王子様と秘密のお嬢様 番外編
学園長の手伝いが一通り終わったロゼッタは、昼食を食べるために購買へ向かっていた。レオナさんの分も買って二人で食べようと思っていたとき、頭上から何かが降ってきた。避けようとした時にはもう遅く、落ちてくるそれを動けずに見上げていた。私以外に人がいなくてよかったかもしれない。もしユウがかぶったらもっと大変だったかも。そう思いながら目を閉じる。
だが、背後から伸びてきた腕がロゼッタを包み込んだ。やってくると思った衝撃はいつまでたってもやってこない。ただ温もりがロゼッタを包んだ。
ゆっくりと目を開けるとロゼッタはレオナの腕の中にいた。レオナが庇ったのだ。随分と近い距離でロゼッタの無事を確認するようにのぞき込んできた彼の目と視線が交わる。レオナの長い髪から、顎を伝い首筋へ。瓶からあふれた液体の薬がぽたぽた落ちていく。
「大丈夫か?」
「え、ええ」
レオナはゆっくりとロゼッタを腕から解放すると、頭を振ってその雫を飛ばした。
「大丈夫か、仔犬!」
ちょうど真上の二階の窓からクルーウェルが顔を出す。
「薬をかぶったのはどっちだ」
「レオナさんです。私をかばって…!」
ロゼッタは慌てて現状を先生に伝える。その彼の背後には薬をこぼしたであろう生徒2名ほどがひたすら頭を下げていた。
レオナはかぶってしまった魔法役を鬱陶しそうにに拭いながら、その2人の生徒を睨む。サバナクロー寮の寮長であるレオナ・キングスカラーに睨まれ、2人の生徒はかわいそうなくらい小さくなった。
「一体、何の薬だったんですか?危ないものではありませんよね?」
心配でたまらないロゼッタは、クルーウェルに尋ねた。
「思っていることが口から出る薬だ」
「今、なんと?」
「思っていることが口から出る薬だ。30分で効果は切れるから安心しろ。」
危険な薬ではないとわかった。一安心だとロゼッタは思った。
「よかったですね。すぐに効果が切れ…レオナさん?どうかしましたか?」
「かわいい」
「え?」
ロゼッタは突然聞こえた言葉に目を見開く。いつもこんな公共な場で、レオナは可愛いなどと言ったことがなかったからだ。レオナとて自身の口からポロリと出た言葉に驚いて口を塞いだ。
「レオナさん…大丈『心配すんな。それと、あれくらい避けれただろ?お前は本当に危なっかしい。あれがやばい薬だったらどうすんだ。もっと俺の目の届くとこにいろ』
息継ぎすることなく、すらすらとレオナの口から言葉があふれだした。レオナは何も言うなと言わんばかりの目でロゼッタを見つめた。その瞬間レオナは走り出した。
ロゼッタもレオナを追うように追いかける。レオナが走っている間にも、サバナクローの寮生がレオナに話しかけてきた。そのたびにレオナさんは素直に話してしまう。その説明をロゼッタがするというのが流れ作業のようになっていった。
レオナが逃げ込んだのは植物園だった。
彼は疲れたといわんばかりに芝生の上に寝転んだ。ここでなら何かを口走ったとしても誰かに聞かれる心配はない。不貞寝のごとく、手を枕にして彼が目を閉じたころにロゼッタがレオナに追いついた。彼が寝転んだその傍らに彼女が座る。
二人っきりだ
「…ねえ、レオナさん。私のこと好きですか?」
そう尋ねると彼の耳がピクリと動いた。閉ざしていた眼を開け、レオナは手を伸ばす。その手の甲でロゼッタの頬を優しくなでた。
「当たり前だ。いつだって、そう思ってる」
普段、彼は人前で愛を述べることは少ない。その代り態度で示してくれていたのだが、ロゼッタはそれが少し寂しかった。十分に大切にされていることはわかっている。けれど、言葉だってほしいのだ。
「レオナさん、大好きです!」
「ああ、知ってる。けど、俺の方が好きだぜ。いや、愛してる」
彼が走っていた間に30分過ぎていることに、目の前の彼は気づいているのだろうか。ロゼッタは嬉しくなって笑みを浮かべながら、彼の優しくて大きな手を頬に摺り寄せてしばらく甘えてみた。
この出来事の後、レオナはロゼッタのことをもっと溺愛するようになったそう。
だが、背後から伸びてきた腕がロゼッタを包み込んだ。やってくると思った衝撃はいつまでたってもやってこない。ただ温もりがロゼッタを包んだ。
ゆっくりと目を開けるとロゼッタはレオナの腕の中にいた。レオナが庇ったのだ。随分と近い距離でロゼッタの無事を確認するようにのぞき込んできた彼の目と視線が交わる。レオナの長い髪から、顎を伝い首筋へ。瓶からあふれた液体の薬がぽたぽた落ちていく。
「大丈夫か?」
「え、ええ」
レオナはゆっくりとロゼッタを腕から解放すると、頭を振ってその雫を飛ばした。
「大丈夫か、仔犬!」
ちょうど真上の二階の窓からクルーウェルが顔を出す。
「薬をかぶったのはどっちだ」
「レオナさんです。私をかばって…!」
ロゼッタは慌てて現状を先生に伝える。その彼の背後には薬をこぼしたであろう生徒2名ほどがひたすら頭を下げていた。
レオナはかぶってしまった魔法役を鬱陶しそうにに拭いながら、その2人の生徒を睨む。サバナクロー寮の寮長であるレオナ・キングスカラーに睨まれ、2人の生徒はかわいそうなくらい小さくなった。
「一体、何の薬だったんですか?危ないものではありませんよね?」
心配でたまらないロゼッタは、クルーウェルに尋ねた。
「思っていることが口から出る薬だ」
「今、なんと?」
「思っていることが口から出る薬だ。30分で効果は切れるから安心しろ。」
危険な薬ではないとわかった。一安心だとロゼッタは思った。
「よかったですね。すぐに効果が切れ…レオナさん?どうかしましたか?」
「かわいい」
「え?」
ロゼッタは突然聞こえた言葉に目を見開く。いつもこんな公共な場で、レオナは可愛いなどと言ったことがなかったからだ。レオナとて自身の口からポロリと出た言葉に驚いて口を塞いだ。
「レオナさん…大丈『心配すんな。それと、あれくらい避けれただろ?お前は本当に危なっかしい。あれがやばい薬だったらどうすんだ。もっと俺の目の届くとこにいろ』
息継ぎすることなく、すらすらとレオナの口から言葉があふれだした。レオナは何も言うなと言わんばかりの目でロゼッタを見つめた。その瞬間レオナは走り出した。
ロゼッタもレオナを追うように追いかける。レオナが走っている間にも、サバナクローの寮生がレオナに話しかけてきた。そのたびにレオナさんは素直に話してしまう。その説明をロゼッタがするというのが流れ作業のようになっていった。
レオナが逃げ込んだのは植物園だった。
彼は疲れたといわんばかりに芝生の上に寝転んだ。ここでなら何かを口走ったとしても誰かに聞かれる心配はない。不貞寝のごとく、手を枕にして彼が目を閉じたころにロゼッタがレオナに追いついた。彼が寝転んだその傍らに彼女が座る。
二人っきりだ
「…ねえ、レオナさん。私のこと好きですか?」
そう尋ねると彼の耳がピクリと動いた。閉ざしていた眼を開け、レオナは手を伸ばす。その手の甲でロゼッタの頬を優しくなでた。
「当たり前だ。いつだって、そう思ってる」
普段、彼は人前で愛を述べることは少ない。その代り態度で示してくれていたのだが、ロゼッタはそれが少し寂しかった。十分に大切にされていることはわかっている。けれど、言葉だってほしいのだ。
「レオナさん、大好きです!」
「ああ、知ってる。けど、俺の方が好きだぜ。いや、愛してる」
彼が走っていた間に30分過ぎていることに、目の前の彼は気づいているのだろうか。ロゼッタは嬉しくなって笑みを浮かべながら、彼の優しくて大きな手を頬に摺り寄せてしばらく甘えてみた。
この出来事の後、レオナはロゼッタのことをもっと溺愛するようになったそう。