フェアリー・ガラ

監督生「そ、それは…流石に」

グリム「それ、魔法よりバレそうじゃねぇか?」

レオナ「ラギーは器用で"手癖が良い"からな。しかもティアラはジャケットの内ポケットにしまってあるわけじゃない。堂々と頭の上に置いてあるんだ。ちょろまかすのは簡単だろ?」

「逆にハードルが上がってしまうんじゃ…」

ラギー「そうッスよ!!しかも相手は女王だし!!」

ギャンと再び吠えるラギー君だが、レオナさんの作戦を聞いた周りは…。

カリム「なるほど!だからレオナはジャックじゃなくてラギーにしようって言ったのか!あの1年生、でかくて目立つもんなあ。あっはっは!
ラギー以上の適任はいない。オレもレオナの案に賛成だ」

ラギー「うぇえ~……アンタら本気ッスかあ?」

レオナ「おいラギー。ティアラをすり替えるのに何秒必要だ?」

ラギー「うーん……ティアラの大きさや環境をふまえると……15秒ってところッスかね」

「え、そんなすぐにすり替えれるの?」

ラギー「へへっ、まぁ色々と条件あるけどね~」

レオナ「10秒だってよ」

監督生「あれ!?5秒少なくなってません!?」

ラギー「鬼か!アンタは!!」

レオナ「お前のことだ。どうせ余裕みて言ってんだろうが」

ラギー君と同様に驚く私だが、レオナさんの言葉でえ?とラギー君の顔を見る。
レオナさんの言葉に渋りつつも、まんざらでもない顔を浮かべるラギー君。

本当に10秒でできるのね…。

ラギー「でもその間は女王の意識を逸らしてもらわないと、さすがにすり替えるのは厳しいッスよ」

ジャミル「安全、かつ自然に、フェアリーガラという会場で注意を引く方法……」

カリム「なあなあ、フェアリーガラって春を祝う祭りなんだよな?
祭りといえば、パレードだ!
女王が思わず夢中になるようなパレードをするのはどうだ?」

監督生「…そ、そういうもんですか?」

カリム「おう!めいっぱい着飾って、珍しい動物や楽団をいっぱい引き連れてさ」

いや、それは色んな意味で注目を浴びてしまうんじゃ…。

ラギー「出た~、カリムくんの富豪発言」

「カリム先輩、会場に大勢は連れていけないわ」

ジャミル「__いや、待てよ。案外いいアイデアかもしれない」

ジャミル君は何か思いついた様に言葉を出す。

ジャミル「フェアリーガラでは
祝福のメインイベントとしてファッションショーを行うんだろ?」

カリム「おう!ランウェイ上じゃ、歌でも、ダンスでも、
春を盛り上げるパフォーマンスならなんでもありらしいぜ!」

ジャミル「……それだな」

監督生「………ま、まさかジャミル先輩」

ジャミル君が思いついた事に検討がついたのか、ユウはえぇーという目を浮かべて彼を見る。

そんなユウの視線を感じ、「そのまさかだ」と呟く。

ジャミル「俺とカリム、そしてレオナ先輩がファッションショーで会場中の注目を集める。
それで女王の注意が逸れた隙に、ラギーとグリム、監督生、ロゼッタ様がティアラをすり替えるんだ」

レオナ「はあ?この俺に妖精のお遊戯会に出ろってのか?」

レオナさんは文句を言っているけれど、これは妥当な判断だ。

異国感を味わう3人だが…何より人目を向くのはレオナさんの容姿。
この学園内でトップ3には入る美形だと思う。目元に傷はあるけれど、それもまた大人な雰囲気をかもしだしている。

しかもスタイルもいいし、こういう行事ごとには適任。
本人のやる気次第…だけど。

あと、カリム君の天真爛漫な笑顔やそれと対照的に冷たい微笑があるジャミ君輩も、
表に立てば光る事は間違いないだろう。

「10秒は意外と長いし、より妖精達が夢中になるものじゃないと、
作るのは難しいわね」

ジャミル「はい、ラギーの時間を稼ぐためには、全員で取り組むしかありません。
グリムと監督生とロゼッタ様がラギーのサポートにつく。俺達は消去法でショーに出る」

…凄いプレッシャーがかかるわね、ラギーくん。

ジャミル「……断ってもいいんですよ。
作戦が失敗したら一番困るのはレオナ先輩だと聞いていますが」

ジャミルくんがレオナさんを挑発する様な言い方と表情を浮かべる。
うわぁ、悪い顔…。

監督生「…あ、そうか。先輩はネコ科ですし…サバナクロー寮の人は皆獣人ですしね」

レオナ「煩ぇ」

「いだだっ!?」

ギリギリとユウの頭を掴むレオナさん。
痛そう・・・

「レオナさん、いたそうです。止めてあげてください」

レオナ「ちっ。クロウリーめ、余計な入れ知恵しやがって……」

ラギー「3人とも、頼みますよ?オレ達の成功は、アンタらにかかってんスからね!」

レオナ「……こんなド素人の集まりでなにが出来るってんだ?」

「えっと・・・・」

レオナさんの言葉に考え込み、周りがシンとなる。
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