フェアリー・ガラ

そして、翌日…。

カリム「この布、どこに巻けばいいんだっけ?」

ジャミル「貸してみろ。こうして肩にかけて……これでいい」

ラギー「やっぱこんな高そうな服着るのは緊張っていうか……むずむずするッス」

レオナ「堂々してりゃお前だってそれなりに見えるんだよ。おどおどすんな」

グリム「みんなキラキラして眩しいんだゾ!」

ジャミル「刺繍のおかげでもあるけど、ふりかけられた妖精の粉の効果かもな」

ヴィルさんのレッスンを終えて、フェアリーガラへ侵入する当日。
皆、衣装を着こみ、妖精の粉をかぶる。

そのお蔭で衣装に縫われている刺繍がキラキラと光っている。

ヴィル「……はい、いいわよ」

「ありがとうございます。皆さん、よくお似合いですよ」

レオナ「ロゼッタ(ほんもんの精霊・・・いや妖精みてぇだ)…‥…似合ってる」

ジャミル「ええ。ロゼッタ様も妖精らしく見えます」

ヴィル「ロゼッタはカリムやレオナのように刺繍の色は金色に、刺繍の形はジャミルの衣装のように、鳥や花の飾りをして、印象付ける。
逆に化粧は落ち着かせ、アイライナーもシャドウ系に、潜入する側に回るから淡い色合いにしたの。ヘアセットも簡単に崩れないように、上で少しまとめあげて、アップにしたわ」

いつも髪を下ろしていることが多いので、新鮮な気持ち・・・

監督生「すっごくきれいです!!」

「ありがとう。ユウもかわいいわよ」

監督生「え‥そんなことないですよ~」

ヴィル「最後で気を抜いたら、厳しい特訓に耐えた意味がない。
鏡を見て、メイクのチェックも入念になさい。

最初は無様な芋洗い状態でどうなるかと思ったけど…」

ヴィルさんらしい表現ね…

ヴィル「今日のアンタ達の仕上がり、悪くないわ」

カリム「ヴ…ヴィル先生~!」

監督生「
先生?」
ラギー「何っすか、あの茶番」

泣きながらヴィルさんに抱き着くカリム君。

青春ドラマみたい……。

カリム「踊れるようになったのは、ヴィル先生のおかげだ。オレ、本番も頑張るからな!」

ヴィル「本来の目的を忘れないで。アンタ達の任務は妖精に奪われた魔法石を奪還すること。妖精に奪われた魔法石がなければ学園は平穏が訪れない」

この作戦が失敗したら…春が訪れなくなってしまう。

……そもそもこれはお義父様が解決すべき問題の筈………。

ヴィル「いいこと?ランウェイの上は、戦場よ。
最高のパフォーマンスで視線とティアラを奪い取ってきなさい!」

「「「はい!!」」」

ヴィルさんの言葉に私達は返事をした。
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