夕焼けの草原のタマ―シュナ・ムイナ

リリア「わしもマレウス達への土産を買うぞ。何度も旅をしておると、どうも似たお土産を選びそうになってしまう。気をつけねばな。マレウスへの土産はこのT シャツ…いや、少し前に似たものを渡して居ったわい。置物は…以前、ガーゴイルを渡してから、ハードルが上がってしもうたな。シルバーやセベクは、別々のものを買って帰ると揉め事の原因となりそうじゃ。う~む、悩むのう…」

カリム「リリアは色々考えていてすごいな!」

リリア「なあに、これも旅の楽しみの内じゃよ。夕焼けの草原の旅はまだ続く。もう少し戻すとしよう。」

ロゼッタ「グリム君たちはどうするの?」

グリム「オレ様とユウもお土産を買うんだゾ!」

ロゼッタ「この辺りで他にも探すんだったら、オススメは織物よ。」

カリム「確かに色々な店で売ってるよな。タペストリー、絨毯、スカーフ、タオル…」

レオナ「自然をたいそう大切にして、地下資源の採掘や大規模な農地化・工業化を避けてきたことにより…ハンドメイドの織物が、重要な産業として発展していったんだよ。」

グリム「オレ様へのオススメは何だ?」

レオナ「なんで俺がテメエに見繕ってやらなきゃなんねえんだ?」

ロゼッタ「まあまあ。うーん…そうねえ。敷物はどうかしら?色々なサイズの絨毯があるわよ。」

グリム「お、じゃあそれ…って高ぇ!こんな高い布買えねーんだゾ!ふかふかの絨毯の上で昼寝しようと思ったのに…何とか100マドルぐらいになんねーか…!?」

レオナ「なるわけないだろ。昼寝がしたいならハンモックにしておけ。オアシスの蔦植物をモチーフに編まれた人気の品がある。その昔、ライオンもこれを使って休んだって話が残ってるぐらい、寝心地が良いもんだ。」

グリム「おー、オモシロそうだ!100マドルより高えけど…コレを買う!にゃははっ、オレ様のために案内ご苦労なんだゾ、レオナ!」

ヴィル「寝てばかりのレオナらしいオススメ品ね。ま、グリムもぐうたら具合じゃいい勝負だからちょうどいいんじゃない?」

レオナ「あとは監督生か…」

サラマンダー『タペなんたらがいいんじゃない?』

ロゼッタ「ふふっ。タペストリーよ。」

ヴィル「タペストリーもあちこちで売ってるわね。どれもライオンの子どもが刺繍されているわ。」

レオナ「さっき噴水で、王子の誕生を祝福している像を見ただろう。」

ロゼッタ「タペストリーに描かれているのはその王子なんです。」

レオナ「百獣の王の時代、王家に子どもが生まれたことを祝福して、高名な呪術師がバオバブの実の汁で王子の壁画を描いたらしい。」

ロゼッタ「その壁画を基にデザインされた絵柄だといわれていて、この国では人気のある定番のデザインなんです。」

ヴィル「いかにも夕焼けの草原らしいお土産ってわけね。」

リリア「よい土産になるのではないか?監督生よ。」

監督生「ライオンのタペストリーにします。」

レオナ「素直に決めたことは褒めてやる。面倒なやり取りはごめんだからな。」

ロゼッタ「レオナさんったら」

「毎度ありがとうございます!」

グリム「にゃははっ、買えた買えた!」

カリム「なあ、リリア。ケイトにもお土産を買っていかないか?」

リリア「おお、そうじゃな!部活の時に渡してやったら喜ぶじゃろう。」

カリム「軽音部の定番土産と言えば、やはりお菓子だよなあ。」

レオナ「菓子ならあのあたりの屋台で適当に買え。」

キファジ「レオナ様…説明が足りませんぞ。もっと言い方と言うものをお考え下さい。」

レオナ「うるせえな。ただでさえ窮屈な国の中でいちいち畏まってなんかられるかよ」

ロゼッタ「あ、レオナさん待って!」

レオナがその場を離れ、ロゼッタはそれについていった。

キファジ「…皆さま、大変失礼を。本当に困ったものです。」

リリア「構わんぞ!慣れておるゆえ」

キファジ「屋台で売られているお菓子は、夕焼けの草原特有のものが多く、お土産として大変人気なのです。」

カリム「今、向かいの屋台でレオナとロゼッタが買って食べてるやつは?」

キファジ「バオバブの実を砂糖や食紅、トウガラシの粉などで味付けしたキャンディです。レオナ様は昔からあのキャンディがお好きでした。…
随分と生意気に育ちましたが、そういうところは変わりませんね。」

リリア「ほう、どんな味か気になるのう。少し買って食べてみるか。」

リリアとカリムはキャンディを買い、食べる。

リリア「うむ、美味じゃ。果実の酸味、スパイスの絡み、砂糖の甘味…全部が混ざり合って複雑な味じゃな。」

カリム「本当だ!ちょっと大人っぽい味で美味しいな。レオナの好物ってことは、オススメってことだろ?これをケイトに買っていこうぜ!」

リリア「見た目がビビットじゃからマジカメ映えするじゃろう。ケイトが喜びそうじゃ。」

「ありがとうございました!」
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