スケアリー・モンスターズ
ナイトレイブンカレッジのコロシアムは、360度を囲む観客席と中央に土だけのステージがある質素なものだ。
今までの会場が元の面影を残した作りをしていたため、コロシアムもそうだと思っていた。
しかし、運営委員一同が目にしたのは予想外のものだった。
青い海を模した水、白い砂浜、緑生い茂る崖、そして金銀財宝の宝物を囲むように鎮座した立派な船。
「「「……」」」
ロゼッタ「船……」
イデア「船、ですな……」
誰もが絶句し凝視する中、最初に我に返ったのはクロウリーだった。
学園長「も、もはや元のコロシアムの面影ゼロ!」
まさかの展開に誰もが驚いていると、寮服姿のレオナとラギーが現れた。
ラギー「シシシッ。みんな随分驚いてるッスね~」
レオナ「はっ、当然だな。他の寮じゃこんな大掛かりなセットは作れねぇだろ」
ジャック「うっす!サバナクローらしいハロウィーンになったと思います!」
そして、仮装に着替え終わったジャックが登場する。レオナはというと、ロゼッタを見つけた瞬間、ロゼッタを抱きしめ、離さない…
いつものことなので、皆スルーしていた
ジャック「船が舞台とくれば、仮装は当然……“海賊”です」
ジャックの仮装は、真鍮色に塗った貝殻がたくさんついた海賊服。
手にはゴツい指輪をはめ、帽子には珊瑚が飾られていた。
ジャック「エレメンタリースクールの頃、巨大なワニと戦いながら航海をする海賊の本を読んで……主人公のかっこいい船長に憧れてよく海賊ごっこして遊んだんすよ。ハットかぶって、木の棒をサーベルの代わりにして隠したお宝をダチと探し合いっこするんです」
「あ、オレもその本知ってるぜ!海賊ごっこ、よくやったな~」
「僕もです。世界的に有名な児童書ですよね」
「『お髭船長の冒険』シリーズね。全7巻+外伝2巻。昔、オルトも読んでたな」
ジャックの話を聞いて、周りが昔読んだ児童書の話題で盛り上がった。
ジャック「『仮装』って言われて、海賊になりきってたことを思い出したんで、今年のテーマにしました」
レオナ「自由で、なににも縛られず力と知恵だけで海を渡る海賊。弱肉強食のサバナクローらしいテーマだろ?1年坊が考えたにしちゃあ、いい案だ」
ジャック「ありがとうございます!」
レオナに褒められて、ジャックの尻尾が嬉しさでぶんぶんと振った。
ジャック「んで、海賊の仮装をするからには船が必要だろうってことで……船を用意しました。イメージは沈没船です。中に入ることもできるんすよ!永遠に自分たちの財宝を守り続ける根性ある海賊のゴーストって設定なんで、宝物も外せなくって。
ラギー先輩にお手本見せてもらいながらレプリカ作り頑張りました。ラギー先輩の手際が良すぎて、みるみる金貨の複製が仕上がってくの、すごかったっす」
ラギー「オレ、稼ぎにならない内職は絶対しない主義なんスけどねぇ。ま、年に一度のハロウィーンだし。31日のごちそうにありつくためにも頑張ったッス!」
ラギーらしい言い分だが、実際宝物のレプリカはどれも本物かと見紛うものなかりだ。
するとイデアが船の中を見て、その完成度に悔しげな表情を見せた。
イデア「ふーん……悔しいけど中まで本格的に作り込まれてる。船の形とか、完全に例の児童書の設定通り。もう実写版じゃん。船はどうやって作ったの?映像じゃなくて本物だよね?レオナ氏の魔法?」
ジャック「え、魔法?違います。サバナクローの全員で、木材運んで作りました」
イデア「木材……って。え、この設備全部手作り!?」
まさかの手作りという事実にイデアが驚いていると、ジャックは不思議そうに首を傾げた。
ジャック「はい。そうっすけど……なんか変なところでもありましたか?」
イデア「いやいやこの規模、展示っていうよりもはや建築物じゃん。それを汗水垂らして手作りって……。さすが体力おばけのサバナクロー。拙者は絶対にごめんですわ」
レオナ「おい、カイワレ大根。文句があるならもっとでけぇ声で言ってみろよ」
イデア「ななな、なんでもないでござる……」
ロゼッタ「レオナさんったら…」
イデアの小声トークは獣人の彼らにはしっかり届いており、レオナの睨みを受けてイデアは縮こまった。
ラギー「このぐらい、ウチらにとっちゃあどーってことないッスよ。なにせ、マジフトの朝練で毎日鍛えてるんで」
あっけらかんというが、これほどの規模の設備を手作りするなど他の寮では不可能だ。
この手の作業が得意な者が揃うサバナクロー寮らしい会場だと誰もが思った。
学園長「日頃の鍛錬を欠かさないサバナクローならではの体力を存分に生かし……子ども時代の憧れ、ロマンを見事具現化した素晴らしいハロウィーンですね。次は図書館。飾り付けはイグニハイド寮担当です!」
予想を超えた会場を見た一同は、次なる目的地へと向かおうとしたが・・・
ヴィル「レオナ、ロゼッタを放しなさい」
レオナ「‥‥」
ヴィル「レオナ!!」
ロゼッタ「レオナさん…また戻ってきますから…ね?」
監督生「(必殺…ロゼッタさん上目遣い)」
レオナ「っつ…」
監督生「(効果は抜群だ)」
そんなこんなで、次の会場へ向かうことになった。
今までの会場が元の面影を残した作りをしていたため、コロシアムもそうだと思っていた。
しかし、運営委員一同が目にしたのは予想外のものだった。
青い海を模した水、白い砂浜、緑生い茂る崖、そして金銀財宝の宝物を囲むように鎮座した立派な船。
「「「……」」」
ロゼッタ「船……」
イデア「船、ですな……」
誰もが絶句し凝視する中、最初に我に返ったのはクロウリーだった。
学園長「も、もはや元のコロシアムの面影ゼロ!」
まさかの展開に誰もが驚いていると、寮服姿のレオナとラギーが現れた。
ラギー「シシシッ。みんな随分驚いてるッスね~」
レオナ「はっ、当然だな。他の寮じゃこんな大掛かりなセットは作れねぇだろ」
ジャック「うっす!サバナクローらしいハロウィーンになったと思います!」
そして、仮装に着替え終わったジャックが登場する。レオナはというと、ロゼッタを見つけた瞬間、ロゼッタを抱きしめ、離さない…
いつものことなので、皆スルーしていた
ジャック「船が舞台とくれば、仮装は当然……“海賊”です」
ジャックの仮装は、真鍮色に塗った貝殻がたくさんついた海賊服。
手にはゴツい指輪をはめ、帽子には珊瑚が飾られていた。
ジャック「エレメンタリースクールの頃、巨大なワニと戦いながら航海をする海賊の本を読んで……主人公のかっこいい船長に憧れてよく海賊ごっこして遊んだんすよ。ハットかぶって、木の棒をサーベルの代わりにして隠したお宝をダチと探し合いっこするんです」
「あ、オレもその本知ってるぜ!海賊ごっこ、よくやったな~」
「僕もです。世界的に有名な児童書ですよね」
「『お髭船長の冒険』シリーズね。全7巻+外伝2巻。昔、オルトも読んでたな」
ジャックの話を聞いて、周りが昔読んだ児童書の話題で盛り上がった。
ジャック「『仮装』って言われて、海賊になりきってたことを思い出したんで、今年のテーマにしました」
レオナ「自由で、なににも縛られず力と知恵だけで海を渡る海賊。弱肉強食のサバナクローらしいテーマだろ?1年坊が考えたにしちゃあ、いい案だ」
ジャック「ありがとうございます!」
レオナに褒められて、ジャックの尻尾が嬉しさでぶんぶんと振った。
ジャック「んで、海賊の仮装をするからには船が必要だろうってことで……船を用意しました。イメージは沈没船です。中に入ることもできるんすよ!永遠に自分たちの財宝を守り続ける根性ある海賊のゴーストって設定なんで、宝物も外せなくって。
ラギー先輩にお手本見せてもらいながらレプリカ作り頑張りました。ラギー先輩の手際が良すぎて、みるみる金貨の複製が仕上がってくの、すごかったっす」
ラギー「オレ、稼ぎにならない内職は絶対しない主義なんスけどねぇ。ま、年に一度のハロウィーンだし。31日のごちそうにありつくためにも頑張ったッス!」
ラギーらしい言い分だが、実際宝物のレプリカはどれも本物かと見紛うものなかりだ。
するとイデアが船の中を見て、その完成度に悔しげな表情を見せた。
イデア「ふーん……悔しいけど中まで本格的に作り込まれてる。船の形とか、完全に例の児童書の設定通り。もう実写版じゃん。船はどうやって作ったの?映像じゃなくて本物だよね?レオナ氏の魔法?」
ジャック「え、魔法?違います。サバナクローの全員で、木材運んで作りました」
イデア「木材……って。え、この設備全部手作り!?」
まさかの手作りという事実にイデアが驚いていると、ジャックは不思議そうに首を傾げた。
ジャック「はい。そうっすけど……なんか変なところでもありましたか?」
イデア「いやいやこの規模、展示っていうよりもはや建築物じゃん。それを汗水垂らして手作りって……。さすが体力おばけのサバナクロー。拙者は絶対にごめんですわ」
レオナ「おい、カイワレ大根。文句があるならもっとでけぇ声で言ってみろよ」
イデア「ななな、なんでもないでござる……」
ロゼッタ「レオナさんったら…」
イデアの小声トークは獣人の彼らにはしっかり届いており、レオナの睨みを受けてイデアは縮こまった。
ラギー「このぐらい、ウチらにとっちゃあどーってことないッスよ。なにせ、マジフトの朝練で毎日鍛えてるんで」
あっけらかんというが、これほどの規模の設備を手作りするなど他の寮では不可能だ。
この手の作業が得意な者が揃うサバナクロー寮らしい会場だと誰もが思った。
学園長「日頃の鍛錬を欠かさないサバナクローならではの体力を存分に生かし……子ども時代の憧れ、ロマンを見事具現化した素晴らしいハロウィーンですね。次は図書館。飾り付けはイグニハイド寮担当です!」
予想を超えた会場を見た一同は、次なる目的地へと向かおうとしたが・・・
ヴィル「レオナ、ロゼッタを放しなさい」
レオナ「‥‥」
ヴィル「レオナ!!」
ロゼッタ「レオナさん…また戻ってきますから…ね?」
監督生「(必殺…ロゼッタさん上目遣い)」
レオナ「っつ…」
監督生「(効果は抜群だ)」
そんなこんなで、次の会場へ向かうことになった。