スケアリー・モンスターズ

次に来たのは、植物園。
亜熱帯ゾーンはジャック・オ・ランタンだけでなく墓地が飾られており、ハロウィーンらしい不気味さを醸し出している。
植物園では寮服姿のリドルたちが運営委員たちを出迎えた。

リドル「みんな、よく来てくれたね」

トレイ「ハーツラビュルのハロウィーン、ゆっくり見て行ってくれ」

全員が飾り付けられた周囲を見渡していると、エースが元気よく言った。

エース「ハーツラビュルの飾り付けのテーマはずばり“墓地”!」

デュース「そして、オレたちの仮装のテーマはー……」

そう言って、黒い衣装を着たケイトとデュースが現れる。
黒のシルクハットに黒いベール、胸元には骨に見立てた白いリボンと心臓に見立てた赤い薔薇。
メイクも黒などの暗い色を使っており、ホラーチックが出ていた。

ケイト「じゃーん。スケルトンでーす♪」

デュース「土の中から根性で蘇ったゴーストです!」

マレウス「スケルトン……つまり骸骨か。……おや?だがその衣装に飾っているのは、骨ではなく……」

デュース「はい。骨に見えるように衣装には白いリボンを付けてるんです」

マレウスが仮装の意匠に目敏く気づくと、デュースがきちんと答えた。

デュース「寮生みんなで『植物園を墓地風にして、スケルトンの仮装をしよう』って決めたんですけど……リアルさと、ハロウィーンの楽しさ両方を表現するのが難しくって」

エース「デュースの案、ダメすぎて笑えたわー。『スケルトンらしく泥まみれになる!』ってさあ……確かにスケルトン感は出るかもしれないけど誰もやりたくねぇだろ」

デュース「お前の案だって、どっこいどっこいだっただろ!」

リドル「ごほん」

デュース「……はっ!」

リドルの咳払いに2人は言い合いをやめて、デュースはそのまま説明を続ける。

デュース「そ、そんな時、ダイヤモンド先輩がかっこいい衣装と飾り付けの案をいくつも出してくれて!」

ケイト「日頃から寮のお茶会のために、アガるディスプレイをマジカメでたくさん『いいね』してるんだ♪」

ケイトは全員に見えるように『いいね』をしたディスプレイを見せながら言った。

デュース「リボンとかレースとかで飾るのは『映え』の基本ってゆーか……スケルトンがテーマって言ったって、せっかくのハロウィーンが土臭いのはちょっとなあってカンジじゃん?ほら、肋骨に見立てたリボンから薔薇で作った心臓ハートが見えてるのとか、カワイーでしょ?」

ロゼッタ「ハーツラビュル寮らしさが出ていて素敵ですね」

リドル「ありがとう、ロゼッタ。寮生の意見を取り入れつつ、全体をセンス良く仕上げられたのは、ケイトの手腕あってこそだね。今回の仮装は、厳格な精神に基づく我が寮らしく上品かつ恐ろしく仕上がっていると思う」

ケイト「うんうん。やっぱりハロウィーンといえば『ホラー』なカンジ、大事だよね。だからセットもこだわって、コワめなテイストに仕上げました!デュースちゃんが中心になって、寮生たちが発泡スチロールを塗装して墓石作ってくれたんだ」

ケイトの説明を聞いて、リリアは感心したようにデュースを見た。

リリア「ほう!1年生がよく寮生を動かせたのう。上級生に指示をするのは大変じゃったろうに」

デュース「そこは、日頃の訓練の成果ですかね……」

リリア「日頃?」

リドル「要は全部、『なんでもない日』のパーティーを開くのと同じことですから」

トレイ「ああ。ルールを守りつつ、なるべく見栄えをよくして、絶対に会期に合わせるとことがな」

ケイト「ハーツラビュル生なら慣れっこだよね♪」

エース「奇天烈なルールがないぶん、いつもより余裕があったくらいっすよ」

ハーツラビュル寮の伝統である『なんでもない日』のパーティー。
それを定期的に行っているからこそ、今回のハロウィーンの会場設営も難なくこなせたのだ。

マレウス「ほう……さすがローズハートだ。日頃から寮生をよくしつけているとみえる」

リドル「そ、その言い方ではまるでボクが暴君みたいじゃありませんか……!我が寮生はどんな時でもトランプ兵のように一致団結し、任務を遂行する。それだけです。そうだね、お前たち!」

「「「はい、寮長」」」

リドルは心外そうに言うが、少し前まで文字通りの暴君だったため、ハーツラビュルの面々は何も言わずそう返事した。

デュース「寮長が日頃からシメるところをシメてくれてるんでハロウィーンの準備もうまくいきました!」

ケイト「#ハーツラビュルの底力 #飾り付けはおまかせ #NRCハロウィーン ってカンジでーす♪」

ハーツラビュルの説明を聞いて、クロウリーは満足そうに言った。

学園長「厳格なハートの女王の法律に基づくハーツラビュル寮……ハロウィーンも、ルールを守りながらあっと驚くアレンジで仕上げてきてくれましたね!さて次は……魔法薬学室。担当はオクタヴィネル寮です!」

そうして、一同は次の会場に向かった。
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