フェアリー・ガラ

カリムSIDE

ジャミルとロゼッタとレオナより一歩前に出て、俺はステップを刻み始めた。
上からヒラヒラと赤と白の花びらが舞う。

妖精【何てかろやかなステップ!

  彼は風の妖精かしら?】

カリム「いい感じだ!」

ジャミル「ここで大技、ウインドミルからナインティ!」

ジャミルも笑みを浮かべながら、キレのあるステップを披露してくれている。
それでまた妖精達の反応が変わる。

妖精【体を地面すれすれで回転させて……

  あんなに激しい振り付け、みたことがないわ!】


妖精【大迫力!もっと近くで見よう!】

妖精達が、俺達を見て、歓喜してくれている。
そして妖精の女王もジッとこちらを見入ってくれている。

やっぱ、喜んでもらえるのは凄ぇ嬉しいな!!

最高だ、ずっとここにいたい…ここで踊っていたい!
踊る事はやっぱり、凄ぇ楽しい!!

カリム「!」

ふと、視界の端にこちらを見るロゼッタが見えた。

目がキラキラ輝いている…俺達を見て、ロゼッタも楽しんでくれている。

カリム「っ…」

ロゼッタにはずっと…笑っていて欲しい。今まで苦労してきたんだから

俺は笑みを浮かべ、最後のターンを決めるステップをする。

ここまでのステップは全部完璧。

最後は、いつも失敗していた曲のラスト…!!

リズムに合わせて3歩進んだら、ターン……それでオレがバッとしゃがんだら‥…

ジャミル「!」

俺の動きに合わせて、ジャミルがバク転!!!

その動きは完璧に一致、ジャミルはバク転を決めた。

カリム「よし、息ピッタリだ!!」

ガッツポーズしたくなるのを必死に耐え、最後のポーズを決める。
俺はジャミルの方を見て、笑みを浮かべる。

カリム「見ろよ、ジャミル!
妖精達が立ち上がって、俺達に拍手してる!
ははっ、凄ぇ楽しいな!!」

ジャミル「……ふっ、まぁな」

いつもなら返してくれない返事を今回はぶっきらぼうだが返してくれた。
それが嬉しくて俺は笑みを浮かべる。

この光景が、俺達のランウェイが…

妖精達の、ロゼッタの記憶に残って欲しい。

ずっと、ずっと消えない様に___。
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