スケアリー・モンスターズ
『ハロウィーンウィーク』の初日が日曜日ということもあり、学内は外部の来客で溢れ返っている。
ハーツラビュル寮のスタンプラリー会場である植物園も、家族連れのお客でいっぱいだった。
「見てお父さん!ハロウィーンの飾りがいっぱいだよ」
「本当だね。それに、あっちを見てごらん。とっても楽しそうなゴーストがいるよ!」
「Boo!こわくて愉快な、スケルトンだぞ~!」
「Boo!えっと……こわいだろっ!」
「あはは。全然こわくなーい」
おどかすケイトとデュースを見て、女の子は楽しそうにきゃっきゃと笑った。
「デュースちゃん、ぎこちなくて可愛いね♪」
「うう。子どもの対応ってどうしたらいいかよくわからなくて……」
「大丈夫大丈夫。リラックスして。一緒に楽しめばいいんだよ!」
ケイトはそう言って、女の子の目線に合わせるようにしゃがんだ。
「ハッピーハロウィーン。お父さんと一緒に遊びにきてくれたのかな?」
「うん!」
「娘は毎年ナイトレイブンカレッジのハロウィーンを楽しみにしてるんです。あ、娘と一緒に写真を撮ってもらってもいいですか?」
「はい!もちろん大丈夫です」
「ありがとうございます!きっといい思い出になります」
デュースの返事に父親は嬉しそうに言うと、指示を出す。
「さあさあ並んで~……うん、ばっちりだ!それじゃあいきますよ……せーの!」
「「「ハッピーハロウィーン!」」」
デュースとケイト、そして娘の笑顔を写真に収めるため、父親はパシャ!とシャッターを切った。
場所は変わり、ポムフィオーレ寮のスタンプラリー会場・鏡の間。
そこではちょうど、エペルが来客の対応をしていた。
「あのー、スタンプラリーのスタンプってここで押してもらえますか?」
「あ、はい!台紙を貸してください」
恋人らしき男性を連れた女性から台紙を受け取ったエペルは、ナイトレイブンカレッジの校章のスタンプを押す。
「どうぞ。これが『鏡の間』のスタンプ…………じゃなかった!」
途中まで言いかけたエペルは、佇まいを直して「ごほん」と咳払いをした。
「ヴァンパイアの住処に、自ら足を踏み入れたな……僕の永遠のしもべとなるがいい!……がおー!」
「「わあ~。ヴァンパイアだ~!」」
「……あはは。ちょっと照れる、かな?」
ヴィルに言われて用意されたセリフを言ってみたが、こういうのに慣れていないエペルは恥ずかしそうに笑った。
「うちの学校は、広いのでぜひゆっくり、回ってくださいね」
「ありがとうございます。スタンプ集めるのとっても楽しいです」
「はい。僕たち今年初めてナイトレイブンカレッジにハロウィーンを見に来たんですけど……本当に来てよかった!こんなに豪華だとは思ってませんでした!」
「それにこの『鏡の間』もきれいで、とっても素敵。一生の思い出に残りそうです」
「へへっ、んだべ!……じゃなくて、ありがとうございます!」
うっかり方言が出てしまい、エペルは気を取り直して言った。
「7つのスタンプを集めてナイトレイブンカレッジを楽しんでくださいね。ハッピーハロウィーン!」
笑顔で対応するエペルを、ヴィルは離れたところから見ていた。
「エペル、ちゃんと対応しているみたいね。うちも問題なし、と……。運営委員長は気が抜けないわ。次はどこの見回りに行こうかしら」
そう思い移動しようした直後、ヴィルはあるものを発見した。
「……ん?あの男の子、さっきからずっと鏡の間の入り口に立っているわね」
運営委員長として声をかけなくてはと思い、ヴィルは男の子のそばに近寄る。
「こんにちは。アナタ、1人で遊びに来たの?」
「ううん……気付いたら、隣にいたお兄ちゃんがいなくなってたの」
「そう……迷子なのね。もう心配しなくて大丈夫よ。すぐにお兄さんに会えるわ」
「ぐすっ……本当に……?」
「あら……この誇り高きヴァンパイアの言うことを疑うつもり?失礼な子どもは……アタシのお昼ご飯にしちゃおうかしら!がおー!」
「……あはは。にこにこしてるから、全然こわくないよ!」
涙目になっていた男の子も、ヴィルのおどかしを見てくすくすと笑った。
その笑顔を見て、ヴィルは満足そうな顔をしながら言った。
「そうそう。うちのハロウィーンを見に来たからには悲しい顔じゃ帰さない。さあ、学園長室に向かいましょう。校内放送でご家族を呼んであげるわ。お兄さんが来るまで、アタシが学園の面白い話を教えてあげる。……誰にも内緒よ?」
「うん!ありがとう!」
ヴィルは男の子と手を繋ぎながら、学園長室へと向かう。
学園の面白い話を聞かせると男の子は目を輝かせながら笑い、やがてお兄さんが迎えに来るまでずっと笑顔を浮かべていた。
ハーツラビュル寮のスタンプラリー会場である植物園も、家族連れのお客でいっぱいだった。
「見てお父さん!ハロウィーンの飾りがいっぱいだよ」
「本当だね。それに、あっちを見てごらん。とっても楽しそうなゴーストがいるよ!」
「Boo!こわくて愉快な、スケルトンだぞ~!」
「Boo!えっと……こわいだろっ!」
「あはは。全然こわくなーい」
おどかすケイトとデュースを見て、女の子は楽しそうにきゃっきゃと笑った。
「デュースちゃん、ぎこちなくて可愛いね♪」
「うう。子どもの対応ってどうしたらいいかよくわからなくて……」
「大丈夫大丈夫。リラックスして。一緒に楽しめばいいんだよ!」
ケイトはそう言って、女の子の目線に合わせるようにしゃがんだ。
「ハッピーハロウィーン。お父さんと一緒に遊びにきてくれたのかな?」
「うん!」
「娘は毎年ナイトレイブンカレッジのハロウィーンを楽しみにしてるんです。あ、娘と一緒に写真を撮ってもらってもいいですか?」
「はい!もちろん大丈夫です」
「ありがとうございます!きっといい思い出になります」
デュースの返事に父親は嬉しそうに言うと、指示を出す。
「さあさあ並んで~……うん、ばっちりだ!それじゃあいきますよ……せーの!」
「「「ハッピーハロウィーン!」」」
デュースとケイト、そして娘の笑顔を写真に収めるため、父親はパシャ!とシャッターを切った。
場所は変わり、ポムフィオーレ寮のスタンプラリー会場・鏡の間。
そこではちょうど、エペルが来客の対応をしていた。
「あのー、スタンプラリーのスタンプってここで押してもらえますか?」
「あ、はい!台紙を貸してください」
恋人らしき男性を連れた女性から台紙を受け取ったエペルは、ナイトレイブンカレッジの校章のスタンプを押す。
「どうぞ。これが『鏡の間』のスタンプ…………じゃなかった!」
途中まで言いかけたエペルは、佇まいを直して「ごほん」と咳払いをした。
「ヴァンパイアの住処に、自ら足を踏み入れたな……僕の永遠のしもべとなるがいい!……がおー!」
「「わあ~。ヴァンパイアだ~!」」
「……あはは。ちょっと照れる、かな?」
ヴィルに言われて用意されたセリフを言ってみたが、こういうのに慣れていないエペルは恥ずかしそうに笑った。
「うちの学校は、広いのでぜひゆっくり、回ってくださいね」
「ありがとうございます。スタンプ集めるのとっても楽しいです」
「はい。僕たち今年初めてナイトレイブンカレッジにハロウィーンを見に来たんですけど……本当に来てよかった!こんなに豪華だとは思ってませんでした!」
「それにこの『鏡の間』もきれいで、とっても素敵。一生の思い出に残りそうです」
「へへっ、んだべ!……じゃなくて、ありがとうございます!」
うっかり方言が出てしまい、エペルは気を取り直して言った。
「7つのスタンプを集めてナイトレイブンカレッジを楽しんでくださいね。ハッピーハロウィーン!」
笑顔で対応するエペルを、ヴィルは離れたところから見ていた。
「エペル、ちゃんと対応しているみたいね。うちも問題なし、と……。運営委員長は気が抜けないわ。次はどこの見回りに行こうかしら」
そう思い移動しようした直後、ヴィルはあるものを発見した。
「……ん?あの男の子、さっきからずっと鏡の間の入り口に立っているわね」
運営委員長として声をかけなくてはと思い、ヴィルは男の子のそばに近寄る。
「こんにちは。アナタ、1人で遊びに来たの?」
「ううん……気付いたら、隣にいたお兄ちゃんがいなくなってたの」
「そう……迷子なのね。もう心配しなくて大丈夫よ。すぐにお兄さんに会えるわ」
「ぐすっ……本当に……?」
「あら……この誇り高きヴァンパイアの言うことを疑うつもり?失礼な子どもは……アタシのお昼ご飯にしちゃおうかしら!がおー!」
「……あはは。にこにこしてるから、全然こわくないよ!」
涙目になっていた男の子も、ヴィルのおどかしを見てくすくすと笑った。
その笑顔を見て、ヴィルは満足そうな顔をしながら言った。
「そうそう。うちのハロウィーンを見に来たからには悲しい顔じゃ帰さない。さあ、学園長室に向かいましょう。校内放送でご家族を呼んであげるわ。お兄さんが来るまで、アタシが学園の面白い話を教えてあげる。……誰にも内緒よ?」
「うん!ありがとう!」
ヴィルは男の子と手を繋ぎながら、学園長室へと向かう。
学園の面白い話を聞かせると男の子は目を輝かせながら笑い、やがてお兄さんが迎えに来るまでずっと笑顔を浮かべていた。