グロリアスマスカレード~紅蓮の花と救いの鐘~

合図があった

紅蓮の花の群れがリドルとエペルをロックオンしている今がチャンス

マレウスたちは早々ノーブルベルカレッジの校舎へと進む

ーーノーブルベルカレッジ 中庭

マレウス「ローズハートとフェルミエのおかげで、メインストリートは無事に抜けた。このまま校舎に入って、鐘楼に向かうぞ!」

先行をきるマレウスの後ろをついていく

デュースがエペルとリドルの心配をしていた
 
シルバー「2人のためにも、一刻も早く鐘を鳴らさなければ」

シルバーが真剣な眼差しでそう決意した

…と、そんな時だ

「「うわあああああ!!」」

建物の奥から生徒の叫び声が聞こえてきた
 
デュース「うわっ、突然建物の中から紅蓮の花があふれ出した!」

ジャミル「チッ…逃げ回った生徒が紅蓮の花をここまで連れてきたのか」

デュースは驚き、ジャミルは「チッ」と舌打ち

マレウスは全員に呼びかけた

マレウス「全員、足を止めるな。このまま振りきるぞ!」











マレウス「全員無事か!?」

花の群衆を抜けた頃、マレウスが喝を入れるように叫んだ

そしてもうひとり、叫ぶ

「全然無事じゃないッスーーー!!!」

その叫び声の主はラギーだった。数メートルも離れている。

その隣にはジャミルもいた。2人は紅蓮の花に囲まれていた。

ジャミル「…しかたない。俺たちのことはいい。みんなは先に行ってくれ!」

ジャミルの言葉に「何!?」と皆が驚いた。ラギーは「それしかないみたいッスね」と腹をくくる

デュースは「そんな!」と2人を置いていくことを拒んだが、今はそれしかなかった

アズールだけは対価がないかどうか心配していたが、ジャミルが「誓う誓う!」と答えたため安心して前へ進む

マレウス「…お前たちの覚悟、しかと見届けた」

セベク「ジャミル先輩、恩に着る!」

シルバー「ラギー。必ずや無事でいてくれ」

マレウス、セベク、シルバーとそれぞれが前進していった。ロゼッタは慌てて彼らを追いかけるが、やはり立ち止まってしまう

迷いが頭に残ってしまっていたのだ

ロゼッタ「(私…)」

そんなロゼッタの背中にジャミルは叫んだ

ジャミル「ロゼッタ様!俺達のことはいいですから、鐘を鳴らしてください!お願いします!」

ロゼッタはハッ…!とした。そして、唇を噛み、駆け進んでいった

ラギー「は、え、はぁ!?」

ジャミルがロゼッタの名を呼んだことに気づいたラギーはしどろもどろになっていた

ラギー「なんでロゼッタって!?ロゼッタちゃんは紅蓮の花の餌食に…」

ジャミル「ユニーク魔法だよ。自分が死んだように見せかけたんだろう。」

あーもう、とジャミルは呆れながら言う

「ええっ!?」とラギーはまだ慌てふためいていた

ラギー「じゃあ、さっきの女性がロゼッタちゃんっていうんスか!?オレ、ぜんっぜん気づかなかったんスけど!?ジャミルくん、よくわかったスね!?」

ジャミル「…ああ、俺も気づくのが遅れた。けど…あのだだ漏れる優しさオーラはロゼッタ様しかいないと思ったんだ」

ジャミルははあ、とため息を吐いた。なぜかため息続きだ。

ジャミル「なんでもっとはやく気づかなかったんだ…守るべきお方のことくらい気づくべきだろ」と自責さえしていた

ジャミル「でもまあ…無事でいてください…ユニーク魔法は使わずに、だが」

ジャミルはロゼッタのユニーク魔法を固く禁じている1人だった

ラギーも「そうッスね」と笑っていた







ーー大講堂

ロゼッタ達は最初の場所へ戻ることができた。やはりここは紅蓮の花だらけだ。そしてロイヤルソードアカデミーの生徒もいる。

ロゼッタはすぐにネージュのもとへ駆けていく

シルバー「そこは危ないぞ!」

しかし、シルバーに腕を掴まれ、止められてしまった

マレウス「ロゼッター!!!!どこにいるんだ!?」

マレウスはここは来てすぐロゼッタの名を呼んだ

「確かここでロゼッタが僕たちを助けて…」と記憶を探ってまでロゼッタを探した。だが、ロゼッタはどこにもいない

ロロが連れて行ってしまったのだ

ロゼッタ「(まさか、ロロさん。私のことを…)」

マレウス「クソッ…!なぜ、いないんだ!」
 
マレウスが床を強く叩いた。彼女がを一刻も早く助けたい意志が伝わってきた。

ルーク「いけない!花の重みでシャンデリアが落下する!!」

そんなマレウスの隣で、ルークは頭上のシャンデリアの軋む音に気づいた
「みんな、避けるんだ!」とすぐに注意する

しかし、イデアとマレウスが出遅れた
 
ロゼッタは体当たりし、マレウスをどかした

イデアのほうはデュースが首根っこを掴んで助けた

シルバー「みんな!無事かー!!」

シルバーが大声で状況をチェックした

マレウス「す、すまない…大丈夫か?」

マレウスがロゼッタに手を伸ばした

ロゼッタはその手を握ろうとしたが、腕の痛みに表情を歪めた

ロゼッタ「(!?…痛いっ)」

マレウスを押したあと、腕を強く床に打ち付けてしまったのだ

マレウスは表情を歪めた

デュース「っつ…今ので、足を、ひねったみたいっす」

デュースは足を捻ってしまっていた

ルーク「大変だ!見せてごらん!」

アズール「骨は折れていないようですが…」

デュースはさいわい、大怪我とまではいかなかった

ロゼッタのほうはマレウスが確認した

「うっわ、細っそい腕!折れてない!?大丈夫!?」とイデアが心配してくれている

「折れてはいないようだな…ここで魔法が使えさえすれば、すぐに治せるのだが…」とマレウスは俯いた

ロゼッタは「平気です」と腕を抑え、首をふる

デュース「…先輩たち。お願いがあります」

デュースは真っ直ぐや目で皆を見た

デュース「僕のことは、この場に置いていってください」

イデアが責任を感じていたが、デュースは首を左右にふった

デュース「僕は時間を稼ぎます。その間に先輩たちは、先に行ってください!」

そう万丈の気を吐くデュースの隣にロゼッタはそっと腰掛けた

「え…?」とデュースやマレウスが驚いている

ロゼッタ「私もここに残ります。デュース君を守ります」
 
デュースは隣で「いいんスか?」と目をぱちくりしていた。ロゼッタは頷く

「ああ、じゃあ、拙者も…」とパニック映画の影響で安らかに終わろうとするイデア

ルークが「オーララ!なんと心優しいんだ!!」と歓喜していた

ルーク「イデアくんにばかり格好いいところを見せられては、同学年の私も立つ瀬がない。ここは私が、ムシュー・スペードと共に残ろう。」

とルークが残ることを決意する

イデアは「え、ちが…」と愕然としていた

ルーク「さあ、デュースくん。私たちのためだけの舞台が幕を開けたよ」

ルークがデュースを支えた

マレウスが「すまない…」と言って、ロゼッタを残し、奥へ進んでいった。他のみんなも鐘のもとへ向かっていった
 
ルーク「ダンスの準備はできているかな?」

デュース「えっ、ダンス!?」

ルーク「おお、すまない。立てるかい、と聞きたかったんだ。君もね」

ルークはロゼッタに手を差し伸べた。ロゼッタは痛くないほうの手で握った

デュースもルークの手を借り、立ち上がる

デュース「ハント先輩、それにあなたも。皆がいなくなったあとだから言えるんですけど…」

デュースはそっと微笑む

デュース「一緒に残ってもらえて、本当は嬉しいです」

ロゼッタもデュースに微笑みかけた

ロゼッタ「私も、デュース君とまた戦えて嬉しいわ」

ロゼッタの言葉にデュースは黙り込んだ

デュース「なんでですかね…ロゼッタさんを思い出した。無事だといいんだけど」

デュースは苦笑した。ロゼッタはちょっぴり悲しそうに苦笑い

ルーク「…さあ、共にこの舞台を楽しもうじゃないか!」

デュース「っしゃあ!いくぞ!!」

ロゼッタたちはマジカルペンを構えた。

花と戦闘中、ロゼッタはそこであることを考える

どうせ魔法を使うのだったら…
 
「え…精霊!?」

デュースが驚く

ロゼッタが初級精霊を数多く召喚したからだ。

ルークはその光景を見て、目を丸くした

デュース「…精霊?こんなに多く呼び出せるのはロゼッタさんしかいないのに…どうして…」

ロゼッタは驚く2人を気にせず、精霊たちと会話をした。
 
ロゼッタ「私は生徒たちの安全を確保します」

ロゼッタは決意した眼差しでルークを見た

ルーク「それはどういうーー」

ロゼッタは横たわる生徒のもとへ行き、素手で紅蓮の花をむしり始めた

そのあと、精霊たちが生徒たちに保護の力を使う。

ロゼッタは「これで安全です。」と言うと、その行動を繰り返す
 
デュース「なんか頭が混乱し始めたけど、ようはみんなを救助するってことっすね!俺も手伝います!」

デュースもロゼッタの隣にきては花をむしり始めた

ルーク「そ、それじゃあ私は君たちを花から守ろう」

ルークは魔法でロゼッタたちを守ることに専念した。ルークのおかげか、紅蓮の花をむしるスピードが上がる

ロゼッタはようやくネージュとチェーニャのところへ来れた

ロゼッタ「ネージュさん…」

ロゼッタは「うっ…」と唸っているネージュの頭を撫で、「大丈夫ですよ」と彼を安心させた

ロゼッタ「チェーニャさんも。私が守って見せます。」

そんなロゼッタの必死さにデュースは「友達なんすか?」と聞いた

ロゼッタ「ええ。エース君とデュース君とユウとグリム君と同じぐらい大切なの!」

ロゼッタはニコッ、と笑った。デュースは目を見開く。

デュース「エースと…俺…?それに…ユウとグリム…」

デュースの記憶がほじくり出される

この4人を大切に思ってくれるメンバーを知っている
 
デュース「ロゼッタさん…?」
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