ゴーストマリッジ

リドル「エース、首をはねられたいのかい?」

エース「なんでもないっす!!!」

オルト「0時の誓いのキスまであと4時間…お願い監督生さん。ロゼッタさん。4人が揉めないようについていってあげて!」

「わかっ『嫌だゾー!エース達で勝手にやってろ!』ちょっと、グリム君!」

私の言葉を遮り、グリム君が言う。
すると、オルト君の表情が無表情になり、声も無機質になった。

オルト「『そのリクエストは承認できません』」

「『!?』」

オルト「『そのリクエストは『やる、やるわ!!』ほんとう!?よかった!」


やると答えた瞬間に無機質の声が消え、表情も元に戻った。
そのことにグリム君と共にホッとした。

エース「というかさ、グリムは来る必要ないだろ」

グリム「にゃ、にゃにっ?」

「…監視役なら私とユウがいれば問題ないと思うわ。」

オルト「確かにグリムさんが花嫁に選ばれる確率を計算すると、限りなくゼロに近いね」

監督生「どんな確率で計算したの、それ…」

グリム「ぐぬぬ」

悔しそうな顔を浮かべるグリム君。
よしよしと宥めるように頭を撫でて上げた。

グリム「行きたくないけど、そう言われると腹が立つんだゾ。
グリム様の魅力をわからせてやる!やっぱりオレ様も行くんだゾ!」

ルーク「みんな花嫁の愛を得るために必死になっているんだね。なんて美しいことだろう!」

「それは違うと思いますよ…」

クロウリー「結婚式までの残りの時間を考えるとこれがラストチャンス。
次に“オペレーション・プロポーズ”が失敗すれば……シュラウドくんの命はありません」

学園長の言葉にゴクリと皆、つばを飲み込み、顔を険しくする。

失敗すれば…すべて終わり。
だけど、それでも……やらないと。

この式を、花嫁の理想を壊してあげないと…そうじゃないと、あの花嫁さんも可哀想だ。

クロウリー「花嫁のゴーストは“誰も正装していない"”と怒っていました。
念入りに“理想の王子様対策”打ちましょう」

「正装して成功すればいいんですけど…」

***
サム「好きなあの子と幸せになりたい?プロポーズを絶対に成功させたい?
そんな貴方に……㏌ STOCK NOW!大切な人のハートをガチッと掴むアイテムがよりどりみどり」

監督生「どうしてあるのかな…」

サム「……まさかそれらぜーんぶお買い上げとはね。センキュー!学園長」

クロウリー「とほほ……また出費が……」

サム「お高い分、効果は保証するよ。花嫁の心を奪うにはばっちりの商品ばかりだ。
例えば、小鬼ちゃん達が今着替えているあの衣装……」

サムさんが控え室の扉の方を見る。
購買部の奥にある控え室。あそこで第3陣の子たちは正装に着替えている。

エペル「このブローチ、どこに付けたらいいんだろう」

リドル「襟に付けるんだ。貸してごらん」

エース「オレも不安だわ。いろいろ小物が付いてたんすけど、着方あってます?」

ルーク「アルバートチェーンもロゼットもバッチリだ」

「…そろそろ大丈夫ですか?」

オルト「みんな、着替えたなら出てきてよ」

オルトくんが呼ぶと、男性陣は控え室から見間違える程の綺麗な姿になって出てきた。

リドル「……待たせたね」

真紅のタキシードを着たリドル君。
流石はハートの王様…薔薇のような赤が似合っている。
髪もセットして、いつもより大人っぽく見える。

ルーク「薔薇の君、とても凛々しいよ。実にボーテ!」

リドル「ありがとうございます」

次に現れたのは紫色のタキシードを身にまとるルークさん。
帽子がないから違和感があったが、それ以上に美しい着こなしにほぉ…と声を出してしまう。

リドル「ルーク先輩も、流石は3年生ですね。とても落ち着いた雰囲気だ」

ルーク「メルシー」

「2人とも、良く似合ってます!」

リドル「ありがとう、ロゼッタ」

ルーク「君にそう言われる何て光栄だよ」

エース「そりゃ、寮長とルーク先輩はいいかもだけどさあ……」

ぼやきながら出てきたエース君は赤のチェック柄のタキシードを身にまとっている。
いつも下ろしている前髪をアップにしていて、かなり雰囲気が違う。
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