桜庭愛理奮闘します

―数週間後

若菜との散歩途中のこと

ふいに未来が見えた…

これは火事?

そう思った瞬間焦げ臭いようなにおいが鼻をかすめ、足を止めた

「焦げ臭い…」

若菜「にい・・」

この匂いの元はどこなのだろうと歩き出した。その後ろを興奮気味に毛を逆立てながら若菜はついてくる

―木馬荘

「(嘘でしょう。さっき見た未来の家じゃない…)」

臭いのもとにたどり着いた私は絶句した。臭いの原因はアパート火災だった。消火は既に済ませれており、目の前には無残にも黒く残ったアパートの残骸と、それを囲う塀と、カラスたち。それに少年探偵団

歩美「あ、愛理先生だ!」

「みんな、こんにちは」

元太「センセーここで何やってたんだ?」

「若菜との散歩途中だったの。良かったら、先生に説明してくれる?」

子どもたちは昨日、この木馬荘の住人である杉浦開人君から依頼を受けたらしい。その内容は、父親が大家をしているこのアパートの住人の3人のうち1人が夜な夜な怪しげな行動をしているらしく、それを突き止めてほしいというものだったらしい。

そして今日、昼に行くという約束でアパートに来てみれば、全焼していたという。

「そうだったの・・。サイレンの音がしたから来たんだけど…」

歩美「そんな‥じゃあ、開人君はどうなったの?」

歩美ちゃんが不安気にそういうと、そばにいた光彦君が暗い表情で「もしかしたら火事で…」と最悪の可能性を口にする

歩美「そんな‥」

?「いや、そのカイトっていう坊やなら無事だ。少々やけどを負っているようだが消防隊員に助けられて病院で寝てるよ」

子供達の声が近くにいて聞こえたんだろう。どこからともなくやってきた刑事がそう声をかけてきた

その朗報に途端に子供達は表情を明るくした

光彦「本当ですか!?」

歩美「よかった〜」

笑って喜ぶ子供達の姿に、見ていた私もそばにいる哀ちゃんと小さく微笑んでホッとしていると、コナンくんがその刑事を『弓長警部』と呼んだ

警部の方もコナンくんを知ってるようで、久しぶりだなと挨拶を交わしていた

コナン「それで、この火事で亡くなった人とかいる?」

弓長「幸い死人は出ちゃいねぇが、その開人くんの父親が大火傷を負って、今、集中治療室だ」

コナンくんが事件について聞くと、弓長警部はその目線にしゃがんで丁寧に説明してくれた

「じゃあ、その子の家族や他のアパートの住人はみんな脱出できたんですね…」

弓長「あ〜…失礼だがお嬢さん。ここに何しに?」

「えっと、飼い猫と散歩途中に、焦げ臭いにおいがして、臭いの元をたどったら、子供達と偶然会ったもので、そのまま…」

そう説明すると、弓長警部は納得したように頷いた

そのときに「しかし、お嬢さんどっかで見かけたことがあるような…」という呟きが聞こえ、私は苦笑いした
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