スケアリー・モンスターズ
運営委員一同が次にやってきたのは、購買部。
普段のミステリアスな外観はなく、屋根には熱砂の国の絨毯、木には瀟洒なランタン、さらには普通なら使わないボロ布も飾られていた。
ジャミル「そろそろ来る頃だと思っていたよ。学園長、みなさん、ゆっくりスカラビアのハロウィーンをご覧ください」
購買部には寮服のジャミルがおり、彼は従者としての態度でお辞儀をした。
その言葉に甘えて、各々感想を言う。
ロゼッタ「ミステリーショップがボロボロ…」
監督生「オンボロ寮みたい…」
ジャミル「もちろん本当に壊したわけじゃないぞ。つぎはぎの布で、購買部を覆っているだけだ」
カリム「飾りも衣装も寮のみんなで決めたんだ。楽しかったぜ!」
ジャミル「仮装はできたか?パーツの付け忘れはないな?」
カリム「おう!大丈夫」
2人がいつものトークをすると、仮装に着替え終わったカリムが登場する。
カリム「オレたちスカラビアの、今年の仮装は……“狼男”だ!」
カリムの狼男の仮装は、熱砂の国の衣装を改造したもので、ターバンの裾には金のコイン飾りがついている。
メイクにも模様を施し、髪と同じ色をした付け耳と付け尻尾をつけて、本格的なデザインをしていた。
ジャック「狼男……!満月の魔力に取り憑かれた狼の獣人がなると言われてる、モンスターっすね!俺の地元じゃ、よく『夜ふかしすると狼男になっちゃうぞ』って言いますよ。北国特有の伝承だと思ってたんで熱砂の国っぽいアレンジが新鮮っす」
カリム「へへ、狼の獣人属であるジャックに褒められると嬉しいな!……あっ、そうだ!がおーっ!」
ジャックに褒められて笑顔になるカリムは、突然遠吠えをした。
カリム「……どうだ。狼っぽかったか?迫力出てただろ」
ジャック「え、その……どっちかっつーと……」
ロゼッタ「凶暴な狼っていうよりかは…」
アズール「非常に人懐こい様子に心が温かくなりますねぇ」
ジェイド「ええ。まるで動物園のふれあいコーナーを訪れたかのようです」
ケイト「え~~、メッチャ可愛い~~!!カリムくん今のもう1回やってよ。動画で撮ってマジカメにアップしよ☆」
カリム「えー、可愛いかあ……オレとしては『怖い』って言って欲しかったんだけどな。もっと怖くなるようにあとで練習しておくようにするぜ!」
カリムの質問にジャックとロゼッタが濁したが、アズールとジェイドがばっさりと言った。
そしてケイトの『可愛い』を聞いて、カリムはしょんぼりと肩を落とすが、すぐに持ち直した。
カリム「……あ。で、あとはなんだったっけ……。えーっと……」
「……」
カリム「ええっと……。……あ、そうだ!飾り付けにも、大切なメッセージが込められてるんだ」
アズール「メッセージ?いったいどのような?」
ようやくセリフを思い出したカリムに、アズールが首を傾げながら問いかける。
するとカリムは真面目な顔つきで言った。
カリム「今回飾り付けに使用した布は、ゴミとして捨てられたペットボトルやプラスチックをリサイクルしたもの。限りある資源に目を向けることで、我々の暮らす賢者の島の環境を見つめ直し……人も自然も幸せに生存できる社会を目指す。これが、我々スカラビアが今回提案する『サスティナブルハロウィーン』です」
「「……」」
カリム「……って言えって、ジャミルが!」
「「だと思いました」」
ジャミル「そこまで言ったら意味がないだろうが!!!」
カリムのメッセージを聞いて息を呑んだアズールとジェイドだが、その後出たネタバレにやっぱりと言わんばかりに肩を竦めた。
そして、最後まで黙っていたジャミルが大声でツッコむという見事なオチがついた。
カリム「えー?自然に優しくてカッコいい、すっげー案じゃねえか。ジャミルが考えてくれたってみんない教えたかったんだよ」
ジャミル「そういう問題じゃないだろ……」
本人は善意100%でやっている分、タチが悪い。
生まれてから仕えているジャミルは、カリムのいつもの斜め上の思考にため息を吐いた。
ヴィル「サスティナビリティ……持続可能性はファッション業界でも注目度の高いワードよ。最新トレンドをハロウィーンに取り入れるなんて。ジャミル、やるじゃない」
アズール「学生として100点満点のテーマ。一般客にも先生方にも大ウケでしょうね。こんなところでまで点数稼ぎとはスカラビアは本当に抜け目がない」
ロゼッタ「考えられたテーマね。とっても素敵」
ジャミル「お褒めに預かり光栄です」
ヴィルが素直に賞賛する横で、アズールが捻くれた言い方をする。
すると、クロウリーが涙目になりながら感動していた。
学園長「なんと素晴らしい……ううっ。こんなに深いテーマの込められたハロウィーンは初めてです!感動しました~!ぐすっ……ああ、次の寮はどんな素晴らしいものを見せてくださるんでしょう。今度はコロシアムに向かいます。サバナクロー寮の飾り付け、期待していますよ!」
まだ見ていない寮の飾り付けを楽しみにしながら、一同はコロシアムへと向かった。
普段のミステリアスな外観はなく、屋根には熱砂の国の絨毯、木には瀟洒なランタン、さらには普通なら使わないボロ布も飾られていた。
ジャミル「そろそろ来る頃だと思っていたよ。学園長、みなさん、ゆっくりスカラビアのハロウィーンをご覧ください」
購買部には寮服のジャミルがおり、彼は従者としての態度でお辞儀をした。
その言葉に甘えて、各々感想を言う。
ロゼッタ「ミステリーショップがボロボロ…」
監督生「オンボロ寮みたい…」
ジャミル「もちろん本当に壊したわけじゃないぞ。つぎはぎの布で、購買部を覆っているだけだ」
カリム「飾りも衣装も寮のみんなで決めたんだ。楽しかったぜ!」
ジャミル「仮装はできたか?パーツの付け忘れはないな?」
カリム「おう!大丈夫」
2人がいつものトークをすると、仮装に着替え終わったカリムが登場する。
カリム「オレたちスカラビアの、今年の仮装は……“狼男”だ!」
カリムの狼男の仮装は、熱砂の国の衣装を改造したもので、ターバンの裾には金のコイン飾りがついている。
メイクにも模様を施し、髪と同じ色をした付け耳と付け尻尾をつけて、本格的なデザインをしていた。
ジャック「狼男……!満月の魔力に取り憑かれた狼の獣人がなると言われてる、モンスターっすね!俺の地元じゃ、よく『夜ふかしすると狼男になっちゃうぞ』って言いますよ。北国特有の伝承だと思ってたんで熱砂の国っぽいアレンジが新鮮っす」
カリム「へへ、狼の獣人属であるジャックに褒められると嬉しいな!……あっ、そうだ!がおーっ!」
ジャックに褒められて笑顔になるカリムは、突然遠吠えをした。
カリム「……どうだ。狼っぽかったか?迫力出てただろ」
ジャック「え、その……どっちかっつーと……」
ロゼッタ「凶暴な狼っていうよりかは…」
アズール「非常に人懐こい様子に心が温かくなりますねぇ」
ジェイド「ええ。まるで動物園のふれあいコーナーを訪れたかのようです」
ケイト「え~~、メッチャ可愛い~~!!カリムくん今のもう1回やってよ。動画で撮ってマジカメにアップしよ☆」
カリム「えー、可愛いかあ……オレとしては『怖い』って言って欲しかったんだけどな。もっと怖くなるようにあとで練習しておくようにするぜ!」
カリムの質問にジャックとロゼッタが濁したが、アズールとジェイドがばっさりと言った。
そしてケイトの『可愛い』を聞いて、カリムはしょんぼりと肩を落とすが、すぐに持ち直した。
カリム「……あ。で、あとはなんだったっけ……。えーっと……」
「……」
カリム「ええっと……。……あ、そうだ!飾り付けにも、大切なメッセージが込められてるんだ」
アズール「メッセージ?いったいどのような?」
ようやくセリフを思い出したカリムに、アズールが首を傾げながら問いかける。
するとカリムは真面目な顔つきで言った。
カリム「今回飾り付けに使用した布は、ゴミとして捨てられたペットボトルやプラスチックをリサイクルしたもの。限りある資源に目を向けることで、我々の暮らす賢者の島の環境を見つめ直し……人も自然も幸せに生存できる社会を目指す。これが、我々スカラビアが今回提案する『サスティナブルハロウィーン』です」
「「……」」
カリム「……って言えって、ジャミルが!」
「「だと思いました」」
ジャミル「そこまで言ったら意味がないだろうが!!!」
カリムのメッセージを聞いて息を呑んだアズールとジェイドだが、その後出たネタバレにやっぱりと言わんばかりに肩を竦めた。
そして、最後まで黙っていたジャミルが大声でツッコむという見事なオチがついた。
カリム「えー?自然に優しくてカッコいい、すっげー案じゃねえか。ジャミルが考えてくれたってみんない教えたかったんだよ」
ジャミル「そういう問題じゃないだろ……」
本人は善意100%でやっている分、タチが悪い。
生まれてから仕えているジャミルは、カリムのいつもの斜め上の思考にため息を吐いた。
ヴィル「サスティナビリティ……持続可能性はファッション業界でも注目度の高いワードよ。最新トレンドをハロウィーンに取り入れるなんて。ジャミル、やるじゃない」
アズール「学生として100点満点のテーマ。一般客にも先生方にも大ウケでしょうね。こんなところでまで点数稼ぎとはスカラビアは本当に抜け目がない」
ロゼッタ「考えられたテーマね。とっても素敵」
ジャミル「お褒めに預かり光栄です」
ヴィルが素直に賞賛する横で、アズールが捻くれた言い方をする。
すると、クロウリーが涙目になりながら感動していた。
学園長「なんと素晴らしい……ううっ。こんなに深いテーマの込められたハロウィーンは初めてです!感動しました~!ぐすっ……ああ、次の寮はどんな素晴らしいものを見せてくださるんでしょう。今度はコロシアムに向かいます。サバナクロー寮の飾り付け、期待していますよ!」
まだ見ていない寮の飾り付けを楽しみにしながら、一同はコロシアムへと向かった。