王子様と秘密のお嬢様 番外編
ロゼッタSIDE
どうしても、眠れない。
今週1週間はユウたちが住むオンボロ寮の掃除だったりをするため、オンボロ寮に寝泊まりしていた。レオナさんにも承諾をもらっている。この日はグリム君やユウにおやすみを告げて目を閉じた後も意識は覚醒したままだった。こんな日は、お父様とお母様をどうしても思い出してしまう。
私は二人が寝ているのを確認すると、部屋の外に出ようとした。が、グリム君は足音に気づいたのか
グ「ン・・・どこか行くのか?オレ様もついていくんだゾ」
と言ってくれた。小さな手で目を擦り、それでも開かない目を無理矢理にでも開けて言う。せっかくここまでしてもらって申し訳ないが、一人でいたかったのでそれを断った。
「大丈夫よ、グリム君。起こしてごめんなさい、すぐ帰ってくるから寝てて」
私がそういえば分かったんだゾ、と言ってまた体を丸めて目を閉じた。すぐに規則正しい寝息が聞こえてくる。
今は何も考えたくなくて、自分の気持ちをだれにも気づかれたくなくて、オンボロ寮から出ると、一気に走り出した。
満月がきれいな空だ。寮から少し離れたところでそれを眺めていると、私の頭の中に、ふとある場所が浮かんだ。
「行ってみよう・・・・かな」
そう思った私はまた走り出す。頬を切る風は少しだけ冷たく肌寒く感じたが、道を急いだ。
目的地はそう、植物園
私は植物園のいつもレオナさんがいる場所に座り込んだ。上を見上げると月が見え、心のざわめきが静まっていく。
両親との思い出。曖昧な記憶しかもう残っていない…
どうしようもない虚無感に襲われた。私はいなくてもいいのではないかと不安で不安で堪らない。
ああ、どうしよう。気持ちを落ち着かせるためにここに来たというのに、またざわつきが押し寄せてきた。寒さが私の体温と安定を奪っていくような気がした。
気付いた時には涙が止まらなくて、どうして泣いているのかもわからなくなっていた。それと共にとめどなく流れてくる涙は、私の頬を濡らし、土が濡れていく。
暫く泣いていたその時、後ろから声をかけられた
「ロゼッタ」
「えっ」
こんな夜中に1人で泣いているところを見られてしまったという焦りや、急に話しかけられたことによる驚きで私はあたふたした。その間も涙は止まらない。
「ごめんなさい。ここに誰か来ると思わずに・・・私、帰りますね」
早口でそう告げ、立ち去ろうとすると、レオナさんは私の横に座った。私が立ち去るのを拒むように
「れ、レオナさん?」
「誰が立ち去れって言った?」
レオナさんはそういい、私の顔を見た。綺麗な緑色が視界を埋め尽くす。そして、おもむろにレオナさんの手が私の頬に触れた。涙で濡れてしまっている私の頬に。
「冷てぇ」
そう一言つぶやくと、レオナさんは私を持ち上げ、私を後ろから抱きしめるような姿勢へと変えた。
私の方に顔を埋めるレオナさん。
「何をしてるんです?」
私がそう聞くと、レオナさんは『何も問題ないだろ』というような声でこう言った。
「ロゼッタ、お前寒いんだろ。服の上からでも冷えてんのがわかる。それにこの体勢なら顔は見えねぇ、このままでいろ」
(私の泣いている顔を見ないようにしてくれたの?)
私の体はレオナさんに比べたら小さく、レオナさんが抱きしめればすっぽり包まれるような感覚になる。レオナさんの体温が伝わってくる。それがとても心地いい。私は胸の前にある腕に頭を乗せた。
「ありがとうございます」
「ああ」
レオナさんはこれ以上何も言わなかったが、尻尾が私を囲うように揺れた。
私はレオナさんの方に体重を預けながら、気持ちを落ち着けていく。
体温が上がっていくとともに、涙はなくなっていた。
どうしても、眠れない。
今週1週間はユウたちが住むオンボロ寮の掃除だったりをするため、オンボロ寮に寝泊まりしていた。レオナさんにも承諾をもらっている。この日はグリム君やユウにおやすみを告げて目を閉じた後も意識は覚醒したままだった。こんな日は、お父様とお母様をどうしても思い出してしまう。
私は二人が寝ているのを確認すると、部屋の外に出ようとした。が、グリム君は足音に気づいたのか
グ「ン・・・どこか行くのか?オレ様もついていくんだゾ」
と言ってくれた。小さな手で目を擦り、それでも開かない目を無理矢理にでも開けて言う。せっかくここまでしてもらって申し訳ないが、一人でいたかったのでそれを断った。
「大丈夫よ、グリム君。起こしてごめんなさい、すぐ帰ってくるから寝てて」
私がそういえば分かったんだゾ、と言ってまた体を丸めて目を閉じた。すぐに規則正しい寝息が聞こえてくる。
今は何も考えたくなくて、自分の気持ちをだれにも気づかれたくなくて、オンボロ寮から出ると、一気に走り出した。
満月がきれいな空だ。寮から少し離れたところでそれを眺めていると、私の頭の中に、ふとある場所が浮かんだ。
「行ってみよう・・・・かな」
そう思った私はまた走り出す。頬を切る風は少しだけ冷たく肌寒く感じたが、道を急いだ。
目的地はそう、植物園
私は植物園のいつもレオナさんがいる場所に座り込んだ。上を見上げると月が見え、心のざわめきが静まっていく。
両親との思い出。曖昧な記憶しかもう残っていない…
どうしようもない虚無感に襲われた。私はいなくてもいいのではないかと不安で不安で堪らない。
ああ、どうしよう。気持ちを落ち着かせるためにここに来たというのに、またざわつきが押し寄せてきた。寒さが私の体温と安定を奪っていくような気がした。
気付いた時には涙が止まらなくて、どうして泣いているのかもわからなくなっていた。それと共にとめどなく流れてくる涙は、私の頬を濡らし、土が濡れていく。
暫く泣いていたその時、後ろから声をかけられた
「ロゼッタ」
「えっ」
こんな夜中に1人で泣いているところを見られてしまったという焦りや、急に話しかけられたことによる驚きで私はあたふたした。その間も涙は止まらない。
「ごめんなさい。ここに誰か来ると思わずに・・・私、帰りますね」
早口でそう告げ、立ち去ろうとすると、レオナさんは私の横に座った。私が立ち去るのを拒むように
「れ、レオナさん?」
「誰が立ち去れって言った?」
レオナさんはそういい、私の顔を見た。綺麗な緑色が視界を埋め尽くす。そして、おもむろにレオナさんの手が私の頬に触れた。涙で濡れてしまっている私の頬に。
「冷てぇ」
そう一言つぶやくと、レオナさんは私を持ち上げ、私を後ろから抱きしめるような姿勢へと変えた。
私の方に顔を埋めるレオナさん。
「何をしてるんです?」
私がそう聞くと、レオナさんは『何も問題ないだろ』というような声でこう言った。
「ロゼッタ、お前寒いんだろ。服の上からでも冷えてんのがわかる。それにこの体勢なら顔は見えねぇ、このままでいろ」
(私の泣いている顔を見ないようにしてくれたの?)
私の体はレオナさんに比べたら小さく、レオナさんが抱きしめればすっぽり包まれるような感覚になる。レオナさんの体温が伝わってくる。それがとても心地いい。私は胸の前にある腕に頭を乗せた。
「ありがとうございます」
「ああ」
レオナさんはこれ以上何も言わなかったが、尻尾が私を囲うように揺れた。
私はレオナさんの方に体重を預けながら、気持ちを落ち着けていく。
体温が上がっていくとともに、涙はなくなっていた。