スケアリー・モンスターズ
「「「これは……」」」
『ハロウィーンウィーク』2日目。
購買部に来たレオナとロゼッタとラギーは、目の前の人混みを見て立ち尽くす。
主な客は購買部で販売している土産を買う人だが、スタンプラリーの台紙を持っている人もいる。
「もうスタンプラリー、7つ全部集めた?」
「まだこれから!最初に『ミステリーショップ』を見ようと思って」
「どこもすごく楽しいけど……お土産を買える『ミステリーショップ』も外せないよね!」
ワイワイガヤガヤといつも以上の賑わいに、さすがの2人も入れなかった。
レオナ「なんだァ?この人混みは」
ラギー「購買部の周りに人だかりができてる。全員制服を着てない……もしかして『ハロウィーンウィーク』のお客さんッスかね。でも、それにしちゃあ多すぎる気が……」
「それはたぶん…」
ロゼッタが何かを言おうとした瞬間、それを遮るかのように誰かがが話しかけてきた。
カリム「あっ、レオナとロゼッタとラギーじゃねえか。ハッピーハロウィーン!」
「ハッピーハロウィーン、カリムくん」
首を傾げている2人に駆け寄ってきたのは、狼姿のカリム。
それを見てレオナは思い出したように言った。
レオナ「そういや購買部はスカラビアのスランプラリー会場か」
ラギー「おう!今日の午後はオレがスタンプ係なんだ。もう少ししたら午前担当のヤツと交代。お前らは一緒に買い物か?仲良いな~」
レオナ「んなわけねぇだろ。ロゼッタは別だが・・・」
ラギー「そーそー。いつもはレオナさんの買い物だろうがなんだろうが、オレがパシられるんスけど……今日は、『ハロウィーンウィーク』で頑張ってるサバナクロー生に差し入れでも買ってやるか。……って、レオナさんが言うもんで!ロゼッタちゃんはその付き添いッス」
レオナ「……」
ラギーの言葉に、レオナは人を殺しそうな目つきで無言のままラギーを睨んだ。
ラギー「オレに任せようとするから引っ張り出してきたんッスよ」
レオナ「めんどくせえ……」
「そんなこと言わないで、レオナさん。」
「差し入れぐらい自分で買えばいいじゃないッスか。あんま寝てばっかいると牛になりますよ」
苦言を呈するラギーの言葉を流していると、カリムは嬉しそうな顔をしながら言った。
カリム「差し入れか、そりゃいい!お前んところのジャック、運営委員の活動をずーっと頑張ってたぜ。寮長のレオナに労ってもらえたら絶対に喜ぶと思う!」
レオナ「群れのモチベーションを維持するのもボスの役目だからなァ。飯の1つ2つで働くっつーんなら安いもんだ。どいつもこいつも単純で助かるぜ」
ラギー「シシシッ、素直じゃないッスねえ。……ま、オレはタダ飯便乗できればそれでいいッス」
レオナ「しかし……なんだあのミーアキャットの群れは。騒がしくて近寄りたくねえ」
煩わしそうにするレオナを見て、カリムは説明した。
カリム「全員『ハロウィーンウィーク』のお客さんらしいぜ」
ラギー「えっ、本当に!?どうみても今購買部には、ええっと…………数えきれないッスけどざっと100人以上いそうッスよ!?」
「去年はここまで行列はできていなかったわ。何かあったの?」
カリム「それがさ、オンボロ寮のゴーストの写真がマジカメで流行ったのをきっかけに……ナイトレイブンカレッジのハロウィーン自体が今マジカメで話題になってるらしい。あの人たちもみんなマジカメの写真を見て遊びに来たんじゃないかな」
ラギー「はー、なるほど。いわゆる『バズった』ってヤツッスか」
レオナ「んなことかよ。くだらねェ……」
「情報流通が速いのね…マジカメって」
ラギー「ロゼッタちゃん、やってないんスか?」
「ええ。お義父様がどうしてもだめって、言ってたから・・・でも」
ラギー「でも?」
「いずれ、ロイヤルファミリーになるんだから、慣れた方がいいだろうってファレナ様がおっしゃって、今準備しているところなの」
ラギー「そうだったんスね」
レオナ「使い方あとで教えてやる」
「ありがとうございます」
そんな会話をしていると、購買部から客が出てくる。
客の手には式典服をモチーフにした紙に包まれたワッフルを持っていた。
「『ミステリーショップ限定ナイトレイブンカレッジワッフル』だってさ。思わず買っちゃった」
「カラスの形してて可愛いよね!それに林檎ジャムがかかってて美味しい」
「お店の中もコワ可愛いかったし、あとは……狼男の仮装が、すっごくクオリティ高い!」
「それそれ!格好いいのに可愛くて、ちょっと怖くて、超素敵」
「あ、あっちにも仮装の人がいるよ」
カリム「ん?オレか?」
カリムが振り返って首を傾げると、男性はスマホを構えながら言った。
「あの……撮影ってOKですか?」
カリム「おう、いいぜ!あ、よかったらみんなで一緒に撮るか?そのほうが後で見返した時にいい思い出になるだろ?」
「わあ、ありがとうございます!」
「はいポーズ!」
女性の合図に、カリムは男性たちと一緒に写真を撮る。
「リクエストなんですけど……狼男っぽいポーズとってもらってもいいですか?」
カリム「わかった!こうか?」
「わ~かっこいい!私も同じポーズとろう!」
カリムがポーズをとると黄色い声が上がり、そこかしこでパシャ!パシャ!!とシャッター音が鳴る。
さらに賑やかになってきた光景に、ラギーは感心した口調で言った。
ラギー「「店の前、カリムくんを中心にめちゃくちゃ盛り上がってきましたね。賑やかなハロウィーン……なんだか地元を思い出すなあ」
レオナ「騒がしくてたまんねえ……」
「早くお買い物済ませちゃいましょうか」
その時、カリムとの撮影を終えた男性が、ラギーたちのほうを見てぱっと顔を輝かせた。
『ハロウィーンウィーク』2日目。
購買部に来たレオナとロゼッタとラギーは、目の前の人混みを見て立ち尽くす。
主な客は購買部で販売している土産を買う人だが、スタンプラリーの台紙を持っている人もいる。
「もうスタンプラリー、7つ全部集めた?」
「まだこれから!最初に『ミステリーショップ』を見ようと思って」
「どこもすごく楽しいけど……お土産を買える『ミステリーショップ』も外せないよね!」
ワイワイガヤガヤといつも以上の賑わいに、さすがの2人も入れなかった。
レオナ「なんだァ?この人混みは」
ラギー「購買部の周りに人だかりができてる。全員制服を着てない……もしかして『ハロウィーンウィーク』のお客さんッスかね。でも、それにしちゃあ多すぎる気が……」
「それはたぶん…」
ロゼッタが何かを言おうとした瞬間、それを遮るかのように誰かがが話しかけてきた。
カリム「あっ、レオナとロゼッタとラギーじゃねえか。ハッピーハロウィーン!」
「ハッピーハロウィーン、カリムくん」
首を傾げている2人に駆け寄ってきたのは、狼姿のカリム。
それを見てレオナは思い出したように言った。
レオナ「そういや購買部はスカラビアのスランプラリー会場か」
ラギー「おう!今日の午後はオレがスタンプ係なんだ。もう少ししたら午前担当のヤツと交代。お前らは一緒に買い物か?仲良いな~」
レオナ「んなわけねぇだろ。ロゼッタは別だが・・・」
ラギー「そーそー。いつもはレオナさんの買い物だろうがなんだろうが、オレがパシられるんスけど……今日は、『ハロウィーンウィーク』で頑張ってるサバナクロー生に差し入れでも買ってやるか。……って、レオナさんが言うもんで!ロゼッタちゃんはその付き添いッス」
レオナ「……」
ラギーの言葉に、レオナは人を殺しそうな目つきで無言のままラギーを睨んだ。
ラギー「オレに任せようとするから引っ張り出してきたんッスよ」
レオナ「めんどくせえ……」
「そんなこと言わないで、レオナさん。」
「差し入れぐらい自分で買えばいいじゃないッスか。あんま寝てばっかいると牛になりますよ」
苦言を呈するラギーの言葉を流していると、カリムは嬉しそうな顔をしながら言った。
カリム「差し入れか、そりゃいい!お前んところのジャック、運営委員の活動をずーっと頑張ってたぜ。寮長のレオナに労ってもらえたら絶対に喜ぶと思う!」
レオナ「群れのモチベーションを維持するのもボスの役目だからなァ。飯の1つ2つで働くっつーんなら安いもんだ。どいつもこいつも単純で助かるぜ」
ラギー「シシシッ、素直じゃないッスねえ。……ま、オレはタダ飯便乗できればそれでいいッス」
レオナ「しかし……なんだあのミーアキャットの群れは。騒がしくて近寄りたくねえ」
煩わしそうにするレオナを見て、カリムは説明した。
カリム「全員『ハロウィーンウィーク』のお客さんらしいぜ」
ラギー「えっ、本当に!?どうみても今購買部には、ええっと…………数えきれないッスけどざっと100人以上いそうッスよ!?」
「去年はここまで行列はできていなかったわ。何かあったの?」
カリム「それがさ、オンボロ寮のゴーストの写真がマジカメで流行ったのをきっかけに……ナイトレイブンカレッジのハロウィーン自体が今マジカメで話題になってるらしい。あの人たちもみんなマジカメの写真を見て遊びに来たんじゃないかな」
ラギー「はー、なるほど。いわゆる『バズった』ってヤツッスか」
レオナ「んなことかよ。くだらねェ……」
「情報流通が速いのね…マジカメって」
ラギー「ロゼッタちゃん、やってないんスか?」
「ええ。お義父様がどうしてもだめって、言ってたから・・・でも」
ラギー「でも?」
「いずれ、ロイヤルファミリーになるんだから、慣れた方がいいだろうってファレナ様がおっしゃって、今準備しているところなの」
ラギー「そうだったんスね」
レオナ「使い方あとで教えてやる」
「ありがとうございます」
そんな会話をしていると、購買部から客が出てくる。
客の手には式典服をモチーフにした紙に包まれたワッフルを持っていた。
「『ミステリーショップ限定ナイトレイブンカレッジワッフル』だってさ。思わず買っちゃった」
「カラスの形してて可愛いよね!それに林檎ジャムがかかってて美味しい」
「お店の中もコワ可愛いかったし、あとは……狼男の仮装が、すっごくクオリティ高い!」
「それそれ!格好いいのに可愛くて、ちょっと怖くて、超素敵」
「あ、あっちにも仮装の人がいるよ」
カリム「ん?オレか?」
カリムが振り返って首を傾げると、男性はスマホを構えながら言った。
「あの……撮影ってOKですか?」
カリム「おう、いいぜ!あ、よかったらみんなで一緒に撮るか?そのほうが後で見返した時にいい思い出になるだろ?」
「わあ、ありがとうございます!」
「はいポーズ!」
女性の合図に、カリムは男性たちと一緒に写真を撮る。
「リクエストなんですけど……狼男っぽいポーズとってもらってもいいですか?」
カリム「わかった!こうか?」
「わ~かっこいい!私も同じポーズとろう!」
カリムがポーズをとると黄色い声が上がり、そこかしこでパシャ!パシャ!!とシャッター音が鳴る。
さらに賑やかになってきた光景に、ラギーは感心した口調で言った。
ラギー「「店の前、カリムくんを中心にめちゃくちゃ盛り上がってきましたね。賑やかなハロウィーン……なんだか地元を思い出すなあ」
レオナ「騒がしくてたまんねえ……」
「早くお買い物済ませちゃいましょうか」
その時、カリムとの撮影を終えた男性が、ラギーたちのほうを見てぱっと顔を輝かせた。