夕焼けの草原のタマ―シュナ・ムイナ

『中堅戦、試合開始!』

ヴィル「さあ、かかってきなさい」

「キャッチ・ザ・テイルの素人が調子に乗るんじゃねえ!」

ヴィル「ふふ、突っ込んできたわね。作戦通り…」

ヴィルさんは身長が高いため防御力は最初からある

それに腕のリーチも長いから、遠くからでも相手のビーズに手が届く

試合の主導権を握れるため、攻め急ぐ必要はない

長期戦になり、相手が焦れば焦るほど隙ができる

ノーム『相手の出方を見ておるのか』

「ええ。カウンター狙いです」

ノーム『楽しませてくれそうじゃのう』

そのときだった

「!?ヴィルさん!」

真正面から攻撃が来るかと思いきや、ヴィルさんの足を蹴った

審判から注意が入るけれど、たまたま当たってしまったと言い張る

ノーム『的確に狙っておったたのによく言うわい』

レオナ「アイツ、わざと蹴りを入れたな」

キファジ「あの男、まともに試合をするつもりはないようですな」

「ただ暴れたいだけの喧嘩好き…面倒な相手と当たってしまいましたね」

キファジ「この大会で優勝しても賞品も賞金も出ない。だからこそ誇りを持ち、フェアプレイを心がける犬種ばかり集まっていたのですが…」

レオナ「随分と大会の質が落ちたもんだな、キファジ。そろそろこの時代錯誤な祭りも潮時なんじゃねえか?」

キファジ「優勝者たちを統率する第二王子が欠席を繰り返していれば、選手の品位が下がるのも当然。つまりはレオナ様のせいです。反省していただきたいものですな」

レオナ「ああ言えばこう言う。口が減らねえやつだ」

「顔色が悪い…怪我の具合が心配ですね(メリッサ、いつでも治療できるように準備をお願い)」

メリッサ『(わかったわ)』

キファジ「カリム様に続いて連敗が濃厚。ナイトレイブンカレッジチームは敗退ですかな?」

レオナ「ふん。お前はヴィルのことを、小綺麗な優男ぐらいにしか思っていないようだ。まあ、黙って見てるんだな」
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