スケアリー・モンスターズ
ユウSIDE
翌日、朝食を食べた私たちはオンボロ寮を出ると外が騒がしいことに気付いた。
グリム「ん?寮の前に人が集まってるんだゾ。ウチの学校のヤツらじゃねぇな。ハロウィーンの客か?」
「でも、それにしては人が多いような……」
初日と違い、今日は平日。
あまり人は来ないだろうと思っていたけど、意外と来るものなんだ。
そう思っていると、女性の黄色い声が上がった。
「きゃー!ゴースト、こっち見て!」
「ウィンクして――!」
「いいよぉ~?」
「「きゃ~~~素敵!!」」
ゴーストがウィンクすると、さらに黄色い声が上がる。
その声量の高さに、私とグリムは耳をふさいだ。
すると、向こうからケイト先輩とデュースが駆け寄ってきた。
ケイト「やっぱり騒ぎになってるね」
デュース「すごい人だかり……ダイヤモンド先輩の言った通りだ」
「あ、2人とも」
グリム「デュースとケイトじゃねぇか。どうしてオンボロ寮にふとが集まってんのかオマエら知ってるのか?」
グリムの質問に答えたのはケイト先輩だった。
ケイト「人が集まってきた理由は……コレだよ」
グリム「スマホ?マジカメの画面が映ってる……なーんだオレ様が前にゴーストと撮った写真じゃねえか!コレがどうかしたのか?」
ケイト「写真の下見てみて?『いいね』の数……つまりグリちゃんたちの写真を評価してくれた数のとこ」
グリム「『いいね』した人の数……って、い、1万!!??」
「すごい数!」
例の写真の『いいね』は1万と最初見たときより倍増えており、思わず私も目を見開いた。
グリム「なんだこの数!ケイトのマジカメ、壊れてんだゾ!!」
ケイト「珍しいゴーストがばっちり写ってたら話題になるに決まってるじゃん?しかもまさかのゴーストの自撮り!マジカメでも人気の猫付き!そして時期はハロウィーン!!バズらないわけがないよね~」
グリム「オレ様猫じゃねー!……っていうか、ゴーストの写真を見てるのは身内の5人って言ってたんだゾ。なのにどうして、1万いいねももらえたんだ?」
「どこかで見つかって拡散された、とか?」
デュース「監督生の言う通り、ゴーストの写真を偶然見つけた1人のユーザーが『いいね』をして……その人のフォロワーがいいねをしてまたその人のフォロワーが……と広がったらしい」
ケイト「ハロウィーンが近付くにつれてじわじわ人気に火がついてたみたいだけど……昨日有名マジカメグラマーに紹介されたのが決定打だったね。いいねの数が加速度的に増えてきてるよ」
グリム「ほあー……こんなにたくさんの人がオレ様の写真を…………あ。オレ様ちょっと目を瞑っちゃってるんだゾ。本当はもっとシュッとしたイケメンなのに」
「シュッとしたイケメン……??」
デュース「そこはあまり触れてやるな、監督生」
思わず『どこが?』と言いたくなったが、デュースが防いでくれたおかげで助かった。
グリム「今すぐ、もっとオレ様がカッコいい写真と差し替えるんだゾ!」
ケイト「もうたくさんの人が画像を保存してるだろうしネットにあげたことを取り消すのは無理だよ。SNSってのは、世界中に発信されるものだから……例えフォロワーが0人だったとしても全世界に見られてるって思わないと♪」
「そう言われると、なんだが嫌な気分になりますね……」
全世界の人に見られている。
そう考えると、画像だけで場所を特定する人が実在するのだと怖くなってくる。
……あとで鍵垢にしよう。
「あっ!あれってゴーストの写真の載ってた猫ちゃんじゃない?」
「あ?猫って……オレ様のことか!?」
グリム「オレ様は猫じゃねぇ。未来の大魔法士、グリム様なんだゾ!」
「しゃべった!猫じゃなくてモンスターだったんだね」
「えぇ~~~お帽子被ってる。ハロウィーンだから?」
「猫でもモンスターでもどっちでもいい!だって超可愛いもん~」
「可愛くねえッ!オレ様はかっこいいんだゾ!」
「「「きゃ―――!うんうん、かっこいい~~~!!」」」
グリムの一挙手一投足に魅了された女性たち。
すると周りもグリムに集まり始め、その波に押された私はそのままケイト先輩たちによって保護された。
デュース「大丈夫か?監督生」
「なんとか……助けてくれてありがとう」
ケガがないか見てくれるデュースにお礼を言うと、グリムは感動で身体を震わせていた。
グリム「み、みんながオレ様の周りに集まってくる……。……オレ様、すげー人気者なんだゾ!!」
「ゴーストもモンスターもすごく可愛いね」
「ゴーストってもっと暗くて、意地悪で怖い存在なのかと思ってた」
「こんなに明るくて可愛いゴーストなら友だちになりたいかも!」
「わかるー!ゴースト超かわいい~~!」
「こんなにチヤホヤしてもらえるなんて……ゴーストになってよかったのう!」
「ハロウィーンはなんて最高なんだぁ!」
グリム「にゃっはー!オレ様めちゃくちゃ目立ってる!!もっとキャーキャー言うんだゾー!」
すっかり有頂天になっている彼らに、私だけでなくデュースもケイト先輩も呆れ顔になる。
デュース「ゴーストもグリムも、完全に調子にのってるな……」
「本当……」
「ねえゴースト、写真撮らせてくれる?マジカメに載せてみんなに見せてあげたいんだ。ハロウィーンだし、ゴーストの写真を載せたらきっとみんな喜ぶよ」
「それに、正門を見た時にも思ったけど……ナイトレイブンカレッジってとってもハロウィーン映えする場所だね」
「たくさんマジカメにアップしよう!」
私たちの呆れを余所に、周囲はゴーストとグリムの写真を撮りまくる。
あの人たちが撮った写真が全部、全世界の人に見られる……とても嫌な予感がする。
デュース「……でも、お客さんたちも楽しそうですね。僕たちが作った『ハロウィーンウィーク』をあんなに喜んでくれてる。よかったですね、ダイヤモンド先輩!愛理!」
ケイト「んんー。そだね♪」
「う、うん……」
私がケイト先輩と一緒に曖昧な返事を返した時だ。
ケイト「……このまま無事にすめばいいけどなぁ」
小さく呟いた彼の言葉に、私の胸の中にある不安が静かに膨れ上がった。
翌日、朝食を食べた私たちはオンボロ寮を出ると外が騒がしいことに気付いた。
グリム「ん?寮の前に人が集まってるんだゾ。ウチの学校のヤツらじゃねぇな。ハロウィーンの客か?」
「でも、それにしては人が多いような……」
初日と違い、今日は平日。
あまり人は来ないだろうと思っていたけど、意外と来るものなんだ。
そう思っていると、女性の黄色い声が上がった。
「きゃー!ゴースト、こっち見て!」
「ウィンクして――!」
「いいよぉ~?」
「「きゃ~~~素敵!!」」
ゴーストがウィンクすると、さらに黄色い声が上がる。
その声量の高さに、私とグリムは耳をふさいだ。
すると、向こうからケイト先輩とデュースが駆け寄ってきた。
ケイト「やっぱり騒ぎになってるね」
デュース「すごい人だかり……ダイヤモンド先輩の言った通りだ」
「あ、2人とも」
グリム「デュースとケイトじゃねぇか。どうしてオンボロ寮にふとが集まってんのかオマエら知ってるのか?」
グリムの質問に答えたのはケイト先輩だった。
ケイト「人が集まってきた理由は……コレだよ」
グリム「スマホ?マジカメの画面が映ってる……なーんだオレ様が前にゴーストと撮った写真じゃねえか!コレがどうかしたのか?」
ケイト「写真の下見てみて?『いいね』の数……つまりグリちゃんたちの写真を評価してくれた数のとこ」
グリム「『いいね』した人の数……って、い、1万!!??」
「すごい数!」
例の写真の『いいね』は1万と最初見たときより倍増えており、思わず私も目を見開いた。
グリム「なんだこの数!ケイトのマジカメ、壊れてんだゾ!!」
ケイト「珍しいゴーストがばっちり写ってたら話題になるに決まってるじゃん?しかもまさかのゴーストの自撮り!マジカメでも人気の猫付き!そして時期はハロウィーン!!バズらないわけがないよね~」
グリム「オレ様猫じゃねー!……っていうか、ゴーストの写真を見てるのは身内の5人って言ってたんだゾ。なのにどうして、1万いいねももらえたんだ?」
「どこかで見つかって拡散された、とか?」
デュース「監督生の言う通り、ゴーストの写真を偶然見つけた1人のユーザーが『いいね』をして……その人のフォロワーがいいねをしてまたその人のフォロワーが……と広がったらしい」
ケイト「ハロウィーンが近付くにつれてじわじわ人気に火がついてたみたいだけど……昨日有名マジカメグラマーに紹介されたのが決定打だったね。いいねの数が加速度的に増えてきてるよ」
グリム「ほあー……こんなにたくさんの人がオレ様の写真を…………あ。オレ様ちょっと目を瞑っちゃってるんだゾ。本当はもっとシュッとしたイケメンなのに」
「シュッとしたイケメン……??」
デュース「そこはあまり触れてやるな、監督生」
思わず『どこが?』と言いたくなったが、デュースが防いでくれたおかげで助かった。
グリム「今すぐ、もっとオレ様がカッコいい写真と差し替えるんだゾ!」
ケイト「もうたくさんの人が画像を保存してるだろうしネットにあげたことを取り消すのは無理だよ。SNSってのは、世界中に発信されるものだから……例えフォロワーが0人だったとしても全世界に見られてるって思わないと♪」
「そう言われると、なんだが嫌な気分になりますね……」
全世界の人に見られている。
そう考えると、画像だけで場所を特定する人が実在するのだと怖くなってくる。
……あとで鍵垢にしよう。
「あっ!あれってゴーストの写真の載ってた猫ちゃんじゃない?」
「あ?猫って……オレ様のことか!?」
グリム「オレ様は猫じゃねぇ。未来の大魔法士、グリム様なんだゾ!」
「しゃべった!猫じゃなくてモンスターだったんだね」
「えぇ~~~お帽子被ってる。ハロウィーンだから?」
「猫でもモンスターでもどっちでもいい!だって超可愛いもん~」
「可愛くねえッ!オレ様はかっこいいんだゾ!」
「「「きゃ―――!うんうん、かっこいい~~~!!」」」
グリムの一挙手一投足に魅了された女性たち。
すると周りもグリムに集まり始め、その波に押された私はそのままケイト先輩たちによって保護された。
デュース「大丈夫か?監督生」
「なんとか……助けてくれてありがとう」
ケガがないか見てくれるデュースにお礼を言うと、グリムは感動で身体を震わせていた。
グリム「み、みんながオレ様の周りに集まってくる……。……オレ様、すげー人気者なんだゾ!!」
「ゴーストもモンスターもすごく可愛いね」
「ゴーストってもっと暗くて、意地悪で怖い存在なのかと思ってた」
「こんなに明るくて可愛いゴーストなら友だちになりたいかも!」
「わかるー!ゴースト超かわいい~~!」
「こんなにチヤホヤしてもらえるなんて……ゴーストになってよかったのう!」
「ハロウィーンはなんて最高なんだぁ!」
グリム「にゃっはー!オレ様めちゃくちゃ目立ってる!!もっとキャーキャー言うんだゾー!」
すっかり有頂天になっている彼らに、私だけでなくデュースもケイト先輩も呆れ顔になる。
デュース「ゴーストもグリムも、完全に調子にのってるな……」
「本当……」
「ねえゴースト、写真撮らせてくれる?マジカメに載せてみんなに見せてあげたいんだ。ハロウィーンだし、ゴーストの写真を載せたらきっとみんな喜ぶよ」
「それに、正門を見た時にも思ったけど……ナイトレイブンカレッジってとってもハロウィーン映えする場所だね」
「たくさんマジカメにアップしよう!」
私たちの呆れを余所に、周囲はゴーストとグリムの写真を撮りまくる。
あの人たちが撮った写真が全部、全世界の人に見られる……とても嫌な予感がする。
デュース「……でも、お客さんたちも楽しそうですね。僕たちが作った『ハロウィーンウィーク』をあんなに喜んでくれてる。よかったですね、ダイヤモンド先輩!愛理!」
ケイト「んんー。そだね♪」
「う、うん……」
私がケイト先輩と一緒に曖昧な返事を返した時だ。
ケイト「……このまま無事にすめばいいけどなぁ」
小さく呟いた彼の言葉に、私の胸の中にある不安が静かに膨れ上がった。