コナンSide

コ(あの気配…)

俺は隣で現場を見て回る小さな姉さんをチラッと見た

愛理「私たちはそれなりに戦える。お望みなら今、貴方をここで黙らせることだってできるのよ？」

ゲームの中だから昨日と言っていいのか分からないが、昨夜姉さんが放った冷たい空気は愛理姉のお父さんに似ていた気がした。

最近この雰囲気を出すことが増えたように感じる。何か心境の変化でもあったのだろうか。

愛理「ハニー・チャールストンが殺害されていた日には親子バザーが開催されていたみたいね」

姉さんの言葉に考え事は一旦中断される
声のする方を見れば姉さんは教会の石壁に貼られた貼り紙を見上げていた

コ「(…今はこっちが優先だ。姉さんのことはまた今度考えよう)」

俺は頭を切り替えた

ー愛理Sideー

新一君と現場を回って数分して皆が待っている階段に戻る
新一君は何か考え込んでいたようだが、現場を見て何か引っかかったのかと特に気にしなかった

私たちはその後、新聞売りから新聞を買うとモリアーティ教授からジャック・ザ・リッパーへの指令と思われる記事を発見した

今宵、
オペラ劇場の
掃除をされたし。

MよりJへ

更に同じ新聞からターゲットは現在オペラ劇場にて凱旋公演を行なっているホームズの愛する人、アイリーン・アドラーだということが分かった

私たちは夜になるのを待ちながらオペラ劇場に行く道中でお祝いの花束を買う

そしてオペラ劇場に入る頃、時計を見てみれば針は0時8分を指していた

「(他のステージは全滅ということ…)」

ここからが本番だろう
ジャック・ザ・リッパーが簡単に捕まえられるとも思えない
蘭ちゃんと普段の姿の私にパパがいたら可能だっただろうが今は難しい

私たちの能力を把握した上でノアズ・アークは私とパパを小さくしたのかもしれない

それにノアズ・アークは子供達に頑張ってもらいたいようだった
大人がいれば子供は大人に頼ってしまう
だから見た目だけでも子供にし、力も削いだのだろう
子供姿では知識は貸せても手は貸せないから

そんな考え事をしながら私たちはオペラ劇場の関係者入口へ足を進めた

私たちはオペラ座に入り、関係者入り口を進んでいく

「こらっ！！ここから先は関係者以外、立ち入り禁止だ！！」

そうして私たちを呼び止めたのは少し太ったおじさんだった

蘭「あ、私たち、アイリーン・アドラーさんの知り合いなんです…。本番前に激励を…」

「おう、彼女の知り合いかね？」

コナン「はい！！控室はどこですか？」

「それなら一番奥でポスターが貼ってある部屋だよ！！」

「(私たちの詳細を本人に確認しないで場所を教えて通すなんて…。警備が甘いわね…。まあ、今回はありがたいんだけど…。昔はこんなに簡単に行けるものなのかしら？)」

今の日本ではありえないことに少し不安に思いながらも私たちは通路を進んでいく

蘭「ここね！！どんな人だろう？ワクワクしちゃう！！」

蘭ちゃんがノックをする

「どうぞ」

「(……聞いたことのある声…)」

私がそんなことを思っている間にも新一君が扉を開ける

コナン「失礼します…」

椅子に座っているその人物が振り返り椅子から立ち上がり、こちらを振り返る

振り返ったその人は予想通りの人物で…

「(やっぱり有希子さんだ…)」

蘭「新一のお母さん！？」

アドラー「失礼ね！私はまだ独身よ！！正確に言うと、離婚して独身に戻ったんだけどね」

蘭ちゃんの言葉に有希子さん…もといアドラーさんは怒ったと思ったら次には茶目っ気のある笑顔を浮かべる

ピンクのドレスを纏った有希子さんはいつにも増して綺麗だ
更に、表情がコロコロ変わるところも有希子さんそのものだった

コナン「ホームズさんから花束です」

アドラー「まぁ、ありがとう！ホームズさんはどちらに？」

新一君がアドラーさんに花束を手渡すと、彼女はそっとそれを受け取り胸に抱えた

蘭「今夜の舞台を楽しみにしていましたけど、事件で出かけて伺えないんです…」

アドラー「そう、残念ね…」

蘭ちゃんの言葉にアドラーさんは悲しそうに呟いた

コナン「今夜の舞台は中止にしてください！」

アドラー「え？」

コナン「ホームズさんの宿敵、モリアーティ教授があなたに殺し屋を差し向けたんです！！」

アドラー「何のために私を？」

新一君の言葉にアドラーさんは取り乱すわけでも無く、不思議そうに問いかけた

蘭「あなたを失った時の、ホームズさんの悲しみを見たいからです…！」

アドラー「私も見てみたいわ…、ホームズさんが、どのくらい悲しんでくれるのか」

アドラーさんは蘭ちゃんの答えにここにいないホームズさんを思い出すように、ふ…っと笑った