熱砂の策謀家
カリム「お前は、ひ、ひどいヤツだ……。だけど、やっぱりずっとオレを助けてくれたのも、お前なんだ」
ジャミル「カリム……」
カリム「だからもう、今日からはやめよう。親の地位とか、主従関係とか、そういうことで遠慮するのは」
カリム君がそう言うと、ジャミル君は「は?」という惚けた顔を浮かべる。
カリム「今日からは遠慮なしで本気で一番を奪い合うライバルになろう。
友達になろう、ジャミル」
カリム君は涙をぬぐい、ジャミル君に手を差し出す。
目を丸くするジャミル君…と「うわぁ~」という顔を浮かべるオクタヴィネル寮3人。
ジャミル「対等な立場で友達に……?ふっ……お前らしい結論だな、カリム……。なら、対等な立場で言わせてほしい。絶っっっっっ対にお断りだ!!!!」
カリム「え」
グリム・監督生「え"ぇ~~~~!?」
ジャミル君の言葉に惚けた声を出すカリム君と驚愕するユウとグリム君。
…正直、予想はしていたから私はそこまで驚かなかった
ジャミル「考えなしで大雑把、間抜けで不器用、超がつくほど能天気で傲慢、デリカシーゼロのボンボンが!!そんなヤツと誰が好き好んで友達になんかなるか!利害関係がないなら、お前とは1ミリたりとも関わり合いたくないね!」
カリム「え、えええええ!?なんだよそれぇ!?」
ジャミル君のバッサリとした本音にカリム君は声を上げる。
相当ショックをうけてるわね……まぁ、これでくじけないと思うけど。
グリム「な、何か吹っ切れちまったのか、ズバズバキツい事言いまくりなんだゾ!」
「あれが彼の本当の性格よ…猫被っていたんでしょうね」
監督生「猫かぶりにもほどがある・・・」
灰色の世界で本音を吐露していたから…ちょっと安心した。
こっちに戻ってまた偽ってしまうんじゃないか‥と思っていたけれど。
アズール「いいじゃありませんか。僕は今のジャミルさんのほうが好感を持てますよ」
ジャミル「なんだ?ニヤニヤして気持ち悪い」
監督生「ま、またハッキリと…」
アズール「実は僕、1年生の頃からずっと貴方のことが気になっていたんです」
ジャミル「はぁ……?」
混ぜるな危険な予感がする。この2人絶対合わせちゃ駄目だわ……本能的に察した。
アズール「ジャミルさんは普段からあまりにも目立たなすぎて逆に、浮いた生徒でしたから。貴方は座学の成績も、実技の成績も、これといって優れた成績を残しません。同時に、どの授業でも、絶対にマイナス評価も残さない……。全教科で10段階評価の5を"わざと"取り続けていた印象です」
「……逆に不自然だった」
アズール「えぇ、だからずっと何かがあると違いないと思っていましたが……今回、エリーゼさんたちからの話を聞いてピンときたんです」
ジェイド「なるほど。アズールだって魔法薬学の成績は学年トップレベルですが、飛行術の成績は下から数えた方が早いですものね」
グリム「それもちょっと極端なんだゾ」
アズール「先日ボードゲーム“マンカラ”をご一緒した際予感は確信に変わりました。ジャミルさんはフロイドの機嫌を損ねない程度に勝敗をコントロールしていた」
フロイド「えー、マジで?そんな事できんの?」
アズール「わざと負け過ぎても手抜きに気づかれますし、僕のように勝ち過ぎて相手を不機嫌にさせてしまう。ちょうどいい塩梅で、相手を勝たせていい気分にさせる。そんなこと、並の技術と精神力で出来ることじゃありません」
グリム「アズールは容赦なく俺様をボコボコにしてたけどな」
「まぁまぁ……」
アズール「僕の予感は正しかった。ジャミルさんの本来の能力は実に素晴らしいものです!」
カリム「だろ?だろ?やっぱりジャミルはすごいヤツなんだよ!」
アズール「ジャミルさんはカリムさんより、僕のようなタイプと気が合うと思いますよ。どうです?これを機にオクタヴィネルに転寮して僕と手を組んで一旗あげてみませんか?」
「やめてちょうだい、色々な意味で学園側に甚大な被害をもたらすから」
フロイド「ハハ、エリーゼ、スゲー早口」
「こんな性格わr・・・あ、特殊コンビ組ませちゃ駄目よ」
アズール・ジャミル「聞こえてますよ/聞こえてるぞ」
監督生「出た、滅多にないエリーゼさんの意地悪なところ」
ジャミル「絶対にお断りだ!!大体なんなんだお前は。いきなり出てきてべらべらと……胡散臭いんだよ!今後もお前とは永遠に友人になんかなりたくないね。アズール」
ジェイド「おやおや、言われてしまいましたねぇ、アズール」
アズール「フフフ……まぁいいでしょう。今回は僕の秘密コレクションに新たな真実が1つ追加されたことで良しとしましょう」
ジェイド「別名、他人の弱点コレクションね」
監督生「…何てとんでもないコレクションを……」
ジャミル「……フン。世界中に向けて、明かされちまった秘密なんて、弱みでもなんでもないだろ。……もう、今日からは遠慮しない。カリムにも、お前らにも、誰にも。二度と勝ちを譲ってやる気はないからな」
カリム「……ああ!オレも絶対に負けないぜ!」
険しい顔を浮かべるジャミル君とは対照的に、カリム君はパァと笑みを浮かべている。
それを見てまた腹立たしそうにしているが…やれやれという顔を浮かべるジャミル君。
もう以前みた邪気な雰囲気はまとっていなかった。
「…あ、そうだ。グリム君、スマホ貸してくれる?」
グリム「スマホ?何使うんだ?」
アズール「あの、グリムさん?どこからスマホを?」
ジェイド「鞄など持っている様子が無かったんですが」
フロイド「凄ぇ、毛皮から出した?」
スマホの充電があと少しでなくなりそうだけど…まぁ持つだろう。
私はお義父様に電話をした。そして聞こえてくるのは…あの留守番電話。
グリム「コイツ、まだ留守電にしてるんだゾ」
アズール「気のせいですか?今‟バカンス”と聞こえた気が…」
ジャミル「いや、疲れている俺にも聞こえたぞ」
まぁこの時点でもうスマホ投げたくなるけど、我慢する。
そしてピーッという音が聞こえてきた。メッセージを入れる音だ。
「……すぅ」
監督生「エリーゼさん?どうしたんですか?」
急に息を吐いた私を不審そうに見つめる皆。
__けど、次の瞬間。
「この鴉ジジィがいい加減にしなさああああああい!!!!!」
スカラビア寮の夜に、私の怒号が響き渡った。皆、耳を抑え、キーンとさせている…ごめんなさい。
グリム「び、ビックリしたんだゾ」
カリム「エリーゼ、な、何を…」
「お義父様、まぁ聞かないと思うけど、一応言っておきます。
私は別にいいのよ。お仕事を押し付けてくることも、1日前に他国へ出かけるから準備しろと言われても。
でも‥…何よ、スカラビア寮に対する問題は!!!実力の問題に親だのなんだの出してくるんじゃないわよ!!!!いい加減にして!!」
ジェイド「…ガチ切れですね」
グリム「あ、あんな怒ってるエリーゼ、初めてだゾ」
監督生「マジフト大会の時以上に怒ってる」
アズール「あ、あのような一面もあるんですね」
フロイド「アハハハ!何、エリーゼ、マジでおもろ~!」
カリム「…エリーゼ?ス、スカラビアの問題って…」
ジャミル「!‥(まさか灰色の空間で見た事を……)」
未だガミガミ怒鳴る私を見ながら、唖然として見ている。そして深く息を吐き、スマホの画面を冷めた目で見つめる。
「お義父様、今日から3日間までに貴方から謝罪と弁明の電話・メッセージが来なかった場合、あなたが学園内を歩けなくなるような噂を流しますから」
フロイド「アハハハ!た、例えば?」
「お義父様は幼女好きだ…とか」
フロイド「ブハハハ!!!!」
ジェイド「…っ、ふっ」
アズール「お前達、笑っては……ふふっ」
爆笑しているフロイド君と震えて笑うジェイド君、アズール君。
カリム「よ、よく分からないけど、いいのか!?」
「良いのよ、見た目変人なんだから」
カリム「それは…………そうだな」
グリム「認めちまうのかよ!」
監督生「義理とはいえ自分の父親ですよね!?」
ジャミル「っ……ハハハハ!何だよ、それ…ハハハハ!ほんと、お前…おもしろ…っ、ハハハ!」
カリム「えぇ!?ジャミルまで!?」
フロイド君同様に、爆笑しだしたジャミル君に驚くカリム君。
「…それじゃあ、電話待ってます……私が言ったこと嘘じゃありませんから」
低く脅しをいれ、通話を切る。それと同時にスマホの充電が切れた。
グリム「なんか、逆にすっきりしたんだゾ~」
「少し、痛い目見ればいいのよ」
フンスと怒る私と、笑う数人と困惑する1人。
さっきまで冷たい空気が漂っていたスカラビア寮には、温かい笑い声で包まれていた。内容はまぁ、褒められたものじゃないけど。
****
エリーゼが学園長を脅s……通話を終え、今日はスカラビア寮へ泊る事になった。そして、全員が寝静まった夜の談話室で、グリムは1人、何かを探していた。
その瞳は…どこか虚ろで、目に光を宿していなかった。
グリム「…黒い石……この部屋から黒い石の匂いがするんだゾ…」
そして、絨毯の隙間に入り込んでいた目的の黒い石を見つけ「ハッ!」と嬉しそうな声を出す。
グリム「あった……あったぞぉ……‥ククク…‥ヒヒヒヒヒヒッ!」
以前までと違う、笑い方、狂喜じみた笑い方をしていたグリム。
そして、その黒い石を一口で頬張った。
そして、三日月のように口角を上げ、笑みを浮かべる……が、その笑みは歪んでいる。
グリム「これは……スパイシーでありながら深いコクのあるまろやかなお味……なんだゾ。ああ……もう食べ終わっちまった。もっと……もっと黒い石が食いてぇんだゾ……」
キョロキョロと周りを見渡し、黒い石がない事にグッと歯を食いしばる。
グリム「___ヒヒヒッ」
静かな談話室にグリムの笑い声が響いた。
***
【お前が欲しい】
変な声が、聞こえる__誰なの?
ふと、目を開けると___私は森の中にいた。自然が豊かで、美しい巨森の中。
その森の中の、蔦のベッドに私は眠っていた。
何だか、体が軽い__このまま歩いて、飛んでいける位に。
だけど、不思議と立ち上がる事が出来ない。
【ここに来るのを待ってるわ】
女の人の声が耳に残り、私はまた瞳を閉ざした。
瞳を閉じる直前、上から伸びた手の様な物が___
私の首……“蛇の噛み痕”に触れた気がした。
ジャミル「カリム……」
カリム「だからもう、今日からはやめよう。親の地位とか、主従関係とか、そういうことで遠慮するのは」
カリム君がそう言うと、ジャミル君は「は?」という惚けた顔を浮かべる。
カリム「今日からは遠慮なしで本気で一番を奪い合うライバルになろう。
友達になろう、ジャミル」
カリム君は涙をぬぐい、ジャミル君に手を差し出す。
目を丸くするジャミル君…と「うわぁ~」という顔を浮かべるオクタヴィネル寮3人。
ジャミル「対等な立場で友達に……?ふっ……お前らしい結論だな、カリム……。なら、対等な立場で言わせてほしい。絶っっっっっ対にお断りだ!!!!」
カリム「え」
グリム・監督生「え"ぇ~~~~!?」
ジャミル君の言葉に惚けた声を出すカリム君と驚愕するユウとグリム君。
…正直、予想はしていたから私はそこまで驚かなかった
ジャミル「考えなしで大雑把、間抜けで不器用、超がつくほど能天気で傲慢、デリカシーゼロのボンボンが!!そんなヤツと誰が好き好んで友達になんかなるか!利害関係がないなら、お前とは1ミリたりとも関わり合いたくないね!」
カリム「え、えええええ!?なんだよそれぇ!?」
ジャミル君のバッサリとした本音にカリム君は声を上げる。
相当ショックをうけてるわね……まぁ、これでくじけないと思うけど。
グリム「な、何か吹っ切れちまったのか、ズバズバキツい事言いまくりなんだゾ!」
「あれが彼の本当の性格よ…猫被っていたんでしょうね」
監督生「猫かぶりにもほどがある・・・」
灰色の世界で本音を吐露していたから…ちょっと安心した。
こっちに戻ってまた偽ってしまうんじゃないか‥と思っていたけれど。
アズール「いいじゃありませんか。僕は今のジャミルさんのほうが好感を持てますよ」
ジャミル「なんだ?ニヤニヤして気持ち悪い」
監督生「ま、またハッキリと…」
アズール「実は僕、1年生の頃からずっと貴方のことが気になっていたんです」
ジャミル「はぁ……?」
混ぜるな危険な予感がする。この2人絶対合わせちゃ駄目だわ……本能的に察した。
アズール「ジャミルさんは普段からあまりにも目立たなすぎて逆に、浮いた生徒でしたから。貴方は座学の成績も、実技の成績も、これといって優れた成績を残しません。同時に、どの授業でも、絶対にマイナス評価も残さない……。全教科で10段階評価の5を"わざと"取り続けていた印象です」
「……逆に不自然だった」
アズール「えぇ、だからずっと何かがあると違いないと思っていましたが……今回、エリーゼさんたちからの話を聞いてピンときたんです」
ジェイド「なるほど。アズールだって魔法薬学の成績は学年トップレベルですが、飛行術の成績は下から数えた方が早いですものね」
グリム「それもちょっと極端なんだゾ」
アズール「先日ボードゲーム“マンカラ”をご一緒した際予感は確信に変わりました。ジャミルさんはフロイドの機嫌を損ねない程度に勝敗をコントロールしていた」
フロイド「えー、マジで?そんな事できんの?」
アズール「わざと負け過ぎても手抜きに気づかれますし、僕のように勝ち過ぎて相手を不機嫌にさせてしまう。ちょうどいい塩梅で、相手を勝たせていい気分にさせる。そんなこと、並の技術と精神力で出来ることじゃありません」
グリム「アズールは容赦なく俺様をボコボコにしてたけどな」
「まぁまぁ……」
アズール「僕の予感は正しかった。ジャミルさんの本来の能力は実に素晴らしいものです!」
カリム「だろ?だろ?やっぱりジャミルはすごいヤツなんだよ!」
アズール「ジャミルさんはカリムさんより、僕のようなタイプと気が合うと思いますよ。どうです?これを機にオクタヴィネルに転寮して僕と手を組んで一旗あげてみませんか?」
「やめてちょうだい、色々な意味で学園側に甚大な被害をもたらすから」
フロイド「ハハ、エリーゼ、スゲー早口」
「こんな性格わr・・・あ、特殊コンビ組ませちゃ駄目よ」
アズール・ジャミル「聞こえてますよ/聞こえてるぞ」
監督生「出た、滅多にないエリーゼさんの意地悪なところ」
ジャミル「絶対にお断りだ!!大体なんなんだお前は。いきなり出てきてべらべらと……胡散臭いんだよ!今後もお前とは永遠に友人になんかなりたくないね。アズール」
ジェイド「おやおや、言われてしまいましたねぇ、アズール」
アズール「フフフ……まぁいいでしょう。今回は僕の秘密コレクションに新たな真実が1つ追加されたことで良しとしましょう」
ジェイド「別名、他人の弱点コレクションね」
監督生「…何てとんでもないコレクションを……」
ジャミル「……フン。世界中に向けて、明かされちまった秘密なんて、弱みでもなんでもないだろ。……もう、今日からは遠慮しない。カリムにも、お前らにも、誰にも。二度と勝ちを譲ってやる気はないからな」
カリム「……ああ!オレも絶対に負けないぜ!」
険しい顔を浮かべるジャミル君とは対照的に、カリム君はパァと笑みを浮かべている。
それを見てまた腹立たしそうにしているが…やれやれという顔を浮かべるジャミル君。
もう以前みた邪気な雰囲気はまとっていなかった。
「…あ、そうだ。グリム君、スマホ貸してくれる?」
グリム「スマホ?何使うんだ?」
アズール「あの、グリムさん?どこからスマホを?」
ジェイド「鞄など持っている様子が無かったんですが」
フロイド「凄ぇ、毛皮から出した?」
スマホの充電があと少しでなくなりそうだけど…まぁ持つだろう。
私はお義父様に電話をした。そして聞こえてくるのは…あの留守番電話。
グリム「コイツ、まだ留守電にしてるんだゾ」
アズール「気のせいですか?今‟バカンス”と聞こえた気が…」
ジャミル「いや、疲れている俺にも聞こえたぞ」
まぁこの時点でもうスマホ投げたくなるけど、我慢する。
そしてピーッという音が聞こえてきた。メッセージを入れる音だ。
「……すぅ」
監督生「エリーゼさん?どうしたんですか?」
急に息を吐いた私を不審そうに見つめる皆。
__けど、次の瞬間。
「この鴉ジジィがいい加減にしなさああああああい!!!!!」
スカラビア寮の夜に、私の怒号が響き渡った。皆、耳を抑え、キーンとさせている…ごめんなさい。
グリム「び、ビックリしたんだゾ」
カリム「エリーゼ、な、何を…」
「お義父様、まぁ聞かないと思うけど、一応言っておきます。
私は別にいいのよ。お仕事を押し付けてくることも、1日前に他国へ出かけるから準備しろと言われても。
でも‥…何よ、スカラビア寮に対する問題は!!!実力の問題に親だのなんだの出してくるんじゃないわよ!!!!いい加減にして!!」
ジェイド「…ガチ切れですね」
グリム「あ、あんな怒ってるエリーゼ、初めてだゾ」
監督生「マジフト大会の時以上に怒ってる」
アズール「あ、あのような一面もあるんですね」
フロイド「アハハハ!何、エリーゼ、マジでおもろ~!」
カリム「…エリーゼ?ス、スカラビアの問題って…」
ジャミル「!‥(まさか灰色の空間で見た事を……)」
未だガミガミ怒鳴る私を見ながら、唖然として見ている。そして深く息を吐き、スマホの画面を冷めた目で見つめる。
「お義父様、今日から3日間までに貴方から謝罪と弁明の電話・メッセージが来なかった場合、あなたが学園内を歩けなくなるような噂を流しますから」
フロイド「アハハハ!た、例えば?」
「お義父様は幼女好きだ…とか」
フロイド「ブハハハ!!!!」
ジェイド「…っ、ふっ」
アズール「お前達、笑っては……ふふっ」
爆笑しているフロイド君と震えて笑うジェイド君、アズール君。
カリム「よ、よく分からないけど、いいのか!?」
「良いのよ、見た目変人なんだから」
カリム「それは…………そうだな」
グリム「認めちまうのかよ!」
監督生「義理とはいえ自分の父親ですよね!?」
ジャミル「っ……ハハハハ!何だよ、それ…ハハハハ!ほんと、お前…おもしろ…っ、ハハハ!」
カリム「えぇ!?ジャミルまで!?」
フロイド君同様に、爆笑しだしたジャミル君に驚くカリム君。
「…それじゃあ、電話待ってます……私が言ったこと嘘じゃありませんから」
低く脅しをいれ、通話を切る。それと同時にスマホの充電が切れた。
グリム「なんか、逆にすっきりしたんだゾ~」
「少し、痛い目見ればいいのよ」
フンスと怒る私と、笑う数人と困惑する1人。
さっきまで冷たい空気が漂っていたスカラビア寮には、温かい笑い声で包まれていた。内容はまぁ、褒められたものじゃないけど。
****
エリーゼが学園長を脅s……通話を終え、今日はスカラビア寮へ泊る事になった。そして、全員が寝静まった夜の談話室で、グリムは1人、何かを探していた。
その瞳は…どこか虚ろで、目に光を宿していなかった。
グリム「…黒い石……この部屋から黒い石の匂いがするんだゾ…」
そして、絨毯の隙間に入り込んでいた目的の黒い石を見つけ「ハッ!」と嬉しそうな声を出す。
グリム「あった……あったぞぉ……‥ククク…‥ヒヒヒヒヒヒッ!」
以前までと違う、笑い方、狂喜じみた笑い方をしていたグリム。
そして、その黒い石を一口で頬張った。
そして、三日月のように口角を上げ、笑みを浮かべる……が、その笑みは歪んでいる。
グリム「これは……スパイシーでありながら深いコクのあるまろやかなお味……なんだゾ。ああ……もう食べ終わっちまった。もっと……もっと黒い石が食いてぇんだゾ……」
キョロキョロと周りを見渡し、黒い石がない事にグッと歯を食いしばる。
グリム「___ヒヒヒッ」
静かな談話室にグリムの笑い声が響いた。
***
【お前が欲しい】
変な声が、聞こえる__誰なの?
ふと、目を開けると___私は森の中にいた。自然が豊かで、美しい巨森の中。
その森の中の、蔦のベッドに私は眠っていた。
何だか、体が軽い__このまま歩いて、飛んでいける位に。
だけど、不思議と立ち上がる事が出来ない。
【ここに来るのを待ってるわ】
女の人の声が耳に残り、私はまた瞳を閉ざした。
瞳を閉じる直前、上から伸びた手の様な物が___
私の首……“蛇の噛み痕”に触れた気がした。