夕焼けの草原のタマ―シュナ・ムイナ
レオナ「この世界は不公平なものだ…ろくでもないこの場所で、ろくでもない旅行をするはめになるとはな。」
ヴィル「随分な言い様ね。誘ったのはアンタでしょう。せっかくの景色を台無しにするぐらいならいっそ敷物みたいに黙っててくれる?」
カリム「本当にどこもかしこもいい景色だよな。綺麗で、広くて、いいところだ。レオナが生まれ育った場所に遊びに来られて嬉しいよ。」
レオナ「おい、改めて言っておくが、俺たちの目的は遊びじゃない。今回の目的は…」
リリア「そう案ずるな。ちゃーんとわかっておるわい。どんな奴が相手じゃろうと、わしらの敵ではない。必ずや勝利して見せよう」
レオナ「…分かってるならいい。いいか、絶対に逃すんじゃないぞ。
『サンセット・ウォーリアー』の称号を手に入れるのはお前達だ」
レオナがこんな話をしている原因は数日前にさかのぼる。
pururu
レオナ「…ああ、うるせえ。誰だ、こんな早い時間に‥‥!コイツは…
チッでないと面倒なことになりそうだな。」
ロゼッタと2人で寝ていたというのに邪魔されたレオナは非常に機嫌が悪かった。
ロゼッタ「レオナ…さ」
レオナ「まだ寝てろ」
レオナはロゼッタの頭を優しくなでる。
ロゼッタ「なに・・・あっ・・・ら・・・よ・・で」
ロゼッタはまた深い眠りについた。何かあったら呼んでと言いたいのだろう。レオナは少しだけ機嫌がよくなった。そしてバルコニーに移動して電話に出る。
レオナ「どうした、朝の報告でも?…やれやれ。念押しの電話とは恐れ入った。さすが王家の侍従長殿は優秀だな。何度も言われなくてもわかってる。『タマ―シュナ・ムイナ』に合わせて帰省しろって話だろ?
分かってるが去年はつい忘れちまったんだ。ま、今年も忘れちまうかもしれないがな。…は?迎えに来る?ロゼッタにもそう伝えた?
侍従を全員集めて?ナイトレイブンカレッジにか!?
そこまで本気とは…ああ、ああ、分かったよ。祭りの前日に国へ戻る。‥‥本当だとも。今まで俺が嘘をついたことがあったか?
・‥うるせえ奴だな、軽い冗談だろうが。
ただし、帰省するには1つ条件がある。
『キャッチ・ザ・テイル』の大会出場枠を1チーム用意しろ。
…理由なんかどうでもいいだろ。つべこべ言わずに準備をしておけ。」
それだけ言うと電話を切ったレオナ
レオナ「ったく…いつまで古くせぇ行事にこだわってやがる。これだから頭の固いじじいは。
だが考えようによっちゃ厄介事に片を付ける良い機会だ。
さて、ゲームに勝つために必要な駒を集めるか。」
電話をされた日の放課後
ロゼッタside
放課後、サバナクローの談話室にジャック君、ヴィルさん、リリアさんが集められた。
どうしてこのメンバーなのだろうと考えていると、レオナさんが私の頭を優しくなでた後、隣に座った。
レオナ「集まったなリリア、ヴィル。ジャックよくやった」
ジャック「っす!」
ヴィル「こんなところに呼びつけて何の用?」
レオナ「お前らに話がある」
リリア「用件があるのなら、お主の方から来るのが筋ではないか?」
ヴィル「全くよ。ジャックとロゼッタが迎えに来なかったらアンタの呼び出しなんて絶対無視し続けてたわ。」
グリム「そうだ!そうだ!」
監督生「こ、こんにちは・・・」
レオナ「…待て。なんでグリムと監督生がいる?」
ジャック「俺とロゼッタさんがヴィル先輩とリリア先輩に声をかけてるところに偶然居合わせて、勝手についてきたんっす。」
グリム「にゃっははッ。人が集まる所にうまい飯ありっていうだろう?」
ロゼッタ「ふふっ。グリム君は面白いことを言うわね。」
監督生「面白いでいいんですか?…これ」
ジャック「聞いたことねえな」
レオナ「邪魔だ。とっとと帰れ。」
ロゼッタ「まあまあ」
私がレオナさんをなだめていると、ヴィルさんが用件を早くいってほしいとレオナさんに言う。
レオナ「大切なご学友であるお前たちを、俺の故郷に招待させていただこうと思ったんだ。」
レオナさんの言葉に私はハッとする。
まさか、レオナさん。皆さんをあの祭りに参加させるつもりなんじゃ…
ジャック「え?レオナ先輩の故郷って…夕焼けの草原にですか?」
レオナ「ああ。夕焼けの草原の王都、「暁光の都」で今週末にタマ―シュナ・ムイナってのが開かれる。」
やっぱり、タマ―シュナ・ムイナに皆さんを参加させるつもりなんだわ。
グリム「タマシ・・・ムイ・・・」
ロゼッタ「タマ―シュナ・ムイナ。意味は”天からの贈り物”。雨乞いの祭りで毎年、雨期の近いこの時期に行われるのよ、グリム君。」
私はグリム君をそっと抱き上げながら説明した。
リリア「おお、耳にしたことはあるが見たことはない。以前から楽しそうな祭りだと思っておったんじゃ。」
ジャック「その祭りに参加するために、レオナ先輩は里帰りするってことですか?ロゼッタさんと一緒に。」
ヴィル「で、わざわざそのお祭りに、アタシたちを参加させてくれるって?…ロゼッタならともかく、善意なわけがないわよね。目的は何?」
レオナ「話が早くて助かるぜ。お前たちを誘った目的は…キャッチ・ザ・テイルだ。」
ヴィル「キャッチ・ザ・テイル?聞いたことないわね。」
ジャック「俺も初耳です。なんなんすか、それ?」
ロゼッタ「タマ―シュナ・ムイナで行われる対抗競技の名前です。お互いが頭に着けたビーズ飾りを取り合うんですよ。」
レオナ「武器や魔法は使わずに、己の身体だけで競い合う肉弾戦…」
ジャック「へえ、面白そうだ」
レオナ「3人1組のチームで行う団体戦で、16チームのトーナメント式で行われる。」
ロゼッタ「タマ―シュナ・ムイナの目玉と言える大会で、夕焼けの草原の王族や、諸外国のゲストも観覧に訪れるんですよ。」
グリム「だったら賞品もすごいんじゃねえか‥?ツナ缶1年分とかか!?」
監督生「そんなわけないじゃん」
レオナ「もちろん褒美はたっぷり…と言いたいがあいにくと賞品も賞金も出ない。」
グリム「…しけた大会なんだゾ」
レオナ「にもかかわらず毎回、山ほどの出場者が集まる。何故なら…優勝チームのメンバーはサンセット・ウォーリアーになれるからだ。」
ヴィル「随分な言い様ね。誘ったのはアンタでしょう。せっかくの景色を台無しにするぐらいならいっそ敷物みたいに黙っててくれる?」
カリム「本当にどこもかしこもいい景色だよな。綺麗で、広くて、いいところだ。レオナが生まれ育った場所に遊びに来られて嬉しいよ。」
レオナ「おい、改めて言っておくが、俺たちの目的は遊びじゃない。今回の目的は…」
リリア「そう案ずるな。ちゃーんとわかっておるわい。どんな奴が相手じゃろうと、わしらの敵ではない。必ずや勝利して見せよう」
レオナ「…分かってるならいい。いいか、絶対に逃すんじゃないぞ。
『サンセット・ウォーリアー』の称号を手に入れるのはお前達だ」
レオナがこんな話をしている原因は数日前にさかのぼる。
pururu
レオナ「…ああ、うるせえ。誰だ、こんな早い時間に‥‥!コイツは…
チッでないと面倒なことになりそうだな。」
ロゼッタと2人で寝ていたというのに邪魔されたレオナは非常に機嫌が悪かった。
ロゼッタ「レオナ…さ」
レオナ「まだ寝てろ」
レオナはロゼッタの頭を優しくなでる。
ロゼッタ「なに・・・あっ・・・ら・・・よ・・で」
ロゼッタはまた深い眠りについた。何かあったら呼んでと言いたいのだろう。レオナは少しだけ機嫌がよくなった。そしてバルコニーに移動して電話に出る。
レオナ「どうした、朝の報告でも?…やれやれ。念押しの電話とは恐れ入った。さすが王家の侍従長殿は優秀だな。何度も言われなくてもわかってる。『タマ―シュナ・ムイナ』に合わせて帰省しろって話だろ?
分かってるが去年はつい忘れちまったんだ。ま、今年も忘れちまうかもしれないがな。…は?迎えに来る?ロゼッタにもそう伝えた?
侍従を全員集めて?ナイトレイブンカレッジにか!?
そこまで本気とは…ああ、ああ、分かったよ。祭りの前日に国へ戻る。‥‥本当だとも。今まで俺が嘘をついたことがあったか?
・‥うるせえ奴だな、軽い冗談だろうが。
ただし、帰省するには1つ条件がある。
『キャッチ・ザ・テイル』の大会出場枠を1チーム用意しろ。
…理由なんかどうでもいいだろ。つべこべ言わずに準備をしておけ。」
それだけ言うと電話を切ったレオナ
レオナ「ったく…いつまで古くせぇ行事にこだわってやがる。これだから頭の固いじじいは。
だが考えようによっちゃ厄介事に片を付ける良い機会だ。
さて、ゲームに勝つために必要な駒を集めるか。」
電話をされた日の放課後
ロゼッタside
放課後、サバナクローの談話室にジャック君、ヴィルさん、リリアさんが集められた。
どうしてこのメンバーなのだろうと考えていると、レオナさんが私の頭を優しくなでた後、隣に座った。
レオナ「集まったなリリア、ヴィル。ジャックよくやった」
ジャック「っす!」
ヴィル「こんなところに呼びつけて何の用?」
レオナ「お前らに話がある」
リリア「用件があるのなら、お主の方から来るのが筋ではないか?」
ヴィル「全くよ。ジャックとロゼッタが迎えに来なかったらアンタの呼び出しなんて絶対無視し続けてたわ。」
グリム「そうだ!そうだ!」
監督生「こ、こんにちは・・・」
レオナ「…待て。なんでグリムと監督生がいる?」
ジャック「俺とロゼッタさんがヴィル先輩とリリア先輩に声をかけてるところに偶然居合わせて、勝手についてきたんっす。」
グリム「にゃっははッ。人が集まる所にうまい飯ありっていうだろう?」
ロゼッタ「ふふっ。グリム君は面白いことを言うわね。」
監督生「面白いでいいんですか?…これ」
ジャック「聞いたことねえな」
レオナ「邪魔だ。とっとと帰れ。」
ロゼッタ「まあまあ」
私がレオナさんをなだめていると、ヴィルさんが用件を早くいってほしいとレオナさんに言う。
レオナ「大切なご学友であるお前たちを、俺の故郷に招待させていただこうと思ったんだ。」
レオナさんの言葉に私はハッとする。
まさか、レオナさん。皆さんをあの祭りに参加させるつもりなんじゃ…
ジャック「え?レオナ先輩の故郷って…夕焼けの草原にですか?」
レオナ「ああ。夕焼けの草原の王都、「暁光の都」で今週末にタマ―シュナ・ムイナってのが開かれる。」
やっぱり、タマ―シュナ・ムイナに皆さんを参加させるつもりなんだわ。
グリム「タマシ・・・ムイ・・・」
ロゼッタ「タマ―シュナ・ムイナ。意味は”天からの贈り物”。雨乞いの祭りで毎年、雨期の近いこの時期に行われるのよ、グリム君。」
私はグリム君をそっと抱き上げながら説明した。
リリア「おお、耳にしたことはあるが見たことはない。以前から楽しそうな祭りだと思っておったんじゃ。」
ジャック「その祭りに参加するために、レオナ先輩は里帰りするってことですか?ロゼッタさんと一緒に。」
ヴィル「で、わざわざそのお祭りに、アタシたちを参加させてくれるって?…ロゼッタならともかく、善意なわけがないわよね。目的は何?」
レオナ「話が早くて助かるぜ。お前たちを誘った目的は…キャッチ・ザ・テイルだ。」
ヴィル「キャッチ・ザ・テイル?聞いたことないわね。」
ジャック「俺も初耳です。なんなんすか、それ?」
ロゼッタ「タマ―シュナ・ムイナで行われる対抗競技の名前です。お互いが頭に着けたビーズ飾りを取り合うんですよ。」
レオナ「武器や魔法は使わずに、己の身体だけで競い合う肉弾戦…」
ジャック「へえ、面白そうだ」
レオナ「3人1組のチームで行う団体戦で、16チームのトーナメント式で行われる。」
ロゼッタ「タマ―シュナ・ムイナの目玉と言える大会で、夕焼けの草原の王族や、諸外国のゲストも観覧に訪れるんですよ。」
グリム「だったら賞品もすごいんじゃねえか‥?ツナ缶1年分とかか!?」
監督生「そんなわけないじゃん」
レオナ「もちろん褒美はたっぷり…と言いたいがあいにくと賞品も賞金も出ない。」
グリム「…しけた大会なんだゾ」
レオナ「にもかかわらず毎回、山ほどの出場者が集まる。何故なら…優勝チームのメンバーはサンセット・ウォーリアーになれるからだ。」