熱砂の策謀家
___________スカラビア寮
そして、オクタヴィネル寮を出てスカラビア寮の鏡をくぐった。ユウとグリム君と3人ではなく…何故かアズール先輩とリーチ兄弟の3人も連れて、戻ってきてしまった。
入口付近にある噴水では、昨日追いかけてきた寮生達がコソコソと喋っている。魔法の絨毯と私達が逃げた事に関しての相談だろう…。
そんな彼らに近付くアズール君達。
アズール「こんにちは。お邪魔します」
フロイド「うわー、あっつ。マジで真夏じゃん」
「「!!??」」
突然現れたアズール君たちに驚き、目を見開く寮生達。
寮生「スカラビアになんの用だ!」
アズール「ああ、みなさん。昨晩は失礼しました。みなさんがか弱い動物を一方的に苛めているように見えたものですから。心優しい僕は咄嗟に庇ってしまったのです……」
まるでエース君のように嘘がペラペラと口から……本当に敵にすると恐ろしい子たちだわ。
アズール「よくよく話を聞いてみれば、オンボロ寮の2人とエリーゼさんはスカラビアから魔法の絨毯を盗み出した窃盗犯ということがわかりまして。間違いに気付いた僕は、責任をもってこの窃盗犯を引っ捕らえ、魔法の絨毯をお届けにあがったというわけです」
グリム「うぬぅ………不本意なんだゾ~………」
絨毯「♪」
ふてくされているグリム君とルンルンと楽しそうな絨毯。よしよしと撫でて上げると更に体を揺らす。
寮生「そ、それは……」
寮生「ご協力ありがとうございます…?」
予想外というように挙動不審の寮生達。お礼が疑問形になっている…。
その時、彼らの背後から足音が聞こえ、見知った顔が現れた。
ジャミル「おい、お前たち。そろそろ朝の特訓の時間だぞ。集合時間に遅れるとまたカリムに……!!??」
やってきたのはジャミル君。私達の姿…というか、アズール君たちを見て驚いている。
アズール「おや、ジャミルさん!こんにちは。ご機嫌はいかがです?」
ジャミル「アズール・アーシェングロット……!それに、リーチ兄弟。一体、何故ここに?」
ジェイド「僕たちの故郷は、冬は帰省が困難な立地でして」
フロイド「毎年ホリデーは寮で過ごしてるんだぁ~。あはっ」
ジャミル「なん、だって……?」
どういう事だ、という顔で此方を見てくる…こっちを見ないでくれると嬉しい・・・かな。
アズール「ところで、カリムさんはどこにいらっしゃいますか?魔法の絨毯をお届けにあがったのですが」
ジャミル「……えっ、あ、ああ。届け物なら俺が預かろう」
アズール「いえ、結構!」
ジャミル君の手が絨毯に伸びる前に、アズール君は腕で制す。
アズール「この絨毯は国宝級の逸品です。後々傷などが発見されて“オクタヴィネルの奴らのせいだ”などとクレームをつけられては困りますから、直接カリムさんにお渡しして、しっかりと検品して頂きたい」
ジャミル「カリムはそんなことは気にしないはずだ。だから俺が預かって……」
アズール「ご安心ください。落とし物に20%にあたる報労金を要求したりもしませんから」
ジェイド「昨晩スカラビアの皆さんに働いた無礼についてもお詫び申し上げたいですし」
フロイド「手土産にシーフードピザも持って来たしぃ」
ジャミル君の言葉をことごとく被せ、彼らは言いのける。
監督生「(ジャミル先輩・・苛々してる)」
アズール「とにかく、絶対に直接会ってお渡ししたいのです。彼はもう起きていらっしゃいますよね?」
ジャミル「だから、今日は都合が悪いと……って、勝手に入って行くな!アズール!」
ジャミル君の言葉を無視して、アズール君はズカズカと寮の中へ入って行く。慌ててそれを追いかけて止めようとするジャミル君。そんな彼を悉く、無視しているアズール君。
ジェイド「さ、僕らも参りましょうか」
フロイド「遅れないでついてきてねぇ」
「う、うん」
グリム「…あいつ等、強引なんだゾ」
監督生「だね」
ユウとグリム君は呆れつつ、彼らの後を追いかけ、寮の中へ入った。
______________スカラビア寮 談話室
カリム「あれ、アズール?なんでウチの寮にいるんだ?」
談話室に着くと、そこにはカリム君がいた。しかも、横暴的なカリム君ではなく…いつものカリム君だ。
アズール「こんにちは。ご機嫌いかがですか、カリムさん。いやぁ~~、いつ来てもスカラビアは素晴らしい。外は雪もちらつく真冬だというのにまるで真夏の陽気じゃありませんか。リゾート開発すれば、大量の集客が見込めそうな素敵なロケーションです」
カリム「おう?よくわかんねーけど褒めてくれてサンキューな」
「……いや、褒めてるけど、そういう意味じゃないと思う」
カリム君、このままリゾート地にされないように祈ります。お願いだから契約とかしないでね…。
アズール「今日はあなたの魔法の絨毯を捕まえたのでお届けにあがったんです」
カリム「えぇっ?アイツまた勝手に逃げ出したのか?そいつは手間をかけたな」
……気づいてなかったの?ふと、カリム君が私とユウとグリム君を見た。
カリム「おっ、なんだ。エリーゼ、監督生、グリム!帰って来てたのか!」
「あ、えっと…」
カリム「帰るなら一言言ってくれよ~いきなりいなくなってちょっとショックだったぞ」
監督生「…す、すみません」
ま、気にするなって、と肩をトントンと叩く。いつもの彼だ。
アズール「ところで……今年、スカラビアはホリデーを寮で過ごされるとか」
カリム「ん?…ああ。もしかしてお前たちも?」
アザール「そうなんです!いやー、奇遇ですね。そこで、これを機にオクタヴィネルとスカラビアで親睦を深める合宿を致しませんか?」
ジャミル「なっ………!?」
アズール君の提案にジャミル君は声を上げ、驚いている。
アズール「この冬採用されたというスカラビア独自の学習スタイルも学ぶところが多そうですし……」
カリム「そりゃいい!オクタヴィネルの寮長がウチの寮に滞在してくれるなんて、願ってもない」
ジャミル「……カリム、俺は反対だ」
カリム「えぇ?なんでだよ」
ジャミル「他の寮に追いつくために、わざわざ冬休みを潰して特訓しているんだぞ。それなのに他寮の寮長を招き入れるなんて、敵に手の内を明かすようなものじゃないか」
カリム「敵なんて大げさだな。それに、オンボロ寮の2人とエリーゼはお前が連れてきたんじゃないか」
ジャミル「それは……そうだが。俺はお前達のためにも言っているんだぞ。アズール……!」
アズール「ジャミルさんのご意見はごもっとも。他の寮は常に成績を競い合うライバルですから……。残念ですが、僕らはこれでお暇しましょう。
カリムさん、ジャミルさん、特訓頑張ってくださいね」
「…え?」
ジャミル君の言葉にあっさりと肯定し、クルリと背を向ける。あれ?何とかするんじゃなかったの?
背を向けていた彼らは談話室入り口前で立ち止まり、聞こえるように溜息を吐く。
アズール「はぁ……極寒の中、今年も3人ぼっちのホリデーですか……。
ま、仕方ないですけど……」
ジェイド「頑張って魔法の絨毯を捕まえたんですがねぇ……」
フロイド「モストロ・ラウンジもめちゃくちゃになったのになぁ……」
「「「はぁ~~~~~……ションボリ」」」
グリム「なんてあからさまに引き留めて欲しいって態度なんだゾ」
もう開いた口がふさがらない。流石に分かりやすすぎるし、こんな事に誰かが反応する訳が……。
カリム「__ちょっと待った!」
監督生「‥‥‥反応する人いた」
ジャミル「…………………はぁ~~」
ユウのツッコミとジャミル先輩の溜息が重なった。本当に、カリム君…詐欺とかに気を付けて欲しい。詐欺防止講座を開いてほしいって、お義父様にお願いしようかしら。
カリム「アズールはこの学校でもトップレベルの魔法士だ。スカラビアの成長のためにも滞在してもらったほうがいい!それに、せっかく訪ねてきてくれたヤツを無下に追い返すなんてアジーム家の名折れだ」
アズール「あぁ……カリムさん!なんて懐が深くてお優しい方なんでしょう!もちろんですとも。僕で教えられることがあればなんなりと!」
ジェイド「料理や掃除のお手伝いなら、僕たち双子にお任せください」
フロイド「そーそー。いつも店でやってるから、得意だしぃ」
カリム「そいつは助かる!ジャミルの負担も減るだろうし」
ジャミル「俺のことはいいから……ああもう!全然聞いてないな」
話を聞かないカリム君に頭を抱えるジャミル君。
ま、まさかここまでカリム君が素直だとは…昨日までの横暴さは何処へ行ったの?
カリム「よし、早速だがアズールの胸を借りて特訓だ!荷物を置いたら庭に来てくれ」
アズール「了解しました。スカラビアの皆さん、どうぞお手柔らかに」
不敵に笑みを浮かべるアズール君。けど…その目は一切笑っていない。
監督生「……グリム、バイト変えた方がいいかな」
グリム「おう、変えた方がいいゾ」
そして、アズール先輩達主体の特訓が終わり、夜を迎える。私とユウとグリム君が借りた部屋にアズール君達が集まってきた。
グリム「今日はご機嫌カリムだったんだゾ」
アズール「ええ。僕が知る“いつもの”カリムさんでしたね」
グリム「機嫌が悪い時のカリムは、もっと目も釣り上がってて怖い感じで喋ってるんだゾ」
ジェイド「__それは機嫌の良し悪し、なのでしょうか?」
フロイド「どーゆーこと?」
ジェイド「カリムさんはフロイドのように気分の浮き沈みが激しい印象があまりないものですから……もっと別の要因があるような気がして」
グリム「マジフト大会と期末テストの寮順位が悪かったせいだってジャミルは言ってたんだゾ」
そして、オクタヴィネル寮を出てスカラビア寮の鏡をくぐった。ユウとグリム君と3人ではなく…何故かアズール先輩とリーチ兄弟の3人も連れて、戻ってきてしまった。
入口付近にある噴水では、昨日追いかけてきた寮生達がコソコソと喋っている。魔法の絨毯と私達が逃げた事に関しての相談だろう…。
そんな彼らに近付くアズール君達。
アズール「こんにちは。お邪魔します」
フロイド「うわー、あっつ。マジで真夏じゃん」
「「!!??」」
突然現れたアズール君たちに驚き、目を見開く寮生達。
寮生「スカラビアになんの用だ!」
アズール「ああ、みなさん。昨晩は失礼しました。みなさんがか弱い動物を一方的に苛めているように見えたものですから。心優しい僕は咄嗟に庇ってしまったのです……」
まるでエース君のように嘘がペラペラと口から……本当に敵にすると恐ろしい子たちだわ。
アズール「よくよく話を聞いてみれば、オンボロ寮の2人とエリーゼさんはスカラビアから魔法の絨毯を盗み出した窃盗犯ということがわかりまして。間違いに気付いた僕は、責任をもってこの窃盗犯を引っ捕らえ、魔法の絨毯をお届けにあがったというわけです」
グリム「うぬぅ………不本意なんだゾ~………」
絨毯「♪」
ふてくされているグリム君とルンルンと楽しそうな絨毯。よしよしと撫でて上げると更に体を揺らす。
寮生「そ、それは……」
寮生「ご協力ありがとうございます…?」
予想外というように挙動不審の寮生達。お礼が疑問形になっている…。
その時、彼らの背後から足音が聞こえ、見知った顔が現れた。
ジャミル「おい、お前たち。そろそろ朝の特訓の時間だぞ。集合時間に遅れるとまたカリムに……!!??」
やってきたのはジャミル君。私達の姿…というか、アズール君たちを見て驚いている。
アズール「おや、ジャミルさん!こんにちは。ご機嫌はいかがです?」
ジャミル「アズール・アーシェングロット……!それに、リーチ兄弟。一体、何故ここに?」
ジェイド「僕たちの故郷は、冬は帰省が困難な立地でして」
フロイド「毎年ホリデーは寮で過ごしてるんだぁ~。あはっ」
ジャミル「なん、だって……?」
どういう事だ、という顔で此方を見てくる…こっちを見ないでくれると嬉しい・・・かな。
アズール「ところで、カリムさんはどこにいらっしゃいますか?魔法の絨毯をお届けにあがったのですが」
ジャミル「……えっ、あ、ああ。届け物なら俺が預かろう」
アズール「いえ、結構!」
ジャミル君の手が絨毯に伸びる前に、アズール君は腕で制す。
アズール「この絨毯は国宝級の逸品です。後々傷などが発見されて“オクタヴィネルの奴らのせいだ”などとクレームをつけられては困りますから、直接カリムさんにお渡しして、しっかりと検品して頂きたい」
ジャミル「カリムはそんなことは気にしないはずだ。だから俺が預かって……」
アズール「ご安心ください。落とし物に20%にあたる報労金を要求したりもしませんから」
ジェイド「昨晩スカラビアの皆さんに働いた無礼についてもお詫び申し上げたいですし」
フロイド「手土産にシーフードピザも持って来たしぃ」
ジャミル君の言葉をことごとく被せ、彼らは言いのける。
監督生「(ジャミル先輩・・苛々してる)」
アズール「とにかく、絶対に直接会ってお渡ししたいのです。彼はもう起きていらっしゃいますよね?」
ジャミル「だから、今日は都合が悪いと……って、勝手に入って行くな!アズール!」
ジャミル君の言葉を無視して、アズール君はズカズカと寮の中へ入って行く。慌ててそれを追いかけて止めようとするジャミル君。そんな彼を悉く、無視しているアズール君。
ジェイド「さ、僕らも参りましょうか」
フロイド「遅れないでついてきてねぇ」
「う、うん」
グリム「…あいつ等、強引なんだゾ」
監督生「だね」
ユウとグリム君は呆れつつ、彼らの後を追いかけ、寮の中へ入った。
______________スカラビア寮 談話室
カリム「あれ、アズール?なんでウチの寮にいるんだ?」
談話室に着くと、そこにはカリム君がいた。しかも、横暴的なカリム君ではなく…いつものカリム君だ。
アズール「こんにちは。ご機嫌いかがですか、カリムさん。いやぁ~~、いつ来てもスカラビアは素晴らしい。外は雪もちらつく真冬だというのにまるで真夏の陽気じゃありませんか。リゾート開発すれば、大量の集客が見込めそうな素敵なロケーションです」
カリム「おう?よくわかんねーけど褒めてくれてサンキューな」
「……いや、褒めてるけど、そういう意味じゃないと思う」
カリム君、このままリゾート地にされないように祈ります。お願いだから契約とかしないでね…。
アズール「今日はあなたの魔法の絨毯を捕まえたのでお届けにあがったんです」
カリム「えぇっ?アイツまた勝手に逃げ出したのか?そいつは手間をかけたな」
……気づいてなかったの?ふと、カリム君が私とユウとグリム君を見た。
カリム「おっ、なんだ。エリーゼ、監督生、グリム!帰って来てたのか!」
「あ、えっと…」
カリム「帰るなら一言言ってくれよ~いきなりいなくなってちょっとショックだったぞ」
監督生「…す、すみません」
ま、気にするなって、と肩をトントンと叩く。いつもの彼だ。
アズール「ところで……今年、スカラビアはホリデーを寮で過ごされるとか」
カリム「ん?…ああ。もしかしてお前たちも?」
アザール「そうなんです!いやー、奇遇ですね。そこで、これを機にオクタヴィネルとスカラビアで親睦を深める合宿を致しませんか?」
ジャミル「なっ………!?」
アズール君の提案にジャミル君は声を上げ、驚いている。
アズール「この冬採用されたというスカラビア独自の学習スタイルも学ぶところが多そうですし……」
カリム「そりゃいい!オクタヴィネルの寮長がウチの寮に滞在してくれるなんて、願ってもない」
ジャミル「……カリム、俺は反対だ」
カリム「えぇ?なんでだよ」
ジャミル「他の寮に追いつくために、わざわざ冬休みを潰して特訓しているんだぞ。それなのに他寮の寮長を招き入れるなんて、敵に手の内を明かすようなものじゃないか」
カリム「敵なんて大げさだな。それに、オンボロ寮の2人とエリーゼはお前が連れてきたんじゃないか」
ジャミル「それは……そうだが。俺はお前達のためにも言っているんだぞ。アズール……!」
アズール「ジャミルさんのご意見はごもっとも。他の寮は常に成績を競い合うライバルですから……。残念ですが、僕らはこれでお暇しましょう。
カリムさん、ジャミルさん、特訓頑張ってくださいね」
「…え?」
ジャミル君の言葉にあっさりと肯定し、クルリと背を向ける。あれ?何とかするんじゃなかったの?
背を向けていた彼らは談話室入り口前で立ち止まり、聞こえるように溜息を吐く。
アズール「はぁ……極寒の中、今年も3人ぼっちのホリデーですか……。
ま、仕方ないですけど……」
ジェイド「頑張って魔法の絨毯を捕まえたんですがねぇ……」
フロイド「モストロ・ラウンジもめちゃくちゃになったのになぁ……」
「「「はぁ~~~~~……ションボリ」」」
グリム「なんてあからさまに引き留めて欲しいって態度なんだゾ」
もう開いた口がふさがらない。流石に分かりやすすぎるし、こんな事に誰かが反応する訳が……。
カリム「__ちょっと待った!」
監督生「‥‥‥反応する人いた」
ジャミル「…………………はぁ~~」
ユウのツッコミとジャミル先輩の溜息が重なった。本当に、カリム君…詐欺とかに気を付けて欲しい。詐欺防止講座を開いてほしいって、お義父様にお願いしようかしら。
カリム「アズールはこの学校でもトップレベルの魔法士だ。スカラビアの成長のためにも滞在してもらったほうがいい!それに、せっかく訪ねてきてくれたヤツを無下に追い返すなんてアジーム家の名折れだ」
アズール「あぁ……カリムさん!なんて懐が深くてお優しい方なんでしょう!もちろんですとも。僕で教えられることがあればなんなりと!」
ジェイド「料理や掃除のお手伝いなら、僕たち双子にお任せください」
フロイド「そーそー。いつも店でやってるから、得意だしぃ」
カリム「そいつは助かる!ジャミルの負担も減るだろうし」
ジャミル「俺のことはいいから……ああもう!全然聞いてないな」
話を聞かないカリム君に頭を抱えるジャミル君。
ま、まさかここまでカリム君が素直だとは…昨日までの横暴さは何処へ行ったの?
カリム「よし、早速だがアズールの胸を借りて特訓だ!荷物を置いたら庭に来てくれ」
アズール「了解しました。スカラビアの皆さん、どうぞお手柔らかに」
不敵に笑みを浮かべるアズール君。けど…その目は一切笑っていない。
監督生「……グリム、バイト変えた方がいいかな」
グリム「おう、変えた方がいいゾ」
そして、アズール先輩達主体の特訓が終わり、夜を迎える。私とユウとグリム君が借りた部屋にアズール君達が集まってきた。
グリム「今日はご機嫌カリムだったんだゾ」
アズール「ええ。僕が知る“いつもの”カリムさんでしたね」
グリム「機嫌が悪い時のカリムは、もっと目も釣り上がってて怖い感じで喋ってるんだゾ」
ジェイド「__それは機嫌の良し悪し、なのでしょうか?」
フロイド「どーゆーこと?」
ジェイド「カリムさんはフロイドのように気分の浮き沈みが激しい印象があまりないものですから……もっと別の要因があるような気がして」
グリム「マジフト大会と期末テストの寮順位が悪かったせいだってジャミルは言ってたんだゾ」