ゴーストマリッジ

監督生「というか、その…周りの人達、気付いていたんでしょ?
何故、500年も一緒にいて教えて上げなかったんですか」

エース「つまりは、お前等は本人のためになること、なにもしてやってねーって事だよ!」

ユウとエース君の言葉に、グッと押し黙る家臣たち。

気づいてはいたんだろう。

だけど、姫様の理想とやらを叶える事に必死になって、見ないふりを続けていたんだ。

…いや、あるいは自分達の言葉で姫を傷つけたくなかったんだろう。

__「エースと監督生の言う通りだ」

すると、そこに新たな来客が現れた。

扉の方を振り返るとリドル君、ルークさん、エペル君がそろっていた。

別れる前はキチンとした正装だったが、流石に着崩れている。

けど、目だった怪我はない。その事実にホッと息を吐いた。

エース「リドル寮長!」

監督生「ルーク先輩も!」

グリム「エペル!お前も無事だったんだゾ!」

ヴィル「2人とも遅いじゃない」

ルーク「すまないヴィル。
キミという光を失ってここまで来る間、何度も道に迷ってしまったんだ」

エペル「えっ。ルークサン、すごく楽しそうにゴーストを倒して回ってた……かな?」

エペル君が苦笑いしながら言うのを聞いて「やっぱり」と呟いた。
あの後もずっと追いかけっこしていたのかしら…。

ゴーストさん達、無事?

デュース「寮長、僕達を助けに来てくれたんですよね!ありがとうございま…」

リドル「ケイト!! 今、何時だい!?」

ケイト「え?えーっと……食堂の時計だと、今23時35分だね」

リドル「日付変更まで時間がない……!早くゴーストを片付けよう!!」

ケイト「え?何?どういうこと?何の確認?」

ピンッと来ていない様子のケイトさん。

エース「よーし!タキシード隊もみんな揃ったことだし……そろそろ観念してもらおうか」

「さぁ、イデアさんを解放してください」

イライザ姫と周りの家臣たちを見る。
彼らはまだ迷っている様子。

ルーク「キミ達。今ならまだやり直せる。
大切なマドモアゼルを人命を奪う悪いゴーストにしたくはないだろう?」

ルークさんの言葉を聞き、それぞれが目配りをしてどうするかどうか悩んでいる。
ふと、イライザ姫は泣きそうな表情を浮かべた。

イライザ〈悪いゴースト?……私のこと言ってるの?


 私……悪いゴーストだなんて、そんなつもりじゃ……、

 
 私はただ……!〉

知らなかった、知ろうとしなかった哀れな御姫様。

理想に縋り過ぎて、本当の意味で幸せになるというのを見誤っていたのだろう。

姫が悪いとは思わ ない。

けど、知らなかったとはいえ、彼女がやろうとしていたことは許されない事だ。

無知とは罪でもある。
だから、このお姫様にもそろそろ現実を見て貰わないと。
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