな》
そこに響いたのはコナン君の声
暗闇に包まれた会場の端のベンチに、彼は座っていた
コナン《そいつを今開けると、天井に押しつぶされちまうぜ。中森警部に仕掛けの電源を入れてもらったからね》
コナンが忠告した後、隣にいた零さんが持っていた探偵バッジを口元へ近づける
安室「トリックはダブルリフトの応用。ケースの蓋を開けているように見せて、実は本物のケースはその下に隠している」
風見さんはハッとしてコナン君と反対側のベンチを振り返った
そこに座っていたのは零さんの服を着た風見さん
監視カメラからの角度だと、キャップで顔は隠れている
会場も暗闇のせいで、彼が偽物だということはキッドも気づかないだろう
本物の零さんより少しガタイがいい気がするけれど、あまり関わりのないキッドじゃ、その些細な違いはわからないはず
安室「この展示場に白い塗料を噴霧して、ケースを白くした後、室内がモヤってる中、ケースの上に用意していた偽のケースを貼り付けたんだ。さらに塗料が噴霧されたら、その境目が分からなくなるようにピッタリとね。当然後でコナンくんが開けても何もないわけさ。最初から何も入っていない偽のケースなんだから。…そうですよね?怪盗キッドさん?」
零さんが問い詰めると、風見さんはフッと笑みを浮かべた
そして、自身の頬を摘まむと付けていた変装マスクを剥ぎ取った
同時に白い煙幕が上がり、その姿も風見さんのスーツからいつものキッドの姿に変わる
キッド《どこで気づいた?》
コナン《このベンチの脚だよ。犯行前は真ん中の脚が少し太かったのに、犯行後には両脇の脚と同じ太さになっていた》
展示会場の写真を見て、コナン君と一緒に気付いた違和感
コナン《だからその箱状の何かをトリックに使ったと思ったんだ。ま、仕込んだのは昼間オメーが客としてここに来たときだろうけど》
キッド《じゃあ、俺が風見って公安に変装してるって気づいたのは?》
コナン《手についた塗料だよ》
コナン君に言われ、今は手袋で隠れた自分の手の平を見るキッド
コナン《オメーが変装できたのはガスマスクをしてなかった4人。安室さんは指の腹に塗料がついていて、愛理姉は何もついてない。梓さんは手の甲についていたのに、オメーの手の平には小指と薬指の内側から小指球にかけて白い塗料がついていた。あれは塗料で白く染まった展示ケースの上に偽のケースを貼り付けた時ぴったりと重ねるには、手を添えなければならなかったからだよな?》
会場の出入り口からぞろぞろと人が入ってきた
中森警部と治郎吉さんを筆頭とした機動隊員だ
コナン《まぁ、梓さんと安室さんはポアロの新メニューが“カルボナーラ”と知っていたから本人だと分かったよ。カルボナーラは別名、“炭焼き職人風パスタ”だからね。それに、この状況でオメーが愛理姉に化けるにはリスクが高すぎるしな》
私に化けたとしても、零さんが瞬時に気付くとキッドも想定していたはず
安室「それと、風見が行っていたのはアイドルフェス。その会場のことをファンは“現場”と呼んでいるのを知っていましたか?」
キッド《じゃああの時、“現場は大盛況!”って答えればよかったのね》
公安の、ましてやお堅そうな見た目の風見さんが、まさかアイドルフェスに行っているだなんてキッドも思ってもみなかっただろう
中森《その公安もトイレの用具入れから救出済みだ》
治郎吉《観念せい。もう汝に逃げ場はない》
じりじりと中森警部と治郎吉さんがキッドに近づいていく
キッド《さ~て。そいつはどうかな?》
キッドはトランプ銃を構えると、会場の出入り口に向けて発砲した
飛び出たトランプは出入り口横の壁に突き刺さる
そのトランプと銃口は紐で繋がれていた
そしてキッドは展示ケースに手をかけ、その蓋を開ける
中森《っ!た、退避ぃ!!》
トラップが発動する前に、中森警部たちは慌てて会場を飛び出て行く
ティアラを手にしたキッドはそれをシルクハットの上から被り、天井が落ちきる前にトランプ銃から飛び出た紐の反動を使って会場の外へ飛びさる
その直後、轟音と共に天井が落ちた
土埃と共に、監視カメラの映像は何も映さなくなった
降谷「上がるぞ」
零さんに言われ、スマホをポケットにしまう
1つ上の鐘がある狭い屋上に零さんと共に梯子で昇った
「ここに上がってきたら、キッドは多分月が見える方に立つと思う」
降谷「じゃあ、反対側の柱の陰に隠れよう」
月とは反対側の右側の柱に身を隠す
左側の柱に身を隠した機動隊姿の零さんをちらりと見ると、その手に手錠が握られているのが見えて内心焦りが芽生えた
…捕まってしまうのかしら
大丈夫、怪斗君ならうまくかわせるはず
そんなことを考えていると、真下が騒がしくなってきた
そして、屋上の縁にトランプが突き刺さって、下からキッドが飛び出してきた
予想通り、反対側の月の出ている方に着地したキッドに見つからないよう、気配と息を殺し、様子を見る
キッド「さてと。いつも通り翼を広げてお暇しましょうかね」
ティアラに埋め込まれたガーネットがパンドラかは、あとでゆっくりするようだ
余裕を見せてハンググライダーを展開しようと、右手をベルトに移動させるキッドの隙をついて、零さんが動いた
梓さんが去ったのをチラッと確認した後、展示ケースに向き直る
そしてケースの側面に手をかけた
コナン《やめときな》
そこに響いたのはコナン君の声
暗闇に包まれた会場の端のベンチに、彼は座っていた
コナン《そいつを今開けると、天井に押しつぶされちまうぜ。中森警部に仕掛けの電源を入れてもらったからね》
コナンが忠告した後、隣にいた零さんが持っていた探偵バッジを口元へ近づける
安室「トリックはダブルリフトの応用。ケースの蓋を開けているように見せて、実は本物のケースはその下に隠している」
風見さんはハッとしてコナン君と反対側のベンチを振り返った
そこに座っていたのは零さんの服を着た風見さん
監視カメラからの角度だと、キャップで顔は隠れている
会場も暗闇のせいで、彼が偽物だということはキッドも気づかないだろう
本物の零さんより少しガタイがいい気がするけれど、あまり関わりのないキッドじゃ、その些細な違いはわからないはず
安室「この展示場に白い塗料を噴霧して、ケースを白くした後、室内がモヤってる中、ケースの上に用意していた偽のケースを貼り付けたんだ。さらに塗料が噴霧されたら、その境目が分からなくなるようにピッタリとね。当然後でコナンくんが開けても何もないわけさ。最初から何も入っていない偽のケースなんだから。…そうですよね?怪盗キッドさん?」
零さんが問い詰めると、風見さんはフッと笑みを浮かべた
そして、自身の頬を摘まむと付けていた変装マスクを剥ぎ取った
同時に白い煙幕が上がり、その姿も風見さんのスーツからいつものキッドの姿に変わる
キッド《どこで気づいた?》
コナン《このベンチの脚だよ。犯行前は真ん中の脚が少し太かったのに、犯行後には両脇の脚と同じ太さになっていた》
展示会場の写真を見て、コナン君と一緒に気付いた違和感
コナン《だからその箱状の何かをトリックに使ったと思ったんだ。ま、仕込んだのは昼間オメーが客としてここに来たときだろうけど》
キッド《じゃあ、俺が風見って公安に変装してるって気づいたのは?》
コナン《手についた塗料だよ》
コナン君に言われ、今は手袋で隠れた自分の手の平を見るキッド
コナン《オメーが変装できたのはガスマスクをしてなかった4人。安室さんは指の腹に塗料がついていて、愛理姉は何もついてない。梓さんは手の甲についていたのに、オメーの手の平には小指と薬指の内側から小指球にかけて白い塗料がついていた。あれは塗料で白く染まった展示ケースの上に偽のケースを貼り付けた時ぴったりと重ねるには、手を添えなければならなかったからだよな?》
会場の出入り口からぞろぞろと人が入ってきた
中森警部と治郎吉さんを筆頭とした機動隊員だ
コナン《まぁ、梓さんと安室さんはポアロの新メニューが“カルボナーラ”と知っていたから本人だと分かったよ。カルボナーラは別名、“炭焼き職人風パスタ”だからね。それに、この状況でオメーが愛理姉に化けるにはリスクが高すぎるしな》
私に化けたとしても、零さんが瞬時に気付くとキッドも想定していたはず
安室「それと、風見が行っていたのはアイドルフェス。その会場のことをファンは“現場”と呼んでいるのを知っていましたか?」
キッド《じゃああの時、“現場は大盛況!”って答えればよかったのね》
公安の、ましてやお堅そうな見た目の風見さんが、まさかアイドルフェスに行っているだなんてキッドも思ってもみなかっただろう
中森《その公安もトイレの用具入れから救出済みだ》
治郎吉《観念せい。もう汝に逃げ場はない》
じりじりと中森警部と治郎吉さんがキッドに近づいていく
キッド《さ~て。そいつはどうかな?》
キッドはトランプ銃を構えると、会場の出入り口に向けて発砲した
飛び出たトランプは出入り口横の壁に突き刺さる
そのトランプと銃口は紐で繋がれていた
そしてキッドは展示ケースに手をかけ、その蓋を開ける
中森《っ!た、退避ぃ!!》
トラップが発動する前に、中森警部たちは慌てて会場を飛び出て行く
ティアラを手にしたキッドはそれをシルクハットの上から被り、天井が落ちきる前にトランプ銃から飛び出た紐の反動を使って会場の外へ飛びさる
その直後、轟音と共に天井が落ちた
土埃と共に、監視カメラの映像は何も映さなくなった
降谷「上がるぞ」
零さんに言われ、スマホをポケットにしまう
1つ上の鐘がある狭い屋上に零さんと共に梯子で昇った
「ここに上がってきたら、キッドは多分月が見える方に立つと思う」
降谷「じゃあ、反対側の柱の陰に隠れよう」
月とは反対側の右側の柱に身を隠す
左側の柱に身を隠した機動隊姿の零さんをちらりと見ると、その手に手錠が握られているのが見えて内心焦りが芽生えた
…捕まってしまうのかしら
大丈夫、怪斗君ならうまくかわせるはず
そんなことを考えていると、真下が騒がしくなってきた
そして、屋上の縁にトランプが突き刺さって、下からキッドが飛び出してきた
予想通り、反対側の月の出ている方に着地したキッドに見つからないよう、気配と息を殺し、様子を見る
キッド「さてと。いつも通り翼を広げてお暇しましょうかね」
ティアラに埋め込まれたガーネットがパンドラかは、あとでゆっくりするようだ
余裕を見せてハンググライダーを展開しようと、右手をベルトに移動させるキッドの隙をついて、零さんが動いた