桜庭愛理 推理します

「「飲んじゃダメだ/よ!!」」

コナン「ごめんなさい、王女様…」

「そのワイン、注いでくれたそのソムリエの方に味見するようお願いしていただけますか?」

コナン君の口角が自然に上がる。

「誰かそいつを!!そいつを捕まえてくれ!!」

どこからか現れたのは、恐らく本物のソムリエさん。つまり、今王女のグラスにワインを注いだのは…

「詰めが甘かったわね、偽物さん」

「押さえろ!」

「きゃー!!」

「厨房だ!外の出口を…!」

一気に騒がしくなり、パニックに陥る会場。偽ソムリエは逃げ出そうとしていた。コナンくんと一緒に、すぐさま後を追う。

「愛理姉、いけるか?」

「この人混みさえ抜ければ!…でも、その必要はなさそうよ」

コナンくんの声に答えながらも、偽ソムリエの逃げる先に見つけた人影に、私はふっと息をついた。

コナン「え?…あぁ、成程」

「ね?小五郎さん、その人捕まえてください!」

小五郎「あん?」

偽ソムリエの逃げる先に立っていたのは、トイレから出てきたところらしい小五郎さん。私がそう叫べば、小五郎さんは半ば億劫そうに偽ソムリエを見遣った。

偽ソムリエは懐からナイフを取り出したようだ。私とコナンくんは走るのをやめた。

小五郎「おりゃあ!」

「かはっ…」

偽ソムリエは毛利先生によって投げ飛ばされた。

ーサクラサクホテル会議室ー

私とコナンくん、小五郎さんはサクラサクホテルの会議室に通された。あの後すぐ、目暮警部や高木刑事がホテルに来た。

ひとまず偽ソムリエの身柄を引渡し、私達はヴェスパニア王国の伯爵、キースさんも交えて聴取を受けていた。

「致死量の毒物混入・・・。確実に命を狙っていますね。」

高木刑事の報告によれば、王女に注がれたワインには致死量の毒物が混入していたらしい。警察と王国のあいだに警備依頼などの話はなかったらしい。

「王国のSPだけで十分だと判断したもので」

「十分?厨房まで人手が回らないような警備で…」

「高木君!」

「王女様には、飲食しないように言ってあったんじゃないでしょうか?立場上、このようなことが起こる可能性は予測できるでしょうから」

「えぇ、そう打ち合わせてありました。しかし、お三方にはお礼を申し上げる」

サクラ女王とジル王子の死。
まもなく予定されていたレセプションパーティー。
そこに出席したミラ王女に対する殺人未遂。
しかも犯人は、今日初めてあった外人の男に金で雇われたらしい。
反王女グループも存在していると聞く。過激行動を厭わないらしいとも。

…嫌な予感がする

目暮「ところで、二人はどうして、あのソムリエが偽物だとわかったんだ?」

「匂いです」

高木「匂い?」

自分の鼻を指さしながらそう言うと、高木刑事が聞き返してきた。コナンくんが続ける。

コナン「あのね、あのソムリエさん、すれ違った時に煙草の匂いがしたんだ!」

「一流のソムリエのほとんどはたばこを吸いませんから」

高木「成程、それであのソムリエは偽物だと」

小五郎「ま、煙草吸うソムリエもいるだろうが、これから一国の王女にワイン注ぐって時に吸わないだろうな」

目暮「逆に、犯罪を犯す前に煙草を吸い、気持ちを落ち着かせる者は多い。さすがだな、愛理君。コナンくんもお手柄だ」

とそこで、激しい警報音が鳴り響いた。

「!?火災報知器」

キース「…!おい!どうした!」

《ミラ王女の部屋の方から、火災報知器の警報音が!》

キースさんが無線で連絡を取る。漏れ聞こえたその声に、キースさんはすぐに部屋を出ていった。

警部らと小五郎さんもキースさんの後を追い、私はコナンくんと顔を見合わせて、会議室を後にした。

ーその頃、ホテル近くの通りー

「うわ、こんな時間…パーティー終わっちゃったかな」

蘭は時計を気にしつつ走っていた。
今日は空手の練習があったためパーティーには遅れる予定だったのだが、シャワーを浴びていたら予想外に更に遅くなってしまった。

絶対園子怒ってるだろうな、と苦笑する。
少しスピードをあげようか、と前を向いた時、ドンッと向こうから走ってきた人とぶつかってしまった。

蘭「ごめんなさい!」


?「ちょっと、どこに目つけてるのよ!」

蘭「…!?」

蘭は目を疑った。彼女とぶつかったのは、愛理そっくりの、ミラ王女だったのだ。

「…ちょっと、何?」

蘭「あ、え…すいませ…うわ、愛理姉そっくり…」

「はあ?」

「!発見しました、すぐに連れて戻ります」

「!!」

ミラ王女は追ってきたSPに腕を掴まれ、立たされる。
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