グロリアスマスカレード~紅蓮の花と救いの鐘~

シルバー「ですが、そうなると親父殿だけを残して交流会に行くことになってしまいます」

シルバーは視線をふせた

リリアはそんなシルバーに「くふふっ」と笑う

リリア「何を大袈裟な。ここは学園じゃぞ?クラスメイトも部活の仲間もおるわい。そもそもナイトレイブンカレッジに入学をしたのはマレウスの見聞を広めるためじゃ」

リリアは目を細め、優しげな表情で伝える

リリア「せっかくの学校行事、それも海外を知る機会を得られるなど、願ったり叶ったりではないか」

リリアはシルバーとセベクがついていれば安心だ、と2人にマレウスのことを託すことにした

リリア「マレウスが交流会を楽しめるように、お主らが護衛としての役目をしっかり果たせよ」

「「はっ」」

マレウスはそんなリリアに話しかけた

マレウス「1人にしてすまない。リリア。お前に、両手で抱えきれないほどのお土産を買ってこよう」

セベクもそれに対し、頷いた。リリアはニコッ、と笑う

リリア「おおー!とびきり派手で面白い土産を頼むぞ!!」

シルバー「ええ。親父殿の好みにぴったりのものを選んでまいります」

シルバーはふっ、と微笑んだ。

ロゼッタは彼らの”絆”は見ていてほっこりしていた

リリア「それに学園には“ロゼッタ”が残っているのだろう?それだけでわしはハッピーじゃ!」

いえーい!と喜ぶリリア。

ロゼッタ「(私は、交流会に行くのだけれど…)」

学園長「残念なお知らせがあります。ロゼッタも、交流会へ行くことになりました」

「「「ええっ!?」」」

リリア「なら、わしも行くうぅうううううう!!!」

リリアは泣きじゃくった

「後は頼みましたよ」とクロウリーは逃げるように去っていく。スーツケースを置いて。

リリア「なぜロゼッタも行くのじゃ!わしを1人にして楽しんでくるのか!?」

うわぁん、と嘆くリリアにロゼッタは慌てて近づく。そして肩に手を置いて、リリアさんの顔を覗き込んだ。

リリア「ロゼッタ、慰めてくれるのか…?なら、2日会えない分のチューをしとくれ」

リリアはキラキラした目でロゼッタに上目遣いをした

もちろん冗談だ。本気で言ったわけではない

しかし、それがわからないロゼッタはリリアの頬にそっとキスをした

ロゼッタ「失礼します。」

リリア「ッ…!」

リリアの顔からポンっ、と湯気が出た

たちまち顔が赤く…赤く…茹でたこのように…瞳には渦巻きが浮き出て…

リリア「ロゼッタはそういうところじゃああああ!!」

とパッと消えてしまった

ロゼッタ「?」

シルバーが「親父殿はたぶん今頃自室に篭っているのかと…」と説明してくれた。

「ロゼッタ様、そのスーツケースはどうしたのですか?」

シルバーはクロウリーが置いていったスーツケースが気になった

ロゼッタはシルバーに伝える

ロゼッタ「お父様にマレウス様と一緒に荷造りしてきなさいって言われたの。」

シルバー「なるほど。」

マレウス「僕と?」

マレウスは目を見開いた。ロゼッタは笑顔で頷く。

マレウス「ホゥ。荷造りを一緒にか…とても面白そうだ」

それからロゼッタとマレウスの荷造りが始まった

セベク「心配で仕方ない…あのお二人が何を荷物に詰め込むのか…」

シルバーは「ロゼッタがついていれば大丈夫だろう」と言ったものの、セベクは不安でたまらなかった

マレウスの部屋の前にセベクは着く。

すると中からマレウスの笑い声が聞こえてきた

サラマンダー『これだけもってけばいいんだよねー』

ロゼッタ「ふふっ。さすがにそれだけじゃ無理よ。」

マレウス「ペンだけを持って旅行するのはさすがに無理があるだろう。…クスッ、面白いことを考えるな。お前は」

若様が笑っておられる…とセベクはじーん、と涙組む

マレウス「それで何を持っていくのだ?」

セベクはハッ、とした

一番気になるところはそれである

そっと扉を開け、隙間から覗いた

ロゼッタは至って普通のものを魔法陣から取り出した。2日分の洋服。または替えの服。パジャマ、歯ブラシ、財布…あの魔法陣は自分の部屋と繋がっているのだろう

セベク「なんだ…安心した…」

セベクはふぅ、と息をつく

するとマレウスがロゼッタのスーツケースに入っている箱に気づいた

マレウス「なんだコレは?」

その箱を開けようとするマレウスをロゼッタは慌てて止めた

が、「僕に隠し物とは駄目な子だな」とマレウスがロゼッタを片手で抑えて、もうひとつの手でそれを開けてしまう

「……」

すぐに閉じた

セベクもそれを見てしまい、たちまち顔を真っ赤にした。マレウスの部屋の前から去っていく

マレウス「その…人の子よ…お前は派手な下着の趣味があったのだな…」

マレウスの耳が赤くなっている

それと正反対でロゼッタの顔面はもう真っ赤だった

ロゼッタは“レオナさんに貰ったんです!!!”と叫んだのだった
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