グロリアスマスカレード~紅蓮の花と救いの鐘~

ーー講堂ーー

「学園長のヤロー。朝っぱらから呼び出しやがって。大切な話、ってなんなんだゾ」

生徒たちは皆、ここへ集められた
 
始業式や終業式の集まりとは違う、緊急な報告
 
「あ、ロゼッタさん」

ロゼッタは講堂に着くとユウの隣に座った

「こんにちは、ユウ」

「あ…相変わらず可愛い」

「お、ロゼッタ。お前、一番最後じゃねぇか。なんだ寝てたのか?」

グリムはロゼッタの膝に座ると、言った。いかにも撫でろと言われたような気がしたので、ロゼッタは頭を優しく撫でながら言う。

「恥ずかしい話なんだけれど、時間を忘れるくらい本を読んでいたの。」

「やっぱ、可愛い」

ユウの前の席にはエースとデュースがいた

「こうやって学園長が呼び出すときって、だいたいロクなことが起きねーんだよ」とエースが肩を落とす

「おい、静かに。学園長が来たぞ」

デュースがはやくもクロウリーに気づいた
 
クロウリーが来たことを察した生徒は大抵静かにしたが、クロウリーの能天気なテンションで静寂は打ち壊される

「えー、みなさあん!おはようございます!今日もいい天気になりそうですね、すんばらしいー!」

クロウリー、めっちゃ笑顔である

「なんか気持ち悪いんだゾ…」とグリムが若干引きながら言う

「今日は皆さんに嬉しいお知らせです。一ヶ月後に、魔法士養成学校の交流会を行うことになりました!」

「「「交流会!?」」」

ざわっ、と生徒たちの声で室内がいっぱいになる

「学校同士の交流会?魔法士養成学校総合文化祭とはまた違う催しなのかな」とリドル

「知らない奴らと仲良くなれるってことか?楽しそうじゃんか!」とカリムが笑う

「この交流会…『第1回 未来ある魔法士の集い』は、とある学園の提案により実現しました。『花の街』にある『ノーブルベルカレッジ』です。交流会も、主催校であるノーブルベルカレッジで行います」

花の街、という言葉にポムフィオーレ寮のヴィルが反応した。なんでも輝石の国にある街の名前らしい
 
その頭上で「うむ、その通りじゃ!」とリリアが反応する

「うわっ!びっくりした…急に顔を覗き込まないでちょうだい」

ヴィル、ルーク、そしてエペルの心臓が一瞬だけ止まった。リリアは気にせず続ける

「花の街は非常に古い歴史を持つ街。そして、ノーブルベルカレッジもまた、規模こそナイトレイブンカレッジより小さいが、歴史のある学園じゃ」

「じゃが、このわしさえもあの学園の中には入ったことがない。なんとも珍しい機会を得たのう」

リリアは関心していた

クロウリーは「ヴァンルージュくんの言うとおり!」とノーブルベルカレッジの話をした

「通常のノーブルベルカレッジは我が校と同じく、特別な機会以外、外部の人間は立入禁止。そんな学園から“多数の魔法士養成学校を集めた交流会をしたい”と言われ、はじめはとても驚きました」

それからクロウリーの「格式高い我が校をそんじゃそこらの学校と同等に扱わないでもらいたい!」というナイトレイブンカレッジに対する愛が伝わったのだが

「“優れた魔法士養成学校といえばナイトレイブンカレッジの他ない!ぜひ!ご招待したい!”…と、わざわざお願いの連絡がありましてねぇ~!」

ここでクロウリーのテンションが爆上がりした

「それもこれも学園長の私の指導がいいから、なんてもー本当のこと言われて困っちゃいましたよ~」

クロウリーはとっても嬉しそうだった

「(お義父様・・・とても嬉しそう)」

ケイトとトレイは頭を抱えている

「なんてわかりやすいお世辞…それで機嫌が良かったわけね」

「はっ、冗談じゃねぇ。誰がそんな面倒なもんに参加するか。(ロゼッタ、さっきから目が輝いてんな。交流会に行きてえのか?)」とレオナ

イデアは「最悪にして最低!交流会っていう響きがまずもう無理!」と嘆いた

セベクでさえも「よその者から若様が学べるものがあるとか思えん。交流など無意味だ!」と却下する

グリム「みんな、すげぇ嫌がってんだゾ…」

『ぼく、行きたーい!』

ロゼッタと契約を交わしている火の精霊サラマンダーがいう

「行けるかどうかはわからないわよ、サラマンダー」

ユウはため息をこぼすように「せっかくの機会なのに」と言う

グリム「機会~?んなもん知るか、オレ様もイヤなんだゾ!」

ロゼッタ「交流会は、他の学生たちと見聞を広める良い機会よ、グリム君。」

クロウリー「ロゼッタの言う通り。交流した後は、メインとなる舞踏会で、踊って、食べて、話して、楽しんでもらいます!」

食べることに関してはグリムは耳をにょきっ、と上にあげていたが、他のことに関しては興味はなさそうだった

しかし、クロウリーが「名門ナイトレイブンカレッジの生徒というだけで“すごーい!”“憧れちゃう!”“サインください!”なんてちやほやされちゃうかも!」と言ったあたりでめっちゃはしゃいでいた

クロウリー「それに年に一度の、お祭りが開かれるんですよ。美しい街並み、愉快な出し物、見たことのないお土産、美しいご飯…これらを2泊3日。先方の経費で楽しめるんです!」

他の人のおごりだと思うとクロウリーはにんまり笑った。アズールだって喜びそうな誘いだ

グリムは「行きたーい!!!」と叫び出した

ラギーもタダという点に対しては嬉しそうだった

ユウは「なんか、修学旅行みたいだな」とほんわりしていた
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