グロリアスマスカレード~紅蓮の花と救いの鐘~
それから鐘がある鐘楼へ向かった
その建物は空と繋がりそうなほど高く、鐘のある最上部まで行くのが困難だった
アズールとイデアは半分あたりで息を切らし、余裕そうなジャミルやマレウス、そしてセベクに「鍛錬が足りないぞ!」と言われる始末…
「ロゼッタさん?大丈夫ですか?」
デュースは息が荒いロゼッタを心配した
元々体力があまりないロゼッタには少々辛かったようだ
デュースの問いに答えることができないほど息が上がってしまっている
そんなロゼッタに一つの足音が迫ってきた
ロロ「すまないね。古い建物がゆえ、自力で登るしか手段はないのだよ」
ロロはロゼッタに手を差し伸べる
ロゼッタはその相手に驚きつつも、差し伸べられた手を握った
するとロロは手を引き、エスコートするかのようにロゼッタを横に歩かせた
ロロ「女性には大変だったろう。ゆっくりでいい。少しずつ上へ向かおうか」
ロロはロゼッタの肩を優しく押した
ロゼッタ「皆さん…に…迷惑を…かけてしまうから…私は…ここで…待って…いるわ」
ロゼッタはこう言うが、肩をぐいっ、と引かれた
ロロ「どうしても君に見せたいのだよ。ーーー精霊の加護を受けた立場である君に」
その言葉をロロの口から聞き、ロゼッタは驚いた
ロロ「クロウリー殿に聞いたのだよ。一人、“精霊の加護を受けた者”が来るとおっしゃっていた」
ロゼッタ「(お義父様は私のことを伝えていないと思っていたわ・・・)」
ロロ「君がそうだな。ようやく気づけたよ」
ロロの虚な瞳にロゼッタが映し出された
しかし、ロゼッタは特に表情を変えず、ただ頑張って階段を登ろうとロロに手を引かれながら足をあげた
ロロはそれだけで満足そうだった
ーー鐘楼最上部
グリム「目の前にあるコイツが、目的のモンか?」
グリムは自分より何十倍も大きな鐘を指差す
ロロ「ああ。これが『救いの鐘』だ」
ロロがそれだと証明すると、ざわめきだした
その大きさ、その輝かしさ、その美しさに感想が溢れ出す
ロロは「どうかね?」とすぐ隣にいるロゼッタの顔を覗いた
ロゼッタ「素晴らしいわ…」
ロゼッタは目を見開いていた。その瞳は黄金色まみれだ。
ロロは微かに口の端を上げた。
トレイン「とても美しい…」
トレインがその鐘に惹かれている
トレイン「目にすることができて非常に嬉しい。いつの日か妻へする、いい土産話ができた」
ロロ「んふふ、皆さん救いの鐘の素晴らしさを感じでくださったようで結構。しかし救いの鐘の魅力は、その美しさにのみにあらず…我が校の大切な“魔法道具”なのだよ。
この鐘には魔力が込められている。そして鐘が奏でる音も、魔力を帯びている。鐘の音が響くことで街中に魔力を行き渡らせ、それが花の街の人々を守っているのだよ」
ロロははるか昔、『火厄』が訪れた際もこの鐘が救ってくれたと申した
だから『救いの鐘』なのだと
マレウスはその話に反応する
マレウス「街を1つ救った?鐘の音色でか?」
ロロ「んふふ…ナイトレイブンガレッジにある闇の鏡に底しれぬ魔力が宿っているように、救いの鐘とその音色にもまた、強大な魔力が宿っているということだよ」
ロロは花の街に珍しい魔法植物が多いのはそのおかげだと熱論した
ここが花の街という名前の由来もその通りだ
救いの鐘は朝、昼、夜と決まった時間に鳴り響く。花の街に住む人々はその鐘の法則に従い、暮らしているのだとか
ルークはそんな美しい街並みに気づいた
ルーク「ここからの景色は絶景だよ。レディロゼッタ、君も見てご覧よ」
ロゼッタはロロから離れ、外が見えるルークの隣に並んだ
高いからか、街が一望できた
ルーク「綺麗だね。君とこの風景が見られて、私は今にでも空に飛びたちたくなってしまうよ」
ロゼッタ「冗談はよしてください。」
ルーク「おや、心配してくれるのかい?でも大丈夫だよ。」
ルークはキラッと笑った
近くにいたラギーは「よくそんなこっ恥ずかしいセリフ言えるッスね」と額に汗を流した
ロロによるとノーブルベルガレッジは川に囲まれているらしい。ソレイユ川というらしい。その他にもいろいろと教えてくれた
もっと聞いていたい、そう思っていた所、ロゼッタは足の下で魔法を感じ…気づいたらマレウスに抱きしめられていた
マレウスの転移魔法によるものだったのだ
マレウス「僕をひとりにするな…」
ロゼッタ「マレウスさん…」
マレウスはぎゅっ、とロゼッタを固く抱き締める
マレウス「ここにいるときばかりはお前を1人締めしたいものだ…」
マレウスの声が耳に響く。
抱きしめられたことにより、マレウスの唇が耳の近くにあったからだ
ロゼッタ「あとで、レオナさんと喧嘩しないってお約束ができるなら。」
マレウス「ああ、約束しよう」
ロゼッタは辺りを確認した。みんなの背中が鐘の隙間から見える。
どうやらここは鐘の後側のようだった。そこへセベクがやってくる。
セベク「マレウス様!!ガーゴイルです!ガーゴ…ぬぁに!?し、失礼しました!」
セベクはマレウスとロゼッタが抱き合っていることに気付けば、すぐに顔を逸らした
セベクとともに来たシルバーはロゼッタが口をパクパクしていることに気づく
シルバー「どうしたの?…か。マレウス様、ガーゴイルを見つけました」
マレウス「…シルバー、僕は忙しい」
シルバー「ガーゴイルですよ」
マレウス「……」
ロゼッタ「ガーゴイルですって。見に行きましょう?ね?」
マレウスはムッ、としながらロゼッタから離れた
しかし離れたからといってロゼッタと離れるつもりはないため、彼女の手を握り、ガーゴイルのもとへ向かった
そんな2人をシルバーは見つめる
セベク「シルバー、若様とロゼッタ様の邪魔をするな!」
セベクにそう言われるとシルバーだったが、腕を組んで
「ロゼッタはマレウス様だけのものではない…」と呟いたのだった
「お前まさか…」とセベクに驚いた目で見つめられたが、冷静な顔つきのままだった
そんな様子を魔法道具から見ていたレオナは、ガルルと怒りの声を上げていたのだった。
レオナ「(ロゼッタの奴、アイツらからの好意に全く気付いてねえ。まあ、それは許すが…トカゲ野郎どもは絶てぇ許さねえ)」
その建物は空と繋がりそうなほど高く、鐘のある最上部まで行くのが困難だった
アズールとイデアは半分あたりで息を切らし、余裕そうなジャミルやマレウス、そしてセベクに「鍛錬が足りないぞ!」と言われる始末…
「ロゼッタさん?大丈夫ですか?」
デュースは息が荒いロゼッタを心配した
元々体力があまりないロゼッタには少々辛かったようだ
デュースの問いに答えることができないほど息が上がってしまっている
そんなロゼッタに一つの足音が迫ってきた
ロロ「すまないね。古い建物がゆえ、自力で登るしか手段はないのだよ」
ロロはロゼッタに手を差し伸べる
ロゼッタはその相手に驚きつつも、差し伸べられた手を握った
するとロロは手を引き、エスコートするかのようにロゼッタを横に歩かせた
ロロ「女性には大変だったろう。ゆっくりでいい。少しずつ上へ向かおうか」
ロロはロゼッタの肩を優しく押した
ロゼッタ「皆さん…に…迷惑を…かけてしまうから…私は…ここで…待って…いるわ」
ロゼッタはこう言うが、肩をぐいっ、と引かれた
ロロ「どうしても君に見せたいのだよ。ーーー精霊の加護を受けた立場である君に」
その言葉をロロの口から聞き、ロゼッタは驚いた
ロロ「クロウリー殿に聞いたのだよ。一人、“精霊の加護を受けた者”が来るとおっしゃっていた」
ロゼッタ「(お義父様は私のことを伝えていないと思っていたわ・・・)」
ロロ「君がそうだな。ようやく気づけたよ」
ロロの虚な瞳にロゼッタが映し出された
しかし、ロゼッタは特に表情を変えず、ただ頑張って階段を登ろうとロロに手を引かれながら足をあげた
ロロはそれだけで満足そうだった
ーー鐘楼最上部
グリム「目の前にあるコイツが、目的のモンか?」
グリムは自分より何十倍も大きな鐘を指差す
ロロ「ああ。これが『救いの鐘』だ」
ロロがそれだと証明すると、ざわめきだした
その大きさ、その輝かしさ、その美しさに感想が溢れ出す
ロロは「どうかね?」とすぐ隣にいるロゼッタの顔を覗いた
ロゼッタ「素晴らしいわ…」
ロゼッタは目を見開いていた。その瞳は黄金色まみれだ。
ロロは微かに口の端を上げた。
トレイン「とても美しい…」
トレインがその鐘に惹かれている
トレイン「目にすることができて非常に嬉しい。いつの日か妻へする、いい土産話ができた」
ロロ「んふふ、皆さん救いの鐘の素晴らしさを感じでくださったようで結構。しかし救いの鐘の魅力は、その美しさにのみにあらず…我が校の大切な“魔法道具”なのだよ。
この鐘には魔力が込められている。そして鐘が奏でる音も、魔力を帯びている。鐘の音が響くことで街中に魔力を行き渡らせ、それが花の街の人々を守っているのだよ」
ロロははるか昔、『火厄』が訪れた際もこの鐘が救ってくれたと申した
だから『救いの鐘』なのだと
マレウスはその話に反応する
マレウス「街を1つ救った?鐘の音色でか?」
ロロ「んふふ…ナイトレイブンガレッジにある闇の鏡に底しれぬ魔力が宿っているように、救いの鐘とその音色にもまた、強大な魔力が宿っているということだよ」
ロロは花の街に珍しい魔法植物が多いのはそのおかげだと熱論した
ここが花の街という名前の由来もその通りだ
救いの鐘は朝、昼、夜と決まった時間に鳴り響く。花の街に住む人々はその鐘の法則に従い、暮らしているのだとか
ルークはそんな美しい街並みに気づいた
ルーク「ここからの景色は絶景だよ。レディロゼッタ、君も見てご覧よ」
ロゼッタはロロから離れ、外が見えるルークの隣に並んだ
高いからか、街が一望できた
ルーク「綺麗だね。君とこの風景が見られて、私は今にでも空に飛びたちたくなってしまうよ」
ロゼッタ「冗談はよしてください。」
ルーク「おや、心配してくれるのかい?でも大丈夫だよ。」
ルークはキラッと笑った
近くにいたラギーは「よくそんなこっ恥ずかしいセリフ言えるッスね」と額に汗を流した
ロロによるとノーブルベルガレッジは川に囲まれているらしい。ソレイユ川というらしい。その他にもいろいろと教えてくれた
もっと聞いていたい、そう思っていた所、ロゼッタは足の下で魔法を感じ…気づいたらマレウスに抱きしめられていた
マレウスの転移魔法によるものだったのだ
マレウス「僕をひとりにするな…」
ロゼッタ「マレウスさん…」
マレウスはぎゅっ、とロゼッタを固く抱き締める
マレウス「ここにいるときばかりはお前を1人締めしたいものだ…」
マレウスの声が耳に響く。
抱きしめられたことにより、マレウスの唇が耳の近くにあったからだ
ロゼッタ「あとで、レオナさんと喧嘩しないってお約束ができるなら。」
マレウス「ああ、約束しよう」
ロゼッタは辺りを確認した。みんなの背中が鐘の隙間から見える。
どうやらここは鐘の後側のようだった。そこへセベクがやってくる。
セベク「マレウス様!!ガーゴイルです!ガーゴ…ぬぁに!?し、失礼しました!」
セベクはマレウスとロゼッタが抱き合っていることに気付けば、すぐに顔を逸らした
セベクとともに来たシルバーはロゼッタが口をパクパクしていることに気づく
シルバー「どうしたの?…か。マレウス様、ガーゴイルを見つけました」
マレウス「…シルバー、僕は忙しい」
シルバー「ガーゴイルですよ」
マレウス「……」
ロゼッタ「ガーゴイルですって。見に行きましょう?ね?」
マレウスはムッ、としながらロゼッタから離れた
しかし離れたからといってロゼッタと離れるつもりはないため、彼女の手を握り、ガーゴイルのもとへ向かった
そんな2人をシルバーは見つめる
セベク「シルバー、若様とロゼッタ様の邪魔をするな!」
セベクにそう言われるとシルバーだったが、腕を組んで
「ロゼッタはマレウス様だけのものではない…」と呟いたのだった
「お前まさか…」とセベクに驚いた目で見つめられたが、冷静な顔つきのままだった
そんな様子を魔法道具から見ていたレオナは、ガルルと怒りの声を上げていたのだった。
レオナ「(ロゼッタの奴、アイツらからの好意に全く気付いてねえ。まあ、それは許すが…トカゲ野郎どもは絶てぇ許さねえ)」