フェアリー・ガラ

__植物園

ジャミル「フェアリーガラの会場である植物園は、この中だ。
ここから先に会うヤツはみんな妖精。俺達が人間であることを知られてはいけない。
十分に気をつけてくれ。特に……ん?」

ラギー「どうしたッスか?」

ジャミル「……ロゼッタ様とカリムはどこだ!?」

グリム「…あれ?そういえば…」

ジャミルに言われ、全員振り返るが…最後尾を歩いていたカリムとロゼッタがいなくなっていた事にようやく気付いた。

ラギー「えっ?……そういえばさっきからいないッス!」

レオナ「どこに行ったんだ……ロゼッタの奴」

監督生「カリム先輩のことも心配してあげてください」

前途多難…とおもったら茂みの方から「おーい」と手を振り、カリムが近付いてきた。

ジャミル「カリム!勝手にフラフラするな。まったく……緊張感がなさすぎる」

カリム「大変なんだ。ちょっとこっちに来て手をかしてくれ!」

ジャミル「はあ?なにか珍しいものでもあったのか?でも今は遊んでいる場合じゃ……

それにロゼッタ様だっていないんだ。今は…」

カリム「ロゼッタもそこにいるから!早く!」

そして駆け出すカリムに顔を見合わせつつ、その後を追う。
植物園のすぐそばにある茂みの中、ロゼッタはしゃがみ込み、何かと喋っている。

グリム「あ~!ロゼッタいたんだゾ!」

ラギー「もう心配させないで欲しいッス!」

「ごめんなさい、急にいなくなってしまって・・・」

カリム「兎に角、コイツを見てくれ!」

カリムが指さすのは、ロゼッタの掌でぐったりしている1人の妖精。

グリム「ホワッ!!手のひらサイズのちっせー人間なんだゾ!」

ラギー「もしかして、これが妖精?」

「そうなんだけど・・・・」

__【チリン・・・・・】

鈴のような声を出し、苦しそうな妖精の背を指の腹でなぞるロゼッタ。

カリム「会場の行く途中で見つけたんだけど、なんか具合が悪そうなんだよ。
でも言葉がわかんねぇからどうしてやればいいかわからなくて」

ラギー「うわぁ、カリムくんって本当に絵に描いたようないいヤツッスね」

ジャミル「ロゼッタ様でもお分かりにならないのですか?」

「妖精にも喋れる子と喋れない子もいるの…それに私が加護を受けたのは精霊で、妖精とは似て非なるものだから…」

レオナ「…心配したんだぞ。」

「ごめんなさい・・・・カリム君がジャミル君なら詳しいかもって言ってるんだけど、どうかしら?」

ジャミル「小さい人の生態に詳しい訳でもないので一概に言えませんが……
苦しそうに腹を押さえている……もしかして腹痛か?」

__【チリリリン!!!】
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