王子様と秘密のお嬢様 番外編

一面に色とりどりの花々が咲き乱れる様子にロゼッタは「凄い!」と感嘆の声を上げた。

気持ちのいい青空の広がる休日の昼下がり。恋人であるレオナに散歩しないかと誘われ、ここに来たロゼッタ。見渡す限り一面のお花畑。ロゼッタは花が大好きであった。美しく咲き誇る花々を見て、ロゼッタは癒されていた。

ふと隣を見ると、ロゼッタを連れてきた本人は美しい景色よりもそれを見るロゼッタに目を向けていた。

「ふふ。レオナさん連れてきてくれてありがとうございます」

「お前がここ数日塞ぎ込んでたからな。元気になってよかった」

ロゼッタはレオナが言うように数日気分が沈んでいた。両親のことを思い出していたのだ。

「すごくうれしいです…」

「元気出たか?」

「はい」

「そりゃよかった。」

レオナはロゼッタにそう言った瞬間、ロゼッタを花畑に優しく寝転ばさせ、押し倒すような体制になった。

「ど、どうしたんですか?レオナさ・・・た、食べないでください!!」

「お前も俺と同じ肉食獣なのに食べないで、か。そいつはできねえ相談だな。ここに連れてきたご褒美をもらわねえと…な。」

レオナはロゼッタが来ているワンピースから覗く無防備な首筋に、がぶっとかみついた。甘噛みだったので痛く感じない。むしろレオナの息がかかってくすぐったかった。

「ふふ」

「幸せそうな顔してんな。・・・しかし、始めてきたがなかなか心地いいな。少し寝ようぜ」

甘々な展開からマイペースに欠伸をしたレオナ。それにつられるかのように欠伸し、眠たそうにするロゼッタ。事実、ここ数日深い眠りはできていなかった。両親のことで悩んでいたから。いやな妄想ばかりしてしまい、寝つきが悪くなっていたのだ。

「いいアイデアですね。心地よくて、ぐっすり眠れそうです」

ごく自然な動作で、ロゼッタの頭の下にレオナの腕が敷かれて腕枕をされる。もう片方の腕は優しく背中に回されてしまった。さらに片足と尻尾もロゼッタの足に甘えるように絡められ、体全体を余さず抱きしめられる体制になる。

寝不足のロゼッタにとって彼の体温は安心感が与えられ、瞼が重くなっていった。

風がそよそよと優しく髪をなでる
午後の麗らかな陽気
うっすらと香る花の香り
隣には大好きな人のぬくもり

「おやすみ、ロゼッタ」

大好きな人の声

幸せな休日

重くなる瞼に逆らうことなくロゼッタは心地よい睡魔に身を委ねるのであった。

後日、これを見ていたグリムがSNSに2人の昼寝写真を公開してしまい、たくさんの”いいね”がもらえると同時に、レオナに追いかけまわされたのは別のお話。
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