桜庭愛理 推理します
午後になると風はさらに強くなり、役場に植えられたヤシの葉がバサバサとざわめいていた
毛利「何ぃ⁉蘭達が松本にさらわれたー⁉」
子供達から事情を聞いた小五郎は、興奮のあまり机を叩き、「で、一体どこに行ったんだ⁉」と詰め寄った
元太「どこって、島だよ島!」
光彦「頼親島です!」
歩美「あの人達、宝のありかがわかったから、それを取りに行ったんだよ!」
元太、光彦、歩美が順に説明すると、小五郎は上平を見た
毛利「船を出して来れ!蘭達を助けに行く!」
上平「わ、わかりました!」
上平が部屋を飛び出し、小五郎や目暮達も後に続いた
コナンと安室が乗った美馬の漁船は港を出発し、荒れる海を進んでいた
操舵室の前でしゃがみこんだコナンを安室が、強風と揺れに耐えながらコナンを支えていた
コナンはそんな安室の腕の中にいながら頼親島の方向を鋭い目で見据える
美馬「しかし、ヤツらどうして人質なんか取ったんだ?宝を探すには足手まといにしかならないだろう」
美馬が舵を取りながらたずねると、コナンは「使い道があるんだよ!」と叫んだ
美馬「使い道⁉」
安室「ヤツら、昨夜ライフルで撃たれて怪我をしているんです ヤツらがこれから潜ろうとしているのは、昨日、サメに襲われた場所……」
美馬「おとりに使うつもりなのか⁉」
コナン「おそらくね」
厳しい表情で波間を見ていたコナンと安室はハッとして立ち上がった
操舵室を飛び降り、コナンは舳先へ開けていく
安室「コナン君‼「あそこ‼」え?」
コナン飛び出したので、安室はすぐに手を差し出すがコナンはある方向に指を指していた
指差した先には–––波間に揺れている『グロット』のモーターボートがあった
美馬はスクリューを逆回転させ、慎重にモーターボートに近づいていった
やがてモーターボートに横付けされると、コナンは舳先から駆け出し、モーターボートを見下ろした
コナン「あ……!」
モーターボートには誰も乗っておらず、その床には血痕があった
推理が的中したコナンは「やっぱり……!」とうなだれ、目をギュッと閉じた
安室「コナン君‼愛理はいるのか⁉「いないよ」じゃあ」
コナン「その代わり……血痕がある」
安室「⁉何‼」
安室はコナンの言葉に目を見開き、最悪の事態を想像した
3人のうちの誰かが、怪我をしたのかもしれない
もしかすると、愛理かもしれない……!
操舵室から出てきた美馬が歩み寄る
美馬「どうする?もうあまり時間が……」
コナン「頼親島へ行って!」
美馬「何⁉」
美馬が驚くと、コナンと安室は鋭い目を向けた
安室「コナン君なら女神の入り口からでも入れるんじゃないですか?」
美馬「…………」
美馬は眉を寄せて黙り込んだ
安室の言う通り、女神の入り口は地震で崩れてしまったものの、子供が通れるくらいの隙間はあるのだ
彼女達を助けに行くには、そこを通るしかない
美馬「わかった」
操舵室に戻った美馬はエンジンをかけ、頼親島へと舵を取った
安室「クッ……!」
安室は漁船に揺られながら両手を合わせて力強く握った
磯遊びに行ってしまった愛理を止めていればと後悔しているのだ
安室(クソ……!愛理…!)
安室は無邪気に笑う愛理を脳裏に浮かばせた
安室(これでよく公安が務まる……)
グッと握る力が強くなる
コナン「安室さん」
安室「!なんだい?コナン君」
顔を上げると、鋭い目を向けたコナンが立っていた
コナンの握り拳がかすかに震えていた
コナン「大丈夫…愛理姉は強い人だから……信じようよ…愛理姉は怪我なんかしないよ…あれはトレジャー・ハンターの血だよ……!」
安室「コナン君……」
俯き、拳を震わせるコナンに安室はコナンの肩に両手を置いた
安室「ああ、そうだね。…信じよう」
コナン「……昔ね…愛理姉」
安室「?」
下を向いているコナンの顔はわからないが、きっと……
コナン「大怪我した事あるんだ…僕が木から滑り落ちたときに、下敷きになって……愛理姉は自分よりも僕や蘭姉ちゃん達の事を優先する人だ……多分きっと、今は怪我してないかもしれないけど…いずれは…っ!」
安室「蘭さん達を庇って怪我してしまうかもしれない…だね?」
コナン「うん…」
雨で濡れている眼鏡の奥の瞳は少しだけ潤んでいた
安室はコナンの肩を掴みながら頼親島を睨んだ
安室(無事でいてくれ…)
そんな願いを込めて…
毛利「何ぃ⁉蘭達が松本にさらわれたー⁉」
子供達から事情を聞いた小五郎は、興奮のあまり机を叩き、「で、一体どこに行ったんだ⁉」と詰め寄った
元太「どこって、島だよ島!」
光彦「頼親島です!」
歩美「あの人達、宝のありかがわかったから、それを取りに行ったんだよ!」
元太、光彦、歩美が順に説明すると、小五郎は上平を見た
毛利「船を出して来れ!蘭達を助けに行く!」
上平「わ、わかりました!」
上平が部屋を飛び出し、小五郎や目暮達も後に続いた
コナンと安室が乗った美馬の漁船は港を出発し、荒れる海を進んでいた
操舵室の前でしゃがみこんだコナンを安室が、強風と揺れに耐えながらコナンを支えていた
コナンはそんな安室の腕の中にいながら頼親島の方向を鋭い目で見据える
美馬「しかし、ヤツらどうして人質なんか取ったんだ?宝を探すには足手まといにしかならないだろう」
美馬が舵を取りながらたずねると、コナンは「使い道があるんだよ!」と叫んだ
美馬「使い道⁉」
安室「ヤツら、昨夜ライフルで撃たれて怪我をしているんです ヤツらがこれから潜ろうとしているのは、昨日、サメに襲われた場所……」
美馬「おとりに使うつもりなのか⁉」
コナン「おそらくね」
厳しい表情で波間を見ていたコナンと安室はハッとして立ち上がった
操舵室を飛び降り、コナンは舳先へ開けていく
安室「コナン君‼「あそこ‼」え?」
コナン飛び出したので、安室はすぐに手を差し出すがコナンはある方向に指を指していた
指差した先には–––波間に揺れている『グロット』のモーターボートがあった
美馬はスクリューを逆回転させ、慎重にモーターボートに近づいていった
やがてモーターボートに横付けされると、コナンは舳先から駆け出し、モーターボートを見下ろした
コナン「あ……!」
モーターボートには誰も乗っておらず、その床には血痕があった
推理が的中したコナンは「やっぱり……!」とうなだれ、目をギュッと閉じた
安室「コナン君‼愛理はいるのか⁉「いないよ」じゃあ」
コナン「その代わり……血痕がある」
安室「⁉何‼」
安室はコナンの言葉に目を見開き、最悪の事態を想像した
3人のうちの誰かが、怪我をしたのかもしれない
もしかすると、愛理かもしれない……!
操舵室から出てきた美馬が歩み寄る
美馬「どうする?もうあまり時間が……」
コナン「頼親島へ行って!」
美馬「何⁉」
美馬が驚くと、コナンと安室は鋭い目を向けた
安室「コナン君なら女神の入り口からでも入れるんじゃないですか?」
美馬「…………」
美馬は眉を寄せて黙り込んだ
安室の言う通り、女神の入り口は地震で崩れてしまったものの、子供が通れるくらいの隙間はあるのだ
彼女達を助けに行くには、そこを通るしかない
美馬「わかった」
操舵室に戻った美馬はエンジンをかけ、頼親島へと舵を取った
安室「クッ……!」
安室は漁船に揺られながら両手を合わせて力強く握った
磯遊びに行ってしまった愛理を止めていればと後悔しているのだ
安室(クソ……!愛理…!)
安室は無邪気に笑う愛理を脳裏に浮かばせた
安室(これでよく公安が務まる……)
グッと握る力が強くなる
コナン「安室さん」
安室「!なんだい?コナン君」
顔を上げると、鋭い目を向けたコナンが立っていた
コナンの握り拳がかすかに震えていた
コナン「大丈夫…愛理姉は強い人だから……信じようよ…愛理姉は怪我なんかしないよ…あれはトレジャー・ハンターの血だよ……!」
安室「コナン君……」
俯き、拳を震わせるコナンに安室はコナンの肩に両手を置いた
安室「ああ、そうだね。…信じよう」
コナン「……昔ね…愛理姉」
安室「?」
下を向いているコナンの顔はわからないが、きっと……
コナン「大怪我した事あるんだ…僕が木から滑り落ちたときに、下敷きになって……愛理姉は自分よりも僕や蘭姉ちゃん達の事を優先する人だ……多分きっと、今は怪我してないかもしれないけど…いずれは…っ!」
安室「蘭さん達を庇って怪我してしまうかもしれない…だね?」
コナン「うん…」
雨で濡れている眼鏡の奥の瞳は少しだけ潤んでいた
安室はコナンの肩を掴みながら頼親島を睨んだ
安室(無事でいてくれ…)
そんな願いを込めて…