フェアリー・ガラ

「……な、何とかなりますよ!!!」

レオナ「間が長ぇ」

ラギー「滅茶苦茶不安何っスけど…」

ジャミル「……大丈夫です。俺に考えがあります」

カリム「ん?ジャミルどこに行くんだ?」

ジャミル「すぐ戻る。少し待っていてくれ」

そういい、ジャミル君がオンボロ寮から出て行った。
考えって‥何だろうか?

グリム「ふな~熱いんだゾ…」

「何か冷たい物作りましょうか?」

グリム「俺、フロート!!」

監督生「ちょっと、グリム!」

「いいのよ、ユウ。ちょっと待っててね、グリム君。」

冷たい物を皆さんに振る舞っていたら、ジャミル君が戻ってきた。
…何か、大分険しい顔しているけど。

ジャミル「……連れてきたぞ」

監督生「はぁ、誰を?」

ジャミル「俺達が成功するための、秘密兵器だ!」

ジャミル君の言葉を合図に、オンボロ寮の談話室が再び開かれ、
2人の人物が入ってきた。

?「このメンツでファッションショー?野菜の品評会の間違いじゃない?」

?「仔犬ども。躾の時間だぞ」

レオナ「テメェらは……!」

白黒ファッションのクルーウェル先生と、
ポムフィオーレ寮の寮長、ヴィルさんがそこに立っていた。

どうして、この2人が……。

ヴィル「アタシ達がサポートすれば、
ファッションショーで主役になれること間違いなし。

そうよね?クルーウェル先生」

クルーウェル「もちろんだ。シェーンハイント」

フフフフッと怪しく笑う2人に少し恐怖が湧く。

ラギー「た、大変な2人がそろっちまった」

レオナ「ジャミル……テメェ、自分がなにしたのかわかってんのか」

ジャミル「俺だって、これは苦渋の決断です。

トップモデルのヴィル先輩とファッションの鬼のクルーウェル先生……
そんな2人をコーチにしたら絶対しごき倒される。

……でも、俺達素人がショーを成功させるには2人の力を借りるしか道はない!!!!!!」

監督生「もう自棄ですね…」

ラギー「さっすが深謀遠慮のスカラビア。
目的達成のための手段の選ばなさ、すごいッス……」

ヴィル「久しぶりね、ロゼッタ。」

「はい。」

ヴィル「あなたがファッションショーに出ないなんて残念だわ。
まぁ良いわ……ともかく、

女王の……いえ、会場中の視線を釘付けにし、その間にティアラを奪う

……名付けて"ティアラも視線も独り占め大作戦"!
絶対に成功させるわよ!!」

レオナ「……帰りてえ」

監督生「……まんまな作戦名」

ヴィル「何?」

監督生「い、いえ!何でも!」
カリム「ハハハ!ヴィルと(名前)は仲がいいな!」

クルーウェル「よし。ではまず全員、衣装合わせだな」

ラギー「衣装合わせ?ショーに出ないオレ達もッスか?」

クルーウェル「潜入する際に、妖精に扮することは変わらないだろう?
フォーマルな場にその薄汚れた毛並みのままうろつくのは、俺の仔犬にふさわしくない」

「……薄汚れた毛並み…」


酷い言われようだ。

クルーウェル「喜べ。

会場の中で一番エチゾチックで一番美しい衣装を……この俺が!!!!!


見立ててやろう!」

凄い上機嫌だ。
とんでもない人を招集したわね、ジャミル君は。

ジーッと彼を見ると「俺を見ないでください」と言われ、顔を背けられた。
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