フェアリー・ガラ

レオナ「…どーだよ。

ファッションショーのウォーキング、これなら文句ねぇだろ?」

こんなもんだろ?というように、レオナさんは見事なウォーキングを見せてくれた。
私は思わず、拍手してしまう。

「す、凄い…完璧です」

ヴィル「…満点だわ。数日前とは別人じゃない。
どうして急に本気を出したの?」

レオナ「ファッションショー何て、下らなすぎてやる気が起きなかったが……
ロゼッタはともかく、お前につきまとわれるのはうんざりだ。
それならさっさとクリアしちまった方が楽だと思ってなァ」

監督生「…ならどうしてそのやる気を初日に出してくれないのか…」

レオナ「何か言ったか?」

ヴィル「…甘いわね。
アタシたちの世界の“ウォーキング”がただ歩くだけで済むと思ってるの?」

レオナ「はぁ!?」

ヴィル「ショーの中で一番重要なもの。それは……ポージング‼‼」

「「ポージング…?」」

レオナさんとユウが共に首をかしげる。

ヴィル「ランウェイを歩いて視線を集め、魅力的なポーズを決める。
それがファッションショー。素人でも、テレビや雑誌なんかで見た事位あるでしょ?

ランウェイの先端を折り返す時、例えば…腰に手を当てて……」

そう言い、ヴィルさんが実践してくれた。
此方に背を向け、一度ターンして振り返り、腰に手を当てるポーズをとる。

…おぉ、と声が出る程決まっており、いつものヴィルさんとは違った印象を感じた。

監督生「カッコイイ…」

レオナ「歩きと関係ねぇじゃねぇか‼」

ヴィル「“ポージング”はウォーキングの1部よ。それが決まらなきゃ、会場中の目線何て奪えっこない。そしてポーズはモデルの人生を映し出すもの。
アタシと丸きり同じで言い訳じゃない」

「つまり、レオナ先輩自身で考えないと…きゃ!?」

急に私を抱きしめる、レオナさん。不機嫌な証拠だ…

レオナ「あー、めんどうくせぇ。お前が適当に見繕えよ」

ヴィル「…ふっ。アンタなら面倒くさがってそう言うと思ったわ。
非協力的なアンタでもやる気が出るように、強力な助っ人を用意しておいたわよ」

「……強力な助っ人?」

レオナ「この流れ……嫌な予感がする」

その時、バタッとボールルームの扉が開かれた。
入ってきたのは2人の男子だ。

「やぁ、獅子の君ロア・ドゥ・レオン!今日も素敵な毛並みだね、トレビアン!」

ケイト「真面目なレオナ君とかレア~!記念に1枚マジカメ上げちゃ♪」

監督生「ケ、ケイト先輩に……えっと」

レオナ「……ポムフィオーレ寮の副寮長、ルーク・ハントだ。クソ面倒ぇ奴だよ」

ルーク「ボンジュール!君はヴィルが注目していたトリックスター!
こうしてお話するのは初めてかな?僕は美しさを愛すポムフィオーレ寮の副寮長、
ルーク・ハントだ、よろしく」

「……は、はぁ、ユウです…」

ケイト「アハハ~!監督生ちゃん、カチカチ~!1枚ゲット」

レオナ「…おい、何でこいつらが助っ人になるんだ」

ヴィル「美に敏感なルーク。トレンドに詳しいケイト。
ポージングのアドバイザーにはうってつけでしょう」

成程…この2人はレオナさんの睨みにも委縮しなさそうだし。

と、思っていると…早速。

ケイト「モテ間違い無しのミステリアスな上目遣いとかどう?
…ぐっ!!と顎を引いてみよっ☆」

ケイトさんはレオナさんに近付き、顎を無理矢理引かせる。
「ぐっ!!」とレオナさんの呻き声が…。

ルーク「もう少し儚さが欲しいな。レオナ君、私の方に手を差し出してくれるかい?」

レオナさんは言われるままルークさんの方に手を差し伸べる。

ルーク「ノン!体は正面に向けて‼肩もシャキッと、地面に並行に‼‼」

今度はルークさんが近付き、正面に向けさせ、肩をグイッと引っ張る。
「うっ!!」というレオナさんの呻き声。
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