スケアリー・モンスターズ

「あっ、あっちにも狼男!」

ラギー「え?カリムくんの他にスカラビア生なんていたかな」

きょろきょろと周辺を見ても、それらしい人物はいない。

ラギー「……?……もしかしてオレのことッスか!?」

そこでようやく気付く。
男性の言う狼男が、ラギー自身であることに。

「そうです。一緒に写真撮ってくださいっ」

ラギー「コレは仮装なんかじゃないッスよ。それにオレは狼じゃなくハイエナッス!」

カリム「まあまあ、固いこと言うなよラギー。似たようなもんだろ?一緒に写真撮ろうぜ!」

ラギー「全然似てないし!しかも、観光客相手に0マドルでボランティアとかオレの主義に反する……あっ!」

そこまで言って、ラギーは悪い顔をしながら言った。

ラギー「マジカメ映えっていうならオレなんかよりもっといい被写体達がいるッスよ~。シシシッ。いずれロイヤルファミリー入りする美人なロゼッタちゃんと・・・その婚約者で、ガタイ良くて迫力があってなんと言っても由緒正しいお育ちの……」

そこまで言ってラギーはようやく気付く。
被写体という名の生贄……レオナとロゼッタがいないことに。

ラギー「ってあれっ!?レオナさんとロゼッタちゃんがいない!?」

レオナ「くくっ……よかったなラギー、人気者じゃねえか」

「ごめんなさいね、ラギー君。被写体になってあげたいけど、レオナさんが離してくれなくて…」

ラギー「いつの間にそんな遠くに……ロゼッタちゃんはともかく、置いていくなんてずるいッスよレオナさん!」

レオナ「俺とロゼッタは必要なもん買って先行くぜ。お前はそこで思う存分ゆっくりしてろ」

ラギー「ちょっ、人と話すのが面倒だからってオレをおとりにしないでくださいよ!」

レオナ「テメェこそ俺らを餌にしようとしてただろうが。自業自得だ」

ぐっと言葉を詰まらせるラギーに、レオナは妖艶な笑みを浮かべながら言った。

レオナ「じゃあな。ハッピーハロウィーン」

そうして購買部内へと入ったレオナ。
見捨てられたラギーが呆然とする横で、カリムが話を先に進める。

カリム「せっかくだし、オレもラギーと写真撮りたいな。あとでオレのスマホでも撮ってくれ」

「がおーってポーズしてください!」

「2人でお店を背景に並んでもらっていいですか?」

「次は俺たちも写真撮らせてください!」

次々とリクエストしてくる客に、カリムは笑顔で受けるもラギーは戸惑うばかり。

ラギー「キ、キリがない……。待ってくれー!オレのタダ飯ーッ!」

そんな彼の悲痛な叫びは、購買部全体に響き渡るのだった。
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