スケアリー・モンスターズ
図書室のエントランスホール。
本が浮き、学習机が並べられているそこは、本と同じようにジャック・オ・ランタンも浮いている。
定番のオレンジだけでなく、あまり使われない緑も浮いてあった。
オルト「みんな、ようこそ!イグニハイドのハロウィーンいっぱい楽しんでいってね!」
他の寮生と同じように会場にいたのは、寮服姿のオルト。
いつもの明るい笑顔を浮かべながら出迎えてくれた。
オルト「それでは、上映を開始します」
デュース「い、いきなり『上映』?いったいなにが始まるんだ?」
オルトの言葉にデュースが首を傾げた直後、図書室が暗くなる。
緑、黄色、紫などの色付きライトが室内を照らし、そこに浮かぶようにカボチャ頭のゴーストが現れる。
ケイト「うわ!ジャック・オ・ランタンが本棚から飛び出してきた!?」
ケイトが驚く間もなく、どこからかホー、ホーとフクロウの声が聞こえてきた。
目の前の光景に、さすがのマレウスも驚きで目を瞠る。
マレウス「図書館が霧深い森になった……この僕でも見たことのない魔法だぞ」
オルト「これは魔法じゃなくて、イグニハイドのみんなで作ったプロジェクションマッピングだよ。建物などの立体に、映写機を使って映像データを映すんだ」
デュース「本当に知らない場所にいるみたいだ!」
オルト「ふふふ。魔導工学に長けたイグニハイドらしいでしょう?」
デュースが驚くと、オルトは嬉しそうに笑った。
オルト「そしてこのあと登場するのが……」
イデア「『ハンプキンはハンプキンでも食べられないパンプキンはなんだ?』」
イデアの声がしたと思った直後、本棚の後ろから現れたのは黒い甲冑を身に着けた騎士。
鎧の裾にはボリュームのある蔓草が伸び、そして頭部には緑色のカボチャを被っていた。
オルト「『……答えはこのオレさ!悲しきモンスター、パンプキン騎士ナイト!』」
「「「誰!?」」」
突然の登場に誰もが驚く中、パンプキン騎士――イデアは呆れたように言った。
イデア「誰って……。僕だよ。イデア・シュラウド。この流れで僕以外の人登場したらおかしいでしょ」
ヴィル「その腹の立つ言い方……確かにイデアね」
ロゼッタ「ヴィルさん…」
聞き覚えのある口調でイデアと判断したヴィル。
それとは反対に、イデアは嬉々として語る。
イデア「ひひっ、驚いた?僕のハロウィーンの仮装はご覧の通り……『パンプキン騎士ナイト』だよ!」
デュース「なるほど、パンプキン騎士ナイト!……で、そのパンプキン騎士ナイトってなんですか?」
イデア「えっ!まさかあの名作ホラー映画『パンプキン・ホロウ』をご存知ない!?」
デュース「聞いたこともないです……え、僕だけですか!?みんなは知ってます?」
「「「知らない」」」
デュースの言葉にイデアが信じられないとばかりに反応する。
それを見て思わずデュースが他の面々を見るが、全員が同じ返答をした。
ヴィル「単館上映系の映画もかなりチェックしているアタシでも知らない映画ね」
ロゼッタ「教えてもらってもいいですか?」
イデア「ッカー!これだからパンピーは!」
ヴィルの言葉がきっかえになったのか、イデアの長台詞トークが始まった。
イデア「これは『パンプキン・ホロウ』って映画に出てくるゴーストの仮装!ハロウィーンの飾り『ジャック・オ・ランタン』を作るときに失敗してしまったカボチャの化身なんだ。
食べられもせず、飾られもせず、捨てられたカボチャの恨みがパンプキン騎士ナイトとなり……自分を収穫した村に舞い戻り夜な夜な人間を1人、また1人と襲う……っていうB級ホラー映画だよ。これぐらい常識でしょ」
ヴィル「あらすじを聞く限り、B級どころかZ級ネタ映画の気配がするわね」
イデア「拙者のマジカメアカでは、毎年この時期になると『パンプキン・ホロウ』の話で持ちきりですぞ?」
当然のようにイデアが言うと、オルトも嬉々とした口調で言った。
オルト「事件を追う捜査官がパンプキン騎士ナイトを人間だと思って兜を外したら、そこにはなんと……さらにカボチャが入っているんだ!最高だよね!」
イデア「そう、そこが屈指の名シーン!」
兄弟にしかわからないトークで一通り盛り上がると、イデアは図書室全体を見渡した。
イデア「だからプロジェクションマッピングで背景や音を再現して……拙者がパンプキン騎士となって登場しようと考えたんだ。
でも映画ファンには先の展開が読めちゃうのとこれから観る人へのネタバレ防止の配慮も込めて……照明効果と反射を使った視覚トリックで兜を外したら首が消えるようにアレンジしたよ」
ケイト「イデアくん、今日はタブレットじゃないのにすらすら喋れてるね♪」
イデア「ふっ。仮面を被った拙者に怖いものなどなにもないでござる」
デュース「すげぇ、パンプキン騎士になりきってるんですね!?」
ケイト「どうかな。あれはいつも通りのイデアくんな気がするけど……」
感心しているデュースに苦笑しながらも、ケイトはイデアの衣装に注目した。
ケイト「……でも確かに衣装、っていうか甲冑も本格的。本物みたい!イデアくんの技術力の高さを感じさせるなあ」
イデア「ふひひっ……プロジェクションマッピング×実写のショーで……イグニハイドの技術力と『パンプキン・ホロウ』の魅力を知らしめてやりますわ!」
完全にノリノリなイデアを見て、クロウリーは感心したように頷いた。
学園長「魔法だけでなく工学にも長けたイグニハイドらしいクオリティの高さです!今年のハロウィーンは例年に勝るとも劣らない素晴らしさですね。
……ああ、もう次で最後の寮。残念ですが、楽しみでもあります。それでは行きましょう!ポムフィオーレ寮のスタンプラリー会場、鏡の間へ!」
そうして一同は、最後の会場である鏡の間へと向かった。
本が浮き、学習机が並べられているそこは、本と同じようにジャック・オ・ランタンも浮いている。
定番のオレンジだけでなく、あまり使われない緑も浮いてあった。
オルト「みんな、ようこそ!イグニハイドのハロウィーンいっぱい楽しんでいってね!」
他の寮生と同じように会場にいたのは、寮服姿のオルト。
いつもの明るい笑顔を浮かべながら出迎えてくれた。
オルト「それでは、上映を開始します」
デュース「い、いきなり『上映』?いったいなにが始まるんだ?」
オルトの言葉にデュースが首を傾げた直後、図書室が暗くなる。
緑、黄色、紫などの色付きライトが室内を照らし、そこに浮かぶようにカボチャ頭のゴーストが現れる。
ケイト「うわ!ジャック・オ・ランタンが本棚から飛び出してきた!?」
ケイトが驚く間もなく、どこからかホー、ホーとフクロウの声が聞こえてきた。
目の前の光景に、さすがのマレウスも驚きで目を瞠る。
マレウス「図書館が霧深い森になった……この僕でも見たことのない魔法だぞ」
オルト「これは魔法じゃなくて、イグニハイドのみんなで作ったプロジェクションマッピングだよ。建物などの立体に、映写機を使って映像データを映すんだ」
デュース「本当に知らない場所にいるみたいだ!」
オルト「ふふふ。魔導工学に長けたイグニハイドらしいでしょう?」
デュースが驚くと、オルトは嬉しそうに笑った。
オルト「そしてこのあと登場するのが……」
イデア「『ハンプキンはハンプキンでも食べられないパンプキンはなんだ?』」
イデアの声がしたと思った直後、本棚の後ろから現れたのは黒い甲冑を身に着けた騎士。
鎧の裾にはボリュームのある蔓草が伸び、そして頭部には緑色のカボチャを被っていた。
オルト「『……答えはこのオレさ!悲しきモンスター、パンプキン騎士ナイト!』」
「「「誰!?」」」
突然の登場に誰もが驚く中、パンプキン騎士――イデアは呆れたように言った。
イデア「誰って……。僕だよ。イデア・シュラウド。この流れで僕以外の人登場したらおかしいでしょ」
ヴィル「その腹の立つ言い方……確かにイデアね」
ロゼッタ「ヴィルさん…」
聞き覚えのある口調でイデアと判断したヴィル。
それとは反対に、イデアは嬉々として語る。
イデア「ひひっ、驚いた?僕のハロウィーンの仮装はご覧の通り……『パンプキン騎士ナイト』だよ!」
デュース「なるほど、パンプキン騎士ナイト!……で、そのパンプキン騎士ナイトってなんですか?」
イデア「えっ!まさかあの名作ホラー映画『パンプキン・ホロウ』をご存知ない!?」
デュース「聞いたこともないです……え、僕だけですか!?みんなは知ってます?」
「「「知らない」」」
デュースの言葉にイデアが信じられないとばかりに反応する。
それを見て思わずデュースが他の面々を見るが、全員が同じ返答をした。
ヴィル「単館上映系の映画もかなりチェックしているアタシでも知らない映画ね」
ロゼッタ「教えてもらってもいいですか?」
イデア「ッカー!これだからパンピーは!」
ヴィルの言葉がきっかえになったのか、イデアの長台詞トークが始まった。
イデア「これは『パンプキン・ホロウ』って映画に出てくるゴーストの仮装!ハロウィーンの飾り『ジャック・オ・ランタン』を作るときに失敗してしまったカボチャの化身なんだ。
食べられもせず、飾られもせず、捨てられたカボチャの恨みがパンプキン騎士ナイトとなり……自分を収穫した村に舞い戻り夜な夜な人間を1人、また1人と襲う……っていうB級ホラー映画だよ。これぐらい常識でしょ」
ヴィル「あらすじを聞く限り、B級どころかZ級ネタ映画の気配がするわね」
イデア「拙者のマジカメアカでは、毎年この時期になると『パンプキン・ホロウ』の話で持ちきりですぞ?」
当然のようにイデアが言うと、オルトも嬉々とした口調で言った。
オルト「事件を追う捜査官がパンプキン騎士ナイトを人間だと思って兜を外したら、そこにはなんと……さらにカボチャが入っているんだ!最高だよね!」
イデア「そう、そこが屈指の名シーン!」
兄弟にしかわからないトークで一通り盛り上がると、イデアは図書室全体を見渡した。
イデア「だからプロジェクションマッピングで背景や音を再現して……拙者がパンプキン騎士となって登場しようと考えたんだ。
でも映画ファンには先の展開が読めちゃうのとこれから観る人へのネタバレ防止の配慮も込めて……照明効果と反射を使った視覚トリックで兜を外したら首が消えるようにアレンジしたよ」
ケイト「イデアくん、今日はタブレットじゃないのにすらすら喋れてるね♪」
イデア「ふっ。仮面を被った拙者に怖いものなどなにもないでござる」
デュース「すげぇ、パンプキン騎士になりきってるんですね!?」
ケイト「どうかな。あれはいつも通りのイデアくんな気がするけど……」
感心しているデュースに苦笑しながらも、ケイトはイデアの衣装に注目した。
ケイト「……でも確かに衣装、っていうか甲冑も本格的。本物みたい!イデアくんの技術力の高さを感じさせるなあ」
イデア「ふひひっ……プロジェクションマッピング×実写のショーで……イグニハイドの技術力と『パンプキン・ホロウ』の魅力を知らしめてやりますわ!」
完全にノリノリなイデアを見て、クロウリーは感心したように頷いた。
学園長「魔法だけでなく工学にも長けたイグニハイドらしいクオリティの高さです!今年のハロウィーンは例年に勝るとも劣らない素晴らしさですね。
……ああ、もう次で最後の寮。残念ですが、楽しみでもあります。それでは行きましょう!ポムフィオーレ寮のスタンプラリー会場、鏡の間へ!」
そうして一同は、最後の会場である鏡の間へと向かった。