桜庭愛理迷います

緊張した空気が流れる中、パパのスマホが鳴った

コナン「きた!?」

沖矢「いや。キャメルからではなく…コードネーム”キール”で組織に潜入している、CIAの水無怜奈からだ」

水無さんから直接パパに着信…

沖矢「…赤井だ。今話せる状況なのか?」

驚くコナン君をよそに、沖矢さんの声で通話に出るパパ

水無『ええ。海猿島に上陸して、キャメル捜査官を手分けして捜すことになったから。海ボタルのトンネルの出口で、彼を撃ったのは私。そのときは急所を外して撃ったけど、次に撃てと言われたら、悪いけど顔を狙わせてもらうわよ。組織の中に、キャメル捜査官の顔を覚えているメンバーがいるようだから。…いいわよね?』

キャメルさんが生きていることがバレれば、キールさんの立場も危うい

沖矢「……ああ。問題はない」

キールさんがNOCだとバレれば、芋づる式にパパの生存も明るみに出るかもしれない

最悪の場合、キャメルさんに犠牲になってもらうしかないということ…

そんなことは絶対にさせないけど

「……あの、一つだけ聞きたいことがあるのですが」

再度身を乗り出し、キールさんに声をかけた

水無『その声…もしかして愛理ちゃん?』

以前私がモデルをしていたときインタビューをしてくれたことがある

私の声を覚えていてくれてよかった

「はい。…そこに、バーボンとカルーアはいますか?」

キール『…いえ。ここにはいないわ。……安心できた?』

そう聞いてくる声は優しい。

「できました。ありがとうございます」

これで迷いはなくなった

キール『じゃあ、キャメル捜査官のことはそういうことだから』

再び厳しいキールさんの声に戻り、通話は切れた

コナン「愛理姉、いつの間にキールと…」

「以前インタビューを受けたことがあって」

沖矢「バーボンとの関係を知っているようだが」

「私は直接言ってないんだけど…女性の勘かな?」

コナン「2人とも、あまり隠す気ないしね…」

呆れたように見てくるコナン君

ちゃんと、バレてもいい人間とダメな人間は見極めているつもりなんだけれど


キャメル『すみません…、今、やつらの目を掻い潜って海猿島のカフェに逃げ込みました…』

そこに息を切らせたキャメルさんの声が聞こえてきた

沖矢「カフェか…。なら、コーヒー豆の麻袋を調達できないか?それと粘着テープとカッターナイフ。それからカフェならストローもあるはず」

キャメル『コーヒー豆の麻袋と粘着テープにカッターナイフ…、ストローですか?…探してみます』

それらから、パパがキャメルさんに何をさせようとしているのか察した

少しして、道具が揃ったとキャメルから報告が入った。

キャメル『コーヒー豆の麻袋も3つ入手できました。1つはコーヒー豆が入っていたので、抜かせてもらいましたけど…、でも、こんなもの一体何に?』

沖矢「お前をより自然に同化させるために必要なんだよ」

「今、キャメルさんが持っているものを教えてもらってもいいですか?」

キャメル『大したものは持っていません。ペンライトにFBIのIDとGPSの壊れたスマホに、それと連動しているインカム。…あ、そういえば…出かける前に赤井さんに頂いたハンチング帽も捨てずに持ってます。後で返さなきゃと思って』

コナン「…赤井さん、その帽子ってもしかして…」

沖矢「ああ。俺のニット帽と同じ…、阿笠博士の発明品だ。でかしたぞ、キャメル。そいつは切り札になるかもしれん」

阿笠博士の発明品の帽子…。

パパのニット帽と同じということは、以前死の偽装をするときに使った…

考えていた時、カランコロンという軽快な鈴の音と共に組織の人間が入ってくる未来が見えた

「逃げて」

キャメル『え?』

キャメルさんにそう伝えた直後、鈴の音が聞こえてきた

「(…遅かった)」

キャメル『い…今、やつらがカフェに…』

キャメルさんからの報告にコナン君とパパは息を呑む

沖矢「退路は確保できているか?」

キャメル『はい』

「ならすぐにそこから離れてください。スカウトスーツは建物内だと逆に目立ちます!」

会話は聞き取れないけれど、微かに男女の声が聞こえてくる

かなり近い距離にいるみたい

声の近さがなかなか変わらないところを察するに、キャメルさんは身動きが取れないのか、あるいは会話に聞き耳を立てているらしい

沖矢「キャメル。どうした」

キャメル『いや…、今ちょっと…』

「!?…はぁ…はぁ」

コナン「愛理姉、一緒に呼吸しよう(過呼吸を起こしかけてる!?何かを見たってことか)」

「はや・・に」

私が伝えようとした数秒後、発砲音が聞こえ向こうが騒がしくなった

組織の人間に見つかったのだ

コナン「(くそっ!愛理姉はこの未来を見たのか!)」

足音と扉が開く音、微かに何かが床に倒れる音も聞こえてきた
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