スケアリー・モンスターズ
すべての寮のスタンプラリー会場を見回った私たちは、メインストリートにきていた。
メインストリートには魔法で浮かせたジャック・オ・ランタンやランタンが飾られ、道にはキャンドルが並べられている。
普段薄暗いここも、夜になるとライトアップされる。
グリム「どこもかしかも知らねえヤツらがたくさんだったな……」
「外部のお客さんもこの日を楽しみにしてたってことよ」
グリム「なんだか、特別な1週間が始まったって感じがするんだゾ!」
監督生「だね」
そんな会話をしていると、目の前からエース君、ジャミル君、フロイド君とバスケ部がやってきた。
フロイド「あ、小エビちゃんにアザラシちゃんにエンゼルちゃんじゃん。ハッピーハロウィ~ン」
「「「ハッピーハロウィーン!」」」
道行く人に「ハッピーハロウィーン!」と声をかけているため、私たちはこれを言うのがすっかり慣れてしまった。
グリム「……へへっ。オレ様もすっかりハロウィーンのプロなんだゾ!」
監督生「ハロウィーンのプロって……どんなプロよ」
エース「おーっす、グリムに監督生。なかなかイカした格好してんじゃん?ロゼッタさんもお似合いっす。」
グリム「エース…………オレ様たちが心配で、じっとしていられなかったんだろ?カッコつけたってムダなんだゾ!これからもその調子で、オレ様の宿題や飯の面倒もみろ~!にゃははっ!」
エース「誰が心配なんて……おいっ、擦りつくなって。毛がつくだろーが!」
すりすりしてくるグリム君にエース君が離そうと奮闘する。
監督生「仮装のこと、ゴーストに伝えてくれてありがとう」
エース「別にー?オレとデュースは『アイツら寂しいハロウィーンを迎えそうだよな』って笑い話を……たまたま!オンボロ寮の前でしただけだし。だから礼なら衣装を作ったゴーストに言っとけよな」
監督生「ふふ、そうだね。また後でお礼をもう一回言っておく」
天邪鬼らしいエース君の言葉にくすりと笑っていると、ジャミル君が訊いてきた。
ジャミル「ロゼッタ様、『ハロウィーンウィーク』を見てきたのですか?」
「ええ。ユウたちと一緒に」
グリム「おう。7つ全部見て回ったら、昼になっちまった。オメーらはなにしてたんだ?」
エース「バスケ部の練習の帰り。つっても今日は早めに切り上げだったけどな。なんていっても、『ハロウィーンウィーク』初日だし!」
「わかりやすい理由ね」
『ハロウィーンウィーク』初日では、他のクラスメイトも普通に参加している。
日曜日ということもあり、結構はしゃいでいたわね。
ジャミル「1年生がソワソワしてちっとも練習にならなかったんだ」
エース「先輩だって、今日はチラチラスマホの確認してたじゃないっすか。あれ、スカラビアの会場の様子が気になってたんすよね?」
ジャミル「それは……カリムから、なにかやらかしたと連絡が来るんじゃないかと思っただけだ」
フロイド「みんなハロウィーン好きだよねぇ。ま、オレもだけど。小エビちゃんはどの寮のハロウィーンが一番いいと思った?」
監督生「?それってどういう……」
フロイド君の質問にユウが首を傾げると、彼はいきなり至近距離までユウの顔に迫った。
フロイド「……当然オクタヴィネルだよな?怖くて、不気味で、一番ハロウィーンぽかっただろ?」
ジャミル「それじゃ脅しだ。……スカラビアのほうがテーマが崇高でよかったよな」
エース「おいおい、先輩たちの圧力に屈するなよ!?ウチのハーツラビュルのほうが、会場と仮装がバシッとハマっててよかったよな!」
「「「なあ!?」」」
「こんな素敵な日にどの会場がいいか順位をつけるのはダメなんじゃない?」
「「「うぐっ!」」」
私の言葉に3人は一斉に呻いた。
それを見てユウが「必殺 ロゼッタさんの鋭い一言」と言った。
ジャミル「た、たしかに……今の聞き方は良くなかったです」
フロイド「だねー。オレもそんなこと聞かれたらぜってー萎えるしー」
エース「今回ばかりはロゼッタさんの意見に同意だわ」
うんうんと頷く3人に、グリム君は小首を傾げた。
グリム「そこまで気にすることか?」
ジャミル「当然だ。ハロウィーンにはナイトレイブンカレッジの威信がかかっている」
エース「クルーウェル先生が言ってた通り、島内の人たちはもちろん……島の外の人たちもウチのハロウィーンを見にきますもんね」
グリム「外のヤツら?」
エース「そ、賢者の島の外から来るお客さん」
監督生「あれ?でも賢者の島って、他の国と比べてかなり遠くなかったっけ?」
エース「そうそう。グリムは知らないかもしんねーけどこの島って超へんぴなところにあるんだよ。ホリデーなんかで帰省するときは学園の鏡が使えるから一瞬だけど、それ以外のときの移動は……一番近くの空港から電車に乗って、バスに乗り換えて船に乗って、乗り換えでまた船、さらにバス…………ってもー賢者の島に来るのはほんっとに大変なんだよ!」
監督生「うわぁ……」
グリム「ここってそんなど田舎だったのか!?」
「神秘的って言ってほしいわ」
エース「だから、人で賑わうのってこの島じゃ超ありがたいことなんだって。ハロウィーンやマジフト大会みてえな学園行事が島の観光につながってるらしーよ。みっともねぇ真似晒したら色々と問題になるんじゃねえの?」
ジャミル「そう。地域のためにも、学園行事は気が抜けないんだ
ここ数年は有名人のヴィル先輩目的でお客さんの数も増えて、よりいっそう集客に期待が高まっている。それになにより……」
監督生・グリム・ロゼッタ「「なにより……?」」
「「「自分の寮が一番すごかったと言われたい!!」」」
最後の言葉には、私とグリムとユウはがくっと肩を落とした。
グリム「ウチの学校のヤツら、みんなプライドが高すぎるなんだゾ……」
ユウ「そんなんだから、オーバーブロットが多発する……」
「ユウの言う通りかも・・・」
メインストリートには魔法で浮かせたジャック・オ・ランタンやランタンが飾られ、道にはキャンドルが並べられている。
普段薄暗いここも、夜になるとライトアップされる。
グリム「どこもかしかも知らねえヤツらがたくさんだったな……」
「外部のお客さんもこの日を楽しみにしてたってことよ」
グリム「なんだか、特別な1週間が始まったって感じがするんだゾ!」
監督生「だね」
そんな会話をしていると、目の前からエース君、ジャミル君、フロイド君とバスケ部がやってきた。
フロイド「あ、小エビちゃんにアザラシちゃんにエンゼルちゃんじゃん。ハッピーハロウィ~ン」
「「「ハッピーハロウィーン!」」」
道行く人に「ハッピーハロウィーン!」と声をかけているため、私たちはこれを言うのがすっかり慣れてしまった。
グリム「……へへっ。オレ様もすっかりハロウィーンのプロなんだゾ!」
監督生「ハロウィーンのプロって……どんなプロよ」
エース「おーっす、グリムに監督生。なかなかイカした格好してんじゃん?ロゼッタさんもお似合いっす。」
グリム「エース…………オレ様たちが心配で、じっとしていられなかったんだろ?カッコつけたってムダなんだゾ!これからもその調子で、オレ様の宿題や飯の面倒もみろ~!にゃははっ!」
エース「誰が心配なんて……おいっ、擦りつくなって。毛がつくだろーが!」
すりすりしてくるグリム君にエース君が離そうと奮闘する。
監督生「仮装のこと、ゴーストに伝えてくれてありがとう」
エース「別にー?オレとデュースは『アイツら寂しいハロウィーンを迎えそうだよな』って笑い話を……たまたま!オンボロ寮の前でしただけだし。だから礼なら衣装を作ったゴーストに言っとけよな」
監督生「ふふ、そうだね。また後でお礼をもう一回言っておく」
天邪鬼らしいエース君の言葉にくすりと笑っていると、ジャミル君が訊いてきた。
ジャミル「ロゼッタ様、『ハロウィーンウィーク』を見てきたのですか?」
「ええ。ユウたちと一緒に」
グリム「おう。7つ全部見て回ったら、昼になっちまった。オメーらはなにしてたんだ?」
エース「バスケ部の練習の帰り。つっても今日は早めに切り上げだったけどな。なんていっても、『ハロウィーンウィーク』初日だし!」
「わかりやすい理由ね」
『ハロウィーンウィーク』初日では、他のクラスメイトも普通に参加している。
日曜日ということもあり、結構はしゃいでいたわね。
ジャミル「1年生がソワソワしてちっとも練習にならなかったんだ」
エース「先輩だって、今日はチラチラスマホの確認してたじゃないっすか。あれ、スカラビアの会場の様子が気になってたんすよね?」
ジャミル「それは……カリムから、なにかやらかしたと連絡が来るんじゃないかと思っただけだ」
フロイド「みんなハロウィーン好きだよねぇ。ま、オレもだけど。小エビちゃんはどの寮のハロウィーンが一番いいと思った?」
監督生「?それってどういう……」
フロイド君の質問にユウが首を傾げると、彼はいきなり至近距離までユウの顔に迫った。
フロイド「……当然オクタヴィネルだよな?怖くて、不気味で、一番ハロウィーンぽかっただろ?」
ジャミル「それじゃ脅しだ。……スカラビアのほうがテーマが崇高でよかったよな」
エース「おいおい、先輩たちの圧力に屈するなよ!?ウチのハーツラビュルのほうが、会場と仮装がバシッとハマっててよかったよな!」
「「「なあ!?」」」
「こんな素敵な日にどの会場がいいか順位をつけるのはダメなんじゃない?」
「「「うぐっ!」」」
私の言葉に3人は一斉に呻いた。
それを見てユウが「必殺 ロゼッタさんの鋭い一言」と言った。
ジャミル「た、たしかに……今の聞き方は良くなかったです」
フロイド「だねー。オレもそんなこと聞かれたらぜってー萎えるしー」
エース「今回ばかりはロゼッタさんの意見に同意だわ」
うんうんと頷く3人に、グリム君は小首を傾げた。
グリム「そこまで気にすることか?」
ジャミル「当然だ。ハロウィーンにはナイトレイブンカレッジの威信がかかっている」
エース「クルーウェル先生が言ってた通り、島内の人たちはもちろん……島の外の人たちもウチのハロウィーンを見にきますもんね」
グリム「外のヤツら?」
エース「そ、賢者の島の外から来るお客さん」
監督生「あれ?でも賢者の島って、他の国と比べてかなり遠くなかったっけ?」
エース「そうそう。グリムは知らないかもしんねーけどこの島って超へんぴなところにあるんだよ。ホリデーなんかで帰省するときは学園の鏡が使えるから一瞬だけど、それ以外のときの移動は……一番近くの空港から電車に乗って、バスに乗り換えて船に乗って、乗り換えでまた船、さらにバス…………ってもー賢者の島に来るのはほんっとに大変なんだよ!」
監督生「うわぁ……」
グリム「ここってそんなど田舎だったのか!?」
「神秘的って言ってほしいわ」
エース「だから、人で賑わうのってこの島じゃ超ありがたいことなんだって。ハロウィーンやマジフト大会みてえな学園行事が島の観光につながってるらしーよ。みっともねぇ真似晒したら色々と問題になるんじゃねえの?」
ジャミル「そう。地域のためにも、学園行事は気が抜けないんだ
ここ数年は有名人のヴィル先輩目的でお客さんの数も増えて、よりいっそう集客に期待が高まっている。それになにより……」
監督生・グリム・ロゼッタ「「なにより……?」」
「「「自分の寮が一番すごかったと言われたい!!」」」
最後の言葉には、私とグリムとユウはがくっと肩を落とした。
グリム「ウチの学校のヤツら、みんなプライドが高すぎるなんだゾ……」
ユウ「そんなんだから、オーバーブロットが多発する……」
「ユウの言う通りかも・・・」