グロリアスマスカレード~紅蓮の花と救いの鐘~

大講堂は最初に来たときより、綺麗になっていて、黄金色に輝くシャンデリアの光を浴びた大理石の床が美しかった

みんながみんな派手な服装と仮面をつけている

マレウス「仮面をつけたロゼッタは…」

マレウスは仮面をつけたロゼッタを見つめる

マレウス「美しさがより輝いているな」とロゼッタの手をすくい、指にキスをした

顔をあげるとマレウスの竜のような瞳がロゼッタを捉える

…とそこで、鈴のような音が響いた

グリム「ん?なんだこの呼び鈴みたいな音」

と足元でグリムがキョロキョロしている

どうやらステージの上に交流会を開いたメンバーがやってきたようだ

「皆様、お集まりいただき感謝します。『第1回 未来ある魔法士の集い』主催のノーブルベルカレッジ生徒会長よりご挨拶をさせてください」

副会長が挨拶を述べると

会長であるロロがその後ろから「こんばんは」と優雅にやってきた

「まずこの旅は予期せぬ事故により、皆様に心配とご迷惑をおかけしたことを、深くお詫び致します。
ですがこの災厄を皆で乗り越えたことで…未来ある魔法士たちの絆は、より強く、確かなものになったのではないかと考えております」

ロロは流暢に語った

セベク「へ、平然と皆の前であのようなことを…!」

セベクたちはそんなロロの態度に「うげ…」となっていた。けれど、ロロの心の中には罪悪感が残っている

「ナイトレイブンカレッジの皆様」

照明が突然、うっすらと消え、ダンッ、と照明がつき始めた。

マレウスの頭の上からユウとグリムの頭の上まで

ナイトレイブンカレッジの皆に頭の上で照明が輝いた

ロロ「どうぞ…彼らに惜しみない拍手を」

ロロの言葉が終わると、拍手喝采が響き渡った

「あそこにいる団体が、花の街を救ってくれたナイトレイブンカレッジの人たちか」といろんな人たちから目立ちまくっている

イデア「いきかり身バレ!?ここ、これじゃ仮面着けてる意味ないじゃん!」

イデアは今にでも逃げ出しそうになっていた

アズール「予定は少々狂いましたが…ちょうどいい手間が省けました」

アズールの言葉に「手間?なんのことだ?」とグリムが不思議がる

アズールにニヤッ、と口角を上げた

アズール「失礼、ロロ・フランム生徒会長!よろしいでしょうか」

アズールは手を挙げ、ロロの前にやってきた

ロロは不機嫌そうにハンカチで口を押さえ、「なにかね。アズール・アーシェングロット寮長」とアズールの名を呼んだ

アズール「温かい労いの言葉に感謝致します。せっかくなので、わたくしどもからも少しお話させていただいても?」

アズールはニコニコしていた

ロロは「そんな時間はない。結構だ」とはぶいたものの、副会長と補佐に「またまた~」と言われ、アズールの話を仕方なく聞くことに

アズール「では…マレウスさん。ロロさんのいる舞台の上へどうぞ」

アズールはマレウスにそう告げた

例の“アレ”を出すようだ

マレウスが一歩歩き始めたら、群衆が道をあけ始めた。堂々とした歩み…誰もが彼を「マレウス・ドラコニア」と分かる瞬間だった
 
マレウス「さて。今宵こうして集えたこと、嬉しく思う。僕の名前を噂している者もいるようだが…正体を問わぬ舞踏会マスカレードの場にある今、僕たちは等しく『未来ある魔法士』だ」

マレウスは平等に接してほしい、と皆に告げた

マレウス「そして、この素晴らしい集いへの招待に対し、感謝の気持ちを示すため…お前たちに、贈り物を用意してきた」

マレウスの口から出た“贈り物”という言葉に誰もが反応した。ロロは「贈り物とはなんだ」と警戒心を表に出している

ステージの上にアズールたちが向かう。イデアも連れてかれた。

イデア「マレウス氏にハードル上げられた!ここはロゼッタ氏も…」

イデアは振り向き、ロゼッタの手を取ろうとしたが、そこには既にロゼッタはいない

イデア「えっ!?」







マレウス「それでは全員、準備はいいな?」

マレウスはナイトレイブンカレッジのメンバーと目を合わせた。アズールは頷く。マレウスは誇った笑みをつくった。

マレウス「さあ。忘れられない夜を始めよう。皆で楽しもう!」
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