グロリアスマスカレード~紅蓮の花と救いの鐘~

デュースに名を呼ばれたロゼッタは「やっと気づいてくれた?」と意地悪に笑った

デュース「ええっー!?ロゼッタさんだったのか!?」

デュースはめちゃくちゃ驚いた









ーーその頃、ナイトレイブンカレッジでは

エース「はあああああああああああ。ロゼッタさん不足で病みそー」

エースの深いため息が学園内に響く

エース「ジャックくーん、オレ、ロゼッタさんなしじゃ生きていけない体になっちゃったよーどうしよ」

ジャック「なに変なこと言ってんだよ…」

そんなエースにジャックはジト目だった

ジャック「デュースたちの心配はどうした?」

エース「いいよねーデュース。近くにロゼッタさんがいるんでしょ。はああああ…」

ジャック「…(レオナさんが自室で唸ってたが、何かあったのか?後で聞きに行くか。)」

ジャックはだめだこりゃ、と言わんばかりの視線をエースにおくった

けれどエースはエースなりにハロウィンパーティーを楽しんでいる

エース「あーあ。今頃花の街をのんびり満喫してるデュースたちが羨ましいなあ~!」



ーーノーブルベルカレッジ 大講堂

デュース「うおおおおおおおお!!!!」

デュースの雄叫びが響く。ロゼッタと一緒に花をむしりまくっている。
エースたちはデュースたちがこんなことをしているなんて思いもしないだろう

ルーク「ロゼッタ!すぐ横に花が来ている!下がって!」

ルークに肩を引かれるロゼッタ。トン、とルークの胸に背中が当たる

ロゼッタはルークをつぶらな瞳で見つめた

ルークは「っ…」と眉を寄せた

ルーク「あー、マドモアゼル!本当に君なんだね!どうして私は気づかなかったんだろう」

ルークはギューーーっとロゼッタを抱きしめた

ルークはデュースがロゼッタの名を呼んだことで、ようやく気づけたようだ

デュースに「今はそんなことしている場合じゃないっす!」と言われつつ、感動の再会中である

ルーク「これはあとで反省の詩を書くことにしよう。君が傷ついた回数だけ…いや、それ以上でもかまわない!ああ…ロゼッタ…私を引っ叩いてくれ。君の傷より痛く叩いてくれ」

ルークは涙目でロゼッタにすがった

ロゼッタは一歩一歩下がっていく。決してルークを傷つけるつもりはない

ルーク「こうして生徒たちを助けるのも君の優しさだ…ああ、ネージュ君も君のおかげでこんなにもやすらかに眠っているよ」

デュース「ルークさん、そろそろロゼッタさんから離れてください。」

まるでボンドのようにくっついていた2人をデュースが引き離した

デュース「っていうかロゼッタさん!腕はどうしたんすか!?痛かったんじゃ!?」

デュースはロゼッタの腕をつかんだ。痛がるそぶりは全く見せない。

デュース「あれは嘘だったのか…?」

ロゼッタ「いいえ。初級精霊さんに治してもらったの。」

デュース「そうだったんすか…」

デュースは呟いた後、ヤンキーのような顔つきに戻る

デュース「怪我が治ったんなら鐘、鳴らしてこいやァ!」

デュースはロゼッタの背をドンッ、と強く押した。ロゼッタは大講堂の階段のほうへ押し進められる

ロゼッタ「!?デュース君どうして…」

デュース「ロゼッタさんは捨て駒なんかじゃない。…こんなところで終わるタマじゃない!生き延びてください…!」

デュースは必死にそう言った

なら…とロゼッタはデュースの手を握る

デュースは「いいや」と首をふる。ルークの隣に並んだ

デュース「俺達はここでこの花を食い止めます。だからロゼッタさんは先に進んでください」

デュースとルークは決意した眼差しでロゼッタのことを見る
 
ルーク「振り返っちゃダメだよ。決して、振り返っちゃダメさ…」

ロゼッタはルークの願いに従い、唇を噛み締めて先へ進んだ









ロゼッタは大講堂の二階についた

ロロがロゼッタ達を見下ろしていたここも、辺り一面紅蓮の花だらけになっていた。

ロゼッタはその花に触れないよう、そっと救いの鐘へと繋がる道を探した。

すると、開いている…というより、豪快に蹴破られた感のある扉を見つける

中に入ってみると、火が灯る暖炉が目に入った。書斎のようなここは、どうやらノーブルベルカレッジの生徒会室のよう

ロゼッタ「!」

ロゼッタは机に置いてあった日記を見つける

開いていたからつい文字を辿ってしまった

整った文字がぎっしり詰まっている

ロゼッタ「っ…(彼は…)」

ロゼッタは文字を読むにつれ表情を歪めた

それを読んでロロに対して怒らなきゃいけないのに、同情してしまいそうになった…





ーーその頃、ロロが居座る鐘楼の最上階では…

ロロ「ああ。街が紅蓮に染まっていく…なんと清らかな光景だろう」

ロロは紅い炎で包まれた街を見下ろしては、スゥーと息を吸った

ロロ「こんなに心が休まる気持ちになるのは初めてだ」

ロロはぎゅっ、と腕に力を入れた

ロロ「おっと、すまない」

その腕の中には、いつまでも深い眠りについているロゼッタがいた

「もう間もなく、この街から広まった紅蓮の花が、ツイステッドワンダーランド中を覆い尽くし…世界中の魔法を永遠に消し去る」

ロロは腕にロゼッタを抱え、夜空を見渡す

ロロ「これで…これでもう誰も苦しまなくて済む…」

ロロが眉を顰める横顔は悲しげだった

ロロ「誰ももう…あいつのようにはならない…これが私の使命だ」

ロロは「っ…」と視線を下げた。すると眠っているロゼッタに気づく

ロロ「ロゼッタ…」

ロゼッタの手を自分の頬に押し付けた

まるで透明な涙をハンカチで拭うように…

自分の傷を彼女に癒やしてもらうかように…




ーー鐘楼内部

内部に着けば、紅蓮の花と戦う2人の勇姿がそこにあった

シルバー「ロゼッタ!?どうしてここに…!?」

シルバーがやってきたロゼッタに目を丸くして驚く

が、それよりもシルバーの台詞に驚いた

ロゼッタ「(まさか…気づいてたの?いつから?)」

セベク「ロゼッタ様はここにはいないぞ?」

セベクが表情を引き締めてそう言った。シルバーは首を振る。

シルバー「そこにいるだろう」

シルバーは真っ直ぐな瞳でロゼッタを捉えた。

セベクは「はあああ!?」と大声をあげた

ロゼッタ「どうして、私がロゼッタだと…」

シルバー「ん?なぜ知っているのか?…いや、知るも何もロゼッタはずっとロゼッタだったろ」

何を当たり前のことを言っている、とシルバーは腕を組む

ロゼッタ「最初から…気づいて」

シルバー「ああ。確かにロゼッタに目で“助けて”と訴えられたが…たまには優しい兄のような存在ではなく、意地悪をしてやるのも悪くないと思ってな」

シルバーはふっ、と微笑んだ

ロゼッタはシルバーに意地悪をされたことに気づけば、茹でたこのように顔を真っ赤にした

そしてポコポコとシルバーの引き締まった胸板を叩く

ロゼッタ「気づいてたなら、言ってくれればよかったのに!」

シルバー「ははっ、すまない。助けてやってもよかったのだが、いじけるロゼッタがあまりにも可愛かったからつい…」

シルバーは眉を下げ、クスッと笑声を漏らした

一方、その頃、セベクはというと…

セベク「ロゼッタ様に僕は気づかなかった…なんたる不覚だ…」

壁に手をつき、落ち込んでいた。

ロゼッタはそんなセベクの肩に触れ、首を横にふった

セベク「ううっ…ロゼッタ様ぁ!こんな僕にまで優しくしてくださるのですか!?」

セベクは目に涙を溜め、うわぁーん!と泣き叫んだ

ロゼッタ「あらあら。」

セベク「このセベク!紅き花に蝕まれて、自害します!!!」

そして、自分に罰を与えるため紅蓮の花に自ら足を突っ込みそうになっていた

シルバー「待てセベク!!」

シルバーが止めるよりも先にロゼッタはセベクの腰に抱きついた

飛び込もうとするセベクを慌てて後ろへ下げる

ロゼッタ「ダメよ!セベク君!」

セベク「止めないでくださいロゼッタ様!僕は…僕はあああ!!」

どこかへ行ってしまいそうになるセベクをロゼッタは何が何でも引き留める

ぎゅぅぅぅうう、と腕に力を入れ、抱きしめ続けた

セベク「っ…ロゼッタ様ぁ…」
 
セベクはまた泣きそうになる

自分を必死に止めてくれているロゼッタに歓喜していた

セベクは結局、ロゼッタに止められたこともあり、足を引っ込める

セベク「ではロゼッタ様、若様と一緒に鐘を鳴らすのですね!?」

セベクは目をキラキラさせていた

ロゼッタとの距離が少し近くなったような…

「マレウス様と一緒に…とは少し語弊があるような…」とシルバーが思い込む

シルバー「でも、そうだな。ロゼッタならきっと鳴らしてくれよう。思いっきりたくさんだ」

シルバーは柔らかな表情だった

シルバー「俺たちは貴女の道を作ろう」

シルバーはペンを構える

セベク「紅蓮の花共よ!!!ロゼッタ様に近づいたらタダじゃおかないぞ!!!!」

セベクもそれに続く。ロゼッタは2人に道を切り開いてもらい、
その先へ進んでいくのだった

シルバー「ロゼッタ…どうか…ロロ先輩を止めてくれ…」

シルバーは強くそう願った
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