スケアリー・モンスターズ

監督生SIDE

?「何をそんなの驚いているの?」

「この声は…ロゼッタさん!」

ロゼッタ「皆さんこんにちは。リリアさん、進捗状況を見に来ました」

リリア「順調じゃよ。ところで、ロゼッタ。学園長はオンボロ寮をこの期間中 我ら、ディアソムニア寮が借りることを伝え取らんかったようじゃぞ」

ロゼッタ「え…それ本当なの、ユウ?」

「ハイ・・教えてもらってません」

ロゼッタ「・・・・・お義父様のところ行ってくる」

ロゼッタさん‥怒ってるな

「…それにしても こりゃ驚きじゃ……まさかハロウィーンを知らない者がこの世界におったとは!」

グリム「そんなに有名なのか?そのハローワークってヤツは」

「もちろん!ハロウィーンはツイステッドワンダーランドで重要な行事の1つ。簡単に言うと……俺たちのお祭りさ!!」

グリム「オマエらって……ゴースト?」

ハロウィーンの本当の行事内容を思い出して納得していると、リリア先輩が語り始める。

リリア「ハロウィーンというのは毎年10月31日、あの世に行ったゴーストがこの世に帰ってくる日のこと。こやつらのように、この世にとどまってるゴーストだけではなく……全てのゴーストが、10月31日のハロウィーンにはこの世にやってくると言われておる。
 生者は現世に出向いたゴーストをもてなすために豪華な飾り付けやごちそうを用意する。それから、おそろしげなゴーストやモンスターに仮装をすることも大切じゃ」

グリム「仮装?なんでなんだゾ?」

リリア先輩の説明を聞いて首を傾げるグリムに、ゴーストたちも一緒になって説明する。

「そりゃあ全員が全員、俺たちのように行儀の良いゴーストとは限らないからだよ」

「椅子に座っている間に右足と左足の靴紐が結ばれてたり、キッチンの塩と砂糖がすり替えられてたり……」

「Tシャツが全部裏返しになってたり、ペンのインクが全部抜かれてたり……」

「そういうゴーストによるイタズラがハロウィーンの時期には多発するんだよぉ」

「あの世じゃ生者に関わる機会なんてないからついつい、イタズラしたくなっちゃうらしい」

「久々の現世なんて、そりゃもうテンションが上がっちゃうもんだからねぇ」

グリム「なんてみみっちいイタズラなんだゾ」

リリア「くふふ。可愛いものじゃろ」

「そんな理由でイタズラされた身はたまったもんじゃないですけど」

リリア「イタズラ好きのゴーストは、たいてい菓子を備えてやれば退散するからな。じゃが、中には手に負えん悪さをする悪霊も紛れている場合がある。悪さをするゴーストにはユウたちも覚えがあるじゃろう?」

そう言われて、ゴーストたちを見た私たちは悪くないはずだ。

リリア「目には目を、歯には歯を。ゴーストにはゴーストを。仮装は悪霊を逆に怖がらせて追い払う魔除けの意味をもつ装束でもあるのじゃ。…………っちゅーのは大昔の話で、現代は楽しいからコスプレをしとるってカンジじゃな!」

グリム「いきなり安っぽくなったんだゾ!」

「その辺は私の世界と同じなんだ……」

日本のハロウィーンも、みんな仮装という名のコスプレを楽しんでいた。
まさか異世界でもそんな感じとは……正直、かなり驚いた。

「そうそう、深く考える必要はないよ」

「わしらがゴーストになるよりずーっと昔からハロウィーンはそういうものなんじゃ」

「生者たちだって、実際にゴーストが見えるわけじゃないけど、10月31日は思いっきりハメを外す。難しく考えず、『ハロウィーンはみんなで過ごす楽しい日』だと覚えておくれ!」

グリム「ふんふん、楽しい日…………って、『ゴーストが見えない』?なんでなんだゾ。みんな帰ってくるんだろ?」

「他じゃゴーストは見えないものなんですか?」

この世界のゴーストは目に見えるものだと思っていた私たちに、リリア先輩が説明してくれた。

リリア「強い未練や目的によってこの世にとどまる者もいるが、本来ゴーストとはあの世に行くべき者。ゆえに現世に漂うゴーストはひどく不安定な存在じゃ。ナイトレイブンカレッジのように魔力濃度の高い場所以外では、その姿は見えぬ」

グリム「えええっ。てっきり学園の外にもゴーストはうろちょろしてんのかと思ってたんだゾ……」

「知らなかった・・・・」
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