夕焼けの草原のタマ―シュナ・ムイナ

リリア「あそこにバナナが売っておる。あれもわしの好物じゃ!」

ヴィル「またさっきのフルーツみたいに独特な味がするんじゃないでしょうね。」

リリア「わしを信用せい。店主よ。人数分用意してくれんか?」

「畏まりました。どうぞ!」

ヴィル「・・・これ、お芋?」

ロゼッタ「これはお芋ではなくて、バナナを蒸した料理なんです、」

レオナ「夕焼けの草原の主食の1つだ。」

リリア「昔からある定番料理じゃな。」

レオナ「ああ。この国じゃ、小麦や米よりも果物の方がよく採れるからな。」

ヴィル「へえ。バナナが主食なんて珍しいわね。」

カリム「オレも初めて見る。楽しみだなあ。それじゃあ…いただきまーす!」

一斉に食べ始めるみなさん

カリム「うん!あっさりしていて美味い!」

レオナ「今度は他の奴も同じ感想だろうよ。」

ヴィル「ええ。バナナ料理だからデザートみたいに甘いのかと思ったけど違うのね。主食になるのもうなずけるわ。」

リリア「じゃが、ほんのりした甘さもあるのう。」

監督生「美味しいです!」

ロゼッタ「ふふっ。喜んでもらえてよかった。」

ヴィル「バナナは栄養価が高いの。それに消化がいいから、スポーツ前の栄養補給に向いている。これからキャッチ・ザ・テイルの特訓をするアタシたちにはちょうどいいわね。」

リリア「お!あそこの屋台で売っている料理も美味そうじゃぞ。」

ヴィル「クレープみたいね。デザートを食べたい気分だしアタシも頂くわ」

「ありがとうございます。こちらを載せて食べてくださいませ」

ヴィル「こちらって…これ、シチュー?」

カリム「白身魚をトマトソースで煮込んでいるみたいだな。」

ヴィル「ほうれん草とポテトのシチューもあるわ。こっちはビーフ…完全におかずね」

ロゼッタ「稲の実で作ったクレープも、ここではバナナと同じで主食なんです。事前に言わずにごめんなさい。」

ヴィル「デザートだと思っていたのに…まあ、いいわ。まずはクレープ生地だけ食べてみようかしら…」

生地だけではすっぱいからシチューと一緒にと言おうとしたけれど、ヴィルさんは先に食べてしまった。

ヴィル「酸っぱくて物凄くクセがある。アタシ苦手だわ・・・」

グリム「おい、ヴィル!ソレ食べないのならよこせ!」

サラマンダー『ぼくも!』

2人でもぐもぐしているのを見ているとほっこりする。

グリム「酸っぱくてうまいんだゾ。にゃははっ。」

サラマンダー『おいしい!』

キファジ「グリム様、サラマンダー様。…初めて口にしてその感想とはなかなか”ツウ”ですな。」

レオナ「店主が煮込みを生地に載せろって言ってただろ。言われたとおりにしないからだ。」

カリム「本当だ。シチューと一緒に食べるとうまいぜ!」

リリア「産む。シチューがスパイシーじゃから、酸味がアクセントになっておる。美味じゃ。」

ヴィル「本当?・・・あ、確かにおいしいわ。なるほど。濃い味のおかずと一緒に食べるのね。」

カリム「それにしても…食べ物以外にもいろんなものが売ってるよな。」

キファジ「ええ。この辺りは観光客向けの土産物店も多いので」

カリム「あ!あの店で色んなアクセサリーを売ってるぞ!」

キファジ「高価な宝石や貴金属から、ガラス玉で作ったお手ごろな価格のものまで揃っております。」

ロゼッタ「この国では、様々な貴金属や天然石が産出されているのよ。」

レオナ「産出と言っても、掘り起こしたわけじゃなく、自然に転がってる石を集めてるだけだけどな。」

キファジ「それで十分。わが国の主要産業ではありませんから。」

レオナ「聞いたか?鉱山資源が豊富だとわかっているのに採掘しようとも思わない。」

キファジ「夕焼けの草原では、ありのままの自然を大切にしておりますので、経済的利益のために国土を破壊するなど愚かなことです。」

レオナ「そうやって衰退していくのを待つわけか。やれやれ、愚かな俺にはkん替えが及ばない話だ。」

カリム「お、おい。喧嘩はやめろよ~。」

リリア「放っておけ。出会ってからずっとあの調子じゃ。2人にとってはいつものことなんじゃろう。」

ヴィル「こういう屋台には掘り出し物があるかも。いいジュエリーがあったらアタシも貰おうかしら」

リリア「お主はハイブランドのアクセサリーにしか興味ないのかと思っておったぞ。」

ヴィル「大事なのはブランド名ではなく品質よ。アタシは石や細工のクオリティが確かならノーブランドでも気にしない。」

カリム「あ!この腕輪、きらきらして綺麗だな!」

ロゼッタ「確かに、きれいね」

ヴィル「アタシにも見せて。…当り前よ。それ本物のダイヤだもの。」

リリア「何と!確かにすごい値段じゃ。旅の土産には高価すぎるのう」

カリム「でも綺麗だよなあ。気に入った。オレ、土産に買うよ!」

リリア「即決しおったぞ。さすがはカリムじゃ。」

ヴィル「そんな高価なものをもらったら、ジャミルがさぞ喜ぶでしょうね。喜びすぎて困るぐらいに。」

ジャミルくん、聞いたら倒れてしまいそう…大丈夫かしら

ジャミル「うん。ジャミルも喜ぶと思う!」

ロゼッタ「ジャミル君「も」?他にも誰か渡す人がいるの?」

カリム「寮生全員にだよ」

「「「スカラビア寮生、全員に!?」」」

カリム「ああ!綺麗なものをもらったら嬉しいだろ。」

ヴィル「絶対に恐縮すると思うわ。」

リリア「嫌。まさか本物のダイヤと思うまい。」

グリム「おい、カリム。オレ様にもそのお土産1つ買うんだゾ!」

カリム「おう、いいぜ。みんなにも…あれ?…こっちのカラフルな腕輪の方が綺麗だな。やっぱりこっちにしよう!」

ヴィル「そっちはガラス製のビーズ細工ね。確かにきれいだけど…」

リリア「カリムは石の価値すら興味ないのだな。気に入ればそれでよいようじゃ。」

グリム「ダイヤの腕輪が手に入ると思ったのに、ガラスの腕輪になっちまった…」

ロゼッタ「残念だったわね、グリム君」
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