桜庭愛理奮闘します

弓長「まぁ、話戻すが…。その子の母親は丁度旅行中で、旅行先に電話したらすぐに戻ると言っていたよ。後の住人は3人いるんだが、3人とも火事があった頃丁度外出していて朝帰ってきたらしくてな…」

コナン「外出? 火事って夜中だったんでしょ?」

弓長「ああ。深夜の2時半頃だ。まぁ3人ともガキじゃねぇから夜で歩いて朝帰りってのもおかしくはねぇが…」

元太「その3人のうちの誰かじゃねぇのか?!火をつけたの!」

弓長「なに?」

元太くんが突然言った言葉に思わず聞き返す弓長警部

それに合わせるように、歩美ちゃんと光彦くんが話し始めた

歩美「昨日、その3人のなかに夜に怪しいことしてる人がいるって開人くんが言ってたもん!」

光彦「それを確かめに来たら、こんなことになっていたんです!」

弓長「なるほど…」

彼が子供達の証言に相槌を打ったとき、彼の部下があるものを焼け跡から見つけて持ってきた

弓長「なんだ?」

黒くて分かりにくいが、外見は小学生がよく使う勉強ノートのようだ

弓長「…こりゃあ、開人くんの日記じゃねぇか」

警部はそう言ってペラペラとページをめくっていき、最後の日付が昨日であることを確かめる

そして、私たちにその内容を聞かせてくれたーーー

日記の内容を聞いたところ、赤い人と白い人、そして黄色い人が出てくるようだ

それはどうやらアパートの住人を指すらしく、 日記の最後あたりには黄色い人が家で父親と揉めていると書かれていたようだ

元太「じゃあ、火をつけたやつは黄色いやつで決まりだな!」

コナン「弓長警部。住人の3人ってどんな人なの?」

日記が読まれた後、元太くんの推測を聞いたコナンくんが警部にそう言うと、警部は部下の一人にその3人を連れてくるように頼んだ

そして、その3人が現れたのだが…

灰原「!!!」

「! 哀ちゃん?」

そばにいた哀ちゃんが、彼らが近づいてきた途端にバッと私の後ろにやってきて、服の裾をつかんできた

距離が縮まるごとに彼女の手が私の服を強く握りしめ、寄せられた体がガタガタと震えている

彼女がやってくる3人に対して怯えるその様子をチラリと見て、私自らも哀ちゃんを後ろ手に寄せた

灰原「?! 愛理お姉ちゃん…?」

「大丈夫…。安心して、哀ちゃん」

驚いた表情で私を見上げる哀ちゃんに、私は小さく笑って小声で返す

彼女は組織の気配に敏感だから、きっと『あの人』の気配に気圧されたんだろうと、推察しての行動だった

すると、彼女は不意にハッとなって前にいる3人組を呆然と見た

灰原「(…えっ?消え、た…?)」

コナン「? どうした、灰原」

歩美「具合悪いの?」

光彦「大丈夫ですか?」

私の後ろで様子がおかしい哀ちゃんに気づいたのか、みんなが口々に彼女へ声をかけた。それに平気だと答えながら落ち着きを戻した哀ちゃんの様子に、私も内心ホッとする

「(よかった…。もうプレッシャーはないみたい…)」

しかし、彼はこんなに哀ちゃんを怯えさせてなにをしたいのだろう。そんなことを思いながら、3人の住人たちを見た

すると、彼らは事情聴取の最中らしく、また話をしに戻って行ってしまった

弓長「…それで?あの中の誰だ、その怪しいやつってのは」

元太「知らねぇよ!」

歩美「それを聞きに開人くんのとこに来たんだもん!」

弓長「なんだ。だったらそうと先に言ってくれ…」

怪しい人が誰だか分かっていなかったらしい子供達

警部が柔らかく子供達に注意していると、またも警部に質問したコナン君

そんな彼の次なる疑問は、3人の詳細だった

まず、顔に絆創膏を貼っている男が大工の細井竜平さん。
彼は大工の頭や先輩さんたちと飲んでいたらしい。
しかし酔っ払ったらしく、途中で先輩の人たちの前から姿を消してペンチで寝てしまい、朝帰りになったようだ。好きな色は青らしい

続いて、メガネをかけている大学院生の沖矢昴さん。
論文で行き詰まったらしく、よく行く夜のドライブをしていたらしい。緑に癒されたいタイプのようで、アパートの水やりをよくしているという

好きな色は黒らしい

最後に、小太りな男であるフリーターの真壁吟也さん

朝まで一人豪華な映画を見ていたらしい。サバイバルゲームをしたらしく、服が汚れて爪に泥をつけてしまったらしい

好きな色は、迷彩に使われる『ネイビーグリーン』らしい…

この時点で、可笑しい人が1人いるわね。ただ、証拠というには薄い。
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