フェアリー・ガラ

監督生SIDE

今、私は猛烈に感動している
それほどまでに、ランウェイの空気に飲まれている。

カリム先輩の、細やかなステップ、

ジャミル先輩からあふれるパッション、

ロゼッタさんのまるで天使のような透き通った歌声、

そしてレオナ先輩のダイナミックな動きかつ色気…。

これで場に飲まれないのは、もはやおかしい。

カリム「オレ達もとっておきの技を見せるぜ!会場のみんなも、一緒に踊ろう!」

ジャミル「さあ、座ってないで。手を叩いて、歌って、春を祝おう!」

その言葉につられ、妖精達は鮮やかに踊り始める。
春の祝祭…大成功だろうな。

ふと、女王を見ると、彼女の視線はレオナ先輩達にくぎ付けになっていた。
私はスマホを構える。

女王【あぁ、この光景を…ずっと見ていたい】

女王も玉座から立ち上がり、ランウェイの彼らに視界が埋まっている様子。

「…!今だ」

私はスマホのコールを押した。
そのまま、彼らと合流するため走り出す。

あとはラギー先輩の成功を祈るだけだ。

**


ラギー「ふう……すり替え成功」

グリム「にゃ、にゃにっ!?
気づいたらもう終わってたんだゾ!早技すぎて全然見えなかった!」

ラギー「ティアラを髪に固定してたピン外して戻して6秒ってとこッスね。
……10秒もいるもんか。レオナさん、オレを侮りすぎッスよ。シシシッ」


「ラギー先輩、グリム」

彼らの側に駆け寄ると、ラギー先輩の手にはティアラが握られていた。
タイミングはバッチリだったようだ。

「凄いです、女王様気付いてなかったですよ」

ラギー「シシシッ。まっ、素人と一緒にされたら困るッス。
よし!早くここを離れよう」

そのまま亜熱帯ゾーンへ走る。
あとは脱出して、ランウェイチームと合流すれば計画は完結だ。

ラギー「ほら、早く早く!」

グリム「はぁはぁ…ラギーの足早すぎるんだゾ」

「仕方ないな・・・」

息切れするグリムを抱え、ラギー先輩を追いかけ亜熱帯ゾーンへ張った。
その瞬間…プシャッと雨が降り始めた。

グリム「ぶわっつめてぇっ!?なんだ!?雨が降ってきたんだゾ!?」

ラギー「違う、これは……植物園のスプリンクラーッス!
やばい、亜熱帯ゾーンにはスコールタイムが設定されてたの忘れてた!
このままじゃ……」

「水で“妖精の粉”が全部落ちちゃう!」

ふと背後からヒュンと音がした。

ラギー「やばいっ、誰か来る!ひとまず物陰に隠れるッス!」

私達は近くの茂みに身を隠す。
すると2体の妖精が現れた。
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