ゴーストマリッジ

エース「普段着ないタイプの服だし、オレには新鮮っつーか堅苦しいっつーか……」

エペル「僕も……おかしくない、かな?」

最後に出てきたエペル君は白いタキシード。

4人の中では一番シンプルなデザインだが、それがエペル君の魅力に映えていて綺麗だ。

ルーク「心配はいらないよ。2人の可愛らしさと格好良さ両方が引き出されている」

エース「ルーク先輩に褒められてもなんか信用ならねえな……どーよ、ロゼッタさん。キマってる?」

此方に何時もの不敵な笑みを向けてくるエース君。
こうみるといつものエース君だ。

「似合ってるわ、自信持って!」

エース「へへっ…ま、ロゼッタさんがそう言うなら信じるか」

監督生「エペルくんも自信を持って!凄くカッコいい!」

エペル「え…か、カッコイイ?…えへへ、ありがとう」

サム「みんなが着ているのは、古の魔法が込められた“求愛のタキシード”!
これを着た人間は、ゴーストにとってとても魅力的に見えるんだとか」

「……そんなものがよくここにありましたね」

サム「何でもあるさ、ここには!
そして今“求愛のタキシード”を購入してくれたみんなには、特典アイテムをプレゼント。
はい、どうぞ。“慰めのブーケ”!」

そう言ってサムさんが指を鳴らすと、手元に薄らと光っている花のブーケが現れた。
4人もそれをまじまじと見る。

すると、サムさんは自身の手元にそのブーケを2本用意し、私とユウに手渡ししてくれる。

「わ、私も…ですか?…少し色が違う」

サム「花は慰めのブーケと同じものを使っているけど、花に込められている暗示が違うんだよ」

「あ、暗示?」

サム「このブーケは負の感情をエネルギーに咲くようになっている。
ゴーストのパワーを源となる“悲し”"や“恨み”も吸い上げてくれるのさ。
贈ってよし、ぶつけてよし。小鬼ちゃん達にとっては一石二鳥のアイテムだね!」

監督生「つ、つまりエース達が持っているのが、ゴーストのパワーを吸い上げるもの…というわけですか」

サム「Yes!そしてロゼッタちゃんと監督生ちゃんのものはゴーストから身を護る。
いってみれば防衛魔法のようなものさ!このブーケを肌身離さず持っていれば、必然的にゴーストの攻撃に当たらなくてすむよ」

監督生・ロゼッタ「「ありがとうございます」」

エース「でも、これだけの装備が備わってんなら花嫁の心はいただいたもドーゼン!」

エペル「なんだか、うまくプロポーズできる気がしてきた……!」

サム「Swag、Swag、Swag‼……でも、忘れないでね、小鬼ちゃん達。
花嫁のゴーストをあの世に送ることができるのは最初に渡した“断絶の指輪”だけだ。
君達の行く末は、指輪をはめられるかどうかにかかってくるよ」

クロウリー「結婚式本番が近付いて、家来のゴースト達も警戒しているはずです。
自分が“理想の王子様”であることをアピールしなければ、式場に入る事もできないでしょう」

リドル「問題ありません。残された時間を使って、王子様らしく振る舞い……
自分がいかに花婿にふさわしい男か、証明します!」

ルーク「私も、愛の言葉を尽くそう。真摯に伝えれば、きっと思いは伝わるはずだ」

エペル「きっと、花嫁の気持ちを掴んでみせます!」

エース「おーよ。パパッとプロポーズを成功させてやるぜ!」

グリム「オペレーション・プロポーズ、成功させてやるんだゾ!」

クロウリー「ううっ……今回もナイトレイブンカレッジの生徒が1人の生徒のために一致団結して……私、感動のあまり涙で前が見えません!」

監督生「イデア先輩の為…ではなさそうですけど」

クロウリー「フリでも良いんです!」

「良いんですか…まぁ、兎も角。サムさん、ありがとうございました」

サム「Hey~検討を祈っているよ、小鬼ちゃん達」


サムさんに見送られて、私達は購買を出た。

リドル「これから“理想の王子様”となって花嫁ゴーストにプロポーズをする。
これがイデア先輩を助け出す最後のチャンスだ。皆、彼女にふさわしい花婿になりきろう」

エース「……って言われても“王子様”とか“花婿”とかいまいちピンとこねーんだよなあ」

エペル「僕も……」

「まぁ、学生ですし…男子校だから」

グリム「あ、じゃあロゼッタで練習したらどーだ?」

エース「そ、そういう余計な事は言わなくていいんだよ!」

リドル「そ、そうだ!グリム!首をはねるよ!」

グリム「何で!?」

すぐさまグリム君の案を即却下する2人。
グリム君は首をはねられる~!と言って私の腕に飛びついてきた。
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