スケアリー・モンスターズ

フロイド「ジェイドはどうする?」

ジェイド「僕ももうすぐ休憩時間なので、ご一緒します」

ジャミル「それじゃあ行こう。監督生、早くしないと置いていくぞ」

監督生「あ、はいっ!」

そうして私たちは、昼食をとるために食堂へ向かう。

それから数時間後、日が暮れたメインストリートはジャック・オ・ランタンやランタン、そしてキャンドルに明かりが灯り、普段とは違う風景が目の前に広がっていた。

グリム「昼飯食った後に話してたら遅くなっちまった。もうすぐ日が暮れるんだゾ。今日はハロウィーンを見るためにいっぱい歩いて疲れたし、さっさと寮に帰ろうぜ」

「そうね。まだカボチャの身が残ってるから、それでシチューにでもしましょうか」

監督生「聞くだけで、おいしそう・・・」

そんな会話をしながら歩いていると、目の前に女性と男性が横を通った。

シンプルな服を着た男女だ。

だけど、どこか懐かしい雰囲気を感じて思わず足を止めて振り返った。

グリム「ん?どうしたんだゾ?」

「なんでもないわ……」

追いかけたくても女性は人ごみに紛れて消えてしまった。
まだ『ハロウィーンウィーク』は続くし、いずれ会うだろうと思いながら私はユウとグリムと一緒にオンボロ寮へ帰るのだった。

=No side=

帽子の先で女性と少女とモンスターが寮へと戻る。

その後ろ姿を見ながら、女性と男性――ロゼッタの母と父は微笑ましそうに見つめる。

「ふふっ……ハロウィーンを楽しんでいるようでよかったわ、ロゼッタ」

「レオナ様とも仲良くやれているようで、安心したよ」

本来ゴーストであるはずの彼ら。ある人の力を借りて、少しだけ具現化していた。

少し魔法で姿を変えて、自分を知っている者以外には認識できない魔法をかけているが、やはり血縁者であるロゼッタは通り過ぎただけで察したようだ。

「今年のハロウィーンは随分と盛り上がりそうだけど」

「……無事に終わるのかな、クロウリー殿?」

ここはナイトレイブンカレッジ。
個性強い生徒たちが多く在籍しているうえに、今は学外から多くの客がやってくる。
騒動が1つ2つ起きてもおかしくはない。

「何かあったら手伝ってやろう」

「とびきりのいたずらをつけて・・・ね」

くすくすと笑いながら、2人は今を生きる人たちの波に呑まれながら消えるのだった。
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