夕焼けの草原のタマ―シュナ・ムイナ

翌日ロビーに行くと、すでに皆さん集まっていた

レオナ「いよいよキャッチ・ザ・テイル大会本番だ。リリアもヴィルもカリムも揃ってるな」

カリム「ああ3人ともいるぜ!」

ヴィル「『揃ってるな』って…アンタが1番最後に来たんじゃないの」

リリア「学園を旅立つときと同じじゃ。本当に適当な奴じゃのう」

グリム「オレ様と監督生、ジャックもいるんだゾ!」

監督生「精一杯応援しますね」

カリム「ソイツはうれしいな!」

リリア「うむ。わしらもやりがいがあるというものじゃ」

ヴィル「アタシのファンの声援に、かき消されないように声を張り上げなさいよ」

ジャック「俺もみんなをサポートするぜ」

ヴィル「アンタ、人のサポートなんて言ってる場合?部屋で休んでなさいよ」

ジャック「大丈夫っすよ。ちゃんと診察を受けて、キファジさんにも了承を得たんで」

「無理はしないでね」

ジャック「うっす!」

レオナ「このまま休んで帰ったら本物の役立たずだ。少しは働いてもらわねえとな」

ロゼッタ「闘技場へはこの小型バスで移動します。」

レオナ「王家の専属ドライバーの運転だ」

カリム「あれ?向こうにあるのは昨日レオナが載せてくれた車じゃないか?なんでここにあるんだろう」

レオナ「俺とロゼッタは自分の運転する車で行く。昨日の移動中ずっと、お前たちがうるさくてかなわなかったからな」

「「「お前達って?」」

グリム君、カリム君、リリアさんが一斉に声を出す

昨日私は車で寝てしまったけれど、レオナさんったら皆さんのことがうるさく感じたのね。遠回しに一緒に行きたくないと言ってるわ

ヴィル「さあ、誰のことかしらね?」

リリア「そうはいっても2人だけではつまらんじゃろう。仕方がない。わしがレオナの車に乗ってやる」

カリム「確かに寂しいのは良くないな…俺もバスじゃなく車に一緒に乗るよ!」

グリム「カリムと一緒にいればお菓子とジュースがもらえそうなんだゾ。オレ様も車に乗る―!」

レオナ「…」

レオナさんの表情がドンドン曇っていく

ヴィル「伝わらなかったみたいよ」

ジャック「レオナ先輩って車運転できたんすか!?」

レオナ「その話は昨日もうした。はあ…黙って車に乗るか、楽しくバスかテメエらで勝手に決めろ。どちらにしろ車には乗り切れないからな。俺は先に行くぞ。ロゼッタ、来い」

レオナさんの手を取り車に向かった

車をしばらく走らせていると闘技場に到着した

レオナ「着いたぞ」

カリム「うわー!凄い観客だなあ!」

ロゼッタ「キャッチ・ザ・テイルはタマ―シュナ・ムイナの目玉だから」

カリム「俺たちは何試合目なんだろう?」

ジャック「あ、あそこにトーナメント表が張ってありますよ」

カリム「本当だ!えーっと、ナイトレイブンカレッジチームは…あった!第1試合だ!」

1試合目…なかなか厳しい戦いになりそうね

リリア「何と…まさか初戦とは」

ヴィル「キャッチ・ザ・テイルの試合がどんなものか1度見てみたかったわね」

レオナ「こればっかりは運だ。仕方ない」

カリム「良いじゃないか!初戦なんてわくわくするぜ!」

リリア「確かにそうじゃな。思い切り目立てそうじゃ♪」

ヴィル「そうね。アタシたちほど大会のオープニングアクトにふさわしいチームもいないはず」

カリム君は目をきょろきょろさせるて、誰かを見つけた

カリム「あ!闘技場を挟んだ向かい側にキファジがいるぞ!」

ヴィル「アンタの甥もいるわね。昨日の近衛兵に囲まれているわ」

ロゼッタ「あの付近は貴賓席です。王族や政府の役人、それに外国からの来賓客が座る場所なんですよ。」

リリア「するとカリムも本当は、あそこに座って高みの見物をするはずだったのじゃな」

カリム「そうかも。1人で座るんじゃなく、こうしてみんなと一緒に試合に出られてよかったな~」

ヴィル「あの1番大きな席には誰が座るのかしら?」

レオナ「俺だ。その隣にロゼッタが座る」

リリア「おや、そうなのか?てっきりお主の兄の席かと思ったぞ」

レオナ「兄貴はタマ―シュナ・ムイナ全体を統括しているから暁光の都にいる」

ロゼッタ「優勝者たちのサンセット・ウォーリアーを率いるレオナさんが上座に座るのが習わしなんです」

ヴィル「アンタのための大会だと思うと…やる気がなくなってくるわ」

レオナ「そういうなよ。一流のエンターテイナー様のショーを楽しみにしてるんだ」

レオナ「それと大会終了後には、毎年派手な優勝パレードがある」

カリム「本当か!?そいつは楽しみだ!」

レオナ「楽しく参加したいのなら、優勝チームとなるように精々がんばることだな。新たに選ばれたサンセット・ウォーリアーを盛大に称えるパレードだ。さぞ目立つことだろう。」

リリア「パレードにはレオナとロゼッタも参加するのか?」

レオナ「誰が出るか。俺はナイトレイブンカレッジチームの一員じゃないしな。見世物になってるお前達をロゼッタと一緒に堪能させてもらうさ」

ヴィル「ますますやる気がなくなってきたわ」

リリア「つまらんのう。パレードでレオナを肩車してやろうと思うたのに」

レオナ「ああそうかい。今からもう優勝する気満々とは頼もしいことだ。さて、あの仰々しい席に行くとするか。お前たち貴賓席からはアドバイスできないが、昨日話した通りに闘え。わかったな」

カリム「任せとけ!」
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